第21話 寿司食べ放題('98. 7.15)
数ある食べ放題ネタの中で、食べ甲斐があるものと言ったら、筆者は寿司を推す。もちろん回転寿司で100円~150円の皿で回ってくるようなネタばかりの食べ放題ではあまり意味はないが、300円・400円皿で出てくるようなものを含めて、好きなだけどうぞ、と来ればこれ幸いである。
これまで例えば、新宿三越裏その他にチェーン展開しているI寿司や、銀座、池袋、渋谷で名高いH鮨へ足を運んできたが、価格対満足度という点などから、どっちも一歩及ばず、という感を抱いていた。H鮨は高級感と洗練さが売りだが、品切れが多い点とネタ自体があまり大きくない点に不満があった。4,300円は決して安くない価格だと思う。他の食べ放題寿司店は大体2,000円~3,000円台だから、いわゆる和食・洋食バイキング系と比べるとどうしても割高感があって、なかなか足が向かない。それで、回転寿司屋の均一料金感謝デーなんてのがあると、高そうなのをねらってみては価格対満足度を満たすことになる訳である。
さて、高円寺と聞くとラーメン店のメッカという印象が強いが、寿司屋の有名店もいくつかあるようだ。激戦区になれば各店知恵を絞るから、食べ放題をやる場合も相応の工夫が出てくる。そんな背景から価格対満足度という点で良さそうな店が見つかったので、早速出かけてみた。
さぞ、行列待ち状態だろうと思いきや、あっさり席を通され、まずは合格。IやHではネタの書かれた紙に数を書いて注文する席待ち方式だったが、ここでは寿司桶に入ったものをめいめいがとっていくバイキング方式。90分制限と言いつつも、これなら回転がいいから席が空くのも早いのだろう。加えて、自分で気に入った艶、大きさの寿司をつまめるのだから、これはありがたいシステムである。
50音順に書き並べると、赤貝、穴子、甘海老、鮑、烏賊、鰯、鰻、海老、蟹、小柱、鮭、蝦蛄、炭火焼鮭、鯛、蛸、玉子、とり貝、ハマチ、平目、ビントロ、帆立、鮪、これにグンカンものがいくつか。
と品揃えはまあまあである。ケーキバイキングよろしく途中でメニュー替えされることになっているので、もしかしたら出てきたのかも知れないが、エンガワ、カジキマグロ、数の子、鰹、鰈、白魚、ホタル烏賊、ボタン海老、あたりまで揃えば天下無敵だと思う。しかしO157で問題になったイクラはやはり見かけなかった。イクラが並べば、H鮨程度の高級感は十分出せそうだ。
1ケあたりの単価を平均的に見積もって80円だとすると、この日食べたのは全部で35ケだから、2,800円。これが1,850円で済んでしまったのだからおトクである。この店のさらに良心的なところは、寿司だけでなく、味噌汁、フルーツポンチ、おまけにジャーマンポテトフライまで食べ放題に組み込まれていることである。寿司だけだと単調な上、途中で食欲が鈍ってしまうところだが、箸休めにポテトフライでも、となれば引き続き食が進むというものだ。一口に35ケと言うが、1時間余りで食べ終わってみて考えると、これはちょっとした数だと思った。回転寿司の場合、多くて10皿くらいだから、それの約1.7倍。ちょっと食べ過ぎたようだ。近海の魚介というふれこみだったからまだ良かったが、これが輸入物だったとしたら、食べ過ぎ・飽食は慎みたいところである。まして食べ残しが出るようでは、魚介類に申し訳ないことこの上ない。食べ残しは認めない旨、貼り紙が出ていたから、これまた気に入った。食べ放題は食べ残しと裏表。利用する時はくれぐれも心したいものである。
7月に入ってから連日の夏日続きでバテ気味だったが、この食べ過ぎのおかげで、余計に体に負荷がかかってしまったようだ。食べ終わった後、外は大粒の雨。暑さの割には夕立や稲妻が来ないなぁ、と思っていたところだったので、雨と雷鳴に遭ったおかげで、食べ過ぎが気分的に緩和され、清々しくなれた。高円寺はアーケードの商店街で有名。雨をしのぎながら駅までたどり着くことができるので、助かった。だが列車に揺られて、乗り換えて、というのは身体的に食べ過ぎである以上はちと応えそう。赤羽と高円寺は環七通りでつながっているので、いい機会だと思い、バスで帰途に着くことにした。満腹の身にはバスの揺れは心地よい。時折、稲光で明るくなる夜の街並みを眺めながら、のんびり帰れるってのはなかなか乙なものである。
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