随筆「東京モノローグ2003」(5−6月期)
index 次へ 随筆「東京モノローグ2003」(3−4月期)



第139話 待ち時間考 / 第138話 止めてもいいけど...〜自転車通勤、しばしお休み / 第137話 タクシー地名考(羽田空港編) / 第136話 試食生活

第139話 待ち時間考(2003.6.15)

 6月10日は時の記念日。だが、この日に限らず、時間についてはふだんからいろいろ思いを巡らしたいものである。「時は金なり」と言う。時間をお金に換算すると結構馬鹿にならなかったりする。という訳で、時間に対する意識が高い顧客サービスはきっとウケが好いことだろう。

 顧客志向を謳う指南本などには、商人道、そして「お客様道」が説かれているが、心構えや精神論、仕掛け論や工夫論、総じてサービスの質向上に関するものが多く、お客の時間を大事にすべし、といった観点の記述は案外少なかったりする。(せいぜい、待ち時間(ウェイティングタイムだそうな)の負担感をどう減らすか、どう緩和するか、といったところ。例えば、待っている途中の声かけが大事だとか。)

 時間のロスは致し方なし、そこをいかにサービスでカバーするか、ということだとしたら、それは逆のような気がする。客への敬意があれば、自ずと客の時間も大事できるだろう。

 公共サービスは、まだまだ顧客志向は弱いかも知れないが、逆に公共ゆえに、社会全体の時間尊重という視点がほしいところ。待ち時間などを減らす工夫がインフラやシステムに組み込まれていれば、人々のイライラやストレスもかなり減じるだろうから、公共サービスもやりやすくなるだろうと考える。

 時間のロスが日常的に多いために、つい駆け込み乗車や、ついムリな横断をして、日頃のロスを埋め合わせようとしてしまうのかも。(どっちも事故の元!) 本当にそういう心理が働くのであれば、ふだんからもっとロスを減らす社会的な工夫が必要だと思う。

 一人一人の時間をいかに大事にするか、いかに有意義に使ってもらえるようにするか、という観点をあらゆる業務に採り入れると、社会的な効率はアップし、より有益な時間の使い方、そしてお金の使い方ができるようになるかも知れない。物理的なムダをなくすことも重要だが、時間的なムダも視野に入れることで、社会全体の効率も、そして環境負荷も、より一層減らしていけるのではないか、といつも思う。

 何はともあれ、時間のロスと言えば「待ち時間」。待ち時間が長いと損した気分になるのはもっともなこと。客を待たせない、待たせても損した気分にさせない、これはサービスの要と言えそうだ。それを裏付ける上で興味深い調査結果が発表された。待ち時間とイライラ度の相関関係についてのものである。筆者が思うところを大いに符合するので、調査結果の一部を引用しながら、コメントを付してみたいと思う。(⇒調査の詳細はこちら


◆イライラタイム◆

 どの程度待たされるとイライラを感じるのか。さまざまな状況(シーン)でのイライラを感じるまでの限界時間を聞いてみました。

 3. 金融機関のATM ―― 『3分』から『5分』が7割以上。

 インターネットで振込や残高照会などができるご時世にあって、未だに多いのがこのATMでの行列。何も昼休み時間中に、大げさな振込をしなくてもいいものを...そう思わせるご年配客が多いのは事実。(客が少ない時間帯に来店するよう、金融機関側も呼びかけてもいいのでは?) 記帳機の行列も時折見かけるが、それは何冊もの通帳を持ってきて、まとめて記帳機にかける人がいるせい。本人はご満悦かも知れないが、生憎あまりスマートとは言えない。


