随筆「東京モノローグ2008」(5−6月期)
index 次へ 随筆「東京モノローグ2008」(3−4月期)



第259話 人と里を結ぶ新交通〜1400駅乗降達成記念紀行小話 / 第258話 パソコン持込対応etc. / 第257話 外食におけるアップダウン / 第256話 昭和63年 其の一

第259話 人と里を結ぶ新交通(2008.6.15)

 巷では東京メトロ副都心線の話題で持ちきりではあるが、ちょっとした経過観察をしてから書こうと思っているので、今回はパス。代わりに、今年都内で開業したもう一つの新路線の方を遅れ馳せながらご紹介しようと思う。「日暮里・舎人ライナー」である。(何やら6/12に停電事故があったそうだが、本稿(紀行文)はその前の話なので、とりあえず掲載。)

 これまで足立区西部の住民は、環七通りなどの東西か、尾久橋通りの南北か、いずれかのバスを使って鉄道駅にアクセスし、都心へ向かっていた。いわゆる鉄道空白地帯で暮らしていた人々にとって、この日暮里・舎人ライナーは、待望かつ悲願の路線であることは言うに及ばず。計画決定から実に20年以上が経過しており、途中、1999年度、2003年度、と開業予定年度が二度変更されていることから、とにかく待たされた、という思いは強いだろう。開業に至った喜びは格別だったと思われる。筆者はそれほどではないが、開業したとなれば...

  • まずは見物

人が多いと改札が余計に狭く見える 3月30日の開業初日、日暮里駅が大勢の乗客で混雑したのはご既知の通りと思う。改札口周辺がそれほど広くないこともあって、見るからに押せ押せ。記念一日乗車券は早々と完売していたものの、通常の切符を買い求める客もなお多く、常に列ができていて、切符要らずのPASMO利用客も通りにくそうな感じ。入ってくる車両、出発する車両、いずれも満員状態だった。沿線住民ばかりではないにしても、初日のこの盛況ぶりは、待ちかねた客が多かったことを裏付けていると言えるだろう。

写真だとわかりにくいが、タワー棟ビルの結合部(幅が変わる境目)に風力発電設備はある この日は結局、日暮里駅をいろいろな角度で眺めつつ、周辺をブラブラするばかり。とあるニュースサイトに投稿するために、特に環境面で気付いたことなどをチェックしてはいたが、駅施設については目に付くものはなかった。ただ、日暮里駅前の再開発事業である「ひぐらしの里」にあるステーションプラザタワーは、サンマークシティという愛称を持つだけあって、ズバリ太陽光発電システムが設置されていて感心しきり。日は暮れようとも日は活かそう、そんなシャレ心も感じられる。ハレの開業日ながら、あいにくの雨曇りだったこの日、太陽光の方はパッとしなかった訳だが、それを補うべく風力を使った簡易発電装置が併設されていたのには驚いた。目立たない位置にあるが、風を受けて回転している時はそれなりに存在感を示す。つい目を奪われてしまうのだった。

風に散ることもなく、とにかく満開! 風がそれなりに強いことをこれで実感した筆者は、そそくさと日暮里を後にすることになる。今春の桜の満開は、この週末のこと。地元河川敷の桜を見に行くことにした訳である。幸い、いいタイミングで花見ができた。日暮里の風車のおかげである。

  • 次は試乗

よーく見るとゴムタイヤ 札幌の地下鉄もそうだが、この日暮里・舎人ライナーもゴムタイヤで走る。専門的には「案内軌条式」の軌道を電気で走る「新交通システム」なのだが、タイヤの感覚が伝わってくるのでバスのようでもある。(ちなみに、ゴムタイヤのメリットは、(1)加減速性能に優れている、(2)タイヤならではの粘着性ゆえ、勾配に強い、(3)乗り心地が良く、保線の必要も少ない、そして何より(4)騒音が少ない、とある。)

 日を変えて実際に何駅分か乗ってみたところ、確かに揺れも少ないし、静かで快適。ひたすら高架を走るため、見晴らしもよく、地域環境に目を向けてもらう上でも格好の乗り物だと思った。隅田川を跨ぐ辺りも見どころだが、ハイライトは何と言っても荒川越えだろう。足立小台と扇大橋の間は、海抜30m近くの高さを走り、首都高速をも越える。鉄道橋ではないので、視界に構造物が入らず、眺望が利くのがとにかく大きい。首都の大自然、荒川をこれだけ広々と見渡せる場所は他にないだろう。ゆりかもめほどの観光要素はないかも知れないが、十分行楽に資する公共交通だと思う。

