第12話 寒中クリーンアップ('98. 3. 1)

 筆者の自宅裏手には新河岸川と荒川が並行して流れている。といっても、荒川の河川敷はサッカー場やゴルフ場が開ける程の広さがあるので、川と川の間の距離はそれなりにある。それでも、荒川の堤防というか段丘を下りるとすぐ新河岸川という構図になっている。

 その荒川堤防部分は雑草に覆われることも多いが、大抵は除草されているのでちょっとした芝地の態である。この季節、人出が少ないのでそんなにゴミは出ない筈なのだが、前回10月の一斉クリーンアップの直後から早くも目に付き出したゴミがゴミを呼んだらしく、遠目で見ても紙屑をはじめ、結構ゴミが落ちているのがわかる。除草してあると余計に目立つので、拾う方としては好都合なのだが、景観を楽しむ場合には困りものである。

 さて、今日は3月1日だと言うのに時折強い風吹く降雪・積雪に見舞われている。先週のクリーンアップにぶつからなくてよかった、と胸をなでおろすばかりである。先週日曜日は日がまだ低い時分は肌寒かったものの、クリーンアップ開始時刻の10時過ぎから暖かくなり、解散時刻の昼前には体を動かしたせいもあろうが、すっかり暖まっていた。今日の天気と好対照、好天と陽気に恵まれたクリーンアップだった訳である。

 一斉開催分と筆者の任意開催分あわせて今回で6回目。北区自然環境グループの皆さんに来ていただいて総勢8名になったので、任意開催にしてはまずまずとなった。遠くから眺めても目立つ訳だから、近くに寄れば尚のこと。コンビニ系のゴミ(弁当容器・パッケージ、ビニール袋類)は少なかったが、紙の切れ端がなぜか多かった。あとは、前回の一斉クリーンアップの時もそうだったが、ペットフードのパッケージ片がやたら多かった。犬を連れ歩く人の姿はふだんからよく見かけるが、どうもマナーがなってない人が多いようだ。ゴミを拾う傍らで捨てることはさすがにないだろうが、拾う人がいるから捨てても構わないだろう、という認識を与えてしまっている心配もある。直接対話した方がよいのか、黙々と作業する中で心の言葉を発するにとどめた方がよいのか、悩むところである。

 8人がかりということもあって、用意していた荒川クリーンエイドオリジナルのゴミ袋10枚は、すぐ出払ってしまった。バックアップで用意してあった分も使って、入れ替えたり、圧縮減容したりしたが、それでも10袋近くの収量になった。今回、皆でゴミの分析をする中で再認識したのは、どうやら心ない釣り客が出すゴミが結構多い(何といっても新聞・雑誌の類)ということだった。現場をおさえている訳ではないが、落ちている場所から考えると、新河岸川で釣りをしている間に読んで、置き去りにしていくのではないか、と推論できる。ビニール袋に詰め込んで雨ざらしになってるものだから、かさばるし重いしでクリーンアップ泣かせの難物である。クリーンアップしている最中はなぜか釣り客連が姿を現さない(どこかに隠れていたのかも知れないが)ので啓発できなかったが、そのうち釣り客を見つけたら、抜打ちでその周囲をクリーンアップしてみようかとも思っている。

 ひと作業終えた後は、ゴミに向けていた目を今度は植生観察に転じる。ノビル(野蒜)とオオイヌフグリが特に目に付いた。あとは、地面に這うように葉を拡げるオオバコ。何でも寒風をよけるためにぺったんこになっているらしい。たくましい草葉である。モグラ塚にもお目にかかれた。頭を出してはひっこめて、を繰り返すと、そこここに小さな盛り土ができあがるとの談話を北区自然環境グループの動植物博士からいただいた。何かの土木作業の後かと思っていただけに、実に新鮮な発見だった。荒川河川敷にはモグラが堂々生息していることになる。

・・・寒中クリーンアップの醍醐味は、近づく春との出会いにつきます。

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