随筆「東京モノローグ2004」(11−12月期)
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第175話 新札と両替機 / 第174話 ANAとHANEDA空港 / 第173話 カードの付加価値 / 第172話 町並み小探訪〜ワンテーマ・マガジンに一言

第175話 新札と両替機(2004.12.15⇒19)

 新しい紙幣が登場して、50日が経った。5000円札を含め、ようやく市中に浸透してきた観があるが、浸透してくると今度は新旧の比率が拮抗してきて、使い分けの手間が増えることになる。弐千円札も加えれば4種類で済む紙幣が、多い時は7種類の紙幣が財布の中で犇くことになるが(もっともそんなにお札に恵まれる訳でもないが)、券売機や販売機の新旧対応がごちゃごちゃなので、機械を前にして出したり引っ込めたりの繰り返し。面倒なことこの上ない。こっちは使えて、これはダメ... 新札対応型だけど、この新札は番号がいいからとっておこう、でも他にお札が... 旧札のみOKだけど、手持ちの旧札はヨレヨレで読み取ってくれないし... など、この時期ならではの事態が頻発することになる。

 千円札(旧札)のみ受け付ける機械を前にした時の無力感も大きくなる。紙幣の市中流通量からきちんとした計算すればちゃんとした確率の話になるのだろうが、単純に考えるとこれまでは4分の1の確率でこの機械を使えたものが、今では7分の1。千円札のみだが新旧OKてのは、10分間散髪のQB House第20話第72話参照)くらいなものだろう。それでも7種類のうちの2種類どまりなので、やはりオールマイティな機械が多い方が望ましい。(おそらく、旧札が目立たなくなってくる頃合いを見計らって、一斉に新札対応型に切り替わっていくんだろうけど。)

 さて、慶事などで新券が必要になった場合、こうした新旧入れ替わりの時期はどう確保したらいいのだろう。新券、新札、旧券、旧札の区別が実に複雑。銀行窓口はいざ知らず、両替機からは旧札の新券はもう出てこない。たとえ新券であっても、新しい門出を祝うのに旧いお札、というのはちと失礼だろう。新札は新券同様にフレッシュな筈だが、人の手を伝って入手したものは避けた方が無難だし。(この時期、新札の旧券が出てきたらビックリだが、早くもヨレヨレの一葉さんや英世さんにお目にかかる。これは新札新券とは言い難い。) そうなると、何とかして新券新札を確実に手に入れる必要が出てくる訳だが、これがなかなか難しい。

 新札デビュー初日の11月1日。朝早めに各行の両替機などで試したものの、どれも旧札ばかり。旧札を見てあわてて旧札新券を確保しようとしたが、これも時すでに遅し。10月31日までに新券両替をしておけばよかったのだが、気が廻らないものである。11月2日からの韓国スタディツアーに備え、出来立ての新札を持って行って、お札自慢をしようと思っていたが、あえなく失敗。(もっとも、現地の両替でデビュー2日目の新札を受け付けてもらえるとは思えないが。) ともかく新札を手に入れるのには難儀した。

 初めて新札を手にできたのは、韓国からの帰国後しばらくして、11月12日になってから。自動両替機ではまだダメで、新札専用のATMで払戻をすると出てくる、という仕掛けを使っての入手である。(しかもそのATMは払戻専用で、預入ができないという制限付き。別のATMで預入をし、並び直して新札を出す...これでは機械に使われているみたいで、何とも奇天烈。)

 お釣りで新札が出てきたのは、11月28日、京都駅のおみやげ街道で「五建ういろ」を買うのに5000円を出してお釣りを受け取った時がおそらく最初。その後は高額紙幣を崩すには及ばないことが多かった(なぜか手持ちが千円札単位)ので、あまり意識がないが、懇親会などでお札をやりとりする中では確実に新札の流通量が増えているのを実感する。

 今の常勤職場での仕事柄、現金を手にするのは日常的。こうした中でもお札の流れ具合がよくわかる。だが、まとまったお金を引き出して、金種ごとに分ける作業(例えば講師に支払う謝金や交通費の準備)はたまのこと。謝金・交通費の類を規定通りピッタリ払おうとすると入念な準備が必要になるのだが、これには銀行との暗闘が生じる。金種を指定通りにそろえるのは結構大変なのである。(たまのことだからいいのだが。)

 UFJ銀行では、50枚までの両替なら無料だが、51枚以上は315円の手数料をとるそうな。しかもその手数料を口座から引き当てようとすると、別に払戻請求書のようなものを書いて出さないといけなかったりする。銀行側は手数料を要求するが、客の手間や時間に対する弁済はないのか、と腹立たしくなる。(ここは一つお互い様で、といきたいところである。)