悠々とした荒川の流れがこの通り一望できる。(下流方面を望む。)

足立小台駅ホームから北側(荒川)を見た図。その高さがわかる。

  • そして全線乗車

 ようやく都営一日乗車券(その名は「まるごときっぷ」)を使う機会を作れたのは、6月に入ってからである。

 都営交通限定での移動となるので、やたら遠回りになるが、何とか近道になりそうなバスルートを見つけ、西巣鴨から江北をめざすことにした。その江北を出たのは10:40頃。終点の見沼代親水公園に着いたのは10:50。たかだか10分ほどだったが、その間の沿線風景はただ物珍しく、キョロキョロし通しだった。自分の運転で環七を通ったり、西新井大師へ行くのにバスに乗ったり第249話参照)で、横軸では付近を見ているが、足立区西郊を縦軸で通るのは初めて。つまり尾久橋通り沿道にはこれまでご縁がなかった、ということである。

緑が見えたら舎人公園 北へ進めば進む程、未知の度合いが深まっていく。高い建物はあまり見当たらないし、畑地がチラホラ...それだけでも郊外ぽいのだが、これでもかと広大な緑が出てきたのには度肝を抜かれた。聞きしに勝る舎人公園である。おそらく地上からフラリと訪れたのでは、その広さを実感できなかっただろう。眼下に広がるのを見たから良かったのである。これもライナーならではの利点と言える。

 公園の次、舎人から見沼までは何となく小高い中に、一定の並び方ながらもそれが不規則に散らばっている印象を受ける民家の数々が見られ、長閑な気分になる。そんな気分そのままに、駅名にある親水公園へと足を延ばすことになる訳だが、思っていたよりもこじんまりしていて、のどかというよりは拍子抜けな心持ちを味わう筆者であった。

駅の下は親水公園。こどもたちには格好の遊び場となっている。 確かに水に親しめるような設定にはなっているが、あくまで人工的。ただ、尾久橋通りを挟んだ西側の緑道の方は、緑が薫る感じがして好印象。ここを流れるのが文字通り見沼代用水(みぬまだいようすい)ということだと、この先をひたすら歩き進んで行くと、さいたま市、さらには蓮田市まで辿れることになる。緑もそれなりに続いていると思うが、とにかく用水路は延々と続いている筈。試しに遠足してみる価値はあると思う。

毛長川下流方向(東側) 舎人二ツ橋というのがあって、用水に沿うように流れる毛長川に架かる橋の名前に今はなっている。川を越えてしばらく行くと埼玉県草加市。従って都営交通(ライナー&バス)はこの橋を目印に手前で止まっている。公共交通の宿命のようなものを感じるも、歩行者は関係なし。23区から徒歩で県境を越える、そんな向きにも、日暮里・舎人ライナーは好適ということになる。(成増(東武東上線)、西高島平(都営三田線)、赤羽岩淵(東京メトロ南北線)、六町(つくばエクスプレス)の各駅からも越境は可能だが、いずれも結構な距離だったり、大きな橋を渡ったり、なのである。)

 そんなことを考えつつ、その橋から毛長川を眺めるのだが、流量が多いのはいいとして、お世辞にも美しい河川とは言えず、行楽気分が台無し。越境するには相応の覚悟を要する、ということなんだろう。

舎人駅到着シーン(展望席から撮影) 11:16発の日暮里行きは、ガランとしていて、首尾よく展望席に座ることができた。(ゆりかもめ同様、自動運転なので運転席はなく、先頭=展望席) ただ、一日乗車券を持っているばかりにここから先は各駅での降り乗りの連続となる。やむなく展望体験は一駅間のみ。降りると、5分ほど駅周辺を見回してまた戻る、の繰り返し。バタバタではあるが、運転間隔7〜8分というのはちょうどいい塩梅ではある。本来ならゆっくり時間をかけて、アド街情報(「舎人線タウン」編)なんかに従って漫遊するというのもいいんだろうけど、そうならないのが筆者流。一日乗車券デーをわざわざ設けるには然るべき理由がある。午後は別ミッションが控えているのであった。(^^;

