第450話 耳障り七選(2016.6.1)
日々の暮らしにおいて、物音や音声に接するのは不可避かつ不可欠。それらは自然発生的なものもあれば、そうでないものも多々あり、その意図的に発せられる中には、決して快く思うことができない例が少なくない。
今回の「べからず」は、特に店や街中で「何とかならないか」と思う音の類。今のままだと耳障りだが、設定を変えるなどすれば済みそうなものを七つ紹介する。
*単なる騒音や雑音、一時的・一過性のもの(選挙カー、街宣車など)は除く。
7.繰り返し自動アナウンス
何につけ、同じフレーズが繰り返されて流れるのは、あまりいい気がしないもの。その場限りならいいが、日常的にその場を通ったり、とどまったりする場合でのそれは、回を重ねるごとに煩わしく思えてくる。一例として、JR水道橋駅の自動アナウンスがある。
東に向かう総武線の各駅停車が入ってくる際、単に入線を知らせるだけでいいところ、ご丁寧に「東京方面は御茶ノ水駅でお乗り換えです」というのが加わる。これが一度ならどうということはないのだが、なぜか二度流れるのである。過剰アナウンス=耳障りだと思う。
← その自動放送は、このスピーカーから(@水道橋駅2番線)
6.厨房設備
飲食店に入ると、時にとんでもない音を立てる設備を使っているケースに遭遇する。ランチパスポートに載っている小川町の某ラーメン店では、麺を茹で上げるためか何かの設備が物凄い音を延々と立てていて、気分的にすっかりノビてしまった(麺ともども)経験がある。一人で切り盛りしている感じの店なので、省力化するために入れているのだと思うが、あれはちょっと...(客として、一応申し入れはしたが、音が止むことはなかった。)
5.発音が強力な英語の録音放送(秋葉原駅)
外国人旅行客が多いためか、JR秋葉原駅構内では、女性スタッフによる英語のアナウンス(録音)が時々かかる。導入したての頃は大して気にならなかったのだが、何度か耳にするうちに、どうにも聞き苦しくなってきて、そのくだりになると耳を塞ぎたくなること多々。終盤に乗り換えの案内が入るのだが、“・・・or TSUKUBA Express・・・”の「or」の発音が良過ぎて、どうにも耳障りなのである。「r」の独特の発音を意識する余り、そこが強調されているのが聞き苦しさの一因。ネイティブversionだとどう聞こえるのか、気になるところである。
4.宣伝カー
求人情報か何かの宣伝カーというのが通ることがあり、その宣伝用の楽曲が何とも言えない出来で、閉口、いや「閉耳」状態に。印象付ける上ではいいのかも知れないが、正直逆効果だと思った。
これと似たようなものとして、移動販売カーがある。そのクルマが来たことを知らしめるため、「ありがち」な曲とともに登場し、しばらくそこにとどまる訳だが、これがどうにもいただけない。曲のチョイスに問題がある場合が多く、やはり逆効果だと感じる。
3.店頭呼び込み
赤羽のエキナカなどで、期間限定で出てくる店というのが時々ある。で、某ネットショップでランキング1位とか何とかという触れ込みとともに、なぜかやたら声高に呼び込みをかける。
期間限定なのでまだ我慢できるが、そこを通らざるを得ない時は迷惑この上ない。ランキング上位であれば、そこまでアピールしなくても客は来るだろうに、と思う。
他に店頭が騒々しい例としては、ケータイショップ(特に非直営系)がある。
2.駐車場出入り音・音声
街中の駐車場の中には、出入口にセンサーとスピーカーがあって、入庫と出庫の際に、警告音が鳴ったり、自動音声が繰り返されたりというものがある。だいたいどれも騒々しく、耳を覆いたくなるのが常。最も悩ましいのは、センサーの不具合か設定ミスかで、クルマが通ってもいないのに、自動音声が連呼されるパターンだろう。
清掃スタッフが台車を押して通行する度に反応し、周囲の歩行者に余計な気を遣わせる例がある。明治大学の地下駐車場(→参考)である。台車=クルマと考えれば、間違いではないのだが、驚くべきことに人が通るだけ、あるいは誰も通っていなくても反応&作動することが最近になってわかった。そのフレーズは、「クルマが通ります。ご注意ください。」・・・これが自動かつ、短い間隔で繰り返される。目に余る、いや「耳に余る」事態である。(いずれ、ここに一筆送ってみようとと思っている。)
出庫時の様子。こういう時に音や音声が出るのは別に構わない。(リバティタワー駐車場) |
こちらは、アカデミーコモン駐車場。この写真を撮る直前まで、延々と「クルマが通ります。ご注意ください。」が流れていた。この通り、何も通っていないし、何も見ていない。 |
1.店内BGM
ここまでの六つの例は、日常的に接するものではあっても、その時間が比較的短い、またはその場から離れることが容易な分、程度としては軽い。重いのは、その音と一定時間対峙しないといけない場合。その代表例がお店でかかるBGMなどである。(17年前に記した第42話とあまり状況が変わっていないところがまた何とも...)
