第120話 映画館での「べからず集」(2002.9.1)
これまで映画に関する話題は、第79話で少々触れた程度。つまり、映画に関しては音楽ほど思い入れがない、ということでもある。最近はさすがにアメリカの商業主義的・ご都合主義的な映画に辟易としてきて、いわゆるハリウッド系の売れ線の映画には足を運ばなくなってきたので、以前に比べると映画離れが進んだような...といった感じ。
加えて、映画ならではの大画面で観るのに適したもの(特撮、映像美、ファンタジー系)にしよう、という考えが出てきたこともあって、観に行く作品が益々限られてしまいそう、である。
逆に観に行こうと決めていたにもかかわらず、映画サービスデー(1月と12月以外は毎月第一水曜日(都内の場合))に所用が入ってしまったり、チケットショップでお目当ての券がなかなか見つからなかったり、といった理由で断念することもある。(そもそも定価の1800円で見に行くつもりがさらさらないのが原因だが。)
割り込みメモ)
行き損なった映画だが、近作から遡っていくと、「ニューヨークの恋人」「マジェスティック」「E.T.(復刻版)」「シュレック」「ショコラ」「ジャンヌダルク」「スペース・カウボーイ」「キャスト・アウェイ」といったところ。いずれも、同じような時期に観たい映画が重なり、映画サービスデーで回り切れなかったのが原因だったりする。(余談だが、「ショコラ」は第104話で記した旅行で、エールフランス便の機内映画で観る機会があったのだが、上映プログラム案内が杜撰だったものだから、何時から投影されるのかわからず、結局見損なってしまった、という曰くつき。) |
それでも北区唯一の映画館、王子シネマ&王子100人劇場の招待券が定期的に入手できるようになって、またその王子がそれなりのクラスの映画を持ってくるもんだから、何だかんだで観に行く頻度はあまり落ちていなかったりする。(我ながらビックリ!)
今年観た映画は、「ハリー・ポッター」に始まって、「ビューティフル・マインド」「ロード・オブ・ザ・リング」「モンスターズ・インク」「名探偵コナン」「模倣犯」「少林サッカー」「猫の恩返し」と、実に月1回ペースになっている。(斜字の映画は無料招待券) これも王子効果というか、無料ゆえに為せる頻度と言える。ちなみに9月は「エピソード2」も招待券で観に行けそう。ありがたい限り。
という訳で、映画館に行く機会が多かったこともあって、恒例15話刻みの「べからず集」、今回は映画館について、である。どうせ無料だから、と割り切れる場合はいい(というか諦めもつく)が、お金を払って観に来た時にこうした事態に遭遇すると、いてもたってもいられなくなる。義憤も込めつつ、筆者独断のランク付けにて紹介する。法に触れる行為や、いわゆる迷惑行為は書くまでもないので除外する。
*首都圏のいわゆるロードショー系映画館での場合を想定。単館やミニシアターは良質なお客が多いので、書くに及ばず、である。
まずは10位から。
10.座席の占拠&横柄な座り方
空いているからと言って、荷物を並べて一人で二人三人分を占拠するのは困りもの。そういう人は大抵、座り方も横柄だから始末が悪い。最近は当日に席を指定(固定)できる映画館が増えているから、こうした困った系は減ってくると思うが。(逆に、全体的に空いているのに、館の都合で席を集中配分されるのはご免である。)
9.過度の飲食
たとえ飲食「可」であっても、しっかり腹ごしらえするつもりでの飲み食いは考えもの。匂いが邪魔することもあるし、"くちゃくちゃ・ズーズー"と音を立てられたら、興ざめもいいとこである。擦過音が大きい素材の袋入りスナックも大いに勘弁してほしい。映画をきちんと堪能していれば飲食は不要!なのだが、欲張りな客はどこへ行っても満たされることを知らない、ということか。
8.落ち着きがない
マナーの良くない人は一人でいくつもの「べからず」を同時に進行させてしまう。この落ち着きの無さは、後述の6.5.4.を伴うケースが多いようだ。
マナーの良さそうな人を周りに置くような感じで上手く席を確保したつもりでも、たまたま近くに空席があったりすると、途中入場野郎に入られて、ブチ壊し!ということがある。短絡的類推が許されるなら、「途中で入って来る⇒時間にルーズ⇒自己管理がイマイチ⇒落ち着きもない」となる。