 時間帯のせいもあるだろうが、舎人界隈での乗降は少なかった。ついでに言うと、駅前整備もまだまだ途上という印象が強く、筆者的には未知=未開(?)といったところである。ヘンテコな開発は進んでほしくはないが、兎にも角にもこれからの街、であることは言える。

駅名は西新井大師西。大師に行く時は「東」へ行かなければいけない。その距離1250m! 南へ向かうに連れ、乗客は増えてきた。この時は西新井大師西から一段と多くなった気がする。辛うじて座った席から後方を眺めたら、遠くに当の大師が視認できた。その距離、約1.2kmである。先刻乗り込んだ乗客の中には、下手するとその1.2kmを歩いて、東武線を使っていた人達もいるかも知れない。大師が見えた時、どんな感慨を抱くのか、一寸聞いてみたくもなる。

高野駅改札階の外通路から尾久橋通りを見下ろすと... 江北の改札は行きに通ったので、次に降りるのは高野。これでコウヤと読む。読み方だけ聞くと「荒野?」となりそうだが、駅周辺はと言うと... 荒れてはいないが、整備工事中だった。

 かつては本数が多かったであろう都バスは減って、易々とは乗れなくなった。ライナーを降りたら、バスで乗り継いで次の駅、といったことも考えていたのだが、バス停と駅とが驚くほど対応していなかったので、乗り継ぎは益々困難。里48系統は、ライナーと全く同じルートを通るので、その補完的な役割が期待されるところ、こうも停留所が離れている(名称もバラバラ)となると、これはもう「独自路線」である。

 だが、扇大橋は別。ここは駅=停留所で、時刻表を見たらちょうどいいタイミング。ひと区間ながらバスに乗ることにした。先述した通り、ライナーの方は結構な高度で荒川を越えていくが、バスは道路橋を地味に走るので、見晴らしという点ではいま一つ。その分、川も干潟も近くに見えるので、距離感を大事にしたい方はバスがオススメと言える。

 ライナーもバスも次は足立小台駅。ここから荒川の土手にはすぐに出られる。荒川流域の駅の中ではおそらく最も河川敷に出やすい駅ではないかと思う。(→参考情報 *中段記事参照)

 乗り換えるライナーは、12:22発。ここまで大した距離ではないものの、降り乗りを何度かやっていれば時間はかかる。見沼を出て1時間が超過。未乗降駅はあと2つとなる。

これが熊野前の出口案内。迷いそう... 全13駅中、他の鉄道との乗換が可能なのは3つ。その一つがこの熊野前なのだが、予想以上の威容を誇っていて、一大ターミナルの態である。改札は一つだが、出口が4カ所もあるんだから凄い。都電荒川線からの客、同線に乗り換える客、それなりに多く、とにかく賑やか。地上に出ると、人もクルマも往来は激しく、目の前では都電が走り、停まる。停まったところをすかさず乗り込めるのが都電のいいところだが、それが可能なのはどうやら三ノ輪橋方面だけ。出口というか下界につながる階段が4つあるとは言っても、都電の早稲田方面に通じる出口はなく、尾久橋通りを横断しないと乗れないことがこの時わかった。何事も行ってみないとわからないものである。

 「まるごときっぷ」を持っていれば、都電にも勿論乗れる。だが、最後のひと駅が待っているので、乗換はしない。かくして、江北・見沼代親水公園・舎人・舎人公園・谷在家・西新井大師西・高野・扇大橋・足立小台・熊野前・赤土小学校前の順で、この日は各駅を乗降し(日暮里と西日暮里は、先の試乗の際に乗り降り済み)、最後の赤土小学校前を以って、偶然にも東京近郊駅1400駅目を達成することができた。めでたしめでたし、である。

 そんな節目を供してくれた日暮里・舎人ライナーを筆者は敬意を込めて、こう呼びたいと思う。人と里を結ぶ新交通、「里人(りねり?)ライナー」と。(日舎(にっと?)ライナーと略す向きもあるようだが、それでは能がないような...) 里と人を結ぶ、そんなイメージが強いからだ。

 なお、この後の筆者は、西日暮里に出てからバス草63系統に乗り、白山駅近くで降り、都営三田線で南へと向かう。午後は東京港各所に出没し、例の漂着物調査の場所探しを敢行した次第である。よく動いた一日だった。

  • こちらもどうぞ...⇒ 日暮里・舎人ライナー沿線ネタ

第140話 路面電車 / 第215話 自転車で23区を走る / 第217話 あらかわ号乗船レポート

 

