第81話 水曜クリーンキップ2001(2001.1.15)
昨年に続き、ちょうどこの時期の水曜日に「荒川クリーンエイド2000年活動報告集」の打合せ等のため、昨年同様、都営新宿線 船堀方面(東小松川)に出かける用事ができた。「水曜クリーンキップ」は冬季期間限定(1〜3月)というのを第58話時点では知らなかったため、夏や秋の水曜日に一日乗車券を利用する機会があっても、空振り続きで涙を呑んでいた筆者のこと、これが使えるシーズンがやっとこさ一年ぶりに巡ってきた訳で、この日は朝からウキウキしていた。例によって渋谷駅東口の東京都交通局窓口で「水曜クリーンキップください」。ところが、バス路線の縮小・廃止に呼応して、これも合理化の一環か、窓口販売はなく「バス内でお求めを」とのこと。ただでさえPR不足(?)なのに、これではますますクリーンキップの主旨も効果も薄れてしまうのではなかろうか。ともかく職場をめざすべく、青山学院前まで乗るバス車内で不承不承買い求める。驚いたのは、運転士がブランクのカードを料金箱の妙なスロットに差し込むと、その日の日付が印字されて出てきたことである。なるほどこれなら使う日付を硬貨で削ったりする必要もないし、何よりブランクフォーマットなのでカードが期限切れにならない(=印字した期限が来て廃棄処分するムダが出ない)という点で感心した。磁気処理をしないただの紙(厚手の感熱紙)なので、改札を通る際、有人改札を通らなければならないが、大江戸線が開業して利便性が向上したのに、お値段は昨年同様の600円に抑えてあるから大したものである。本当なら値上げしたいところ、カードの素材そのものの価格を抑えることで回避したとすれば実にあっぱれ。利用者にとってはありがたい限りである。昨年使った時のような「水曜日は電車・バスを利用し、大気汚染防止にご協力を!」なんていう記載もなく、右図のような体裁で無味なものだが、よしとしよう。
この日は朝方、渋谷駅東口〜(渋88)〜青山学院前、でまず使い、仕事を終えた後は、青山学院前〜(再び渋88)〜六本木〜(大江戸線)〜森下〜(新宿線)〜船堀〜(新小21)〜東小松川小学校、でクリーンエイドの事務所に向い、今度はしっかり早めに抜けて、22時20分頃、東小松川小〜船堀駅の帰途でまたバスに乗り、船堀〜(新宿線)〜森下〜(大江戸線)〜新御徒町〜(徒歩)〜上野御徒町〜(大江戸線)〜本郷三丁目〜(徒歩)〜春日〜(三田線)〜新板橋、という経路で帰宅した。一日乗車券があるとすんなり帰らないのが筆者の習癖で、本来、森下〜春日は大江戸線で通しで行けるところ、駅間隔を考えて歩けそうなところがあるとこのようにわざわ下車して、中途の街並みや風情を検証するのであった。(この日は寒かったし、夜遅くて暗かったので、どんな風情を堪能できるんだか大いに怪しいものだが、いやいやなかなかでしたぜ。)
経路をもう一度復習しよう。昨年は船堀をめざすのに、まず(茶81)を使って九段下まで行ったが、この路線は大江戸線開業前日の12月11日を以って完全廃止。大江戸線に乗るには、この(茶81)で青山一丁目まで行く手もあったのだが、廃止では致し方ないので、骨董通りを通り、富士フイルム本社前で曲がり、西麻布を経由する(渋88)で六本木をめざした訳である。(茶81)よりはバスの乗車時間が短い分、時間的にはこっちの方が早そうだが、第58話でも紹介した「地下鉄は(階段を)上ったり下りたりで大変。バスの方が昇り降りがない分、楽ねぇ...」の重宝なバスがなくなってしまった OR 短縮してしまったことにより不便を強いられているお客さんも多いだろうと思う。ついでを言うと(渋88乙)の東京タワー行き、(渋88甲)の東京駅行きも廃止となった。つまりこの系統も「甲」「乙」が姿を消し、新橋駅行き(渋88)で統合されてしまったのである。いやはや。
