随筆「東京モノローグ2002」(3−4月期)
index 次へ 随筆「東京モノローグ2002」(1−2月期) 第110話付録



第111話 111よもやま話 / 第110話 天気予報の対象都市 / 第109話 私鉄特急 / 第108話 社名表記〜小文字のア行・ヤ行...

第111話 111よもやま話(2002.4.15)


(2002.5.4、新岐阜から豊川稲荷へ向う、名鉄の急行列車車内に掲示してあるスピード表示を撮ったもの。私鉄の急行でこの速さは圧巻である。ちなみにこの時の最高速度は120km/hだった!)

 おかげ様で、東京モノローグ初の3桁の揃い数字、第111話を迎えることができました。記念号でもあるので、何かまた特集でも、と考えましたが、今回はズバリ「111」をテーマにすることにしました。思いつく限り調べてみたら、ざっと以下のような感じ。あまり実用性はないかも知れませんが、ひとつご参考まで。第53話の続きではありません。あしからず。)


【分類番号】

図書分類

111:形而上学、存在論、実体論(実存主義)
→図書館へ行っても、ふだんまずお目にかからないジャンル。

野鳥

111:ミヤコドリ科 ミヤコドリ

通信機器の表示用図記号

電源の部 111:マイナス(プラスは110)


【通し番号】

星団

Mel.111:星団が数多く見られる「かみのけ座」(乙女座の上)にある散開星団の一つ。

国道

111号:45号に変更されてしまい、欠番状態。

銀行

※百十一銀行は現存せず。


【郵便関係】

郵便番号

111−:台東区がエリア

郵便局番号

00111:世田谷明大前郵便局
→郵便貯金通帳の「取扱局」の番号。郵便局のATMで預入や払戻をすれば、記帳した時に印字される。

EMS(国際エクスプレスメール)が送れる国

111か国


【距離】

日本最西端の町 与那国町

台湾まで111km。
(那覇市から520km、石垣島からは127km)

関越自動車道

練馬IC〜赤城IC:111.2km
ハイウェイ ナビゲーターで調査

JRの特急停車駅間距離
(ピタリ値から近似値の順)

1.新潟〜あつみ温泉(羽越本線など:111.1km

2.甲府〜清水(身延線など):111.2km

3.秋田〜雫石(秋田新幹線)
  岡山〜生山(伯備線
など
  鳥取〜和田山(山陰本線
):111.3km

6.札幌〜登別(千歳線など):111.7km

7.新宿〜山梨市(中央本線)
  熊本〜三重町(豊肥本線
):111.9km

番外)城崎〜胡麻(山陰本線):110.9km

→JR時刻表4月号の特急列車ダイヤで調査
(ちなみに、東京〜日光は150kmちょうど、新潟〜柏崎は100kmちょうどである。)


【人の数】

JR東日本 平均乗車人員(2000年度)

111千人:神田駅(26位)

都市別人口(2000年10月)

111千人:国分寺市

カザフ族の人口

約111万人:中国には漢民族以外に55の少数民族があるそうだが、新疆ウイグル自治区中心に居住しているのがこのカザフ族。

ブルガリア共和国首都 ソフィア(Sofiya)の人口

111万人


【地理】

韓国 鎭海市の面積

111km2:釜山市近郊の沿海都市。読み方は不明。


【111億円】

W杯開催各自治体の予算案

サッカーのワールドカップ(W杯)国内10カ所の開催地の自治体(6県4市)が2002年度予算案に関連事業費として計111億円を計上、とのこと。
→共同通信社「W杯サッカー2002」より

平成14年度財務省所管「構造改革特別要求」施策 要求予定額

「世界最先端のIT国家の実現」用の577億円のうち、国際物流改革プラン<行政システムのシングルウィンドウ化等>〜【都市の再生−都市の魅力と国際競争力】」で111億円。

●雪印乳業

食中毒事件直後の2000年7月の売上高は、同76・7%減の111億円。(→参考

○明治乳業

上記と対照的に、明治乳業の2001年3月期 単独営業利益は、前期比22%増の111億円となる見込み。(→参考


【ホームページ】

実在するホームページ:
www.111.com/ www.111.co.jp/ www.111.ne.jp/ www.111.gr.jp/

実在不明なホームページ:
www.111.or.jp/ www.111.org/ www.111.net/


【その他】

エコマーク商品類型

No.111:「木材等を使用したボード」

大阪市交通局 地下鉄の駅数

111駅:南港ポートタウン線ニュートラム除く。

スカイパーフェクTV!

