第74話 南北線、さらに南へ(2000.10. 1)
ちょうど3年前、「東京モノローグ」駆け出しの第2話まで溯るが、営団地下鉄南北線がその名に近づくべく、溜池山王まで延びた旨レポートした。その後、溜池山王からは、わりと素直?!に南に進み、先の9月26日、ついに目黒までつながり、東急目黒線(旧 目蒲線)との相互乗り入れが始まった! 筆者地元の赤羽岩淵から直行で、筆者の元職場のある武蔵小杉までが乗り換えなしで約1時間。遠回りだが、仮に勤務先が武蔵小杉のままだったら、このルートも悪くないと思うだろう。こんな23区の北のはずれ(!)でも、複数の通勤ルートが考えられる訳だから、都内の交通体系も様変わりしたものだとつくづく思う。
そして、やはり23区の北西に位置する西高島平からは都営三田線が南に向って走っているが、その名の通り三田どまりだったのが、今回同時に目黒まで延びて、武蔵小杉へ直行できるようになった。この効果は電機メーカーN社を例にとると、田町の本社ビルと武蔵小杉の事業場が1本で結ばれ、行き来がラクになるなど、軽視できないものがある。(これはN社に限らず、似たようなケースが多分にあることを意味する。武蔵中原に本社工場があるF社にしても、大手町の本社に行きやすくなっているはずだ。) これまで川崎市中原区あたりの皆さんは、港区や千代田区に出るのに、下手をすると南武線で川崎まで行って、東海道線や京浜東北線に乗り換えて、えらい遠回りと高くない運賃を強いられて、品川以北をめざしていた。これからは、東急目黒線と三田線・南北線が救ってくれる訳である。山手線内を縦貫して、城南方面を結ぶことの重要性を思う。南北線は北に向ってまだ延びる予定だが、南に向う分はひとまず完結したことになる。南北線の面目躍如といったところだろう。
さて今回も、新しくできた駅を紹介しながら、その特徴や気づいた点について記していきたいところなのだが、何せ新駅は六本木一丁目、麻布十番、白金高輪、白金台、目黒と5つある。一つ一つとりあげていくと、また延々と書き綴ってしまいそうなので、まずは、計画段階から思っていたことや、今回の延伸や直通に関しての感想、そして今後の見通しなどについて書いてみて、余力があったら、各駅についてかいつまんで書くことにしようと思う。
「駅名改称」
当初の計画では、東六本木、麻布、清正公前、白金台...だった。駅名はあくまで仮称であり、開業直前になって変わるケースは多々あるが、5駅中3駅も駅名が変わるのも珍しいと思う。特に「清正公前」は、小学生の頃見ていた鉄道計画からずっとその名前だったし、バス停も交差点もそうだったから、地元感情を考えてもここは(清く正しく?)清正公前だったはず。「白金高輪」は典型的な合成駅名だが、何だか一気に格が上がったような感じだし、近在の皆さんも当惑しているのではないだろうか。しかし、よくよく見ると、駅は清正公よりやや北に位置し、国道が離合する白金一丁目交差点の直下だったので、これが妥当な駅名のようだ。
「目黒駅のターミナルとしての重み」
目黒はこれまでJRは山手線のみ、そして東急目蒲線の乗り換えがあるだけのありふれた駅だった。今回、地下鉄2線が入ってきたことで、城南と城北の結節点とも言える一大ターミナルになったような印象だが、JRが相変わらず山手線のみ、ということで迫力に欠ける気がする。お隣の恵比寿は、日比谷線の乗り換えだけだが、埼京線が入って来ていることで重みも賑わいも一味違う。ここは早いとこ埼京線を延ばして、停車駅を設けるべきところだろう。(でも、埼京線が大崎から「りんかい線」とつながり、京葉線ともつながる頃には、川越から蘇我を結ぶ大動脈になる可能性がある訳だが、渋谷から先、恵比寿、目黒、五反田...と各駅停車になってしまうと、動脈としての位置づけ(というより、山手線の快速版としての意味)が弱くなってしまう。埼京線が目黒に停まるとなると、五反田も、は必至だろうから、いっそ渋谷の次は「大崎」とする埼京線快速列車を新たに設ける、というのも一案か。
「東急の動き」
