随筆「東京モノローグ2001」(11−12月期)
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第103話 頭上注意 / ■第102話 東京百景(V) / 第101話 東京百景(U) / 第100話 東京百景(T)

第103話 頭上注意(2001.12.15)

 今年最後の東京モノローグは、東京百景をそのまま引きずり、その続編というか、付録のような形で締めることとした。第100話で紹介した渋谷区の地図(千駄ヶ谷4〜神宮前1)に再度出てもらう。ずいぶん前に掲載予告した「頭の高さ」。実は頭上のバリアフリーについての考察であり、東京百景を終えたところで満を持しての掲載である。実例としてわかりやすいこともあり、通り慣れた明治通りを千駄ヶ谷5丁目交差点から竹下口交差点まで、自転車で往復して調べてみた。(詳細及び本文については、下図のオレンジ色の楕円をクリックしてご覧ください。)


千駄ヶ谷4
神宮前1

第102話 東京百景(V)(2001.12.1)

 今回で東京百景、完結です。全ての▲がクリックできます。どうぞお楽しみください。


 【但し書き】 【ご鑑賞にあたって】 【苦労話】 【まとめ

東京百景(新宿区以北)
東京百景(渋谷区以南)


 【まとめ】

 東京百景の取材をしてみて認識を新たにしたことがある。それは東京の原風景(もちろん人それぞれだが)はまだあちこちに残っているということ。しかし、せっかくの情趣もちょっとした無頼や無粋で壊れてしまう脆さを隣り合わせであることもわかった。電柱・電線や公共の建造物は致し方ないが、妙な広告宣伝媒体や景観を弁えない色や造形による暴力のようなものも随所に感じた。(故に写真に撮れなかったものは数知れず...) 東京はもともとその雑多さ、渾然さが東京らしさを形成しているといえなくはないが、それは地形の複雑さから来る必然的なものだった筈で、その雑然とした情緒や風情を人為的に歪めるようなことは許されるものなのだろうか、とふと考えてしまう。

 経済大国(?!)の首都だから、ということでは済まされない景観の破壊は、古き良き東京を愛する人、まして東京で生まれ育った、つまり東京を故郷とする人にとっては耐え難いものがあるような気がしてならない。

 仮に東京に何かを求めてやってきた(東京を故郷としない)人達が身勝手な自己実現のために、東京を蹂躪するようなことがあったとしたら、東京を故郷とする人は心穏やかでないだろう。ゴミのポイ捨て、美観の毀損、公共マナーの不遵守...そこがその人の郷里であったら、決して汚したりはしないと思うのである。東京を故郷としない人達は、その人の故郷が別にあるので東京では好き勝手、とは思いたくないが、そういう人が少なければ、東京の原風景はもっとたくさん残っていたかも知れない。
(もっとも、そうしたマイナス要素を含めてこそ「東京」と言えるのかも知れないが、雑多な中で風景が共存する、というのはもっと高次元な話だと思うのである。)

 戸山・余丁町を10月26日午後に探訪したが、第94話で予告した通り、これは幼少時の記憶の風景を発掘するためのものでもあった。祖母に連れられた場所はとうとう見当たらなかったが、
原風景の東京への憧憬はある程度満たすことはできた。それは富久町をはじめ、時間が止まったような場所(開発を免れたというべきか、抗ったというべきか)が部分的に残っていたためで、そしてそこに東京を故郷とする人の意地・誇りを感じることができたから、だと思われる。

 さて、ここに掲載した95の風景は、どれもたまたま通りがかった時の1シーンに過ぎない。他の季節、他の時間帯だとまた別の顔になるだろう、ということである。写真家ではないのでよくわからないが、色をどう表現するか、そしてこの町に相応しい配色はどれか、といったことも季節や時間を考えながら追求していくと、もっと素晴らしい景観が記録できるのだと思う。

 うまく撮れなかったところは再度チャレンジしつつ、引き続き本稿「東京モノローグ」で紹介していくつもりです。

...時間が止まったかのような静寂に包まれた時、そこにはあなただけの風景が広がっている筈です。皆さんもぜひ東京探訪してみてくださいね。

第100話 東京百景(T)(2001.11.1)
第101話 東京百景(U)(2001.11.15)

 読者の皆様に支えられ、本稿「東京モノローグ」、とうとう100回目の掲載を迎えることができました。まずはこれまでのご厚誼ご声援に深く感謝申し上げます。どうもありがとうございます!

 第94話で何となく予告したので、予想されていた方も多いと思いますが、100回目なので、100にちなんで筆者自薦の「東京百景」をお送りします。いわゆる名所・旧蹟の類ではなく、絶景奇景もありません。あくまで東京生まれの一人の人間としての郷愁や思い入れを込めたもので、叙情・情趣を感じさせるスポットの紹介といった感じになっています。(時にはトレンディスポットや単なる美観(主観的)もありますが)

 第100話は渋谷区、第101話は新宿区を中心にした拡大図からの紹介、第102話は拡大図の外にあるスポットをぐるっと紹介、と3話続けての特集を組みます。それぞれ概ね30ヶ所ずつの紹介です。通常の随筆モードに戻るのはちょっと先になりますが、逆を言えば「東京モノローグ」で扱いたかったのは、こうした東京巷の記録といったものでもあったので、100話にして原点回帰、と言えなくもありません。まぁ何はともあれ、どうぞごゆっくりご鑑賞ご探訪ください。