 両替が不活発になると、お金の動きも鈍くなる。必要なお金が必要な額面で動くように支えるのが銀行の使命ではないのか。あらゆる場面で手数料を徴収する仕掛けが蔓延している。手数料が障害になって、お金が回りにくくなっているとしたら、これは社会的な一大損失である。現に少額の振込を求められる場合は、複数の請求をまとめて1回の振込で済ませようとする心理が働く。その間、お金の動きが止まるため、経済循環も円滑でなくなる。これは血液の流れが滞ると体調不良になるのと同じようなものである。血液が出たり、入ったり、という当たり前の部分で、いちいち余計な負荷をかけて、その動きを悪くするのはいかがなものか。手数料ゼロにせよ、とは言わないが、もっと巧い方法があってもいい筈なのである。

 12月17日。午前中に行くつもりが何だかんだで13:40に出発。振込や払戻をして、軽く昼食をとり、さぁ両替だと動き出せば、すでに時計は14:30を回っている。金曜日ということもあるだろうが、駿河台のみずほ銀行はいつもの如く長蛇の列。14:40を過ぎているので、機械が自動的に止まるとなると焦らないといけない時間。ここで待っていたらおそらくアウトなので、ヒヤヒヤものだが、九段下の支店をめざすことにした。自転車での移動だから楽ではあるのだが、時間に追われるのはいただけない。

 九段下のみずほには、14:50に到着。前に5人並んでいる。まぁ何とかなるだろうとタカを括りつつ並んでみる。しかしながら、みずほ銀行の対応ぶりと来たら...第119話同様、相変わらずの体たらくである。

 「15時には機械が止まりますよ!」と来た。何を偉そうに、である。「止まりますが、よろしいでしょうか」となぜ訊けないのだろう? あまりの高慢な物の言い様にこちらは唖然。「そういうものですか?」と聞くや、不服そうにブツブツ言ってくる。おそらく「親切に言ってやっているのに」という心持ちだったのだろう。「機械に書いてある通り」「皆さんもご了解の上」など、お決まりの口上を並べ立てる"接客係"(推定)。向こうからフッかけておいて、この言い種は何事か!

 他のサービス業なら、その時間までに並んでいたら有効とするのが常道だろう。機械が自動的に止まるかどうかの境界線に客を立たせて、自己責任を強要する(つまり出たとこ勝負で知らん顔)これはヒドイ話というものだ。15時きっかりに止まるのならそれはそれで構わない。だが、止まりそうになったら、窓口に誘導するなり、窓口で並ぶための整理券を予め用意して手渡しておくなり、というものではないのか。

 おまけに機械のわかりにくいこと言ったら! あれこれ思案しながらも、次の人にできるだけ速やかに引き継ごうと努力し、何とか間に合った?...かに見えたが、程なく止まってしまったようだ。こちらはギリギリセーフで利用できたので、口惜しい思いをせずに済んだが、後続へのバトンタッチを焦らせるこのプレッシャーは何なのだろう。こんな思いをしてまで、と感じる人はきっと多いに違いない。

 こうした仕掛けはあくまで銀行側の都合。客商売には到底及ばない。おそるべし、元・富士銀行である。もっとも、自動両替機があるだけマシという説もあるが。

7万円を入れて、48枚分を両替。よく見ると時刻印字は15:02!

 ピッタリ両替しきれなかったので、おつりのお札が出てきた。よくよく見てみたら1万円、5千円、2千円、1千円のレパートリー。よく出来た両替機と言えるのかどうなのか。ともかく所定の用事は果たせたし、気付いたら両替後は全て新札に。新しいお札を堪能しつつ、仕分け作業に勤しむ筆者であった。めでたしめでたし(?)

 

  • こちらもどうぞ...⇒ お金にまつわる話題

第29話 消費税還元 / 第64話 全国共通お食事券 / 第97話 宝くじ / 第158話 ザ・総額表示

 

第174話 ANAと羽田(HANEDA)空港(2004.12.1⇒6)

 2004年は航空三昧。しかも10〜12月の3カ月の間で、国内外あわせてなんと10回になった。(初めて飛行機に乗って以来、2003年までは国内・海外あわせて34回(推定)だったので、実にハイペース!) いずれも今関わっているNGO/NPO絡み、という点がまたこれまでにない点である。平日は常勤職場の作業で押せ押せ(概ね終電間際)だし、非常勤職場関係でも、夜に会合などがあるとやはり遅くなる。当・東京モノローグを定期的に書くには、週末に書きためておくか、平日にもそれなりの余裕がないと難しいもの。(特にここのところ、字数や画像が増えていることもあり...) 頼みの週末が出張などに当たってしまうと、正に今回のように5日も遅れてしまうことになる。(今年の遅延はこれで9回目。m(--)m スミマセン...) 来年はどうなることやら。