 4. 通勤時の電車の遅れ ―― 『5分』遅れたら半数強がイライラ。

 筆者常用のJR埼京線は遅れることで超有名。利用客も慣れっこなのか、イライラする人はあまり見かけない気がする。

 ⇒参考:第121話「フライングとビハインド」


 6. エレベーターを待つ ―― 6割強が『30秒』まで。10年前よりはやや気長に。

 赤羽図書館は、赤羽会館という建物の5階にある。図書館に行くにはエレベーターが欠かせないが、ここのエレベーターが実に風変わりで、閉扉してから動き出すまでは早いのだが、目的階に着いてから、扉が開くまでの時間が5〜7秒かかり、極めて不評。当然、待機する時間も長くなるため、イライラする人をよく見かける。

 電器量販店激戦区の新宿には、南口の高島屋にB電器というのが入っていて、一応激戦区の一角を占めている。しかし、階数の多い高島屋(タイムズスクエア)では、とにかくエレベーター利用客が夥多なことから、11階にあるB電器にたどり着くまでがひと苦労なため、足が向く客はあまりいないのではないかと案じている。価格や接客で勝負するのは結構だが、客のアクセス、客が来店できるまでの時間、をもっと重視できなかったのか、と思ってしまうのである。

 一般的に、複数のエレベーターが稼動していて、それがほぼ同期して動いている時は、筆者はあえて遅れてきた方を選ぶ。その方が結果的に早く着くことが多いからである。

 この原理は、山手線と(快速運転してない時間帯の)京浜東北線が並走する品川〜田端間を移動する時も応用可能。例えばラッシュアワーに、先に入ってきた山手線に乗ると、後から来た京浜東北線に途中から抜かれてしまうことがある。つまり、先に入ってきた方に乗客が集中するため、乗り降りの時間が長くなり、後発に先を越されてしまうのである。

 時間を節約するには自分自身で工夫できる余地はある訳だ。


 7. 歩行者として信号を待つ ―― 『30秒』までが半数。女性の方が気が短い。

カウントダウンの電光表示(これはあと20秒程度で歩行者GO!) これは公共サービスでの要検討項目。歩行者信号機に、待ち時間カウントダウン表示が付いているものもあるが、実際の秒数を表示するものではないため、かえってわかりにくく、イライラのもとになったりする。(「あと○○秒で渡れます」の方がいいかも。) 特に複雑な交差点の場合は、信号が変わるパターンとそれぞれの秒数を大きく図示したものがあると親切だし、事故も減るのではないかと思う。


8. スーパー、コンビニなどでのレジ待ち ―― 約半数が『2分』でイライラ。

 一列待機方式が増えてきたことで、不公平感が減った分、イライラも少なくなっているとは思うのだが、待ち時間が長いことには閉口する。("2分"という時間はごもっともな感じ。) ここは一つ、小口客と大口客を分けるといった策を講じて、客の時間をもっと効率化(公平化)してもらえれば、と思う。

 ちなみに、一列待機をとっていないスーパーでは、@並んでいる客の買い物量が少なそうな列、Aレジ係が複数いて、テキパキこなしている列、Bご年配客が少ない列、を選ぶことにしている。ファーストフード店で一列待機をとっていない場合は、大量注文しそうな親子連れの列を避ければ、まず大丈夫だろう。

 11. ランチタイム時、目指すレストランでの空席待ち ―― “『10分』以上でも”が半数以上。

 この待ち時間を短縮するのは商売の基本だと思うが、必ずしもそうでない面もある。特に人気店の待ち行列には注意したいものである。

 ⇒参考:第70話「行列のできる店」

 12. ランチタイム時、オーダーしたメニューが運ばれてくるまで ―― 『10分』までが半数強。

 作り置きしてそうな「お手軽ランチ」とか「日替りランチ」の類がなかなか出てこないと確かにイライラしがち。串料理+麦トロ飯のランチメニューが出る○○炉では「30分以内に配膳できなければ無料」とかになっているが、この"10分"という数字の前では少々インパクト不足かも知れない。

 この提供時間を短縮する、ということにかけては、指南書での事例は豊富なようだ。だが、具体的に10分といった数字まではあまり想定していないだろう。(10分以内に前菜なり、スープを出して、まずは間を持たせる、といったところか。)

 ちなみに、ご存じ"m"では、(以下、枠内引用文)

砂時計を使って
お客様にスピーディに注文品をお出しする
" チャレンジ !! " 60秒サービスキャンペーンを開始
5月19日から、124店舗で、ピーク時間の11:30〜13:00に実施!


