第63話 ポイントカード(2000. 4.15)
カメラの量販店(今は家電や情報機器が主流だが)がしのぎを削る中で、登場したのが「ポイントカード」。買い物額に応じて、その何%かをポイントとして貯えて、次の買い物時に、その%分の金額を差し引き還元する、というのがその基本的な仕組みである。ヨドバシカメラが元祖で、その後、程なくビックカメラが、そしてしばらく静観していたが、さすがに放っておけなくなってか、随分経ってからさくらやが追随した、と記憶している。何かとこの手の量販店にお世話になることが多かった筆者は、ヨドバシ、ビックともにポイントカードが登場して比較的早くに作ったので、これまで(かれこれ10年近くになる!)に相当額のディスカウントを受けていると思うが、逆を言うとポイントカードに釣られていろいろ買ってしまったなぁ、という反省もある。上手く乗せられた訳である。
当初、ヨドバシは税込価格で10%、ビックは税別で10%、という設定だったため、ほぼ同じ価格のものを買う場合は間違いなくヨドバシ、というのがしばらく続いていた。しかし、ビックが創業20周年時にポイント率を13%にアップする一方、機を同じくしてヨドバシが税込を止め、税別になってしまってからはすっかり形勢が逆転し、加えて店舗展開の利便性(ヨドバシは渋谷・池袋にない!)もあって最近は専らビックカメラである。ポイントは双方10%で同じなのだが、一度離れるとなかなか戻らない、という客の論理を実践している筆者である。
さて、この両店のポイントカード、クレジットカードやキャッシュカードと同じ形状、かつ厚さだが、磁気のバーがなく、バーコードでデータの読み書きをするという、今だとやや旧式なスタイルである。レジでは必ず、「ポイントカードお持ちですか?」に始まり、「お貯めしてよろしいですか?」と来る。最初にカードを出しておかないといけない面倒さもさることながら、バーコードでいちいちピピッとやるのがどうにもかったるい。何よりこのやりとりに時間を食うのが難点である。「いえ、使います」と申告することが多い筆者だが、時々店員が間違えて「貯める」にされてしまう。漫然と貯める人が多いから、店員も機械的に処理してしまうのだろう。それを正そうものならさらに時間がかかるので厄介この上ない。ポイントがどれだけ貯まったか、どれだけ使ったかを知る術は、レジ処理後にタラタラ出てくるレシートでしか確認できないのも便利が良くない。(ビックなどは、領収証を兼ねて、ということでやたら大判のレシートが出てくるが、正直なところ用紙のムダ、という気がする。) 1年間使わないとポイントが失効してしまうのも小癪である。出た当初は画期的でも、さすがに10年も経つと陳腐化は免れず、ポイントとともにこうした不満もたまってくる。
そんなポイントカードに新しい方式が現われた。ファストフード最大手のMが出してきたポイントカードである。100円ごとに1ポイントのカウント(端数50円以上は1ポイントプラスなので、例えばモーニングメニュー378円の場合、4ポイント)で、15・35・65・100の4段階の通過ポイントでそれぞれ相応の特典が付くという設定である。支払額の何%かを次の機会に還元するのではなく、額をポイントで置き換えて、単純に積算していくだけなので、明朗である。(航空会社のマイレージプログラムと同じ?) この方式の秀逸な点は、
1)プリペイドカードのような形状で、薄くコンパクト。
2)カードそのものをレジに組み込まれた装置で読み書きするので、それなりにスピーディー。
そして特筆すべきは、
3)ポイントカードそのものに表示枠があり、いつ時点で、何ポイント積まれているかがすぐにわかること、
である。この表示方法、おそらく特許モノだと思うが、銀のコーティングに、白文字で消したり書いたりができるというもので、最初に手渡された時は仰天した。いったいどういう技術なんだか調べてみようと思っていたのだが... 何とあっさり、Mポイントカードは3月末日でおしまいになってしまったのである。実験的・限定的な取り組みとも思っていたが、ポイントカード導入店拡大中、などとPRしていた時期もあったから、やむない理由によるのだろう。おそらく利用者へのメットがM側がもくろむメリットより大きかった(ポイントが貯まるほど店は損になる?)ことが一因と思われる。入会日:99年3月20日、利用日の最後は、ほぼ1年後の今年3月21日、で止まっている。環境保護の観点からMはどうか、という向きはあるが、燃える・燃えない・飲み残し別のゴミ分別や、ムダ(作り捨て)を極小化した商品管理、タイムリーな商品提供は、他店より明らかに秀でていると思う。そんな自己弁護でMを利用する(ハンバーガーではなく、専らフィレオフィッシュだったが)ことが多かった筆者のポイントカードは、1年間で100ポイントを2周して、さらに70ポイントを超えるところまで来ていた。端数を切り捨てても、27,000円分も飲み食いしていたことになる。ポイントカードの魔力、と言えようか。
Mポイントカードを使えなくなった筆者は、ファストフードにいよいよ足が向かなくなってきた。実は同業のFキッチンでも同じようなカードを発行しているが、会費がかかるのと、それほど利用することがないので作っていない。(ファミリーレストランのJでも同様の無料のポイントカードがあるが、やはりハードルが高くなっている。) ベーカリーショップで、略称VDFというのがあるが、赤羽にあるこの店をたまたま利用したら、同じような趣向でポイントカードを始めていた。赤羽駅南口改札前にも近々新たにオープンするので、ひとまず発行してもらったが、こっちは本当に実験的試みらしく、使える店がほとんどない状態。(端数がきちんと累積される点、優れているが、半年使わないと失効してしまうのがマイナスポイント。)
ポイントカードは、確実に進化・発展しているようだが、くれぐれも使い過ぎないよう、適度なつきあい方を心がけたいところだ。何より作る際には、利便性は勿論、本当に使うかどうかを考えるようにしたいものだと思う。ポイントが貯まった時にもらえる景品やサービスについても要否が問われる。ついつい乗せられることがないよう心したい。VDFの場合、プレートやカップがもらえることになっているが、要らないものをせっせと引き換えるのも何なので、程々にしたいと考えている。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第63話 ポイントカード(2000. 4.15)
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://mt.chochoira.jp/mt-tb.cgi/66
コメントする