第30話 11月の寒空と晴天と('98.12. 1)

 これも異常気象のうちなのだろうか。11月はとうとう傘の出番がなかった。雨らしい雨もなく、ただひたすら晴れの日ばかり。東京の月間降雨量は観測史上最低だったとか言うから尋常でない。獅子座流星群を待つ11月17日の日中は何となく雨っぽい天気で、流星群を拝めないのではないかとやきもきさせられたが、その日を除いては本当に雨を見なかった。夏場、特に大雨が続いた時期など、室内の湿度は85%まで記録していたのに、ここんとこすっかり乾燥してしまって40%を切っている。異常乾燥注意報状態である。

 てな訳で、この11月は晴れた空・寒空が印象に残る月になった。11月9日は11月1日に開通したばかりの品川駅の東西連絡通路(レインボーロード)を仕事のついでに見に行ったが、駅東口にあたる港南口から見た品川インターシティの白銀の高層ビルが晴れた空によく映えていた。カメラを持ち合わせていなかったのが何とも悔やまれる。11月10日は会社帰りに新宿に直行し、東京都による「NPO法人設立申請手続説明会」を傍聴(実は都が発行した体裁の良いガイドブックを入手するのが主目的)しに都庁・都民ホールへ出向いたが、やはり晴れた夜空に都庁舎のシルエットが鮮明だったのを思い出す。11月15日は身内の晴れの祝い事で横浜みなとみらいへ足を運んだが、この日はおあつらえむきの晴天で雲一つない。大安の日曜日だったとは言え、門出を寿ぐ実に見事な青空だった。ランドマークタワーが立冬の陽射しを受けて燦然としていたのが印象的だった。

 11月18日の獅子座流星群当日の深夜は、時折雲は出たものの観測ピーク時間の3~5時台は総じて澄んだ夜空に恵まれた。4時15分の尾の長い流星(爆発後の流星痕を伴う大きなもの)をはじめ、火の玉状の流星など合計10~15は見ることができた。2~3等星程度までしか見えない都会の空にしてはよく観測できた方だと思う。11月18日は流星群に備えて?!休暇をとっていたので、早寝→流星群→仮眠→遅起き、だった。午後は会社製品の取扱説明書のコンテストに備えた会議(直接的な業務ではないので休暇をとって臨んでいる)に出ることになっていたので、私的に自由なのは午前中ということになる。

981118.jpg この日は京浜急行の羽田空港駅の開業初日だったので、起きて早速、品川をめざす。京浜急行の急行列車で空港行きに乗り、20数分。羽田空港駅に降り着いた。(スピードが速い分、モノレールよりも快適なようだ。)

haneda981118.jpg さて、羽田空港駅はそこそこで、隣駅の天空橋(旧羽田駅)にも寄ってみた。地下の駅から地上に出ると空港が見渡せる。出入口にある「天空橋」の駅名表示板が飛行機が行き交う晴れた空によくマッチしていた。(何でも駅近くにある歩道橋が天空橋なので、それを駅名にあてたというから安易な感じもするが、ともあれいい駅名である。)

 11月26日夜は「アースデイ2000」の意見交換会で、神田・小川町の東京YMCAへ。帰途、アースデイ仲間とお茶の水駅まで歩いた時に見上げた夜空も晴れていた。寒さが増してきている分、凛とした感じを受ける空だった。

 そして11月28日。四谷駅からアースデイの東京連絡所までいつもの新宿通りを歩く。この日は朝から気温が高く、小春日和である。中国国家主席が来訪中ということで厳戒体制が敷かれていたが、うらあたたかな晴れた中ではいかめしさも和らぐから、緊張感なく歩けてありがたい。これで冷たい雨でも降るどんよりとした日柄だったら、さぞ厳戒ムードも高まるだろうと思われる。今年最終号のアースデイニュースの発送大会を終えると午後の4時。外に出ると午前中の暖かさが嘘のように寒々としている。当ホームページがお世話になっているJCA-NETの代表と幹部のご両人の結婚パーティ(正式名称は「二人を肴に飲んで祝おう会」)がこのあと6時からあって、筆者は何の因果かBGM担当になってしまったので、早めに会場のクレヨンハウスに向かうことにした。表参道に着くと、いよいよ寒さが本格化して、着込んでいたちょっと厚手のハーフコートが役に立った。(午前中は、こんなの着てこなくてよかったのに、と思っていたのだが...) 暗くなりかけた表参道と道沿いの並木は、木枯らし吹く寒空によく溶け込んでいて季節の風情を醸し出していた。寒いのは言うまでもないのだが、その情感に浸るのが何とも心地よく、早足を止めて、ゆっくり時間をかけて会場に向かったのだった。

 日常のできごとを天候と結び付けて語ることはあまりないのだが、それだけこの11月は常に晴天と寒空がご一緒だった、という訳である。12月の気象は変化あるものになるだろうか。雨も恋しいが、雪が降ればなお楽しい。そんな思いの12月初日である。 ...いよいよ今年も残すとこあと1カ月。

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