今回の相互乗り入れに先んじて行われた東急の変わりようも目を見張るものがある。しかし線名が変わるのはわかるが、多摩川園が多摩川に、二子玉川園が二子玉川になるとは思わなかった。(いっそ「二子玉」でよかったのに?!) ともあれ、多摩川には東横線急行が停まるようになり、田園調布と武蔵小杉の間が複々線になったため、その部分だけやたら線が太くなったのがポイントである。(南北線・三田線の直通列車に加え、東横線も走るのだから、ダイヤが緊密になっているはず。) これだけテコ入れしたのなら、目黒線の急行運転や、東横線の有名無実な他の駅名(都立大学→中根、学芸大学→鷹番など)の改称もすればよかったのに、と思うが、これがなかなか難しいらしい。目黒線の急行運転は何となく話もあったようで、停車駅は、武蔵小杉、多摩川、田園調布、大岡山、武蔵小山、目黒と聞いていたが、どうやら立ち消えになってしまったらしい。
「異社同線」
白金高輪~目黒の3駅区間は、これまた東京の地下鉄では珍しい、営団線と都営線の相乗り(共用)である。(都営新宿線と半蔵門線は神保町と九段下の間、並行しているが、線路はあくまで別々(規格も異なる)である。) この区間内の料金はどうなることかと思ったが、安い方をとって、営団線初乗りの160円である。(つまり目黒~白金台、白金台~白金高輪、目黒~白金高輪はいずれも160円。) 乗る列車が都営三田線の車両であっても、都営初乗りの170円になることはない。ただし、目黒~三田を通しで乗る場合は、170円になる。(「160円+170円-乗り継ぎ割引」などということはない。ちなみにJRの場合、時間はかかるが目黒~田町は160円。)
「行先注意」
今、目黒駅上り線ホームにいたとする。西高島平行き、赤羽岩淵行きと書いてあるだけの列車が入ってきた時、確実に目的地(途中駅)に着く自信はお持ちになれるだろうか。何せ、白金高輪で分岐した後、南北線は西へ(麻布、六本木、赤坂、四ッ谷方面)、三田線は東へ(芝、日比谷、大手町、神保町方面)に向うが、文京区役所のある後楽園&春日駅で、両線は再び交差して、今度は南北線が東(駒込、王子方面)、三田線が西(巣鴨、板橋方面)に向うのである。路線図を眺めると、南北線・三田線はまるでDNAのように螺旋している訳だが、仮に線の色分けがなく白黒の路線図だったら、板橋に行く人が左側の南北線、王子に行く人が右側の三田線に誤って乗ってしまう可能性も否めない。白金高輪で乗り換えしないといけない場合も多いので、要注意である。西高島平行き、赤羽岩淵行きと書くだけでなく、路線バスのように経由駅も表示した方がいいだろう。
(はみだし情報:目黒以南から東京ドームや後楽園遊園地に向う人はどちらに乗ってもOKなのだが、安く行くなら、赤羽岩淵行きに乗るべし、である。190円 vs 260円。この違いは馬鹿にならない。)
「駅の間隔」
南北線の駅間隔は微妙なことが多い。どうせならここに駅があればいいものを、というヤツである。今回、麻布十番に駅ができたが、これは12月に開業する都営大江戸線の同駅と接続駅になる訳だから真っ当である。つまり「一の橋」はOK。しかし、そこから南へ続く、二の橋、三の橋、古川橋に当たる地点には、いずれも新駅ができなかった。次の白金高輪までは、乗車時間3分、営業キロ数1.3kmなので、微妙なところだが、永田町~溜池山王の0.7kmを考えると、三の橋あたりに駅があってもよかった気がする。ちなみに、麻布十番駅前のバス停は、「一の橋(麻布十番)」である。地下鉄の駅名には(一の橋)がつかないので、バスから地下鉄に乗り継ぐ場合はご用心。
「武蔵小杉から先は?」
東急目黒線はいずれ日吉まで延びる予定。そうなるとまず慶應大の学生はキャンパス間の行き来が便利になる。他校を含め、通学用ルートの多様化も進むだろう。その時は目黒線内の急行運転も実現するかも知れない。しかし、南北線の北が延びて、埼玉高速鉄道の浦和美園が終点になったとしても、南側の終点は日吉どまり。第2話で書いた、山下町(中華街)まで直行、というのはどうやらなさそうだ。
...なんてあれこれ書いているうちに案の定、字数が目いっぱいになってしまった。10月1日の都民の日。この日は東京都の施設や公園が入場無料になるので、まだ行ったことのない都立の庭園などを廻りながら、営団の一日乗車券を使って、南北線を中心に途中下車に励んでみた筆者である。六本木一丁目、麻布十番、白金高輪、白金台、目黒の5駅はひととおり乗り降りした訳だが、その各駅のレポートは今回は見送り、ということで、あしからず。(^^)
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