第258話 パソコン持込対応etc.(2008.6.1)

PC席ではなく、その名は「OA席」 「東京モノローグ」を書くにあたっては、より正確性を期すためにもインターネットであちこちと情報を探すことが多い。そのため、インターネット環境にいることが前提となり、必然的に自宅で、となる。方や小説となると、ノンフィクション的な事柄については調べながらというのもあるが、基本的にはPCさえあればどこでもいい。だが、それに気付いたのは全体の半分以上を書いた後でのこと。PCの電気代もバカにならないし、自宅PC席(イス)の具合も思わしくないし、ということで地元の図書館にあるPC席(1つ→左写真)を利用するようになったのは今年に入ってからだった。時間制限も特にないし、快適ではあったのだが、易々と離席できないこと、何かを飲みながらというのがNGなこと、といった制約もあり、せいぜい数時間どまり。3月に入ってからは、第253話に書いたような押せ押せ作業もあって、執筆そのものがままならず、当然図書館に行って書いて、というのも中断。4月になって執筆は再開するも、暖かくなってきたこともあり、図書館通いはせず、自宅で延々というのが続いた。だが、イスを諦めてから、つまり座卓状態になってからしばらくすると、やはりそのスタイルでは辛くなってくる。書生スタイルと言えば聞こえはいいかも知れないが、案外長続きしないものである。ではまた図書館? いや、数時間連続という程度ではいつまで経っても完結し得ない。概ね筋書きはできていて、あとは完結に向けて書き綴るのみ、というのが5月初旬の状況。地元図書館以外の然るべきPC席を探し始めたのは漸く5月12日になってからだった。

 下書きが1ページ分あるとすると、書き上げた時にはそれが倍以上に膨らむ。4月頃の見込みではゴールデンウィーク中に完結!だったのだが、当の5月初旬に入った段階で、下書きページ20ページ相当が残っていた。つまり下手をするとあと50ページ... 何せ遅筆なもんだから平均して1ページ(新書サイズで見開き2ページ目安)書くのに1時間。一日5時間確保しても10日!である。という訳で、5月12日になってもなお、完結までの道程は遠く、同日以降、何かと図書館にお世話になるに至り、今回のモノローグのネタにも、となった次第である。

 以下に、各図書館の利用状況と使い勝手などをまとめてみた。PCを持ち込んで図書館で書き物を、という方は必見(?!)である。

  • 川口市 中央

張り出た全面ガラス窓の2フロアが中央図書館 月曜休館が一般的な中、比較的行きやすい2つの中央図書館はいずれも月曜OK。5/12は当初、豊島区(東池袋)の中央図書館を考えていたが、ホームページでカレンダーを見ると、よりによって第二月曜日が休館日。予定を変更して出かけた先は川口。月曜午前ということもあり、お目当ての「PC対応席」をすんなり利用することができた。しっかり朝食を摂っておいたので、15時過ぎまで5時間ほど通しで書き進む。フタ付きの飲み物なら持込OKというのはこの時初めて知ったので、飲み物は用意してなかったが、とにかく、ゆったりじっくりと過ごせた訳である。これは地元図書館にはない感覚だった。

5階窓際 PC対応席にて その後、5/17は6階ではなく5階窓際のPC対応席(ホームページにはその旨の案内なし)を何とかゲットし、5時間弱。ところが翌5/18は朝から満席でPC利用は叶わなかった。地元図書館も珍しく先客がいてNG。二番目に近い図書館で何とかPC席を見つけて数時間、である。とまぁドタバタではあったが、完結に向けてメドが立ったのはこの日曜日のことである。

 5/22、午後から夜にかけて、再び川口で一気に追い込み。自宅でその続きを書き上げ、晴れて完結となった。終盤、お世話になったのはこの川口市立中央図書館に他ならない。感謝感謝である。

  • 豊島区 中央

パソコン持込み席はこんな感じ (この「ビジネス支援・パソコン利用席」内では原則撮影禁止。これはそのエリア外から撮影。) 平日なら川口でもよかった訳だが、結末が見えてきたのでこの日は余裕があった。5/22にまず向かったのは豊島区立中央図書館。「お試し利用」という訳である。普通の閲覧席はやはり混み合っていたので、PC席(パソコン持込み席)も満員かと思ったら、ここは何と申込制。利用カードを作っておけば、その場で利用申込ができ、空いていればすぐにでも席を使える。しかも自前でLANケーブルを持ってきていれば、インターネットも使えてしまう。