 【但し書き】 【ご鑑賞にあたって】 【苦労話

東京百景(新宿区以北)
東京百景(渋谷区以南)


 【但し書き】

  • 写真集レベルのものではないため、画質は良くありません(その代わり軽めなので、読み込むのにさほど時間はかからないと思います)し、必ずしも良好なアングルで撮れている訳でもありません(写真家じゃないもので...)。その雰囲気が多少なりともお伝えできれば、といった程度です。あしからず。(ちなみに全てアナログの使いきりカメラ&コンパクトカメラによる写真です。デジカメは使っていません。)

  • 当初は23区を遍く紹介できるようなものにしたかったのですが、一度撮り始めると、ここもそこも、といった状態になってしまい、集めてみれば筆者が自転車で動けた範囲にとどまってしまいました。という訳で、新宿<=>青山、恵比寿<=>田町の自転車通勤ルートを中心に、新宿区・渋谷区+その周辺、に絞った形での百景になります。(この調子で23区くまなく回ると、東京千景を超えるものと思われます。続編はまた100話後、になるかならぬか... 少なくとも地元(北区)&城北地区、故郷(世田谷区)&城南地区は扱わないといけませんね。)

  • 21世紀最初の年の東京「春から秋 風景コレクション」といった意味合いもあります。学生時代からコツコツと撮りだめしてきた写真も数多くあるのですが、2001年の記録として記憶としてとどめるために、ここ半年間に撮ったものに限らせてもらいました。また、ここに掲載した写真はほんの断片であり、ここには収めきれない趣や情感があること、そして断片以上にその界隈一帯が持つ情緒や安らぎがあること(それはとても写真には入れられません)、は付け加えておきたいと思います。

  • 自転車での移動とは言え、行動範囲や時間が限られていることから、撮影状況を十分に記録できなかった時もあります。そのため、撮影した角度や番地が実際とは異なる場合があり得ます。ご了承ください。

  • 画像を含め、著作権・版権は筆者に帰属します。転載・転用はご遠慮ください。

 【ご鑑賞にあたって】

  • まずは全体図から気になるエリアをクリックしてみてください。(拡大図の場合、第100話対象スポットは三角()、第101話対象スポットは三角()になります。全体図にすでに付いている三角()は第102話掲載時にリンクします。)

  • 第100話・第101話の枠をクリックすると、各エリア3つ分をまとめたページに飛びます。

  • ご覧になりたい三角()をクリックすると、各エリアごとのページに飛び、そのまま該当スポットに移ります。(コメントと画像が出てきます。最初は多少時間がかかります。)

  • 三角形は、底辺が被写体、頂点がカメラを構えた大体の位置です。画像は、頂点から底辺に向かって撮ったものになります。

  • 各画像の右下には、撮影した日付とカメラを構えた場所を番地レベルで載せています。(被写体の番地ではありません。)

  • 番号は撮影した順番になっています。(ただし、001〜004は7月21日に撮影。撮影順の先頭は005になります。)

  • あとは地図を参照しつつ、お好きなスポットを散策してみてください。3つのエリアをひととおり読み込めば、ある程度自在に動けるように設定してあります。(別のエリアに移る場合は、方面矢印(吹き出し)
    例:をクリックすれば移動します。)

 【苦労話】

【いざ撮ろうとすると難しいこと...】

  • 佇まいが良さそうでも、雑然としていて絵にならないことがある(ファインダーから見るのと、直接の視覚で見るのとでは違うのである)

  • 生活感が強すぎるものや美観を損なうようなものが入ってしまい、情緒を損ねてしまう(そこの風景としてどこまで許容できるか、である)

  • 個人宅のプライバシーを損ねるおそれがある場合は見送らざるを得ない。

  • 神社、寺院界隈はいい被写体が多いのだが、墓地墓苑が入ってしまうことが多いため、相当数見送った。

  • 狙った通りの位置に焦点がなかなか定まらない(このため後で見るとヘンテコな写真になっていることがある)

  • 人やクルマをやり過ごす必要があるので、結構時間を食ったりする(もちろん風景に溶け込むような構図ならいいのだが、人が目立ってしまうのも何なのでできるだけ避けるようにした)。人目を気にしながらの撮影も多かった。

  • 信号機が入る場合、できるだけ青色になるのを待つようにしているが、人の流れ・クルマの流れが途切れて、なおかつ青、というのは結構キビシイものがあった。

  • 主に自転車で移動しながらの撮影なので、つい見過ごしてしまったり、逆方向から見た場合との比較がおろそかになってしまったり(進行方向から目に入った風景を撮るので、実は逆に進んでいたらもっといい風景だった、なんてことも多いようで)、である。丹念にあらゆるスポット&あらゆる角度を押さえていくのは計り知れない作業である。


【撮影してみて気が付いたこと...】

  • 撮っている時はあまり気にならなかったが、やはり電信柱や電線の多いことと言ったら...せっかくの風景を損ねていることもよくわかった。

  • 濃い緑は美しいが、写真にすると黒っぽくなってしまい、それをさらにスキャンすると漆黒になってしまう。トホホ...

  • 撮ったはいいけど、撮った時と印象が変わってしまっていることも多い(その時の雰囲気をそのまま取り込むのは困難)

 という訳で、結構ボツになっているスポットもあれば、逆にムリヤリ掲載しているようなスポットもあります。とにかく100枚をちゃんとそろえるにはそれなりの枚数を撮っておく必要があることが今回わかりました。

 


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