第40話 待機時消費電力('99. 5. 1)
世間では省エネブームに乗って、待機電力(正確には待機時消費電力と言う)にも随分と目が行くようになった。環境問題への対応や温暖化防止の対策を考える時、エネルギーの消費を抑制するのが効果的なのはもっともな話には違いないし、それ自体は大変歓迎すべきことではあるが、家電製品が環境対応型であることをPRする材料として、待機電力レスあるいは待機電力ゼロを口々に並べ立てるのも能がないように思う。家計に直接的に訴えられるが故に省エネ・省電力性が先行し、家計に直結しない部分、つまり原材料における再生品の使用割合、廃棄時の環境負荷の低さ、焼却処理した場合の無害性、長期使用や修理・修繕の容易性、人体健康面に対する配慮、製品本体以外の梱包材や取扱説明書等の環境負荷、等々の話がおろそかになりがちなのが惜しまれるところだ。買う側・使う側も、消費電力や待機電力の他にこうした観点から商品選びをしてもらいたい、と常々思う。店員をつかまえて、こうした環境談議を交わすようになれば、販売店はもちろん製造事業者も本腰入れて取り組むようになる筈である。筆者も重々心したいと思っている。
待機電力について、言わせてもらうと、
- リモコンからの指示待ちやマイコンの記憶保持、時計の作動などに消費され、その量は、一世帯の総電力消費量の10%前後と言われている。
- 現在、家電製品の工業会で待機電力の測定方法や表示方法について検討がされているが、何より各人が待機電力の存在を意識して、電気代・エネルギーを節約することが肝要。
というのが挙げられる。だが、検索サイトで何気なく、待機電力と打って調べてみたら、各社各製品の「ゼロ情報」を見つけてしまった。これは節約行為以前の話。待機電力ゼロにできるのであれば、なぜもっと早く世に出してくれなかったのだろうか、と思うが、これも技術革新と環境世論あってのこと。今後のさらなる進展を期したいものだ。
- 全自動洗濯機(S社 ES-SE90など):待機電力ゼロ。
- テレビ
ステレオテレビ(P社 TH-21MA1):マグネシウム合金採用により、リサイクルの可能率アップ。
ハイビジョンテレビ(T社 32HD3Zなど):待機電力ゼロ。
フラット画面テレビ(S社 32C-FB10など):待機電力ゼロ。
BS内蔵テレビ(H社 W36-GF2など):待機電力ゼロ。 - ビデオデッキ(S社 VC-ES100B):待機電力ゼロ。
- 電子オーブンレンジ(T社 ER-FX8、S社 RE-M100など):待機電力ゼロ。
パソコンについては、オールオフするならともかく、常時挿し込みっぱなしの場合、待機電力は相当量になると聞く。パソコンにはぜひとも標準添付で、コンセントに電力計を装着してもらいたいものである。(加えて、使用中はディスプレイの片隅に消費電力量と換算電気料金が載ると長時間使用防止にもなり、効果テキメンと思われる。)
話ついでに、電磁波について。見解がグレーなので何とも言えないが、例えば電磁波カットのパソコンであるとか、電磁波防止フィルタがはじめから付いているとか、又、実際に製造・販売するのは難しいだろうが、ガウスメーター付きにする、といった工夫があれば面白いと思う。
さて、アースデイ2000日本連絡所が同じビルの3階から2階へ引っ越しして、2週間ほどが経った。例年なら4月半ばに開催していた横浜こどもの国での「アースデイ・フェスティバル」だが、今年は1カ月遅れの5月22日・23日の開催になったので、この時期にまだミーティングをしている。広くなった会議スペースの電源コンセントにふと目をやると、何と電力メーターが付いている。電力を調べる家電品がなく、ただ電源コンセントにメーターがくっついているだけなのでちょっと間抜けに見える。会議卓に同じ物がいくつか転がっていたので、これは面白いと思い、一つ拝借してきた。
名前は「エコワット」。片手にすっぽり収まってしまうコンパクトサイズである。大阪は摂津市にある「東光精機(株)」(TEL:06-6387-1236/FAX:06-6387-1256)の製造・販売。(売価はどこにも書いていない。オープン価格?) あくまで目安だが、使用料金→使用電力量→使用時間の順で3秒ごとに表示されるようになっており、実によくできている。電気使用料金は、各地域の電力供給会社等により格差があるが、平均値をとって一般的には23円/kWhの計算が用いられる。が、エコワットで換算される電気料金は25円/kWh。高めの表示になるが、その方がインパクトがあっていい。
筆者宅ではできる限り、コンセントを抜く努力をしているが、それでも常時つなぎ放しのものがいくつかある。冷蔵庫、ビデオデッキ(タイマー録画する番組があるとどうにも)、パソコン、一部のAV機器...そして電話+FAX機である。4月29日の0時から試しに早速、電話+FAX機の測定を始めた。その日の朝はまだ大したことなかったが、24時間経ってメーターを見たところ、0.23kWの消費で、5円になっていた。1カ月にして、150円超。電話FAX機というのは、「待機する」=「使用する」みたいなものだから、この使用電力なのか待機電力なのか言明しづらい面があるが、どっちにしてもそれなりにはなることがわかった。(ちなみに筆者宅の1カ月の電気料金は3,000~4,000円の範囲内である。) 4月30日の0時からは品を変えて、ラジオ付きデジタル時計で測定開始。23時間経ったが、こちらは見事にゼロ表示(使用電力・使用料金とも)である。液晶表示(バックライト付き)とラジオの受信というのは、乾電池でも早々には寿命が来ないだけあって、電気を使わない代物であることがこれで証明された。
という訳で、しばらく測定遊びが続きそうである。次はパソコン一式かそれとも冷蔵庫か、大口製品で試してみれば、それだけエコワットの立つ瀬もあろう。皆さんもおひとついかがでしょうか?
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