河原の桜を見に行った千歳は、いつしか川辺にたどり着く。水際には干潟、そして多量のゴミ... その場で捨てられたものとは思えない。そう、それらは漂流・漂着ゴミだった。そこで偶然拾った一枚のキャッシュカードから、物語は動き始める。
四月一日、キャッシュカードの主、櫻が登場。千歳と櫻の二人は初対面ながら意気投合し、クリーンアップを開始。千歳はその時の記録をブログを新設して掲載する。その名は「漂着モノログ」。
五月六日、クリーンアップは二人から四人に。櫻はお約束の「いいもの」を持ってやって来る。調べ上げられたゴミの数々... それらは静かに、そして雄弁に何かを語りかけてくる。
六月三日、2回目の調査型クリーンアップ。五月の回の三人のもとに、女性研究員が現われ、より充実した実地見聞が展開される。六月は環境月間。折々のイベントは出会いの場となっていく。
七月一日、クリーンアップ参加者の年令層は広がり、干潟は「場」としての力を増していく。集う人々が互いに触発されていく流れは、夏休みの自由研究へとつながり、そこからまた新たな出会いやドラマが生まれていく。千歳と櫻の想いが形になっていくのもこの月から。
八月五日、リーダー不在ながら、新メンバーの加勢もあり、何とかクリーンアップは終了。だが、櫻の不参加は波紋を呼び、それぞれの想いが動き出すことになる。川、干潟、ゴミへの想い、そして互いを想う気持ち。夏は長く、暑い...
九月二日、干潟に集う人はさらに増え、経験知も増していく。巡視船ツアーや下見をはじめ、メーリングリストでの議論も活発になり、来る一般参加型クリーンアップに向け、準備は進む。さまざまなプロセス(過程、作用)が動く、そんな秋の始まり。
十月七日、待望の一般参加型クリーンアップイベントが開催される。現場力が試されながらも、無事終了し、メンバーの結束は強まっていく。千歳と櫻の二人も新展開へ。確かなプロセスを経て、深まるは充実の秋、恋愛の秋...
そして、十一月、十二月、一月... ゴミが流れれば、季節も流れる。だが、時は漫然と過ぎて行く訳ではない。春に向け、さまざまな要素が実を結んでいくのである。
彼らにとってゴミとは何だったのか、それは「第5章 ふたたび、春」でのお楽しみ。 |