Ch.111:パーフェクトチョイス

 1月11日の記念日

塩の日、鏡開き、蔵開き...

11月 1日の記念日

計量記念日、灯台記念日、川の恵みの日、すしの日、紅茶の日、本格焼酎の日、泡盛の日、犬の日、生命保険の日...


...111をテーマにいろいろ調べてみたが、こうしたきっかけでもないとご縁がない情報が結構あることがよくわかった(まだまだネタがありそうだが)。情報源探しの意味でもいい勉強になったと思う。

 ちなみに、2002年1月1日から111日目は、来週4月22日に当たる。この日はご存じアースデイ(地球の日)。閏年以外は実は毎年111日目だったことに今回初めて気が付いてしまった。
(筆者は今では関わっていませんが、首都圏のアースデイイベントはこちらをご覧ください。→ アースデイ2002 コリア・ジャパン / EARTHDAY 2002 TOKYO

第110話 天気予報の対象都市(2002.4.1)

 地図大好き人間の筆者にとって、随分前から気になっていたものの一つに、テレビのお天気コーナーで出てくる日本地図と予報の対象となる都市の分布状況があった。今年に入ってから気を付けて見ていたが、さすがに各局番組を録画してまでどの都市の予報が出てくるか記録しようとは思わなかったので、3月23日の世界気象デーにちなんで、その前後にインターネットで探し回って、一覧化することにした。

 今回は情報源ミックス的な初の試みになるが、予報の対象となる都市がどの程度の人々のニーズにマッチしているかを対比させるべく、全国各地の自動車検査場の分布とその管轄に登録されている自動車の台数の一覧表をもとに、天気予報の都市分布を重ねてみた。
(都道府県名・都市名を一から書き綴るのが面倒だったこともあるが...)ここをクリック(重たい表なので、表示されるのに多少時間がかかります。) 天気予報で出てくる都市名は、その一都市のみを指すのでなく、おそらくはその周辺を含め、ある程度広域な予報になるよう設定しているのだと思う。しかし、その都市の周辺にどんな都市があるのか、大都市の間にはさまれたところはどっちの予報に従えばいいのか、など都市名とエリアを結びつけるのは何となくムリがあるように感じる。その点、この自動車のナンバープレートに出てくる「標板表示名」は管轄の地図(↓下図)と照合すれば、都市名とエリアが明確になるので、仮にこの標板表示と天気予報を結合できると、そこに住む人と予報の適合率がかなり良くなるだろうと思うのである。

*http://cgi.linkclub.or.jp/~kikuhide/number/map/m01.htmlより引用

 もちろん、新しく誕生した「とちぎ」などは、同県内の宇都宮とどうエリア分けされているのか瞬時に判断できない訳で、これと同じようなパターン(大阪となにわ(大阪市内)、湘南と相模など)も多いから、必ずしも理に適っていないかも知れない。しかしその地域に暮らす人なら、車を持っていてもいなくても、その土地のナンバープレートにはなじみがあるはずだから、この標板表示名で天気予報が流れれば、すぐに予報を認識できるだろうし、愛着もわくだろう。こうした分布はとかく大都市に偏りがちだが、郷土色のある地名(例:庄内、飛騨、筑豊)を用いて予報できれば、郷里への想いや誇りも増すものと思われる。そして何より天気予報を見るのが楽しみになるのではないか、と思うのである。

 日本のように地形が複雑で、土地土地で気象が異なる島国においては、特性が顕れやすい地域にもスポットを当て、距離的に均一な予報分布ができればいいと思う。しかし、テレビや新聞ではパッと見が勝負なので、細かいエリア設定をしていてはごちゃごちゃして、かえって見づらくなってしまうのがオチ。47ある都道府県に対し、実際はNHKの当日予報23カ所から毎日新聞の12カ所まで、極めて限定的な分布にせざるを得ない訳である。(ちなみに、管区気象台・地方気象台がある11カ所のうち、今回調べた13の天気予報サイト全てで扱われていたのは、札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、大阪、福岡、鹿児島、沖縄の9カ所だった。高松が外されやすい(高知にシフトされてしまう)のはわかるが、テレビ朝日が広島を外していたのは意外だった。かつてテレ朝系列の地方局が広島になかったことの名残だろうか?)

