第39話 通勤ルートのどんぶり屋('99. 4.15)

 今の職場に変わるまでは、いわゆる社員食堂をほぼ毎食(朝・昼・晩)利用していたので、一日あたりの食費は1,000円程度で済んでいた(いや済ませていた)。今では、社員食堂が利用できないものだから、朝・昼・晩をどうするかが課題でもあり、楽しみでもある。自宅でとる努力もしているが、ついフラフラと外食してしまうのは克己心の弱さの表れであるには違いないが、それだけ通勤経路上や職場周辺に店が豊富にある証拠でもある。とはいえ、一日1,000円ラインで済んでいたものを急騰させる訳にもいかないので、今では何とか1,500円(三食とも外食にした場合、この構成としては、朝:350円、昼:650円、晩:500円を想定)内におさまるよう奮斗している。そしてこの線で抑えるのに欠かせないのが、どんぶり屋の存在である。朝のセット(定食)はだいたい上記想定内だし、晩にしても料金は均一だから、アルコールを注文するなどしない限り、値は張らない。昼はともかく、朝と晩についてはまず一人で食事することが多いので、その日その時のシチュエーションでいろいろな店に出没することになる。今回は筆者のそんな喫食パターン「どんぶり屋編」(通勤の帰途、つまり晩ご飯をどんぶり屋で食べる場合)を紹介してみようと思う。(あくまでどんぶり屋であって、立ち喰い蕎麦屋やファーストフード店で扱う丼物は除くものとする。)

【表参道~渋谷】

 表参道まで戻って、地下鉄で渋谷に出て帰ることもなくはないが、その場合(表参道に向う途中)は、どんぶり屋はないので、丼物を食べることもない。逆に職場から渋谷まで歩いて帰る場合は、何軒もあるので、どこまで書き出せるかが難しくなる。(今回は特別に店名を明記します。)

 まず、青山学院大学と宮益坂の間に吉野家がある。吉野家は、100円引きセールが何カ月かに数日のタイミングであるので、その期間中に集中的に行くことが多い。という訳で、朝の定食は利用しても、夜、足を運ぶことは少ない。宮益坂を下りてすぐ、右に曲がると「ビビンパ」という韓国系丼屋がある。鉄器を加熱して「石焼き」という名称でビビンパやクッパを出すのが売りだが、猫舌の筆者は、石焼きでない単なる「野菜ビビンパ」を注文することが多い。割引セールに出くわしたことがないので、安心して一定間隔で利用できる店である。(ちなみにこのビビンパは、東急文化会館の2階通路沿いにもあるが、店内がやたら狭いので、専らこっちの宮益坂店を使っている。) 松屋は渋谷駅周辺に何軒もあるが、公園通りの起点に当たる三叉路(丸井やタワーレコードがある界隈)にある松屋を使うことが多い。ここは食券の受付と注文の品を出すのを1つのカウンターで捌くシステムになっているので、利用しやすい。カウンターから席までの持ち運びやお茶もセルフサービスなら、当然後片付けもセルフになっており、好感が持てる。松屋はふだんから利用することが多いが、今やっているような500円(1コイン)セットなどがあるとつい足を運ぶ頻度が増えてしまうので、要注意である。(松屋はここの他に、センター街や井の頭線渋谷駅1階改札口近くの裏通りにもあるが、あまり足が向かない。)

 宮益坂から金王坂を通って、渋谷警察署がある交差点界隈に出ると、明治通り沿いにいろいろなチェーン店が軒を並べ始める。昔からだが、この沿道は時々寄り道するコースである。どんぶり屋に限って渋谷駅寄りから順に挙げると、「めしや丼」「なか卯」「らんぷ亭」といったところ。めしや丼は駅に近いこともあるが、大盛り・おかわり無料キャンペーンなどをやっていた時期があったので、利用する・しないの波は激しいものの有力株ではある。なか卯は割引券を配ることが判明してからは、券がない時期は利用しなくなってしまった。割引・優待・サービス・クーポンの類は一時的には客を得られるが、その反動も大きくなるというのを示す好例と言えようか。という訳で、セットものでも単品でも割り引いてしまうらんぷ亭に至っては、券がないと全く利用しないという有様である。(もっとも、券がない状態でも一度利用すれば、次回からは半永久的に使えるようになる券が入手できるのだが、有効期限内に行けなくなると券の引継ができなくなってしまうのである。哀しい。)