以下、パターン別に列挙する。
7.割り込み宣伝
いい曲がかかっていて、耳を傾けていると、そのチェーン店独自の広報番組か何かが不意に割り込んできて、曲を中断し、気分をそがれることがある。店内のアナウンスなら致し方ないと思うが、その店の宣伝を番組風に仕立てたものをわざわざぶつけてくるというのは、いかがなものだろう。客に対してもだが、楽曲やアーティストに対して、こんな失礼な話はないと思う。(第225話の7.に類似)
6.演歌
最近はどうなっているか不明だが、富士そばではどの店に行っても、店内で流れているのは演歌。明るい曲ならまだしも、いわゆる怨歌の類が流れてきた時にはそりゃあもう、である。
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御茶ノ水の富士そばは、下倉楽器のお隣。「楽器街」の中にある店であれば、多少は違う路線でもいいように思うが... |
5.B級系
聞くに足らない楽曲というのが世の中には一定数存在し、それを平気で流す店というのもまた一定の数存在する。飲食店でこのパターンに遭遇した場合は、今は耳栓でしのぐことにしている。(一時期は、携帯音楽プレーヤーで好きな曲を聴くようにしていたが、その曲のイメージがそうした類の店の雰囲気で上書きされてしまう懸念があり、やめた。)
4.上品とは言えないラジオ番組
AMならまだしも、FMにもかかわらず、どうにも品がないというか取るに足らない番組というのがあって、それを流す店にあたることがある。地元のカット専門店がそのパターンで、待っている間、カットしてもらっている間、その馬鹿馬鹿しいトークetc.に付き合わされる。カット自体は大変上手なので、決して行かないということはないのだが、そのFMさえなければ(=その番組もついでにカットしてもらえれば...)というのが正直な気持ちだ。次は、来店する時間帯を変えてみようと思う。
3.子どもの歌
「さかな・さかな・さかな〜♪」のサビで有名な「おさかな天国」に負けじと、肉や野菜や惣菜などのPRソングが相次いで出てきて、スーパーなどを賑わした時期があった。今なお、そうした後発の曲が店内のCDラジカセから流れる店があり、苦笑させられることがある。苦し紛れとも思えるのがコロッケの曲で、いわゆる「歌のお姉さん」だけが歌っていればいいものを、男の子、女の子、さらに謎のテノールが歌に加わるものだから、その耳障りなことと言ったらない。子どもを使えば何とかなる的な発想がまた浅ましく、兎にも角にも聞くに堪えない。
子どもがメインボーカルの曲も、あまりいいと思えない。(キーが高くキンキンすることと、音程が一部不安定なのが原因と考えられる。) 「まあるいおなかをポンツーポンツー」と叫ぶように歌う「ポンタのうた」は、特に苦手である。ローソンストア100で、これが流れ出したら、まずは退散するようにしている。
2.ノイズ音楽
音階を伴わず、電子的または雑音的なもので構成され、ボーカルと思しきものが入っていても、不気味かつ意味不明・・・世の中にはそんな音楽(と呼べるのかは疑問)がある。その手の曲を流す店というのは、幸い筆者とは無縁のことが多いので、そうそう耳にする機会がないのが救い。
1.大音量
できて間もない店でよく出くわすのが、必要以上にボリュームを上げてBGMを流すケース。本来なら心地よい筈の音楽も、その大きさを誤ると雑音でしかなくなってしまうのだが、どうもその辺りがわからない店員が多いようだ。複数人数で飲食店に入れば、そこは会食の場になる。そのBGM(またはbackground Noise)のせいで、会話が成り立たなくなることもあり、それで評判を落とす可能性は大。早々に客離れを起こさないためにも、BGMには重々留意してほしいものだと思う。
筆者は、神保町界隈で少なくとも2店、オープンから間もない時期に大音量BGMにしてやられた経験がある。いずれも店員に申し出て、多少控えめにしてもらったが、その後は足が向かない。
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屋外の飲食スペース向けにもBGMをかけ、結構ガンガンやっちゃうのがこの店の悪いところ。この写真の時は、まぁまぁ抑えていたが、以前はひどかった。 |
もちろん、優れた音楽を適正音量で流してくれる店もある。いずれも居心地が良く、気分よく飲食なり、買い物なりができる。有線放送の「D−04」あたりを流す店は、センスのいい店だと思う。
という訳で、今回の「べからず集」は、耳障り関係。書いているうちに、音や曲が思い出されてきて、悶々としてきたのでこの辺で。イイ曲を聴いて、「お耳直し」しようと思う。
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