 MXTVの首都圏天気予報では、八王子や熊谷が出てくる。23区と多摩、埼玉県の北と南では天気(特に気温)が大きく違うのは当然である。今日の東京の最低気温は5℃と報じても、八王子に限って言えば−1℃だった、なんてことはざらである。寒気極まる季節に遠方から多摩方面に来る人に対してこれでは申し訳が立たないだろう。影響を受ける人の数が多い地域はできるだけ細かく、また、半島の突端に当たる都市、海峡が付近にある都市など、その県の大都市部とは明らかに違いそうなところもピンポイント的にカバーしてもいいと思うのだ。(ローカルなテレビや新聞では確かに細かく予報されるが、それらを要約して全国でも見れるようになれば、という話である。)

 という訳で、筆者流に全国的なバランスを考え、かつ自動車の標板表示エリアも活用しながら●を付けてみたのが、の最右の欄に示した69カ所である。テレビや新聞の一発全国地図には向かないが、瞬時一覧性をあまり考慮しなくていいインターネットの天気予報地図ではこれぐらいは掲載できるのではないだろうか。さらに参考までにその都市に限っての人口も併記してみたところ、対馬と小笠原を除く67都市で合計約4269万人になった。これは2000年10月当時の総人口の約33.6%をカバーする計算になる。実際はその都市を含む周辺エリアになるから、もっとカバーできると思うが、逆を言えば、10〜20カ所程度の「全国の天気」では、仮にその都市のみを対象にした設定だとすると、予報対象人口はかなり少なくなるだろう、と推定できてしまうのである。(もっとも、対象人口の数よりも予報そのものの精度の方が優先度は高いだろうが。) それにしても、こういう話題はいったいどこに持っていけばいいのやら...

第109話 私鉄特急(2002.3.15)

 第109話である。シャレのつもりではないのだが、今回はトッキュウがテーマである。(いっそ、東急に絞ってもよかったのだが、そこまで担ぐ気もないし...)

 第86話の文末で予告して以来、何だかんだで1年経ってしまった。久々の鉄道ネタだが、特急だ急行だ、という種別の話は実に第41話以来である。満を持しての話題だが、気負うとまた長くなってしまいそうなので、今回は首都圏の私鉄4社に限ることとする。


小田急

 小田急線はご存じ、ロマンスカーに代表される有料特急が走っているが、有料特急という割には、少なくとも新宿から成城学園前を越えるまでの23区内の間は何だかゆっくりなので損した気持ちになってしまうのが難点。ラッシュ時にも飄々と走っているもんだから、ロマンスカー通勤客にはいいけれど、普通の客には足止め要因と映るため、印象がよろしくない。代々木八幡から祖師谷大蔵に帰る人がいるとする。各駅停車しか乗れないだろうから、通過待避駅である東北沢と経堂でロマンスカーが走り去っていくのをじっと待つケースが生じる。高速で通過してくれればいいのだが、マッタリと走っていくので耐え難いだろうと思ってしまうのだ。(もっとも各駅停車はラッシュ時でもあまり混まないだろうから、それほど気にならないかも知れない。) それよりも、これが満員の急行電車で、向ヶ丘遊園に停車中の場合だったらどうだろう。これまたマッタリとロマンスカーが通過していくのである。乗客の心情は察するに余りある。