 さて、その10回の飛行中、成田<=>仁川の往復はアシアナ航空だったが、スターアライアンスの提携効果でANAのマイレージ対象。JALは福岡⇒羽田の一度だけで、実に9回分がANA関係である。(ANAのマイレージ状況については、第173話に書いた通り。)

オーシャンビュー 今年9回目・10回目の飛行機利用は、折りよく新生・羽田空港にご縁があった。新生、つまり第二のターミナルがめでたく完成したばかり、オープン4日目にして利用できたのはありがたいことだった。鳴り物入りではあったが、実はANAの事前の宣伝では今ひとつピンと来ていなかったのがお恥ずかしいところ。(新聞の全面広告など、きわめてシンプルかつ洗練されてたもので。(写真は「オーシャンビュー」バージョン)) 第2ターミナルに足を踏み入れてはじめて、ANAの独壇場であることを実感した次第。ANAのホームページで予約手続きなどをしていた割には、その肝心の「第1はJAL、第2はANA」と二分されることがわかっていなかった訳である。何の気なしに今回もANAを選んだが、サブリミナル効果か、知らず知らずに誘導されていたようだ。

 思えば、この第2ターミナルオープンを記念したタイアップの多かったことと言ったら。10月からの飛行機搭乗ラッシュは、このキャンペーンに担がれていた面もある。筆者のような旅行者は大勢いるはず。ANAはホクホクだろう。

 マイレージの上乗せ(ダブルマイル)にとどまらず、Edyカードの発行手数料無料、搭乗券半券2枚でEdy500円分チャージ、2回搭乗で楽天のスーパーポイント付与、さらに抽選でプレゼント... 全てこなしたら大したものである。

 この手のキャンペーンに弱い筆者は、まんまと乗せられてしまった恰好だが、10月からの出張やスタディツアーは、タイミングが一致しただけ。乗るのは飛行機だが、好機は活かしたい。「非好機」(^^; にしたくない心理が働いた結果である。

【参考】10〜12月のキャンペーン便乗(?)搭乗記録

年月日

便名

内容

加算マイル

ボーナスマイル

合計

 2004/10/02

 NH 0015

 東京(羽田)−大阪(伊丹)

 208

 150

 358

 2004/10/02

 

 国内線ダブルマイルキャンペーン

 208

 

 208

 2004/10/03

 NH 0028

 大阪(伊丹)−東京(羽田)

 208

 150

 358

 2004/10/03

 

 国内線ダブルマイルキャンペーン

 208

 

 208

 2004/10/08

 NH 0257

 東京(羽田)−福岡

 424

 150

 574

 2004/10/08

 NH 4909

 福岡−対馬

 60

 150

 210

 2004/10/08

 

 国内線ダブルマイルキャンペーン

 424

 

 424

 2004/10/08

 

 国内線ダブルマイルキャンペーン

 60

 

 60

 2004/10/11

 NH 4902

 対馬−福岡

 81

 

 81

 2004/10/11

 

 国内線ダブルマイルキャンペーン

 81

 

 81

 2004/11/02

 OZ 0107

 東京(成田)−仁川

 531

 

 531

 2004/11/08

 OZ 0106

 仁川−東京(成田)

 531

 

 531

 2004/11/15

 

 マイルでスマイルキャンペーン登録

 50

 

 50

 2004/12/04

 NH 0019

 東京(羽田)−大阪(伊丹)

 139

 

 139

 2004/12/05

 NH 0034

 大阪(伊丹)−東京(羽田)

 139

 

 139

「羽田空港1・2ダイレクトきっぷ」(かえり用) さて、第2ターミナルオープンに合わせて、都営地下鉄と京浜急行もちょっとしたサービスを始めた。その名も「羽田空港1・2ダイレクトきっぷ」。第1・第2に分かれたことをPRするためのネーミング?とも考えられるが、名前はともかくとして、都営地下鉄のどの駅から乗っても、空港までの往復で1000円!という切符が発売されたのである。東京モノレールは週末に限り、復路が500円で済む「モノレール&山手線内割引きっぷ」があるので、土曜か日曜に帰るという条件であればいい勝負だが、往路もOKな上に広範囲(西高島平、本八幡も範疇)、しかも平日も使えるということになると、こっちのきっぷに分がありそうだ。(※ただし、1月10日までの期間限定)