 川口にはないこうした利点がある一方で、利用時間に制限があるのと、飲み物はNGなこと、がネックとして挙げられる。最長4時間まではOKだったのだが、ノドが乾いてはやってられないので、2時間で切り上げ、川口へ移動することにした。池袋→川口、都から県、ちょっとした移動ではあるが、こうしたハシゴは悪くない。いい気分転換になったようで、その先ペースアップできたのは前述の通りである。

  • 他区図書館を含むまとめ

 

川口市 中央

豊島区 中央

北区(地元)

千代田区 千代田

港区 みなと

名称

PC対応席

パソコン持込み席

OA席?

セカンドオフィス

パソコン利用コーナー

時間制限

なし

最長4時間

なし

(要現地調査)

最長3時間

利用申込

不要

利用カードを提示

不要

(要現地調査)

LAN接続

なし(インターネット専用PCは常設)

LANケーブルを持ち込めばOK

なし

無線LAN対応

飲み物

フタ付きのものなら可(ただし、机上放置は×)

×

×

(要現地調査)

建物・階

キュポ・ラ 5階・6階

ライズアリーナビル4階

1階

千代田区役所庁舎 9階第254話参考)

2階(だと思う)

居心地

隣席が節度ある人だったら特に問題なし。5階の窓際席は眺望も得られるのでベター。

仕切りもあるのでまず問題なし。ただし、利用申込をしない不届き者が隣に来たりすると不快。

見晴らしも何もないが、気軽ではある。

(要現地調査)

「千代田区役所フロアガイド」9Fのページ(ここには「ネットワークコンセントのある閲覧席」と書かれてある) 23区図書館全てを調べた訳ではないが、ホームページ上に何らかの案内があったのは、上表の千代田区と港区、あと近隣だと板橋区(制約は多そうだが...)といったところ。足立区の中央図書館も比較的新しいが、ホームページにその関係の案内はなく、席の有無を含め詳細は不明。新宿区・渋谷区の両中央図書館も行ってみないとわからない感じ。川口と豊島の中央図書館はここ一年以内にできた「新館」なので、当たり前のように席も案内も充実しているが、これは案外少数派なのかも知れない。

2006年5月14日、「赤レンガまつり」の会場ではその赤レンガ倉庫を採り入れた中央図書館の模型が展示されていた。もうすぐ実物にお目にかかれる。 さて、地元図書館は揃いも揃って6/2から6/13まで全館で休館(→参考情報となる。書き上がった今となってはこれといった不都合はないし、必要とあらばまた川口なり池袋に行けばいいだけのこと。むしろ、気になるのは休館明け... 地元図書館群で言うなら収蔵資料がどれだけリフレッシュされているか、そして休館中にその総力を注ぐであろう「新中央図書館」(6/28開館)がどうなるか、である。特に筆者にとっての何よりの関心事はズバリ、「PC持ち込み対応はいかに?」。大げさかも知れないが、この如何・良し悪しは、図書館の利便性・先進性のバロメーターになり得ると思っている。川口、豊島に負けない、というか両者のいいとこどりのような席が設けられることを願いたいが、時すでに遅し、か。とにかく開館後のお楽しみ(&チェックポイント)の一つなのである。(ちなみに同館へはコミュニティバスを使えばアクセスしやすいのだが、わざわざ王子に出てバスに乗ってというのもどうかと。行くとしたら十条から徒歩で、となりそうだが、いつ行けることになるやら。)(^^;

 よくよく考えると、自前PCを持ち込んで作業できる環境があるのは図書館に限ったことではない。マクドナルドの卓上コンセント席だってあるし、他の公共施設だって探せばきっとあるだろう。ただ、マクドナルドだと、店内が静まり返っていない限りは集中しづらいだろうし、公共施設の一例で「北区・NPOボランティアぷらざ」「地球環境パートナーシッププラザ」を挙げた場合、筆者は顔なじみのスタッフが見守る中で、ということになるため、おそらくやりにくい。やはり図書館の専用席で、となるのである。

 新作を書くにあたって、次はどこに出没するか... そんな予定を立てるのも一書生としては一興である。

  • こちらもどうぞ...⇒ 図書館が出てくる話題

第19話 「ソウルキッチン」 / 第139話 待ち時間考 / 第142話 都心周遊(都バス編) / 第147話 曲名の妙 / 第168話 青山ブックセンター / 第177話 小田急線 複々線化 / 第183話 本を買うならインターネット? / 第185話 隣接区図書館の遠近

