第18話 サンライズ エクスプレス('98. 6. 1)

 品川駅では時折、特殊な列車や車両の見本展のようなイベントが開かれる。5/31は5月最終日にしてようやく乾いた感じの五月晴れとなり、行楽日和。5/30のゴミゼロの日にちなんで、クリーンアップをするのも良さそうなところだが、品川駅のこの手のイベントにはつい足を運んでしまう。行楽という程のものではないが、ちょっと足を伸ばすには手頃である。

 宴会列車や現役を退いた車両が披露されることが多いが、前回は五能線を走る特急列車「リゾートしらかみ」の紹介。今回はやはりデビューを控えた新しい寝台特急「サンライズ エクスプレス」と新型車両を擁した「夢空間 北斗星」の展覧イベントである。筆者は元来、車両や列車編成にはあまり関心がないので、いわゆる鉄道マニアとは一線を画しているつもりでいる。(鉄道好きなのは、沿線の地理や地誌との関係や駅名や停車駅に関してである。つまり、なぜこういう駅名になったのかとか、なぜこの駅に特急が停まるのか、といった類である。鉄道実用マニアとでも言おうか。今後は環境問題もテーマに加えられればと思っている。) なので、この手のイベントで集結するマニアの方々に対しては、同感できる部分もあるが、親近感を持てないというのが本心である。何せ関連グッズを物色する様はどこかのバーゲン会場さながらだし、車両をカメラに収めるのに躍起になる様はこれまた芸能カメラマンさながらで、要するにそこには公共心が見られないのである。一般に広く開放されるべきイベントがマニアの私物と化しかねない点が何ともやりきれない。鉄道への愛着を示すのは、何も珍しいカードや切符、貴重な写真を手に入れることで果たすばかりではない筈。物的な満足よりも純粋に鉄道に乗る、車窓の景色を楽しむ、それも愛着のうちだと思うのだが...

 話を戻す。「夢空間 北斗星」だが、最後尾車両を遠目に見た時は、大分県を走る「ゆふいんの森」号かと思いきや、ここは東日本。色合いや風貌が似ていたので見紛うてしまった。5/30・31の2日間、専用のダイニングカーに3,500円でスペシャルランチ招待という企画があり、その車内広告を覚えていたので、広告に載っていたのと同じ車両と後からピンと来た。これまでの寝台特急とは打って変わって、何というかヨーロッパ調なのには驚いた。この車両だけとれば、日本版オリエンタル急行といった趣である。スペシャルランチの方は、平日のみの電話受付でしかも先着順。数がかなり限られていたので、すぐに予約完了となったようだ。(当方も広告を目にした翌日にトライしたが、何度かけても話し中という有様。ハガキ申し込みで抽選の方がよかったように思う。) 電話予約が成立した幸運な方しかこの車両には入れないので、拝めるのは外見だけなのが残念なところ。しかし外からのぞきこまれるランチというのはいくら幸運と言っても、ちょっと気の毒である。

980531.jpg さて、今回の「ブルートレイン・フェスティバル」。目玉はやはり、7/10にデビュー予定の「サンライズ エクスプレス」だろう。「夢空間 北斗星」は先述したダイニングカーとその隣りのラウンジカーを除けば、外観はまさしく「ブルートレイン」なのでインパクトは弱めだが、「サンライズ」の方は、全車両一貫して新しいデザインなので、マニアならずとも唸らされる。車内の見学はすでに長蛇の列で待ち状態になっていたのであきらめ、外側から中の様子を見る。個室部分はさしずめ少々値の張りそうなビジネスホテルの部屋を並べたようなつくりである。又、全体的に丸みを帯びているので、くつろぎ感がある。寝台列車と呼ぶに相応しい車両だと思った。パンフレットを見ると「朝焼け感」をイメージした色調とあるが、見た目はクリーム色基調であずき色の帯。ともかく寝台特急=ブルートレイン、とはいかなくなる訳だが、これもブルートレイン扱いになるのだろうか。ブルーは車両の色にかけるよりも、夜の深い青に喩えた方が良さそうだ。岡山から山陰~出雲市をめざす「サンライズ出雲」と瀬戸大橋~高松をめざす「サンライズ瀬戸」に二手に分かれる編成。出雲をめざすあたり、サンライズのイメージになかなかマッチしていると思う。7/10(金)22:00東京発、実際に走る姿を見に行くのも面白そうだ。

 それにしても、こんなことを思うのはやはり筆者も鉄道マニア故なんだろうか? (自宅ベランダから東北・上越・長野行き・山形・秋田の各新幹線を眺めて悦に入っているあたり、マニアと指差されても致し方なさそうである。)

sunrise-express.jpg

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第18話 サンライズ エクスプレス('98. 6. 1)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://mt.chochoira.jp/mt-tb.cgi/18

コメントする

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.24-ja

2009年3月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリ

このアーカイブについて

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。