 12月4日、会議資料の準備などでまずは事務所に出勤。神保町からバタバタと羽田空港をめざす。10時発の便だったので少々冷や汗ものだったが、8:55に三田で快速特急に乗り換えると、9:15過ぎには羽田空港に着いてしまった。第2ターミナル開業に合わせ、空港行きの快速特急が増発されたようだ。これには救われた。

 12月1日のオープン後、最初の週末ということもあってか、9:20時点で出発ロビーは大混雑。インターネットで事前に購入しておいた筆者だったが、自動チェックイン機では少々待たされた。座席指定を綿密にやる人が前にいると割を食ってしまうのである。(これは銀行ATMで、振込をする人に引っかかるのと似ている。) ま、快速特急のおかげで、指定の40分前には着いていたので事なきを得たが、自動チェックインも上手く稼動させないと乗り遅れの原因になりそう。だが、それ以前に、予め航空券を持っていないと、これはかなり待たされることになる。実際、航空券販売のカウンターは大賑わいだった。


検査場へ向かう大行列


搭乗口から飛行機に向かう途中で撮影
(ガラス張りのコンコース回廊)

 今回のターミナル増設で、搭乗口からバスに乗って飛行機まで行く必要がほぼなくなったそうだが、保安対策強化の折り、検査ゲート(正式名称:出発保安検査場)は長蛇の列。飛行機に乗るまでの道程は相変わらず遠い、ということか。検査場のゲートは2つある。伊丹行きの搭乗口に近いゲートも、ちょっと離れたゲートも両方長い列を成していたが、脇に「9:55発まで」のお客優先レーンがあって閑散としている。筆者が乗る10時発の便がいずれは優先誘導されるのは目に見えていたので、それとなく待機していたら程なく通してもらえて、ちょっとトクした気分を味わえた。だが、ゲートに入った途端にブレーキ。前方でPCの出し入れで手間取っている客がいたようだ。要領の良くなさそうなご年配、態度の悪そうな輩、そして(今回の教訓)ビジネスマン系、これらの方々ができるだけ少ない列を選ぶようにしようと思う。(お客のタイプ(目的)によって、持ち物の傾向が異なるので、はじめから専用レーンを設ければ、より効率的に捌ける可能性がある。)

 とは言うものの筆者はゲート(感知センサー)でよくひっかかる類。何と今回は靴が疑われた。せっかく行列を回避できたと思ったのに、万事順風とはいかないもの。ソウル(仁川)の出発ゲートでは、全員が靴を脱ぐことになっていたので、驚きではあったが、個別にひっかけてくれるよりはマシ。時間はかかるが、こうしたことは全員必須の方が納得もいくし、文句も出ない。結局何の疑いもなし。最初に反応したのは何かの間違いだろう。すっかり気分をそがれてしまった。

第2ターミナルオープン記念「華つづみ」 空弁とドリンクが付くクーポン券を持っていたが、引き換えられたのはやっとこさ搭乗口近くのANAショップ。検査ゲートに至るまでの間、意外とANA直営の店が少なく、空弁を探せなかったのである。空弁売り切れ?の憂いがあったが、何とか入手(しかも第2ターミナルオープン記念作)。よく考えると、引換用の指定のセットがあったのかも知れないが、時間的余裕がない中では、自分でさっさと選んで臨むしかない。まぁよしとするか。(初めての空弁はなかなかの美味だった。)

 駅到着→自動チェックイン→検査→空弁→搭乗と一連のフローが完結。列での待機はあったが、間断なく10時になってしまった感じ。第2ターミナルからの出発デビューは、正にドタバタ劇。12月1日の報道で、新ターミナルならではの新たな工夫・デザインなどについて少しばかり予習はしてあったものの、それらを追体験する余裕は残念ながらなかった。だが、フローが連続して感じられるということは、それだけ客の流れを考えた設計になっている、ということなのだろう。確かに移動はスムーズだった。


「TOKYO 34 17:00」が筆者の乗った便(1時間遅延とあるが...) 今度は帰りの伊丹空港。観測史上最大という暴風(最大瞬間風速約40メートル!)に見舞われた東京からの飛行機の到着が遅れ、筆者が乗る予定だったANA34便は1時間遅れ。欠航になりそうな予感もあったので、よしとしないといけないが、この手のアクシデントは実は今回が初めて。

 思いがけず時間に余裕ができたのと、出発ロビーで待つには席が不十分だったため、早めに検査ゲートをクリアし、搭乗口で待つことにした。行きの羽田のような憂き目には遭うまいと、行列が少ないスキをついて、入ったのだが、今度は今度で...(--)