 

第257話 外食におけるアップダウン(2008.5.16)

 値上げだ、サービス低下だ、と特に4月に入ってからはその声が益々高まってきた観はあるが、サービス低下、いやもともと付帯的にサービスしていたものを減らしたり止めたり、ということであれば、すでに一年前から始まっていた。ヒタヒタと兆候は表れていた訳で、原料高騰、原油高騰で一気に、というのは見方としては一面的。サービスの低下例は外食産業で顕著だったこともあり、日常生活で多少なりとも外食にお世話になっている人であれば、その予兆に気付いていたであろうし、おそらく一年前、またはそれ以上前から来るべき状況に備えてきたのではなかろうか、と思う。買いだめ騒動などを見聞きしないのは、それだけ市民が冷静に変化を受け止め、対応してきたからだろう。値上げ自体は事実だが、あれもこれもというのは騒ぎ過ぎのように思える。

 4月時点での値上げをはじめとする生活面の変化などについては、こちらの拙筆記事に譲るとして、ここでは多くを書くつもりはないが、その外食産業におけるサービスダウン&価格アップ等についてはここらでまとめておこうと思う。急なものも含まれるが、傾向は前々からあった、というのがおわかりいただけるかと。(筆者としては、サービスの今後の回復・好転を見定めるためのメモのようなもの。あくまで一例。) *店名50音順


  • Sガスト

 もともとお安いので、とやかく言うものでもないが、一部店舗ではお昼に「日替わり丼」のサービスがあった。これがなくなる(並行だったか)と、大盛・特盛の無料サービスが現れるも、今はそのサービスもなくなってしまった。(都内某店の話)

 ちなみに、埼玉県某店では、左写真のように「大盛り・特盛り無料!」は、まだ続行していた。県境を越えてみないとわからないこともある。

  • ガスト

 Sガスト同様、安さがウリだが、価格設定が各店で異なり始め(いつ頃からかは不明)、今は全般的にベースアップされた模様。ただし、田端店のモーニングメニューは以前から、板橋駅前店と比較して軒並み+100円で、ビックリしたことはある。山手線圏内価格とかがあるのかと思ったら、同じ頃、水道橋店は板橋と同じ。田端は今いったいいくらになってるのか、大いに気になるところである。

田端店では、モーニングプレートセットAが2007年11月時点で、税込504円だった。(上からシールを貼ってあるところが少々怪しげ)

*ちなみに、メニューページを見ると、下記文言が付されている。

(店舗により「メニュー内容/価格」が異なる場合がありますのでご了承ください。)
 モーニングプレートセットA(スクランブルエッグ)380円(税込399円)...

 ここ1〜2年での変化がいろいろ。付帯サービス過剰?と思えるくらいだったので、それが収まっただけかも知れないが、ぐるなびのクーポンが使えなくなり、ホットペッパーのクーポンも使えなくなり、4月からは遂に価格改定、である。イブニングカレー290円(今は新宿本店のみの取扱)というのは破格ではあったが、一気に350円というのもちょっと... 価格にかかわらず、カレー一皿につき一枚もらえる共通サービス券(例:10枚でポークカレーがサービス)は継続中なので、よしとしなければいけないだろう。

↑かつては、このような簡易クーポンも出ていた。

共通サービス券とは別に、時々「トッピングサービス券」をもらえるのも同店のいいところ。モーニングカレーB(オムレツ)に、そのトッピング2種を乗せるとこんな感じに。

  • 銀座LION

 池袋のメトロポリタンプラザ店では、ランチタイムでも小ビールがいただけて大変ありがたかったのだが、さすがにこの4月からはNG。提供時間が変更となった。(それでも、500円相当のビールが無料、というのは天晴だろう。) ちなみに、ぐるなびクーポンを見つけた当初は、グラスサイズこそ小なれど、好きな銘柄を選べたし、土日もOKだった。年月をかけてサービスが後退していくのは言い知れぬ哀感がある。

↑今年3月にプリントアウトしたクーポン部分はこの通り。「ランチタイム(11:00〜16:00)不可」といった表記はなし。

これが無料というのはやはりスゴイと思う。

  • サイゼリヤ

 実施店舗はかなり限られているが、ドリンクバー付き日替わりランチを提供する店がある。ある店では500円のところ、600円に。またある店では600円のところ、中止に。変わらないのはモーニングメニュー(これも店舗限定)くらいか。

