第75話 駅構内でのマナー(2000.10.15)
前回は第60話で、電車車内に限ってだが、マナーに反する例を論ってみた。今年10月14日に7年目となる鉄道の日を迎えたことでもあるし、今回は前回とりあげなかった駅構内での由々しき事例を書き連ねてみようと思う。第60話同様、ただ書き連ねるだけでは面白くないので、筆者独断でランク付けして紹介する。尚、筆者はここに書く範囲ではうしろめたいことは一切ないので少々強弁である。ご容赦いただきたく。(法に触れる行為や、いわゆる迷惑行為は書くまでもないので除外する。)
*首都圏のそれなりの鉄道ターミナル駅での場合を想定(洗面所等に関しては書くに忍びないので割愛する)。
まずは惜しくも次点となった行為から。
次.自動精算機や券売機でのタイムロス
これはスーパーやコンビニ、ファストフード店、各種施設のチケット売場等々、列を作って勘定する場面に共通して言えることだが、駅の自動精算機や自動券売機でも、自分の順番が来る前に予め財布やら、小銭などを用意しておかない人が案外多いことに気が付く。有人の窓口で切符を買ったり、精算したりが当たり前だったのは、そう遠い昔の話でもないので、有人対応に馴れたご年配の方々にとっては自動機そのものに対する抵抗もあるだろう。有人であっても予め用意しておくのが筋だとは思うが、何事につけ今よりもテンポがゆったりしていた時代にあっては、自分の順番が来てから財布を出すことに周囲も寛容だったから許されたのだろうと思う。
ともかく今では、複数の券売機で列ができている時、どこに並ぶかによって、えらい時間差がつくことがある。失礼ながら、できるだけ年配の方や不要領そうな人がいない列に並ぶようにしているが、若いサラリーマン風の人の後ろであっても、カード残額が足りなくて慌てて財布を取り出したりするもんだから、タイムロスが皆無ということは少ない。心して臨みたいものである。そもそも券売機も精算機も、切符・定期券・プリペイドカード類の入口、硬貨の入口、紙幣の入口の3通りがあって、出口もこれに対応して3通り、というのが多いから、複雑極まりなく、致し方ない面はある。お金やカードをいくら事前に用意したとしても、入れる順番から、出てくるものを捌く順番まできっちりこなさないと、どっちみちタイムロスは生じてしまうのである。
10.ベンチの占領
大きな駅であっても十分な数のベンチが置いてある訳でない。特にラッシュ時に乗客が多いところは、ホームの拡張工事以前に、ホーム上の設備を減らすのが早道になってしまうもんだから、ベンチも減る傾向にあるようだ。という訳で、席数が減った分、強硬派のご年配やご婦人方、足腰の弱った若者、お疲れ気味のサラリーマンらによるベンチの席取り合戦が一層激化しているように感じる。中にはカバンを放って席を確保し、隣りの喫煙コーナーで一服してから、悠々と戻ってくるような輩もいるし、先客が座りかけている手前で走って来て押しどかしてしまうような悪質なケースも時々目にする。周囲に立っている人が大勢いるのに平気で荷物でふさいでしまう女性客、例の厚底を思いっきり投げ出して笑いほうけているコギャル系など、座った後のマナーの悪さも目に余る。よく考えると、これは電車車内でも共通して言えることではある。
9.改札ブロック & 改札強行突破