 水筒代わりに使い回しているPETボトルがひっかかってしまった。何でも液体状の爆発物チェックだそうで、大げさ(いや物騒)なことこの上ないが、時間にゆとりがある際、今回は一興ということで大目に見よう。

「新・羽田ターミナル」を紹介する各種印刷物 当の羽田空港ではろくろく情報収集できなかったが、伊丹では時間があったので、羽田情報をゲットすることができた。実に多彩なパンフレットやリーフレットがあるものだと感心しきりである。

 何だかんだで羽田空港には、19:40頃にようやく到着ロビーに着く始末。搭乗券2枚を専用台紙にはめ込んで、ひとまずEdy500円分をチャージ。改めて夜の第2ターミナルを散策してみることにした。欠航やら遅れが多かったのは、掲示板(右下写真)の通りだが、そのためか夜のフライト利用者も少ないようで、行きとは大違いの出発ロビー(左下写真)は実に広くゆったりしている。ターミナルが増えるというのはこういうことか、と効果を目の当たりにした。画像だと今一つ色合いが冴えないが、大きな吹抜には、「滝のオーロラ」と称するオブジェが宙に浮かび、美観を造っている。「Market Place」はデパートなみの店舗ラインアップだそうだが、エスカレーターを少々昇って、吹抜に面した店をちょっと眺める程度。出発ロビーの奥の方にも足を伸ばしたかったが、到着が遅れたこともあり、今回は早めに切り上げることにした。


12/4:朝の滝のオーロラ


12/5:夜の滝のオーロラ


閑散とした出発ロビー


欠航をはじめ、第1では手続中止が続出

 20:13発の快速特急に乗り、往路と同じ乗り換えで再び神保町の事務所に戻る。荷物の片付けなどを1時間ほどしてから帰宅。自宅に帰り着いたのは何だかんだで23時過ぎだった。こうして筆者の週末はまるまる消化され、東京モノローグはまた遅れ、という有様。(4日の夜、ホテルで下書きする時間が少しはあったので、何とか6日朝には間に合ったが。)

 飛行機に乗る回数が増える、ということは一喜一憂も増えるということ。マイレージやEdyでは恩恵に預かったが、検査アクシデントや出発遅れやドタバタやらはいただけない。今回のパッケージツアーでは、マイレージは大して付かず、いささか拍子抜け。新ターミナル鑑賞&空弁クーポンで減算ということか。かくして10000マイルへの道は続く...

*新札が出て1カ月が経ったところで、当初は両替に関する話題を予定していましたが、遅れたついでで、予定を変更し、羽田空港&飛行機ネタにしました。

  • こちらもどうぞ...⇒ 空港が出てくる話題

第10話 沖縄モノローグ / 第30話 11月の寒空と晴天と / 第137話 タクシー地名考(羽田空港編) / 第170話 証明写真を撮るなら

 

第173話 カードの付加価値(2004.11.15)

 ポイントカードの広まりはとどまるところを知らない。第63話では、2000年当時のポイントカード事情をお伝えしたが、自戒を込めて書き綴った割には、その後の筆者の保有具合と言ったら...

 2000年頃はおそらく、ヨドバシ、ビック、VDF、オフィスデポ程度だったはずなのだが、何だかんだで増えてしまった。(ポイントカードを廃止した店もあるので、減ってもいるのだが、それを上回る収集ぶり!)

 巷あふれるポイントカードに、世間でも批評が喧しくなってきた。つい作ってしまうものだから、種類・枚数が増えて、探すのに手間取ったり、家に置いて来てしまって使い損なったり... 果ては、ポイントをストックしないと割安な価格を享受できない(つまり、元の価格はさほど安くなっていない!)点がデメリットとして大きく指摘されるようにもなっている。持ち合わせている時はいいが、持っていない時は購買意欲が損なわれてしまうのも落とし穴。ポイントの倍率設定が変動する店の場合は、倍率が高い時しか買いに行かなくなる客が増えるだろうから、これまた店にとってはデメリット。業界全体で適度な仕組みを考えないと、ポイントカードは結果的にはマイナスに作用しそう。

 業界全体での盛り上げを期するなら、各店ごとに発行して囲い込みを図るのでなく、共通ポイントカードを作りたいところ。パスネットやバスカードは会社を超えて使えることから普及し、公共交通利用の底上げにつながっている(はず)。家電量販店は難しそうだが、飲食店については何とかなりそう。少なくとも同じチェーン・系列であれば、共通にしてほしいものだ。(すかいらーくは以前、グループ共通のポイントカードがあったのだが、不採算だったのか、なくなってしまった。)