【原宿~代々木】

 渋谷からの帰途は、山手線ではなく、埼京線各停に乗れるように時間調整することが多いので、まずこの2駅で降りることはない。たまに山手線で新宿に向う途中で気が向くと、下車することはある。でもどんぶり系を食べに行った記憶がないので、省略。

【新宿】

 山手線から埼京線に乗り換える時が一つのポイントになる。新宿始発の各停の発車時刻に余裕があると踏んだ時は、ルミネ2側の改札から出て、新南口から乗り込むパターンが多いので、その界隈(甲州街道と三越の間あたり)に点在するどんぶり屋に足を運ぶ。ビックカメラのパソコン館の近所には、「どんどん」てのと「たつや」というややマイナーなチェーン店がある。それぞれ競うように変則的なセールをやるので、通りがかりでそれに出くわせばしめたもの。どんどんでは親子丼かカツ丼が安くなる。たつやでは牛肉を玉子でとじた「開化丼」が安くなることが多いようだ。この2つがダメでも近くに松屋があるので、利用することが多い。

 新宿は歩く範囲を広げれば、いくらでもどんぶり屋に出くわす。靖国通りと歌舞伎町商店街入口が交差するあたりにある吉野家には、他店では見かけない「豚汁定食」があるので、それをめざしてみたり、北新宿方面まで足を伸ばすと「SUKIYA」というちょっと異色などんぶり屋があって、そこで「すきやき丼」を食してみたりする。いずれも早く帰れた時を除き、まず行くことはないけれど、覚えておきたい店である。

【新大久保~板橋】

 一気に飛んでしまうが、新宿で一度埼京線に乗り込んでしまうと、途中下車する機会はぐっと減少する。池袋もチェーン店ひしめく街だが、帰途にどんぶり屋に入った記憶はほとんどない。

【十条】

 帰りの埼京線は、西口改札口にすぐに出られる。西側は天丼の「てんや」の他、渋谷で紹介した「めしや丼」がある。利用しやすいので、赤羽止まりの列車や通勤快速列車にわざと乗って、次の各駅停車が来るまでの時間を見計らって利用することしばしば。(大盛り・おかわりサービスがない時期は控えているので、最近はとんとごぶさたしている。)

【赤羽】

 空腹を持ちこたえられた場合に限るが、地元赤羽はどんぶり屋の宝庫である。利用しない手はない。東側で駅に近い順に挙げると、松屋、王様の丼(比較的新しい店だが、CSが低いのが泣き所)、てんや、松屋...これに加えて西側の高架下に最近「なか卯」がオープンした。いずれも筆者が赤羽に転居してきてからできた店ばかり。ありがたいことである。吉野家がいまだに出店して来ないが、このラインアップはまずまずと言える。

 松屋は偽造500円硬貨対策で、500円玉が使えなくなったり、お茶が熱湯状態で出てくる(どの松屋も共通?)など難点はあるが、朝、余裕があれば、朝ご飯セットを利用するし、先述したようにおトクなセットが出ると目がなくなる。てんやは季節物が出た時や、割引券を入手できた時以外は利用しないので、あまりご縁がない、といった具合。

 このように、栄養バランスは二の次で、価格重視の筆者の丼指向(嗜好)だが、OLがどんぶりを好んで食べるご時世とあっては、トレンドに乗じたい気分もあるので、当分はどんぶり屋通いは続きそうである。どんぶりを食べることを「どんぶる」、食べる人を「どんぶラー」なんて、流行語にでもなるくらい流行れば面白いのだが、仮にどんぶラーと自称する人が実在するなら、自前の箸持参で、流儀よろしく食してもらいたいものである。(筆者はもちろんマイ箸だが、店員の関心も誘わないし、他の客も見て見ぬフリ。)

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第39話 通勤ルートのどんぶり屋('99. 4.15)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://mt.chochoira.jp/mt-tb.cgi/42

コメントする

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.24-ja

2009年3月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリ

このアーカイブについて

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。