第16話 クルマ社会を問い直す('98. 5. 3)

980430.jpg 自家用車は持たないことにしているので、自動車が入り用の際は、実家から借用してくる。南伊豆の下田に会社の保養所があるのだが、抽選に当たったので、約1年ぶりに車を動かし出かけてきた。(帰宅したのが5/2夜だったので本稿の発行が遅れました。) 自動車を自分で運転するのは、最近の「ストップ!地球温暖化」にまつわる活動や関わりからも、そして大通り公園とこどもの国で実施したアースデイ・フェスティバルで出展していただいた「クルマ社会を問い直す会」プロデュースによる「道はだれのもの?」の写真とメッセージに共感した手前からも不本意ではある。それなら鉄道・バスを使ったらどうだ、と指をさされそうだが、今回の旅行では自分なりに「エコドライブ」を考えながら、実践してみようという思いもあって、あえて車を使うことにした。(加えて下田への道すがら、三島市に隣接する清水町の境界近くにある柿田川の湧水池(写真)を見に行きたかったという隠れテーマもあったが)

 まず、アイドリングストップ。黄信号から赤信号に変わる段階で停止した場合(つまり信号待ちに時間がかかると読んだ場合)、はじめのうち何度かエンジンを止めてはいたが、やはりエンジン再始動時に燃料を食うようで、E←→Fの針がEに傾くのが早まるのに気づいた。という訳で残念ながら信号待ち時のアイドリングストップはあきらめた。帰宅手前の赤羽界隈で国際興業バスの後ろで信号待ちしていたところ、このバスが「アイドリングストップ」宣言バスで、青信号に変わったとたん、エンジンのスタート音が鳴ったのにはインパクトを受けた。青信号と同時に一斉にエンジン音が響く、そんな絵図は決して悪くないと思う。

 荷物は抑えて、スピードも適正に。これもエコドライブの一箇条である。スピードはもともと出さない質なので、問題なく実践できるのだが、周りのクルマとの調整や駆け引きが伴う分、なかなか難しいところではある。東名高速を裾野で下りて、三島市内~清水町~伊豆箱根鉄道沿い~修善寺~湯ヶ島~浄蓮の滝~天城トンネル~河津~白浜~下田、というルートで南下したが、天城越えのあたりは高度がある分、結構なカーブそして上り下りである。緑深い風景を堪能しながら、規制速度通り、なんて言っていられないのが現実で、こっちが法定速度ペースで走っていると、すぐ後ろからクルマが接近してくる。崖下の道幅が広くなっている部分を見つけて止まっては後続のクルマをやり過ごしていく、これの繰り返しである。急カーブやつづれ折りもあるのに、何ゆえにあんなスピードで走っていけるのか、さらに言えば、走って行った先に何があるのか、目的地に着くまでの過程には何もないのか、こうした疑問を常に感じさせる山道走行である。しかしこれはもうエコドライブ以前の問題で、運転マナーや交通法規遵守度を問わざるを得ないクルマが多いということである。環境への負荷軽減と自身や周囲の安全尊重は両立すべきものと心得たい。もちろん山道に限らず、平坦な道路、一般道・自動車専用道を問わず、これは問いかけたいことである。

 車を動かしておきながら大それたことは言えないが、安全を省みない、つまり自己過信によるスピード運転は、クルマ社会の弊害の最たるものの一つ。道路政策や産業政策が助長している部分もあるが、何より個人のスピード信奉に問題があるように感じる。「クルマ社会を問い直す会」の資料によれば、毎年70000人を超えるこどもたちがケガをし、500に上る幼い命がクルマにより奪われている、とある。道路はクルマのためばかりにあらず、もともとは人が通るためのものだったはず。クルマは常に謙虚でありたいと願う。

 よくよく考えると自動車教習所に通い出したのは、今からちょうど10年前。当時はエコドライブという言葉は耳にしなかったが、適正速度&空気圧の話や、運転する前の整備・点検、ガソリンの経済的使用(急加速・急発進は×)など、エコドライブに通じる講習があったことを思い出す。初心に帰って、環境面、経済面そして安全面の両立を考えながら運転したいものだと思った。

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