 ポイントカードに限らず、この際、持っているカード類をふりかえってみようと思う。あわせて、2004年11月を以って、この手のカードはどこまで進化し、価値に差が付いたのか、検証してみることにする。(金融機関、証券会社、利用者カード、会員証、診察券、各種公的カードは除く。一定の厚みがあって、何らかの特典が付いたものを列挙する。)

⇒最近では、航空券のインターネット予約時に自動的にマイレージも加算されるものだから、カード本体にはあまり意味がないような。

  • ポイントカードのみ:メトロポリタンプラザ、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ドンキホーテ、ヴィドフランス(VDF)、まつ里亭、つな八、オフィスデポ、くすりの福太郎 など

ちなみに、紙製のポイントカード(正しくはスタンプカード)は、飲食店関係を中心に合計なんと21枚(期限有効のものに限る)。このうち、買い物袋持参でスタンプを押してもらえるスーパーの関係は4枚。(さらにこの21枚とは別に、夫婦共通で持っているポイントカードも存在する。)

⇒たまったポイント(点数)がカード本体に表示されるものとそうでないものがあるのは、2000年頃と同じ。これ以上の進化(付加価値)については、下記のその他事例で考察する。

  • その他:

 マイレージ機能のみのJALを尻目に、ANAは電子マネー機能を取り込むことに成功。10月は何かと飛行機利用が多かったので、ANAのマイレージストックに余念がなかったが、折り良く(?)、その電子マネー型のカードへの切替が無料になるキャンペーン中(何でも羽田の新ターミナルオープン記念とか)だったので、すかさずチェンジ。しかも国内線搭乗券半券2枚を専用台紙にくっつけてANA売店に持って行くと、電子マネー500円分をチャージしてもらえるというオマケ付き。大阪、対馬などで集まった半券で、合計1500円分の権利を獲得した筆者は、韓国へのスタディツアー(11月2〜8日)の帰途、成田空港のANA売店で何とかチャージに成功。(店の区画がわかりづらく、2度お店を間違えて、3度目の正直だったが。) 電子マネーを使うことで、マイレージもたまるそうだし、二重に嬉しい。この手の特典に目がない筆者はホクホク状態である。

今、Edyで受けられる特典はこれ! かつて、ampmでこの電子マネーが登場した際には、山ぶどうソフトクリームとやらが電子マネーで割引!というのを目にしつつも、発行手数料500円の前に二の足を踏み、この季節限定ソフトクリームを食し損なってしまった。今は、電子マネー割引も堂々と堪能できる訳だ。(200円ごとに1マイレージというのがまた気の遠い話ではある。巧い設定である。)

 Suicaはデビュー当初は、チャージしても自動改札での二重取り(過剰引き落とし)などが問題になっていたため、チャージ機能は使わないようにしていたが、関西圏でもSuicaが使えるようになってからは、意を決して利便性を優先することにした。大阪出張時に、JR西日本で移動する機会が一日のうちに複数回あったが、1000円チャージしておいたのが物を言い、大変便利に使わせてもらった。東日本では一度もチャージしたことがないのに変な話である。

 Suicaにも電子マネー機能が付いて、さらに付加価値がアップ。だが、ANAの電子マネーでとりあえず満足している筆者には、今のところ無縁である。(発行手数料は常時無料のようだが、使えるお店もまだ限られているし、電子マネー特典というのがまだ出ないみたいなので。)

 「居食屋」でおなじみの和民には、ワタミふれあいカードというのがある。もともとはクレジット機能なしのシンプルなポイントカードだったのだが、何やらクレジット機能が付いて、しかもポイントカードという、良いような良くないようなカードが現れた。居酒屋に行く機会が少ない筆者だが、あえて足を運ぶなら和民ということもあり、このポイントカードには何となく食指が伸びていた。が、わざわざ作る程でもないか、と見送り続けて早9年(最初に蒲田の和民本店に入ったのが、1994年6月)。1994年当時はまだなかったかも知れないので何とも言えないが、ずっと横目に見ていた訳である。そこへクレジット機能が付いて、いろいろと特典が受けられるというのを目の当たりにし、昨年末、ついに店頭で申し込むに至った。さぁ、これでいつでも和民に行けると意気込んでいたら、その機能複合性ゆえの悲劇か、はたまた人気集中で事務が滞ったか、ちっともカード本体が届かない。驚く勿れ、申し込んでから実に2カ月が経ってからの到着となった。客が熱いうちに使えるようにしないと、何のためのキャンペーンだかわからなくなってしまう。(鉄は熱いうちに、という格言が重なる。) 入会時にも金券をもらったが、遅れたお詫びとして、さらに割引券なども頂戴したので、まぁよしとすべきか。