 特急が終点に着くまでの時間は確かに短縮されているのだが、都内では速度が落ちてしまうのは致し方ないのだろうか。...週末温泉特急を走らせて以来、小田急線は特急電車を花形看板にして、着実にブランドを確立していった。学園都市や高級住宅街の開発もあって、小田急人気は高まる一方だったが、沿線人口の急増に追いつかないまま、21世紀に入ってしまった観がある。ブランド先行で、本来の輸送サービスが後手に回ってしまったことは、今なお工事中の複々線工事(しかも係争中)に現われている。先見の明があった関西の私鉄各社などは、市街地を走る部分をかなり早い時機に複々線化し、沿線人口の増加(ラッシュの緩和)に先手を打っている。首都圏の私鉄で複々線化を達成しているのは東武伊勢崎線くらいで、あとは地下鉄との直通や新しい路線の分岐
(最近では東急目黒線の経路変更など(第74話))でしのいでいる状況である。小田急線も代々木上原からの千代田線分岐を計ったが、抜本的な解決にはならなかったようだ。複々線化の遅れ→スピード感のなさ・慢性的な混雑、によってせっかくのイメージが低下しているような気がしてならない。複々線化が求められてからの歳月が長いだけに、小田急線のこの遅れは他線に比べて特に深刻だと思う。

 複々線が早期にできていれば、急行も特急も、名の通りの然るべきスピードが出せていただろう。ブランドとサービスの両方をバランスよく向上させることの難しさを感じてしまうのであった。

 特急という名称は一つでもそのパターン(呼称)の豊富さは小田急ならでは。ただでさえ停車駅を間違えそうな優等列車が多いのに、3月23日のダイヤ改正では、「湘南急行」と称する快速急行、そして急行の新種「多摩急行」なるものがお目見えするそうな。湘南急行は、第41話で格上げ事例として紹介した中央林間と湘南台に停車し、従来からの既得権急行停車駅である南林間、長後は通過するということだ。既得権を保ちながら、現実的なニーズを満たす。快挙だが、苦肉の策ともとれる。新宿〜成城学園前の間はスピードダウンしてしまうんだろうけど。

 話は変わるが、かつての小田急人気を支えていた向ヶ丘遊園が75年の歴史を終え、3月いっぱいで閉園になってしまうとのこと、寂しい限りである。遊園地がなくなってしまうとなれば、行楽客向けに特急を停める必要もなくなるだろうから、ここんとこ特急停車駅を増やしていた傾向とは逆行する珍しいケースになりそうだ。
(これまではサポート号(旧さがみ号など)が停車) 筆者にとって向ヶ丘遊園は、幼少時に何回か行ったことと、ある時は向ヶ丘遊園駅にいながら、遊園地に行かず、わざわざ、→登戸−(南武線)→川崎−(東海道線)→横浜−(相鉄)→大和−(小田急)→向ヶ丘遊園のルートで小旅行をせがんだ、という想い出の場所である。(これは筆者5才頃のエピソード。この程度なら路線図を暗記していた訳である。)

 首都圏を走る有料特急のうち、遊園地などの人工行楽地に特急を停めているのは、よくよく調べたらこの向ヶ丘遊園の小田急程度だった。東武伊勢崎線は東武動物公園があるが特急は停まらないし、西武特急はとしまえんにも西武園にも行かない。多摩センターにはサンリオピューロランドがあって、小田急は特急が停まるが、別にレジャー客の便宜を図って停車する訳ではない。もともと遊園地と駅を結びつけて、行楽用に鉄道需要を盛り上げよう、というのはマイナーな発想だったのだろう。
(昔に溯れば、例えば京王閣、多摩川園、二子玉川園などはあったが、やはり鉄道需要とは無関係だったのだろうか?) だが、小田急は違った。鉄道需要と行楽を連結させていたのである。向ヶ丘遊園にロマンスカーが停まらなくなった時点で、小田急の特急の概念がまた変わる訳だ。(ちなみに小田急線には、読売ランド前駅もあるが、駅名に反してちっとも「前」でないせいか、ここは急行も停まらない。)


