第255話 べからず集「逆サービス」(2008.4.15)
やるべきことがなされないケースが多々ある一方で、やり過ぎて逆効果になるケースもまた多い。今回の「べからず集」は、広くサービス業に接する中で、日常的に遭遇しがちな「逆サービス」例を列挙してみようと思う。これらはつまり、「誰のためのサービス?」という疑問符が付く事例でもある。同じような思い、体験... いかがでしょう? (と言っている手前、書き過ぎてもいけないので、通常のべからす集よりも少なめの9項目に絞りました。)(^^;
*社会的に問題視され得る、生産・供給・輸出入等の過剰や、いわゆる過剰○○(例:反応、警告、広告、包装)については除く。あくまで卑近な例として。
9.ポイント多重
商業施設専用のポイントカードがまずあって、その中に入っている店舗専用のポイントカードもあって、この時の支払いをポイントが貯まる電子マネー(またはクレジットカード)で済ませるとすると、実に三重のポイントが付くことになる。それぞれにしっかりフォローできればいいが、有効期限はまずもってバラバラだろうから、引き換え損なったり、ということも生じ得る。これを面倒だと思う客が増えれば、正に逆サービスである。(筆者はその複雑さを楽しむ側ではあるが...)
見直しや後退といった話もチラホラ聞くようにはなっているが、過当競争がやめられない業種では、まだまだ続くだろう。
⇒参考:第248話(次点の項)
8.ユーザビリティを欠く設備や什器
作ったメーカー側の配慮不足というのもあるが、それを選んだ店側にも問題はあるだろう。
といったのがとりあえず思いつく。よかれと思って導入したはいいものの...という例。
7.アナウンスと案内
いいBGMがかかっていて、聴き入っていると本部からの一斉アナウンスか何かで遮られてしまうことがある。その曲に対しても客に対しても失礼極まりないと思う。BGMとは別ラインで流すか、やめるか、どちらかにしてほしいものである。
何らかのシステムを伴う飲食店では、初めての客にあれこれ説明をするのが慣例。バイキングスタイルの店では、これは必須ではあるのだが、よくわからずに入ってしまったご年配客などに、基本料金以外の部分(例:ドリンクや特別料理など)もあれこれ説明し、当人に予期せぬチャージをかけるケースをまま見かける。断れない側の問題と言えばそれまでだが、畳み掛けられるとNOと言えなくなってしまう心理を意図的に衝いているんだとしたら、悪徳商法まがいとも言える。
6.添付品
ファストフード店でホットコーヒーを注文すると、「お砂糖、ミルクは?」とは聞かれても、かき混ぜる用のプラスチック棒の要否を聞かれることはまずない。その成分の是非はともかく、ミルク(もどき)は付けてもらっている筆者だが、この棒を使うことはまずないので、大抵その場で辞退している。このような自動添付サービスは他にも多々あるだろうけど、物価高、資源不足が進むと自動的(?)に見直されるかも知れない。
5.頻繁な補充・交換
カウンター中心のクイックメニュー業態店では、店員の巡回激しく、紅しょうがや福神漬けなどがちょくちょく交換されていく。水をセルフで注げる店では、その容器をカラカラやって、残りが少なそうだとすぐさま補充。クイックがウリだから、それはそれでいいのだが、客としては落ち着かないことこの上ない。おそらくはマニュアルできっちり指定されているんだろうけど、それがもとで、臨機応変さを欠くことになっては元も子もない。交換や補充が頻繁な割には、台拭きや床の清掃がおろそかなケースはしばしば。アイコンタクトや入出店時の挨拶ができていない店員も本当に多い。優先順位を考えてほしいと常々思う。
4.待ち構え等
最近はどうかわからないが、老舗百貨店の売場では、必ずと言っていい程、お待ち構え&いきなりトークが当たり前だった。じっくり品定めしたい時にこれほどのありがた迷惑はないだろう。その手の店や売場にはすっかり足が遠のいている筆者である。(売り上げ低迷を嘆く前に考え直すことはいくらでもあると思う。) 飲食店でも店頭でやたらに声かけする例を見かけるが、あれも逆効果。むしろ、サクラ客の如く、店頭で誰かにボーと立っていてもらった方がいい。我れ先に、というせっかち客が必ず入ってくること請け合いである。