 このキャンペーンは、店舗スタッフが時間を意識して接客し、お客様をできるだけお待たせすることなく早く注文品をご提供するという“ファーストフードの原点に基づいたサービス”を行うことを目的としています。60秒という目標を明確にし、この時間内に商品をお渡しできるようにチャレンジすることで、お客様にファーストフード最大のメリットを体験して頂きたい、といった考えからスタートしました。

 本キャンペーンのメカニズムは、お店が一番混雑する時間帯11:30〜13:00の間に、カウンターのレジ脇に60秒計測の砂時計を置き、お客様の注文をお受けした後に商品の取り揃え時間をはかるというものです。カウンタースタッフは砂が落ちきらないうちに受け渡しを終えることを目指します。もしも、ご注文の商品をそろえられない場合には、ポテトのクーポン券を1枚お渡しいたします。

 既に4月から新宿地区の6店舗にて先行実施を行っており、1時間あたりの客数が新記録を達成する店舗も出てきました。また、お客様からは、「本当に、60秒で用意してくれる」「おもしろい試みだね」というお声を頂くとともに、お待ち頂いている間興味深くじっと時計を見つめるなどの姿が見受けられました。店舗スタッフにおいては、60秒の時間の感覚が意識できるとともに、スピードに対する意識が飛躍的に高まったとの結果がでています。今後はこのキャンペーンを全国規模に拡大していきたいと考えています。

支払い用トレーの下で待機する「60秒砂時計」 というのを始めた。mから足が遠のいている筆者は、このキャンペーンを実体験する機会がまだないので何とも言えないが、ひとまず時間サービスの好例と受け止めている。ただ気になるのは、注文するまでの待ち時間をどう考えているか、という点。注文してからの処理を早くするのは結構だが、mでネックになるのは細かいメニューがわかりにくく、注文するのに手間取ること。待っている間にメニューを見て、予め決めておけるようにしてある店もあるが、それはまだ一部の店舗。この60秒サービス実施店であればなおさら、注文するまでの待ち時間の工夫も連動させて、トータルなスピードアップを図ってほしいものだと思う。(ついでに言うと、セットメニューの税込価格もどこかに表示してあると、お金のやりとりに伴う時間短縮も可能だと思うのだが。)

 "Quick"や"Fast"を売りにする以上、客が買いに来る(対価を払う)のは商品そのものに加え、効率や俊敏さになるだろう。

 そんな「客の時間を大事にする」という意味では、第20話第72話でご紹介したQBはドンピシャの成功例と言える。今でも大繁盛である。(特に赤羽駅構内店は連日大入り! 逆に待ち時間が増えてたりして...)

 効率や俊敏さ実現のためには、とにかく客の手間や時間のロスを減らす工夫が欠かせない。特に回転寿司店では、ネタ切れになった寿司ネタを掲示板などで大書しておいてもらえると、客も店員も二度手間にならないし、注文時に気まずくならなくて済む。注文効率を上げる工夫と言える。どんぶり屋で食券方式のところは、券売機でまごつく客を減らすための工夫がほしいところ。(券売機で長い行列ができるほど無意味なことはないだろう。) どんぶり物は時間がかからない、と思いきや、食券を受け付けるまでの時間ロスが結構大きかったりして、時間効率を買いに来た客にとっては腹立たしいことこの上ない。これも注意してほしいことの一つである。

 筆者流にポイントをまとめると、以下のような感じになるだろうか。

  • 待ち時間の間にも、何か有用なサービスを提供し、有意義に過ごしてもらう。(掲示板、フリーペーパー、ディスプレイ表示...)
    *予めメニューを渡し、選んでおいてもらうのも含む。