京王

 小田急が華やかだったのと対称的に、京王は地味な存在だったようだ。温泉や海水浴場がない分、明らかに不利だった訳で、加えて、京王新宿駅が伊勢丹の方にあった頃の市電の延長のようなイメージがなかなか抜けなかったそうである(その筋の本にそう記されている)。しかし、高尾へのハイキング客を開拓したあたりから、特急も走り出し、競馬場や動物園を足がかりに着実に客層を広げていったようである。イメージアップのスピードが緩やかだったせいか、沿線人口の増え方も安定的だったのだろう。じっくり輸送サービスの向上に取り組むことができた成果が現われていると思う。京王特急は無料な上、とにかく速い。沿線のイメージは小田急ほどではないかも知れないが、この「特急らしい特急」は魅力だし、複々線化をせずにラッシュ緩和(しかも運賃値下げも)を成し遂げた力量は立派なブランドであり、ステイタスにつながると思う。小田急よりも京王の方が好感が持てる筆者である。

 もうすぐデビューして1年になる準特急もなかなかイイ味を出している。通常なら急行の格上は快速急行になるところだが、日本初の呼称「準特急」としたところに、京王線のこだわりを感じる。特急の速さが京王線の売りだから、その特急イメージを持ってもらえば「速くて快適だからぜひ利用しよう」となり、固定客が得られるということなんだろう。明大前から分倍河原に行く用事があった時に乗車したが、実に心地よかった。


東急

 東横線を使って通勤していた頃、渋谷〜自由が丘の間を1駅飛びの等間隔で停まる「急行」のテンポがどうもしっくり来なかった。距離は短いかも知れないが、走る・停まるの回数が多いのは罪なもので、扉の開閉音や発車の合図にいちいち反応してしまうのが嫌で仕方なかったのである。渋谷を出たら、自由が丘・武蔵小杉・菊名・横浜だけ停まる快速急行とかがあればいいのに、なんて思っていたら、東横線通勤を終えて2年余り経って、2001年3月28日、東横線に特急がデビューしてしまった。筆者が考えていたのと停車駅が全く同じだったので喜々としたものだ。「東京モノローグ」ゆえ、横浜ネタが出てこないので、特急乗車レポートも載せる機会がなかったが、この1年、東横線に乗る用事がある時は必ず特急、という贔屓ぶりである。特急と言っても、全体的には小田急線よりも緩慢な走りっぷりだし、時間的にも急行と大差ないのだが、やはり扉の開閉等、音が減ることによる快適感は代え難い。JRの湘南新宿ラインへの先行対抗策だったようだが、利用客の棲み分けもできているようだし、上々だと思う。(ちなみに、渋谷〜横浜で比較すると、時間は27分で同じ。運賃は、湘南新宿:380円 × 東横特急:260円になる。) 横浜から「みなとみらい線」への乗り入れが始まると特急停車駅がどうなるのかがポイントだが、横浜からいきなり元町までノンストップということは考えにくいし、おそらく各駅停車になってしまうものと予想される。

 東急もう一つの長距離路線である田園都市線にも特急が走ってて良さそうだが、終点の中央林間が都市中心部でないのがネック。中央林間が大和くらいの駅だったらあり得るかも知れない。渋谷からの停車駅は、二子玉川、溝の口、あざみ野(または青葉台)、長津田、中央林間といったところか。


京浜急行

 特急の上の列車が無料で乗れるのは京急をおいて他にない。快速特急(快特)という呼び名は実に響きがよく、その速さを想い起こすのに相応しいと思う。小学校低学年の頃、油壷へ家族で旅行した際、品川から三崎口まで初めて乗った快速特急には本当に感動した。(目的地である城ガ島大橋とか海岸とかは二の次だった。) 当時、私鉄特急でなじみがあったのは、まだ小田急線と東武東上線くらいだった筆者にとって、この快速特急の異常な速さは身の毛がよだつ体験だった。蒲田あたりをビュービュー(実際に聞こえた)鳴らしながら走る様、その時の流れるような車窓の光景、実によく憶えている。乗車する時に、指定券だか特急券だかを買っていたように記憶しているのだが、どの本を見ても快特は昔から無料?のようである。(改札を入ってから別の窓口で買っていたのは何だったんだろう。) その日の帰りは、惜しくも快特を逃してしまい、次の「単なる特急」に乗ったが、このあまりの遅さ(停車駅の多さ)に子どもながらガッカリしたのもついでに憶えている。