さて、以下はこの日乗り降りした各駅のワンポイント感想である。まだ降り立ったことのない方は一つご参考まで。
エスカレータを降り継いで、さらに長いエスカレータを下る。かつて千代田線 新御茶ノ水駅のエスカレータの長さに度肝を抜かれたものだが、今はこの手のロングエスカレータは驚くに値しない。地下5Fほどの深さと聞くが、それとて「はぁそうですか」といった感じである。
単純に森下へ直行したのでは面白くないので、あまり降りそうにない駅で降りてみることにした。これまで鉄道空白地帯だったためか、乗降客が意外と多く驚いた。六本木があまりに深かったせいもあるが、ここはわりと浅い印象を受けた。ちなみに名所の勝鬨橋までは距離がありそうだ。
地上に出ると春日通りに出る。夜遅かったので閑散としていたが、なぜだか大江戸線絡みの道路工事が行われていた。(地下鉄開業と同時に道路もバッチリという訳にはいかないらしい...) さすがに主要道路だけあって、23時台でも路線バスが走っているのにはタマげた。ちなみに、当初の予定駅名は「元浅草」、バス停もかつては「元浅草××」。なんで新御徒町などという根拠希薄な駅名になったのかはナゾである。(春日通りと清洲橋通りが交差するあたりなので、京都市内風に駅名を付けると「清洲橋春日」とかになりそうだが、これじゃ訳がわかりませんね。)
とにかく東西に長い駅だなぁという印象である。というのも「←西 上野広小路(銀座線)〜御徒町(JR)〜仲御徒町(日比谷線) →東」の乗り換えをカバーする駅だからで、地下通路が長〜いからそう思う訳である。何せ、出口に書いてある範囲が、西は不忍池から東は昭和通りまであるんだから、その長さ推して知るべし、である。
丸ノ内線の本郷三丁目はとにかく浅い。しかし大江戸線の同駅は六本木にひけをとらず深い。地上に出てから考えてみたが、出口は坂の上、ホームは
丸ノ内線の下、だからである。全てエスカレータで結ばれているのでいいのだが、この乗り継ぎには骨が折れる。しかしそんな労を忘れさせてくれるかのように、地上出口からそのまま春日通りを通って、真砂坂を下るまでの小散策はなかなか良かった。特に真砂坂の上から
丸ノ内線の後楽園駅を見渡す光景は、坂の途中から線路が出てくる意外性(丸ノ内線が地下浅くを走っている証拠である。後楽園駅は地上2Fか3Fだし...)、そんな構図の不思議さ、そして駅の煌びやかさが重なって、筆者的には情趣を感じたのである。ちなみに真砂坂を下りたところにある春日の交差点も、大江戸線絡みの道路工事をやっていた。ちと興ざめであった。
これまでマメに乗り降りしていた(光が丘〜新宿の放射部は全駅乗降済み)ので、この日を以って大江戸線で乗っていない区間は変則的ながら、国立競技場前〜六本木、新御徒町〜上野御徒町、本郷三丁目〜新宿、となった。そして、都営線同志の乗換駅である大門、森下、蔵前、春日の4駅を除くと、筆者がまだ改札を通っていない大江戸線の駅は14となった。「水曜クリーンキップ」が使えるこの季節に、回を分けて乗り降りできればいいのだが、都合のつく水曜日、かつ、ついでの所用がないとなかなか実現できないのが泣き所である。特に牛込方面は、祖母の仕事の都合で幼少時によくついていった土地ゆえ、なじみがあるのだが、バス便しかなくなかなか足が向かなかった(これまで鉄道空白地域だった)だけに、早々に、そしてじっくり訪れてみたいというのがかねてからのささやかな願望である。(そう遠くないうちに、東新宿から飯田橋の間の乗り降りレポートをお伝えできればと思うのだが...) |