  • 待ち時間を正直に表示し、心理的負担を減らす。

  • 時間がかかるサービスと、時間がかからないサービスの利用客を分けるシステムを設ける。(小口客の時間が大口客の犠牲にならないよう配慮)

  • 時間ロスのもととなる(=客が悩む・迷う)要素は排除する。(よくありがちな問合せ内容を明示しておく。不明な点はできるだけなくす。)

余談)クイックなサービスが求められる一方で、スローなサービスが求められることがある。ただスローと言っても本音では、客が店員と相対している時間(即ち自分自身の時間がまだ持てない状況)はできるだけ短く、そして自分だけのスローな時間を早く持ちたい、ということだろうから、「スローな中にもクイックあり」(=閑中、忙あり?)、つまりメリハリは必要になるだろうと思う次第。

☆要するに、客の立場に立って、客が求める「サービスとしての時間」をどう提供するかを考えたい、ということである。筆者も重々心したい。

第138話 止めてもいいけど...(2003.6.1)

 山手線内の自転車を通勤を始めたのが1999年5月のことだから、はや4年前(当初の状況は、何と95話も遡る第43話の通り)。世紀をまたぎ、新宿から青山、恵比寿から田町、そして代々木から青山、とこれまでさまざまなルートで乗り継いできた。

 短距離の往復とは言え、自転車を酷使しているため、初代通勤用自転車は、第46話でのメンテナンスも空しく、2000年9月で引退。今、代々木駅に駐めてあるのは2代目(と言っても、かなり旧式)になる。その2代目も、もとは自宅での予備用だったため、かなりガタが来ていて、通勤用に転用してからは追い討ちをかけるように、ベルは破損・紛失し、前輪のライト(なぜか電球部分)が壊れ(正しくは壊され!)、前輪ブレーキも断線してしまったので交換し、カギは抜き差しができなくなったので取り外し、後輪はタイヤそのものがヘロヘロ状態、という有様。

 こんな態だから、路上放置でなく、しっかり駐輪場に駐めてあっても、持ち主不在と思われても仕方ない(?)。通常、撤去対象には1週間の予告期間が付与されるのだが、何と予告なしで撤去されかける始末である。(係員のオッサンにワイヤー錠を切断された挙句、隅っこに追いやられてしまったのである。ワイヤー錠は100円ショップで調達したお手軽品だったからまだ良かったが、ヒドイ話。抗議を込めて、そのワイヤー錠を復元し、再度使うことにした。)*代々木駅の無料駐輪場については、第93話で紹介した通り。ドコモビルの手前にある。

 災難は駐輪中だけにとどまらない。走っている最中にも起こる。(故障系のトラブルは除く。ちなみに、4年間の走行で事故はゼロ。ご心配なく。) 防犯登録はきちんとしてあるものの、そのあまりのボロっちさに、盗難自転車と疑われるケースが何とも多いのだ。

 2003年4月までで、外巡りの警官に呼び止められたのが確か4回。4回中3回は夜間で、ライト不十分(または、ランプ故障後)だったので、致し方ないところ。(だが、あとの1回は...)(-_-)

 最初は、北参道交差点付近。提示を求める前に、こっちがすんなり免許証を出すもんだから、お巡りさんも意表を衝かれたようで、終始恐縮していたのが印象的だった。「よく呼び止められるもんで、慣れっこです」とか言って差し上げた。

 新宿御苑の大木戸門の前で網を張っていた警官コンビに止められたこともあった。新宿駅周辺を出た盗難自転車は、新宿通りではなく、その隣の御苑沿いの道をコソコソ走って来る、という読みなんだろうか。

 後ろから自転車で尾行されて、追い抜きざまに止められたこともあった。これも北参道付近。同じ場所で2度目だったのと、前輪のライトが壊されてしまった後のことだったので、無灯火で走らざるを得ないのは治安が行き届いてないせいだ、とか、他にもっとするべきことがあるだろう、とか言って、珍しく?!息巻いて見せた筆者であった。(さすがにお巡りさんもタジタジ...) すぐに放免していただいた。