 だがこのカード、やはり曲者で、ポイントを貯めるには、クレジットカードとしての利用がないといけなくなっている。つまり、和民系列の定食屋などで、500円前後の食事をした時でも、カード払いにしないと貯められないのである。そこまでして、と思うが、クレジットの少額利用であっても、カード利用を勧めることで何らかの恩恵がカード会社にもあるのだろう。何か面倒だし、和民にとっては割に合わない気もするのだが、そういう形態も今はアリなのである。(手間を考えると、あまり使いたくないワガママな筆者である。)

 近い将来、カードは姿を消し、携帯電話(おそらくPDAタイプ)でポイントが貯められたり、電子マネーと交換できたり、といった仕掛けが登場してきそうな予感がする。今はまだまだ手に持って使う、リアリティのあるカードが幅を利かせているので、持つのであればできる限り高付加価値な(1枚で複数機能を有する)カードを吟味して作るようにし、保有枚数を抑えるようにしようと思う。

第172話 町並み小探訪(2004.11.1)

 ちょっと大きめの書店に入ると、趣味・娯楽系のコーナー、または旅行・紀行関係の一角などで、A4変型版のシリーズ週刊誌が並んでいるのを見かける。最近では「世界遺産」「鉄道DATAFILE」「100人」、はては「GUNDAM」「ドラえもん」なんてのも。かつてこの手の雑誌(?)が出た頃には、図鑑よりもお手頃なものの、いわゆる定本に当たるものを一過性(出たタイミングでの情報)で出したところで、読者がついてくるんだろうか、などと思っていたのだが、どっこい定着し、多様化しながら、固定層を獲得してきた観を受ける。

 何でも「ワンテーマ・マガジン」というそうな。生涯学習などで、あれもこれもと受講される方同様、こうしたシリーズものは、教養に目がない人、またはコレクターを自負する人にとっては、垂涎の一品なんだろう。一方通行でいいから興味ある情報を体裁よく蒐集したい人にとっては、学説や見解の多様性は二の次(その筋の人が見たら、いろいろ物議を醸しそうな点も無関係。これは"All About Japan"にも言えそう)。ポピュラリティを確立した出版社の勝ちといったところか。

 創刊号2号くらいまでは破格だが、その後は通常価格に戻る。導入部をうまく仕掛ければ、一つのテーマで延々と引っ張れるという算段らしい。これは情報の更新性が低い(固定的・普遍的)ジャンルほど有効。一回シリーズ化すればよく、今後、決まった周期で発行する必要がないので、図鑑や年鑑と違って、手間がかからないのがポイントのようだ。

 現時点でのワンテーマ・マガジンは、ここに挙がっている通り。テーマは実に多彩で、とうとう「日本の町並み」なんてのが、しかも週刊で発刊されたところである。

 ポピュラリティ優先のためか、全国的に著名なところばかり。全30号中、筆者が全く足を踏み入れたことがない地は、「19号:内子・大洲」「24号:大森銀山・温泉津」「26号:竹富島」くらいなもの。逆を言えば、希少な町並みよりも、メジャーな町を再発見しよう、ということか。まぁ善意に解釈したいところである。ただ、「東京人」や「散歩の達人」への配慮かどうかはいざ知らず、東京都内の町をとりあげる予定がないのが気にかかる。地元近所にも優れた町並みはいくらでもある、といった一大テーマがあって、その中から一例を紹介、というならわかるが、単に観光スポット的な扱いで終わってしまうなら、せっかくの町並みが報われない。また、町並みを保つことでメジャーな観光地となったところには、それ相応の不断の努力があることも、この冊子を通じてきちんと伝えてほしいもの。ただ「へぇ」とか「ほぅ」とか言いながら、観光バスでバタバタと日常の延長で訪ねてくる衆人が減ってくれれば御の字である。(非日常やその土地固有の作法をお客に知らしめる(迎合しない)ことができるのが、優れた観光地だと思う。)

 ちなみに筆者は、創刊第2号の「木曾妻籠」を買い込んで、しげしげ眺めているところである。これで250円は確かにお値頃。「地域の人が、その地域を大事に思う心があふれる町には、きっといい町並みがある」...そんな視点がこの「日本の町並み」で前面に出てくれば、と願う。(「木曾妻籠」でも、p.8〜13にはそうした地域ドキュメンタリー的な趣向が感じられて、好感が持てる。) 市町村合併で地名の存廃が取り沙汰されている折りでもあるし、いい企画かも知れない。今後に期待しよう。(でも、東京の町並みを視野に入れないシリーズには、やはり不信感が先行してしまう。)