切符やカードの残額不足で、自動改札を止めてしまう人を時々見かける。システム的に仕方ない面もあるが、特にラッシュ時にこれをやられると迷惑極まりない。ひっかかったら、ちゃんと引き下がって精算等する人はまだいいが、要精算切符をほったらかして、強行突破してしまう不届き者も結構目にする。有人改札なら係員がすぐ引き止めに行けるが、自動改札だと周囲の乗客が協力でもしない限り、易々と逃げられてしまう。これは自動化の負の側面と言えるだろう。ピコンピコン鳴ったまま、切符がひっかかっているとその通路がふさがれてしまい、改札効率が悪くなるので、筆者はその隣りを通って切符を抜いておくよう心がけているが、さすがに不心得者を取り押さえるまでは到らない。
ちなみに、私鉄・地下鉄については、14日から始まった「パスネット」を使えば、切符精算の手間が省けるから、この利用者が増えれば改札ブロックは減るものと思われる。(JRのイオカードとの互換性が持てればなおいいのだが。)
8.順番待ちが崩れる。
ホーム幅が狭く、十分な待列スペースを作れない場合、つまりハード面での制約があるとすると、なかなか徹底はされにくい。それでもちゃんと列を作って電車を待っている人はいる。その中を割り込んで、待列を崩すなど言語道断。どこに並んでいいのか本当にわからない人ならまだ許されようものだが、わからないフリをする無頼者も現に存在する。特に始発列車を待つ場合、席取り合戦が絡んでくるので、こういうタチが悪いのが紛れてくると事態は深刻である。筆者の前後でそういう不届き者がいた場合、乗車時に思い切り牽制するようにしているが、これも周囲との連係プレーがないと完全には阻止できないので悩ましいところである。
最近は4扉だ6扉だ、と車両のタイプによったり、「今度の発車」「次の発車」の順番によったり、待つ位置、列の配置が複雑なのに加え、最初は2列で並んで、列車が入ってきたら3列に並び直すなどとフォーメーションが多様化しているので、それがかえってマナー違反者に付け入りやすくしている観もある。
7.ゴミ散乱 + ゴミ無分別
ホーム上のゴミ問題は、車内以上に厄介である。これは、売店や自動販売機など売る方が充実しているのに反して、売った物品を回収するインフラが貧弱なために起こると言っていい。新聞や雑誌などは、専用の回収箱が出来た分、散乱しているのを見かけることは少なくなったように思うが、飲料缶・ビン・PETボトル、そしてタバコの吸い殻は何とかならないのだろうか。JRの場合、その他のゴミ、カン・ビン(・PETボトル)、新聞・雑誌の3つが受け口になっているが、消費量が増えている500ml PETボトルは、専用箱が独立していない、カン・ビンと受け口が共通になっている旨が明確でない、といったことから散乱し、それに追従してカンやビンも放ったらかしになっているような気がする。
「その他のゴミ」も、分別が明確でない故に「何でもあり」になってしまい、結果、分けるのが面倒な人は何でも入れてしまうようになり、もっと面倒な人は、そこらにポイ捨て、という行為を生むもとになっているのではないだろうか。駅で売られる可能性があり、かつゴミになりやすいと思われる物品は、ゴミの入口にその名称を全て列記しておいて、捨てる前にゴミについて認識かつ分別してもらった方がいいだろう。
そもそも発生を抑制する手だてがとられていないのが問題で、ゴミが出ないような売り方をするとか、いっそ販売量や販売ルートを縮小するなど、乗客に不便さを強いるような策があってもいいと思うのだが...