 という訳で、首都圏私鉄の無料特急で誇るべきはこの京急快特だろう。快特の存在が京急のイメージアップにつながっていることは言うまでもないし、快特ファンはきっと大勢いると思う。しかし、私鉄の哀しいところは、JRの種別との名称格差が大きいこと。品川〜横浜の競合区間をJRと京急で比較すると、

京浜東北線(各駅停車)

大井町 大森 蒲田 川崎 鶴見 新子安 東神奈川

京急(特急)

青物横丁 平和島 蒲田 川崎 神奈川新町

東海道線(普通)

品川 川崎 横浜

京急(快特)

品川 蒲田 川崎 横浜

 となり、快特と言っても、JRに置き換えるとなんと普通と同じ停車駅になってしまうのである。もっとも、蒲田から先は、京急も普通、特急、快特の3つの種別しかないので、格差が大きいというよりも、京急の種別が極端になってしまっただけとも言える。(係長の上がいきなり部長みたいなものである。) 快特のイメージで成り立っている面が大きいから容易に呼称を変えられないのはわかるが、現在の品川〜羽田空港を結ぶ急行は「空港快速」にして、特急は急行、快特は特急、そして通勤用のウィング号を「快特ウィング号」にすれば、蒲田以南の種別も、普通、急行、特急になり、しっくり来ると思うのだが、どうだろう?

 さてさて、結局長文になってしまったが、いささか消化不良である。今度は首都圏私鉄に限らず、特急電車のあるべき姿・然るべき停車駅などについて考えてみようと思う。

  • おまけ

・種別が一番多い

 西武池袋線:各駅から特急まで10種類

・行先によって呼称が変わる

 能勢電鉄:日出エクスプレス、妙見急行 など

・各駅の上がいきなり特急

 山陽電鉄:各駅、S特急、特急、直通特急の4種類

・快速といっても侮れない

 東武伊勢崎線:北千住の次は春日部まで停まらない!(17駅 約28km通過)

・なじみが薄い呼称(京王線 準特急以外)

 近鉄名古屋線・大阪線:区間快速急行
 山陽電鉄:S特急
 神戸電鉄:特快速

第108話 社名表記(2002.3.1)

 今年に入ってからいきおい長文が続いていたので、今度こそ息抜きモノローグ。(^^)

 社名の表記が特殊な会社が結構ある。おそらく歴史が古いために、カタカナ表記ながら小文字のア行・ヤ行の拗音や「ッ」などの促音の表記が通用する前に創業したために、そのままの表記になっているのだろう。実際の読み方と表記が異なるようになって随分経っている訳である。伝統や歴史を知らしめる上でこれほどわかりやすい表記はないが、読み方通りに表記してしまう人も当然多い訳で、それをその社の人から「正式表記はこうこうです。正してください。」などと言われるのも心外ではある。社名を間違えないよう注意するに越したことはないが、どう考えても分が悪いケースもあるのだ。その社の製品を扱う人ならともかく、そうでない人にとって、例えば「キヤノン」のヤ、「富士フイルム」のイ、は意表を衝かれることだろう。

 試しに東証一部上場企業で、小文字のア行・ヤ行を含め、表記が特殊(読み方通りでない)と思われるものを拾ってみたら、こんなにあった。(コード順)

社名

コード

業種

セキハウス工業株式会社

1917

建設業

ーピー株式会社

2809

食品

日本フルト株式会社

3512

繊維

富士写真フルム株式会社

4901

化学

株式会社ノリタケカンパニーリミテド

5331

窯業

三和シッター工業株式会社

5929

金属製品

文化シッター株式会社

5930

金属製品

東洋シッター株式会社

5936

金属製品

日本フルコン株式会社

5942

金属製品

株式会社椿本チイン

6371

機械

ノンアプテックス株式会社

6421

機械

日本コロビア株式会社

6791

電気機器

ノン電子株式会社

7739

電気機器

ノン株式会社

7751

電気機器

小松ウール工業株式会社

7949

その他製品

サンウーブ工業株式会社

7993

その他製品

ノン販売株式会社

8060

商業

株式会社ゴールドウ

8111

繊維

ノンシステムアンドサポート株式会社

8295

商業

日本空港ビルデング株式会社

9706

サービス

*こんなことを調べるのは筆者くらいと思いきや、同じような事例をちゃんと調べているサイトがあった!

 http://www.kabutocho.co.jp/backup/2000/09/20/topix.html の中の「表記がやや特殊なもの」に上記と同じ例が書いてある。ちなみに、シャッターの業界団体も「日本シヤッター工業会」だそうだ。(なぜシヤツターじゃないのかは不明...)