 町並みブームを反映してか、巣鴨に一風変わった美術館が現れた。2003年にはできていたらしいが、筆者が知ったのはここ半年ほど。巣鴨のとげぬき地蔵通りをそれなりに歩いて、都電荒川線の庚申塚停車場の近くまで来ると、途中の脇道に「ちはら町並み美術館」(巣鴨4-14-10)はある。巣鴨では乗り換えなどで降りる機会はあっても、地蔵通りを歩いてどうこう、という程の余裕はなかったので、二の足を踏んでいたが、10月30日に、人形町、菊川(→東京都現代美術館)など、都営線を使ってまとめて移動する機会があったので、ようやく足を運ぶことができた。今回のネタ用に、ということもあり、雨の中を何とか参じたのだが、入館締切16:30のところ、16:20にはすでに完全に閉まっていて(シャッターが下りてるし、照明も消えてる)、残念ながら断念した。(もっとも17時閉館なので、入れたとしても30分じゃちょっと...) 個人美術館なので、不定休なのかも知れないが、ちょっといただけない話。

ちはら町並み美術館 個人宅(2F以上)と一体になった箱型の建物で、名称に反して、その美術館自体(1F)には、古くからの町並みを再現するような工夫はない。古民家を改造した瀟洒なギャラリー(?)と勝手に憶測していたが、それも見事に裏切られ、まぁご縁がない時はこんなもの、と思った次第。

 だが、中に入れば、京都市(二年坂)、徳島県池田町・貞光町、群馬県下仁田町、奈良県榛原町、広島県竹原市など、画家であり、館長である千原さんの精細な絵の数々にお目にかかれるはずだった。(巣鴨駅で入手したパンフレットに掲載) 機会を改めて再訪しようと思う。(今回はそんなこんなで、空振りモードになってしまいました。)w(-_-)w

 町並み美術館は、巣鴨のとげぬき地蔵通り沿いにあるが、この通りこそ、町並み探訪には打ってつけの中仙道の旧道。立地はバッチリなのである。ここからさらに西へ進んで、庚申塚電停からJR板橋駅まで歩くと、約15分の距離。その間、旧道ならではの佇まいがそことなく感じられ、「東京の町並みここにあり」となる。旧街道を以って町並みと称するなら、東京都北部では他に、北千住の宿場町通りも名高いが、妻籠・馬篭の集積具合に比べれば、町並みと呼べる程の並びようではない。東京では確かに「並み」を形成できるような場所は見つけにくいのかも知れない。

豊島区西巣鴨3-19 試しに、10月31日の夜、所用の帰途に、庚申塚から板橋まで歩いてみることにした。往時を偲ばせる木造建ての民家・商家は、約1kmの道中で6軒程度。殊の外、少数だった。代表格は、[豊島区西巣鴨3-19]界隈の紙屋そばやだろう。20時を過ぎて紙屋さんが店じまいをしている時、自転車で通りすがりのご婦人が「こんばんは」と声をかけるのが聞こえた。店主もそれに軽く応じる。当たり前のようで今は珍しくなった、こうした日常的な光景がここにはしっかり根付いている。古い町並みが全てではなく、こうした人の息遣いがあることで、町全体の「佇まい」が醸し出される。町並みとは外観だけでなく、住む人の心あってのもの、というのは言い過ぎだろうか。

 中仙道が明治通りと交差するところ(堀割)で、豊島区と北区が分けられる。北区滝野川に入ると程なく、洋館風の建物が目に付く。実に「亀の子束子」(西尾商店)だった! 何度か通ったこの道だが、町並みを意識しないと発見できないこともある。これはちょっとした収穫だった。

 という訳で、城北の町並み(佇まい)を楽しむなら、板橋〜庚申塚〜巣鴨の旧道がオススメ。途中、庚申塚の停車場で、この切絵[↓]を眺めてみたり、町並み美術館(要事前確認/TEL:03-5394-4170)に立ち寄ることができれば、絵心も加わって言うことなし!(かな?)

 筆者的に好きな町並みは必ずしも旧道縁辺に限ったことではなく、やはり地域のペースや豊かさが保たれている地を挙げたいところ。美観という点では、北区だと西が丘の同潤会住宅を推したいし、上中里から田端にかけての線路沿いの丘上の径もいいと思う。そろそろ第200話が視野に入ってきた。次の東京百景に向けて、筆者流の東京の町並みを考えながら、掲載準備を進めようと思う。

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