第61話 短縮形ネーミング(2000. 3.15)
巷では第何次ブームと言っているか知らないが、今の音楽界はどこを見てもバンドバンドで、一つのブーム期にあることは異論ないだろう。そうしたバンドに加えて、様々なタイプのグループも増えてきて、今では楽曲名なのかグループ名なのか、どっちがどっちだかわからないケースが増殖している気がする。(昔々、「レベッカ」が歌う「フレンズ」か、「フレンズ」が歌う「レベッカ」か、なんて笑い話があったが、今となってはこれは全然軽度な話である。)
最近で訳がわからないのは、Do As Infinity、ちょっと前には、Say A Little Prayerなんてのもあって、これらは直訳すると、「こどものようにやってみよう」「小さな祈願者と言って」(?)となり、まるで意味不明である。曲のタイトルと間違われても文句は言えないと思う。あんまりグループ名が長いので、略して呼ばれてもよさそうだが、こういう英語構文だとどうしようもない。こうなると、仮にヒットが出てもそれ一発限りで、グループ名ともども記憶から消え去ってしまうのではないかと要らぬ心配をしてしまう。
息の長いミュージシャンになりたいという願いが本人達に、そして息の長いミュージシャンを世に出したいという想いが音楽業界にあるのであれば、たとえ意味不明なネーミングでも、短縮形にできるもの、加えて短縮形でそれなりにしっくりくるものを考えるべき、と思う。そういった経験則が仮にあるのであれば、必然的に納得のいくネーミングが増えてくると思うのだが、相変わらず手前勝手なネーミングが減らないのは残念だ。
ミスチル、ドリカム、マイラバあたりは、フルネームを想い起こせる人も多いだろう。ネーミングに妙があり、音楽に相応の普遍性があり、その融合がうまくいっている証拠なんだと思う。略して呼ばれるようになるのは、メジャー入りの証しというのはもっともだと思うが、それにはまず短縮できるネーミングがあってのことなので、普遍性ある音楽ができる人達は、名前にも普遍性を考えている、という法則も成り立ちそうだ。これに似たような短縮形ネーミングとして近年では、ジュディマリ(Judy & Marry)、ブリグリ(the Brilliant Green)、ヒスブル(Hysteric Blue)、サムエル(Something Else)、イエモン(the Yellow Monkey)などがある。どれも短縮形だけ聞くと何のこったかわからないネーミングだが、まぁ親しみは持てそうだ。これらは、言うなれば2つの語の頭をくっつけた例で、最もポピュラーな短縮方法と思われる。
よく考えると、古くからクリキン(クリスタルキング)、スタレビ(スターダスト・レビュー)、チャゲアス(CHAGE & ASKA)、スカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)、プリプリ(プリンセス・プリンセス)などがあるのだが、それほど数多く思い出せないことから、長いネーミングが増えてきたのはやはり最近のことなんだと思う。(余談だが、ピンキーとキラーズを「ピンキラ」、殿様キングスを「トノキン」、もんた&ブラザーズを「モンブラ」、ナイアガラトライアングルを「ナイトラ」なんて言うのは聞いたことないから、短縮できてもなじまない場合もある点、注意が必要だ。)
では、次の短縮形はどうだろう。「ドリフ」「サザン」「ラルク」... これらは、先頭だけを縮めたものだが、頭が3文字で言い切れる場合に用いられることが多いようだ。逆を言うと、ラルク・アン・シエルを「ラルシエ」とは誰も言わないから、2語の頭をつなげばいいと言う訳ではないのである。3文字で効率よく名前を覚えてもらえるという点では、先の2語合成の例よりはもしかすると優れているかも知れない。
もう一例。YMOは有名だが、ELT、SLT、TPD、TMN、TMR、と来ると、どれだけの方がフルネームを思い起こせるだろうか。それぞれ、Every Little Thing、SING LIKE TALKING、東京パフォーマンスドール、TMネットワーク、TM-Revolutionだが、これではまるで、世界の空港の短縮形みたいなものだ。実際に広く略称が通用している場合とファンの間だけで通称となっている場合とがあると思うが、ただ長いだけで覚えられない名前よりは余程いいように思う。(そう言えば、サザンはSASでも通用する。大物はいかようでも略され、浸透してしまう、ということだろうか。)
という訳で、ここんとこ新人を乱発ぎみの音楽界に疑問を投げかけつつ、ネーミングについて考察してみた。昔のバンド名やグループ名は明瞭明解なのが多かったなぁ、と思うものの、最近は誰でも好きな名前で出られるようになって、いろんな人からいろんなスタイルで支持されて、そんな多種多様かつ混沌とした世界の方が実は望ましいのかな、とも思う筆者である。(それにしても、ヒットチャートを見ていると、ネコの目状態でとても覚えきれるものではないですねぇ。)
蛇足ながら、「エレカシ」は「エレファントカシマシ」である。第59話で「赤羽」について書いたが、例の「アド街ック天国」の掲示板は瞬く間に、この「エレカシ」ネタで埋まってしまっていた。(ビックリ!) 何でも主なメンバーの出身が赤羽(リーダーは赤羽台団地)と言うことである。ファンの後押しもあって、番組の赤羽ベスト10では、エレカシは堂々10位にランクされていた。
さらに蛇足を書かせてもらうと、筆者予想と番組でのベスト11の対比は下記の通りとなった。6つ当たって、5つハズレである。(番組上位5位までは言い当てたから、まぁいい方かも知れない。)
筆者予想 → 番組での順位
- → 1.赤水門・青水門など荒川関係
これは大当たり! 番組で荒川知水資料館が出て来なかったのはちと不満。 - → 4.一番街(まるます家など名物店)
番組では、まるます家が単独扱いで4位だった。 - → × アピレ・ビビオ・イトーヨーカ堂
番外でちょっと紹介があった程度。ランク外とは予想外。 - → 2.すずらん通り
一番街とLa Laガーデン(スズラン通り)のセットで2位扱い。 - → 3.小山酒造(丸真正宗)
番組では堂々の3位。 - → △ 赤羽らーめん
満月が16位に入っただけ。他のラーメン店はランク外。 - → 9.カトリック教会
- → × 赤羽緑道公園~赤羽自然観察公園
- → × 消費者金融
- → × 星美学園・八幡神社
番組での6、7、8位は、ハリウッド(キャバレー)、平沢かまぼこ店、大竹麺機だった。意表を衝かれた感じである。 - → 5.カルビー
カルビーが5位! ちょっと意外だった。
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