7.おしゃべり
映画を選べば済む話ではあるのだが、売れっ子やトレンディ系が配役される映画だと、客もミーハーだったりするから、おしゃべりを中心としたマナー欠如事例に出くわす。グループでぞろぞろ観に来るもんだから、その一隅はもう彼等のワンダーランドと化してしまう。周りの客のことなどお構いなし。お目当ての役者が出てくると、「ワー」だ「キャー」だに加えて、映画と関係ない話題のおしゃべりへとエスカレートする。(「模倣犯」でこの憂き目に遭うとは思いも寄らなかった。)
6.中途入場
予告編ならまだしも、本編が始まってから堂々と入って来る輩の気が知れない。映画館側もここは一つ毅然と中途入場をシャットアウトする気概が欲しいといつも思う。中途入場客に目の前を横切られて字幕を読み損なう、といったイヤな思いをする度に、映画館で観るのはもうご免、と思ってしまうのは筆者だけだろうか。
5.振動
アニメ系やお子様向けの映画ではいつも注意しているのだが、落ち着きのないこどもの近くには座らない(またはあえて同じ列の席に座る)に超したことはない。始まる前、そして始まってから、特にこどもによる座席へのアタックは耐え難いものがある。興奮してドンドン蹴りつける分にはまだいいのだが、退屈しのぎに前の席をドシドシ蹴られたのではたまらない。(直近では「モンスターズ・インク」でやられた。退屈しのぎではなさそうだったが、あまりに断続的に来るので、途中で列を移った程である。面白いアニメも考えものである。)
大人による振動はズバリ、貧乏ゆすりによるもの。これは中途入場客に多い気がする。
4.騒音
5.と続けて、典型7公害みたいだが、いろんな迷惑音を総称すると「騒音」と言わざるを得ない。飲食に伴う雑音や7.のおしゃべりもそうだが、携帯の着信音、時計のアラーム音、こどもの泣き声、擦過音がうるさい荷物の上げ下ろし等々、いくらでもある。「聴く」よりも「観る」に神経を使うのが映画、とすると、音に関しては無神経になりがち、ということかも知れないが、雑音が入れば観る方にも必定影響が及ぶ。こどもが泣くのは致し方ない面があるが、注意できることは注意したいものだ。(「千と千尋の神隠し」では、銭婆が出てきたところで泣き出す幼児が結構いた。小さい子にとっては確かに怖いかも。)
3.咳・鼻水 etc.
静かな曲中心のコンサートでやられるのはもってのほかだが、映画館での咳・鼻水の類は、音もさることながら、やはり風邪を移されてはたまらない、という点でご遠慮願いたい「べからず」である。
映画を観て風邪が治るのであれば目を瞑ろう、と言いたいところだが、ひどい咳の人はとにかく帰って寝ることをお勧めしたい。
2.イビキ・居眠り
ピアノの名曲を聴きたくて鑑賞に来た「海の上のピアニスト」(「観る」よりも「聴く」映画もある)で、最も聴かせどころとなるシーンでのこと。事もあろうにどこからか高らかなイビキがかぶってきた。こいつはよほどピアノに恨みがあるか、逆に余程疲れていて、名曲に癒されるように眠りこけてしまったか、どっちかだろう。この時ほど、館員呼び出しボタンの必要性を感じたことはなかった。迷惑客はつまみ出してほしいものだ。
1.異臭
身動きがとれない中での嗅覚のダメージは計り知れない。第60話「電車内でのマナー」でもトップに挙げたが、電車内ではまだ逃げようがある分、マシである。映画館で異臭に遭遇したらひとたまりもない。良質な映画には良質な客が来ることを信じたいが、いくら映画そのものが良くても、庶民的な映画館で、割安な映画サービスデーに、といったシチュエーションだと、珍妙な客が来てしまうものである。ご用心。(「もののけ姫」をオフシーズンに観に行った時のこと。住所不定系のオジサンが隣りに来てしまって、そのあまりの異臭に困り、終始ハンカチを鼻に当てざるを得なかったのを覚えている。映画に集中できなかったので、別の映画館で「観直し」するハメになった。いやはや...)
*「べからず集」シリーズ、次回は第135話になります。お楽しみに。
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