 まだ明るい時分、急ぎの用事のためにわざわざ自転車を駆り出して走っている最中にムリやり止められたこともある。(理由は未だによくわからない。)これが4回目。この時は、第122話に書いた「ゴールド免許証」を持っていたので、堂々と提示し、優良運転者に何言う者ぞ、と威張って見せて、先を急いだのであった。(でも、この呼び止めのせいで、予定到着時間が遅れそうになったのは事実。いい迷惑である。)

 呼び止められるのはご免なので、ライトの代わりとして、小さい懐中電灯を100円ショップで買って使っていた時期もあった。だが、カゴに入れてカバンで押さえても、なかなか照らす先が安定せず、揺れる光を目で追うことになるもんだから、かえって危ないことがわかり、程なく断念した経緯がある。きちんと修理すればいいんだろうけど、いっそ自転車本体ごと買い替えた方が良さそうだったので、放っておいた。(そしたら、歳月は流れ〜... 今日に至る、てなワケ)(^^;

 1年に1度のペースで来ているので、今年はもうないだろうと思っていたら、先の5月22日の21時過ぎに、今度は外苑前交差点付近で不意打ちを食らった。

 おそらくどこかからか追尾していて、こっちが信号待ちしている間に抜き去ったんだと思う。いつしか警官が先に走っているのを見つけた筆者は、間違っても抜かないように徐行運転していたのだが、不意に横付け&待ち伏せして止められたので、ビックリだった。(何とも意地悪な戦法である。)

 いつも通り、素直に免許証を出したが、それが面白くなかったらしく、やれ自転車を人通りの少ない方に動かせだ、名前の読み方はどうだ、ライトとカギは早く直すべし、などと強弁だったのに加え、無線での照会にもやたら時間をかけてじらすじらす。

 あんまり癪に障ったので、証拠写真を撮っておいた。外苑前周辺でフラフラしているお巡りさんを見つけたら、要注意である。(難癖をつけられる前に自衛策を講じましょう。)

 まだ延長できたが、ひとまず1年間の契約期間に達したので、「環境パートナーシップオフィス」を去ることにした。次の話がハッキリするまでひとまず休職中の筆者である。(話せば長くなるので、詳細はまたいずれ...) そのため、自転車通勤もしばしお休み。離職するにあたり、せっかく記念品でいただいた「ジェネトリック・フラッシャー」(なんと自己発電タイプの安全発光装置)だが、出番はいつになることやら... (記念品の数々、どうもありがとうございました!)

 これを早くから取り付けていれば、不本意な呼び止めを食うこともなかっただろうに。後の祭りである。

第137話 タクシー地名考〜羽田空港編(2003.5.15)

 第87話から早くも2年(50話分)が経ってしまった。何でも8月5日がタクシーの日だそうだから、それにちなんででも良かったのだが、前回調査と季節的に同じくらいの方が多少は比較材料になっていいだろう、てなもんで、5月11日の日曜日、わざわざ羽田空港まで出かけていって、タクシーの地名(営業所名)調査を敢行してきた。(通常、東京モノローグではネタ書きのために出かけたりしない(何かのついでに書くのが慣わし?)ので、今回は極めて異例である。それだけ身近なネタが不足してきたのかも。) 成田空港に行ったなら、5月20日が開港記念日なので、多少は因果もありそうなのだが、残念ながら羽田は8月25日が開港記念日。そういう意味でもイマイチ必然性のない話題なのだが、まぁたまには閑話休題ということで。

羽田空港駅から折り返し、印西牧の原行きになるC-Flyer特急。 喫煙所がなくなって、快適になった京急品川駅に似つかわしく、快適そうな列車がすべり込んできた。初めてお目にかかる、この"C-Flyer"という編成、ちょうど空港行きの特急だったので、実にタイムリーだった。(これで単に空港に行くだけ、という理由付けは回避できた?) 14:40には羽田空港に到着。うろうろ展望デッキなどに行っていたら、おっと間もなく15時! どうせ調べるなら定時からと思っていたが、エスカレーターのからくりで、1Fの到着ロビーに出るのに思いがけず時間がかかり、定時スタートはNG。