 筆者がこれ以外で知るところでは、エアコンを作っている「東芝キリア」、スタンプや印章メーカーとして名高い「シチハタ」、ビヤレストランでおなじみの「ニユートーキヨー
(ニューとキョーの両方だから強力!)がある。名は体を表す、というから何はともあれ社名を書く時は失礼のないよう心したい。

 こうした特殊な表記が気になりだして、何となく家電量販店などで調べてきたことがあった。(調べ直していたので、本稿の掲載が遅くなりました。) つまり、商品のタグやPOP等での社名表記がどれだけ忠実か、という調査である。促音、拗音の表記を中心に調べていたので、社名そのものの誤記まではかえって気が付かなかったが、概ねの状況は以下のようになった。

○田町のピアタにある(本店は新橋)は、丁寧なことに各社のCI(ロゴマーク)をそのまま表示していた。ロゴのままだと読みにくいメーカーもあるが、一番無難なところである。

×渋谷東口Bカメラは、案の定というか、以下のような状況だった。

  • プリンタ、デジカメ、ビデオカメラ:キヤノン
    カメラの一部:キャノン

  • AV機器:DENON、デンオン、デノンが混在(正しい読み方を店員がわかっていない例?)

  • デジカメ:フジフィルム
    ビデオテープ:フジ

  • テレビ:サムソン、サムソンが混在

 安いのはいいのだが、表記がこんな感じだと商品知識の方も期待できない、と思われても仕方ないかも。(それともこれをちゃんとやろうとすると安くなくなってしまうとか?)

◎新宿西口Yカメラは、カタカナ表記でもバッチリだった。どの商品を見ても、Bカメラのようなことはなかった。ちなみに、DENONは全て「デノン」になっていたが、「デンオン」でなじんでいただけに不思議な気がした。(正解は、http://denon.jp/にて)

△新宿南口B電器は、新たに進出してきた割にはイマ一歩で、

  • プリンタ:キヤノン
    デジカメ:キャノン

  • AV機器:DENON、デンオンが混在

  • ビデオテープ:FUJI

 といった感じ。カナで表記できるメーカー名に対して、英字表記も併記するなど配慮はされているが、表記が乱立してしまい、わずらわしい印象を受ける。

○お日さまのマークでおなじみのは、CI(ロゴマーク)を使えるところはそれを使い、補足的に通常のカナ表記を用いているようだ。ただし、表記欄の幅が狭く、ロゴマークだと読み取りにくいのが難点(全体的にメーカー名が見にくい状態)。要注意記載はそれぞれ、DENON、キヤノン、FUJIだった。

 こうした表示の仕方で、そのお店のクオリティがわかってしまうとするなら、心して表記してもらう必要があるだろう。また売れ筋の商品かどうかで、店員の注意や関心が左右されてしまうとするなら、社名表記はやはり店内で統一的に管理するようにした方がいいだろう。売れ行きが良ければ、客の目も注がれるから、その分表示もきちんとなるのかも知れないが、はじめからきちんとしておくのが販売店としての筋だと思う。商品本体の表示の仕方が食肉加工品をはじめとして取り沙汰されている折り、食品に限らず、店頭での商品(本体以外の)表記もこの際正す必要がありそうだ。(機会があれば、今度は商品ジャンルごとにマトリクス的に調べてみようと思う。どの店がどの表記か一目瞭然にしよう、という訳だ。)

 そうそう、AV機器メーカーの「オンキヨー」は調査中、誤記に気が付かなかった。確かどこも「オンキョー」だったようである。


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