3.調味関係
フライドポテトはできることなら避けた方がいいんだろうけど、セットだとどうしてもくっついてきてしまう。悩ましいのはその塩加減だが、特にL社のポテトは、なぜかどこも塩辛くていけない。(何度か試したがいずこも同じ。) 紙ナプキンで一本一本、その「過剰塩」を拭き落としながら食べたりしていたが、もう懲り懲りである。
ファミレスの日替わりメニューだと、手早さが勝負なので、調味料がかかった状態で出てくることがほとんど。コロッケにはソース、フライにはタルタル、チキンの某にはバーベキュー云々。皿の一角に添える感じでいいと思うのだが、スペースの都合か、本体にべっちょりだから困ってしまう。(薄味ならまだしも、いずれも濃厚なもんだから、これがまた...) かける手間を省く上ではサービスともとれるが、単なる店都合とも言えなくない。不採算店舗の店じまいも結構だが、その前に考えておいて良さそうな話だとは思う。
2.過剰高温&焼き
タコ焼きはその性格上、仕方ないのかも知れないが、グルメ番組等で取り上げる際、レポーターは必ず「熱い熱い」といって、大騒ぎ。口内火傷は必至と思われる。この状態でおいしいか否かなどまともに伝えられるとは思えない。適温になるのを待ってから紹介すればいいものを、といつも思うが、それより何より、それほど高温で熱さないと仕上がらないものなのか、という疑問も沸く。
お茶やコーヒーで「ひぇー!」(熱いのに冷えー?)となることは減ってきたが、高温ネタは身の回りにいくらでも存在する。筆者がよく憂き目に遭うのは、あんかけ何とかであり、揚げたてコロッケであり、ラード入りのあんまんであり、とろみ系スープであり、時にはロールキャベツ、はたまた焼き餃子、とキリがない。アツアツ=サービスと考えるとするなら、何らかの自主規制を提供者側に求めるのも手だが、ここはやはり自衛策を取るのが順当だろう。(されど、温度計か何かで事前にしっかりチェックしてから口にするというのも...)
必ずしもアツアツではないのだが、焼き加減が好ましくない例もある。ファストフードM社の朝メニュー中、某マフィンはよく縁が焦げてるし、定食チェーンのOに至っては、ご自慢の「炭火焼」系メニューは、炭火以前に本体がよく焦げていて、とても美味しくいただけたものではない。Mはホットケーキ状の新メニューが出てきたおかげで何とかなっているが、Oについてはまず行こうと思わなくなった。焼きは程々にしないと、客離れを起こす可能性があるのである。
1.過重な情報量
新宿と池袋が別々だった時はまだよかった。これを欲張って合体してからおかしくなったように思う。写真にある通り、R社が手がける「唐辛子」(直訳)である。配る人にとっても、受け取る人にとっても、このボリューム&扱いにくさは天下一品。正に激辛なフリーペーパーである。(この唐辛子に駆逐されてしまった優良フリーペーパー(クーポン誌)は数知れず。かつての持ち運びやすいコンパクトな冊子を返せ!と言ったところで、如何ともし難い。だが、この残り具合(写真右)からして、不振に陥っている可能性は大。自業自得だと思う。)
六本木での配布風景。 |
年初、池袋東口にて。(新宿・池袋編なので、ボリュームたっぷり!) |
直近の「唐辛子」はこの通り、山積み中。(それにしても厚い≠熱い?) |
他のエリアはもうちょっとページ薄だろうから、需要もあり、それで何とか生き残っているのかも知れない。だが、二大副都心での捌き具合や評判が良くないと全体にも影響しそうな気はする。(ちなみに2008年4月号(新宿・池袋編)は、3101枚のクーポンが付いていて、ページ数は何と378! 腕力を鍛える向きには適していると言えそうだが。)(+_+)
...次回の「べからず集」は、第270話にてお届けします。お次は何が飛び出すか、一つお楽しみに。
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