 前回は待機中のタクシーをざっと調べれば事足りたが、空港では勝手が違った。待機できるスペースが限られているため、入れ替わり立ち代りで追いかけ続けなければならないのである。15:03にANA・ANK側のタクシー乗り場(17番)に着いたが、すでに何台か動いている最中。あちゃー(+_+)、と思ったが、よく見るとお客の人数はまばら。1台は調べそこなったが、その後は全く問題なく、定点観察することができた。(という訳で、17番乗り場は、15:30までの27分間、調べることにして、もう一方のJAL・JAS側は15:33〜16:00で同じく27分間、調べる設定にした。)

 以下、営業所名50音順 + 社名略称(○○交通・○○自動車の場合、○○部分のみ記載)の50音順で一覧化してみる。 *注)( )数字は台数。( )がないものは1台。


◎ 5月11日(日) 15:03〜15:30、羽田空港1F−17番乗り場を出発したタクシー

営業所名

社名

赤羽

新日本

足立

ダイヤ

池上

都南

板橋

日興

荏原

個人

大森

EM自交(3)

蒲田

小田急、個人、平和(3)

港南

国光

小岩

個人

石神井

個人

砂町

東京無線

千住

東交自

深川

大和

練馬

個人(2)

代々木

東京無線

*これまで23区内を走るタクシーの地名を結構意識して見てきたが、[荏原](品川区)は初めて見た。それにしても、赤羽、板橋のタクシーには意地のようなものを感じる。

 さて困ったのは、タクシー乗り場前の空港出入口の両翼が喫煙スペースになっていて、調べている間、煙害に遭ってしまうこと。せっかく施行された健康増進法(受動喫煙防止)だが、首都圏私鉄は敏感ながら、空港に至っては対応が遅れているようである。仕方がないので、出入口の内側に引っ込んで、遠巻きに調べる筆者なのであった。(だが何台かまとめて動きがあると、さすがに追いかけきれないので、あわてて外に出て、調べ直すことに。) 乗り場には高級ホテル同様、タクシー案内専門の若い女性スタッフが付いているが、さっきからクリップボードを持った変な調査員が出たり入ったりしているのを不審に思ったことは間違いないだろう。(^^;

 飛行機の到着にムラがあるせいか、タクシー待ちの客の列にはかなりバラつきがあった。日曜日の午後を狙ってはみたものの、思ったよりも乗客が少ない、というのが正直なところ。単に利用客が少ないせいかも知れないが、結局27分間で22台。1分に1台の割合で動いていないことがわかった。予想通り、都内のあちこちからやって来ることは確かだったが、台数的には意外な感じ。もっともタクシー側もその辺は見透かしているようで、客がいないと見るや、乗り場には付けずに、空港内道路をぐるぐる廻って、乗客の列が目に留まるとタクシー列に加わる、ということをやっているようだ。利用実態に合わせての動きだとは思うが、タクシーが少ない、と見られて乗客が敬遠する、なんてことがあれば機会損失だろう。待機スペースが課題だが、まずはタクシー行列ができてた方が利用客も増えるかも知れない。(だいたい空港内をぐるぐるやっている際のエネルギーロスはどう考えるんだろう?)