6.ホーム占領、集団圧力
電車車内に限らず、ホーム上でも同じ事態は頻発している。サッカーチーム、ハイカー集団はもとより、より嘆かわしいのは、ホーム上のそこここでたむろしている推定十代の輩奴である。そこでは彼等独自の世界が展開されていて、極めて排他的。ラッシュ時などで通行の障害になっていようと全くお構いなしである。ゴミ散乱の温床になっている他、携帯片手にわいわいやっている場合が多いから、電磁場の発生源でもある。これでタバコまで加わったら、その場はたちどころに都市公害を凝縮したような恰好になる。語弊があるかも知れないが、自分達の存在が希薄(裏返せば寂しい?)だからと言って、自身の健康を害してまでそんな暗闘をする必要があるのだろうか、と思う。
5.エスカレーター逆走
エスカレーターにまつわる話はそんなに上位で扱うものでもないと思うが、いわゆる左右の通行区分(片側待機・片側歩行)のマナーや、駆け下り・駆け上りの危険性などを指摘する以上に、衝撃的だった目撃例がある。さすがに誰も下りてこないのを確認した後でのことだったが、一人の十代少年がホーム上にいる少年グループのところめがけて、下りエスカレーターを逆走し出したのにはおったまげた。スーパーにある普通のエスカレーターで小学生くらいのこどもが何段かふざけて逆に走り上るのはたまに見かけるが、分別がつきそうな年頃の男子が、それなりの長さがあるエスカレーターを思い切り駆け上がっていくのだからたまったものではない。下りてくる人と衝突でもしたら、落下して大怪我である。度が過ぎるので5位とした。(筆者はこれを目撃した際、怒鳴りはしなかったが、注意はした。)
4.痰・唾
公共広告機構では「タン虫」として紹介されているが、マナーの悪い人は徹底して悪いもので、10、9、7位に登場しそうなオジサン連中は共通して、あたり構わず「カーッ、ペッ」をやる。自分でやっておきながら、他の輩が残した痰・唾を踏んづけたりすると、舌打ちしたり、不機嫌になって、追い討ちをかけるようにまた「カーッ、ペッ」。悪循環である。そんなオジサンが多いから、十代少年なんかもマネして「カーッ、ペッ」をやる訳だ。児童向けの道徳教育だか奉仕教育だかを説く以前に、大人のマナー教育が必要と痛感する次第である。
3.ガム
その瞬間の目撃例はあまりないが、吐き捨てたガムがホーム上にペッタンコになってこびりついているのはいくらでも見かけるし、ひどい時には、エレベーターのボタン部分、エスカレーターの手すり部分にくっついてたりもする。生乾きのものを踏んづけた時、あるいは手で触れてしまった時、それはマナーを守っている多くの乗客に対する当てつけ(挑戦状)のように感じることさえある。痰・唾、放縦喫煙の常習犯と同一の場合が多いようだ。
2.各種不注意、悪ふざけ
ホームの端、ぎりぎりのところをふざけながら歩いていて、線路に落ちてしまった奴。携帯での通話に夢中になって、電車が入って来ているのに、白線より外側を平気で歩いている奴。挙げ句の果ては、入って来ている電車に蹴りを入れたり、カバンをぶつけて遊んでいる奴。これらは不注意というより、度の過ぎた悪ふざけである。注意しようにも、結構唐突な場合が多いからどうしようもない。これまた十代の中高生に多い事例である。
1.放縦喫煙
ホーム上は完全禁煙にでもしない限り、まず根絶できないだろう。社会一般では分煙が進んで、喫煙する人は限られたスペースで、というのが当たり前なご時世で、どうして駅のホームでは守れない人が多いのか、と慨嘆しきりである。「終日禁煙」とか「おタバコは」なんて遠まわしかつ変に丁寧な駅アナウンスが放縦者を助長しているのではないだろうか。もっと決然たる言い回しで喚起してほしいものだと思う。きちんと喫煙スペースで吸っている人にも失礼極まりない。
喫煙所から離れたベンチで堂々と吹かす不貞者、階段を見下ろしながら、昇り降りする人に灰が降りかかる態で吸っている無礼者、禁煙ステッカーが大きく貼ってあるエスカレーター上で平気で煙や灰を撒き散らす愚者、などなど不届きな喫煙者は後を絶たない。自分の体を思いやれない人物が他人の健康を気遣える訳がない。筆者はそういう放縦喫煙(大抵の場合、吸い殻のポイ捨ても同時)を見かけると、加減しながらではあるが、睨み付けるようにしている。
気負って書いたら、またまた長文(60話に匹敵する4,500字超)になってしまった。これでも実は消化不良なのだが、今回はひとまずここで筆を措く。
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