第17話 浦和・大宮・与野...('98. 5.15)
5月のこの時期、各社ビール工場での地域貢献型イベントが盛んになる。荒川をはさんで隣市の川口へは自転車で10分もあれば出られるが、川口市は広い。サッポロビールの埼玉工場(川口工場ではない)は川口駅から京浜東北線沿いに北へ数100m先にあるが、ここまでは筆者宅から自転車で早くても20分はかかる。(ちなみに川口のオートレース場だと30分、鳩ヶ谷の中心部近くの市境までだと40分はかかってしまう。) その埼玉工場で「第20回 ビア・フェスティバル埼玉'98」なるものが開催されるというので、出かけてきた。
フェスティバルのチラシに、「空缶5つで粗品と交換」とあるので、悪気はないのだが、他社ビールの空缶(しかもロング缶)を取り混ぜて持って行く。別に飲料の消費性向を調査する訳ではなかったらしく、集めた空缶は某社のプレス機で減容処理のデモに回されていた。粗品はなぜかティッシュ1箱。まぁ資源を再生する意義を伝えたかったんだろうなと思う。ちびっこ広場やらいくつかの出店に混じって、サッポロビールでの環境対策や川口市環境部での取り組みを紹介するコーナーが設けられていた。埼玉工場では、ビール瓶本体のリサイクルばかりでなく、王冠やラベルに到っても、再生に回すということで、ゼロエミッションを達成しているようである。ゴミとなるものはない、と言いつつも、お目当ての試飲用生ビールは当然のことながら紙コップ、会社で出している模擬店の品々もいわゆるスーパーで売っているのと同じ白色のトレイで渡されるから、どれもゴミになってしまう。この手のイベントではどうしてもゴミが大量に出てしまう訳だが、リサイクルできるコップや食器、あるいは野菜や果物の繊維カス等で作った食べられる食器(ビール会社ならビールかすで食器が作れるかも知れない。)で提供すればよいものを、と思う。コップや食器持参で来てもらう、という手もある。割り箸に関しては、決して否定できるものではないが、自前の箸の方が使い慣れているだろうし、おいしく食べられそうなので、持参をよびかけても良さそうだ。(筆者はここ10年程、マイ箸派である。)
ビールは中ジョッキ程の量が試飲できてしまうので、それだけいただければともかく十分である。午前中、しかも空腹状態だったので、酔いが回るのも早めなようだ。(午前中のアルコールは控えましょう。) さて、試飲の前に「さいたまスーパーアリーナ」紹介コーナーで、「さいたま新都心」のパンフレットを入手したのだが、いわゆる浦和・大宮・与野の三市合併による政令指定都市実現の話は耳にこそすれ、実際にどういった計画が進んでいるのかを示す資料は初見だったので、ビールを忘れてつい夢中になって読んでしまった。あくまで新都心についてのパンフレットなので、合併話については特にふれていないが、県と浦和・大宮・与野の三市の共同による新都心構想・事業になっている、三市、つまり上尾市と伊奈町が関わっていないのが、合併をめぐる裏事情を暗に示しているようで興味深い。基盤整備では、雨水を利用する中水道や地域冷暖房、まちづくりでは、光ファイバーの情報通信網とバリアフリー対応、の記述が目を引く。施設では、「さいたまスーパーアリーナ」の他に、「さいたまひろば(仮)」というのがあるが、気になるのは、ひろばとなる人工地盤一面をケヤキで覆う構想。特にイメージ図を見ると人工地盤とは言え、木の根元や土の部分が極端に狭い、という点である。「空の森」というように階上部分、つまり大地ではないところに森を創る構想なので地面が人工的なのは致し方ないのだろうが、いっそ全てを土で覆い、「空中原っぱ」「空中森林公園」に、というのはやはり現実的ではない?と思う。
交通はどうか。鉄道に関して言えば、新都心に新駅ができる。そもそも新都心自体、大宮駅南側にあった広大な操車場に手を加えてできるもの故、新駅あっての新都心と言うこともできる。県下トップの人口を有する川口には停まらない宇都宮線・高崎線の列車が停車する、となっているので、下り電車は、赤羽→浦和→新駅→大宮、ということになる。新都心関係者と周辺住民にとっては、便利この上ないが、新駅と大宮の間は至近なので、普通列車の快走感は落ちそうだ。上野~大宮の時間距離も長くなるだろうと思う。それにしても、新しい都市名、それに伴う新駅名はどうなるのだろう。筆者の独断が許されるなら、「さいたま」「さきたま」、伊奈も加えた「YOU&I」プランに従えば、「ゆうあい」、それとも「新大宮」「新与野」...何とも難しい。さて、仮にYOU&Iに川口が加わったら、人口は優に150万人を超えてしまう。東京都の北隣に日本屈指の大都市ができるのは、夢もあるが、都市開発の名のもとに無理な造成が進んだり、いわゆるハコもの行政が跋扈してしまうのも考え物である。川口は東京都と政令指定都市の間の一大都市にとどまるのか、そうなった時この工場は埼玉工場のままでよいのか、などと酔い心地の中、考えていた。
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