 ちなみに、15:19〜15:27までの8分間は、乗客不在でタクシーに動きなし。運転手のおじさんも待ちぼうけ状態で、女性スタッフと会話してたりなんかして... 何とも長閑な話である。

 JAL・JAS側(3番)乗り場での27分間の状況は以下の通り。どうも千住のタクシーはさっき17番を出発したタクシーのようである。前回の調査ではわからなかったが、今回のように1時間かけて調べると、同じタクシーに出くわすこともある訳だ。


◎ 5月11日(日) 15:33〜16:00、羽田空港1F−3番乗り場を出発したタクシー

営業所名

社名

足立

中央

大森

EM自交

荻窪

東京無線

蒲田

個人、日新、平和

錦糸町

東京無線

江東

イエロー

下落合

安全

千住

東交自

玉川

ビゲスト

三鷹

東京無線

目黒

京王

*城南地区のタクシーが案外少ない。稼ぐエリアが違うのかも知れない。

 結果、こっちは何と13台。約2分に1台のペースである。15:38前後にはタクシー0台、なんていう状況も発生。乗り場に寄り付かない通過タクシーは何台も見かけたのに...

 女性スタッフは30分交代のようである。同じくこっちも16時定刻に引き上げ、あとは到着ロビーとかANAのアンテナショップとかを見て廻って、再び17番乗り場へ。(相変わらずタクシーは閑古鳥。) ちょうどその隣りの18番から蒲田駅行きの京急バスが出るところだったので、それに乗り込む。往路の颯爽とした特急列車とは打って変わって、帰途は羽田の沖合いや本羽田の下町を眺めながら、ゆったりとバスに揺られる筆者だった。

...次回のタクシー地名考は、東京か新宿か? お楽しみに。

第136話 試食生活(2003.5.1)

 デパ地下では当たり前だが、大きめのスーパーでもよく見かける試食販売。ここんとこ、赤羽のIYに出かけることが増え、行けば必ず食料品売場に立ち寄るものだから、すっかり試食づいている。筆者地元の駅近くにある中堅スーパーでは、スペースがないせいか試食販売はまずやらないので、IYに来ると物珍しさも手伝って、ついつい手が伸びてしまう。(そのせいか、最近は高め安定体重?)

 本屋店頭での英会話教材の押し売りまがいの攻勢とは異なり、試食品についてはちょっと手にしたとしても、時間的拘束を受ける訳ではない。それでも時には、押し付けがましいのや、やたら喧しいのがいて、かえって顰蹙&敬遠を買うケースも見かける。プッシュ(北風型)よりもプル(太陽型)で、と客が思っても、セールス業界では通用しないのだろう。だが、下手な営業マンの行け行けドンドン型の攻撃はあまりに能がない。試食販売も同じ。「もっと工夫すればいいものを...」と思わせるようなら、それには及第点は与えられない。

 ここIYに関してはまぁ平均的な接客ぶりなので、何とか対応できる訳だ。それでもこっちも慣れたもので、販売員との会話モードになる前にとっとと立ち去ってしまう。こと試食に関しては極めてクールな筆者であった。

 一般的に試食コーナーと言えば、話芸に長けた人が多いし、話芸に酔っている人さえいる。とにかく口上につられないように注意したいものだ。愛想を振る舞うのは必須だし、商品によっては華やかさが必要なものもある。場の雰囲気や空気を盛り上げるのも仕事のようだ。つい立ち止まり、いいカモになってしまうこともある。ご用心。(^^;

 商品知識が多少ある場合は、問答のようなことをやって(例:「この添加物は大丈夫?」「近くにもっといい産地はないの?」「昔はこういう売り方だったのに」等々)冷やかすこともあるが、先方も客の生の声を聞くのが仕事だろうから、案外きちんと聞いてくれてたりするもので、時には楽しい。

 食べてみると案外おいしかったり、思わぬ商品知識が聞けたり、そうなると試食と言えども侮れない。それが特売品だったりすることもあるので、試食した上でちゃんと買って、ということも大事だと思う。消費者に対して、きっかけを提供することがいかに重要かがわかる。たとえ実売に結びつかなくとも、商品を少しでも覚えてもらうのが狙い、ということなのかも知れぬ。

 さて、試食品を確実にGETするにはコツが要る。(1)他の客と熱心に会話している最中、そのスキをつく。(2)とにかく販売員が席を外している間を狙う。(3)人だかりに紛れ込む。の3つが有力か。逆に上記の条件が整っていない時は勇気が要る。ちょっと高価そうな試食品が出ている時は、つい遠慮してしまうものだが、えてして周りの客も誰かが率先して行くのを待っていたりする。実に数奇だ。第52話で書いたが、人の倣いというのは不思議なもので、誰かが先鞭を付けるとその後は我も我もと集中することがある。これは特に自発性のない日本人の哀しい習癖を示しているようでやりきれない。(筆者は率先型でありたい、とは思っているが、試食に関しては自信がない。)

 喜んで試食・試飲にありつくのはいいが、気になるのは使い終わった容器などのゴミ。容器包装リサイクル法の対象になっていると思われるが、大抵、プラスチック系も爪楊枝も、食べ残し・飲み残しがあっても全てごちゃ混ぜで廃棄されているようだ。(--;

 という訳で、4月末日の17時頃、ふだんはあまり意識しない商品名の詳細を含め、実態調査をしてみることにした。結果は下表の通りである。(結局、全て試食・試飲のみ。買いたいと思う品は残念ながらありませんでした。) 調査とは言え、今回これだけゴミを出してしまった次第。面目ないやら、申し訳ないやら... 今後は"マイ試食用容器"を持っていくとするか?!

試食した順番

メーカー

品名

容器

食器

価格

容量等

備考

カゴメ

こくみトマト

 

 

 

\298

1パック

宮崎県産プラムレッドを使った簡単なサラダ。レシピを教えてもらった。

オタフク

お好みソース

 

 

 

\278

500g

オタフクの知名度アップのため、とのこと。お好み焼きを試食。イラク産のナツメヤシの実(デーツ)を使っていることで有名。戦争の影響はなかったらしい。

ミツカン

鶏そぼろちらし

 

 

 

\198

2人前

肝心の商品名の貼り紙が「鶏そぼちらし」になっていて大ウケ!

五目ちらし

\298

4人前

サッポロ

生搾り

 

 

 

 

\2480

24缶

発泡酒の酒税がアップする前日、ということで大サービス。(1ダースに1缶のおまけつき)

ヤマザキ

苺のロールケーキ

 

 

 

 

\108

1ロール

この日唯一の男性販売員。黙々とさばいていた。

ヤマサ

せいろつゆ
(蕎麦用)

 

 

 

\248

300g

ふだんは\288。40円引きだが、あまり売れてないとのこと。(地味なご婦人販売員なので、致し方ない?)

中休み

IYオリジナル?

国産黒毛和牛切り落とし

 

 

 

\398

100g

一皿だけ残っていたが、寸差で先を越されてしまい、中休みに。(-_-) 残念。

準備中

Pasco

 

 

 

 

 

日曜日はヤマザキと並んでガンガン出しているのだが、この日は閑古鳥。

不明

冠生園

焼き餃子

 

 

 

 

\550

15個

爪楊枝は置いてあったが、試食用ではなかったらしい?

 日曜日と比べて、パン、アルコール飲料、惣菜、魚介が各1ずつ足りない感じだったが、それでも6つの試飲・試食を体験できた。日曜日のこの時間だとごった返し状態なので、おそらくここまで調べられなかっただろう。そこそこ味わえたし、まぁ良かった。

 仮に全部の試食を2巡りできたなら、それで満腹になってしまうかも知れない。今回は遭遇しなかったが、レジ外にある軽食店が、大きなタコ焼きを1個、試食で振る舞うことがある。そんなのをつまんだ折りには、いっぱいいっぱいである。

 もう一つ気になるのが、試食品の食べ合わせ。今回もそうだが、バイキングスタイルのビュッフェでもなかなかない組み合わせが結果としてできあがる。胃袋はビックリしていることだろう。いい気になって手を出し過ぎないよう、自己責任で管理する必要がありそうだ。


Copyright© 冨田行一<Kouichi Tomita> All Rights Reserved.

ページ先頭に戻る

ご声援用バナー *週に一度のクリック、よろしくお願いします。(^^)