  • J's GARDEN

 前身はすかいらーくガーデンズ。その当時は不明ながら、J's GARDENになってからは、一部店舗ではモーニングビュッフェをお手頃価格で扱っていて、これが実に良かった。一年前はまだビュッフェを楽しめたのだが、今はもう... (朝食メニューのグレードは価格の割に上々だと思う。)

  • SPASSO

 知る人ぞ知る(?)パスタ&カフェ店。価格上昇前はよく通っていたが、今はサッパリ。最もおトクだったパターンは、ぐるなびクーポンでお好きなドリンクをつけてもらい、均一料金609円(税込)でLLサイズのパスタを注文し、ダブルスタンプ(月曜来店時)を押してもらう、というもの。スタンプは10回分でパスタ一皿サービス(M、L、LL サイズ不問)なので、月曜に5回行けば1回分無料になるという、今にして思えば途轍もないサービスだった。これがサービスダウンしていき、(1)ぐるなびクーポンの対象ドリンクが限定→そのうちクーポンも廃止、(2)価格改定により、609円が680円に(サイズ不問は継続)、(3)価格改定に合わせて、スタンプも10回分から20回分に?(よく見たら1枚で20回分貯められるようになっていただけ・・・つまりペーパーレス)と何とも激しい。その後どうなっているのやら、見に行くのが怖いくらいである。

←2007年6月はまだこのようなクーポンが存在した。(これが最後だったか)

↑かつてお世話になったポイントカード(10スタンプたまれば、一皿無料!)

2007年10月、店頭には「価格変更のお願い」が...(パスタの価格はまだ609円)

2007年11月、予告通り680円に(看板もリニューアル)

 接客に難がある場合が多いので、多くを期待してはいけないのかも知れないが、朝食メニュー以外の定食で最安だった「コロッケ定食」がある日、何でもない時間に「売切」ランプ点灯状態になり、その数日後にはメニューから消え去ってしまった。そのうち500円台の定食メニューはなくなってしまいそうな予感。(おトク感を味わうのなら、朝食メニュー(380円〜)に限る?)

 店舗限定なれど、ぐるなびクーポンで50円引きというのがかつてはあった。それがなくなって久しいが、そもそも経営難だったようで、赤羽店はいつしか閉店。他の店舗もどうなることやら...


 こうして見てみると、今までの恩恵がそれなりだった訳で、低下とは言えない向きもある気はする。価格が上がり、サービスは下がり...それを承服しかねるのなら、ただ利用するのを減らせばいいだけのこと、とも思う。だが、一年前と変わらず頑張っている店も多々あることを考えると、「では、その差は何か?」と問いたくもなるのである。

 頑張っているチェーンの一例としては、安楽亭(一時期、サワーとカクテルの類が無料クーポン対象から外れたが、今は元通り)、バーミヤン(今も昔もドリンクバー105円券はホームページからGET可能)が思い浮かぶ。逆を言うと、この二社が後退局面に入ったら、いよいよ危ない(物価の危機?)ということになりそうである。

 外食各店のこうしたアップダウン(価格&サービス動向)を引き続きチェックしつつ、自身の生活防衛に少しでも役立てていければ、と思う。

  • こちらもどうぞ...⇒ 外食関連いろいろ

第21話 寿司食べ放題 / 第39話 通勤ルートのどんぶり屋 / 第64話 全国共通お食事券 / 第90話 ファミリーレストランでの「べからず集」 / 第114話 禁煙席 / 第125話 丼 / 第145話 ハンバーガー / 第155話 定食ネーミング考 / 第188話 アンケートハガキ等 考察評価 / 第220話 回転寿司店頭にて / 第235話 古き佳きナチュラルレストラン

 

第256話 昭和63年 其の一(2008.5.1)

 今から20年前は平成元年ではなく昭和最後の年、63年である。(それとも昭和64年が最後?) そしてその年の4月1日から翌年の3月31日までが、昭和がつく年度としては最後、昭和63年度となった。

 時を経て2008年4月29日は、2度目の「昭和の日」。振り返るタイミングとしてはここしかないだろう。という訳で、今回はズバリ昭和63年。ひとまず「其の一」をお届けしようと思う。

 街に出ればとかく様々な催しや華というかハレがあった。アナログカメラを手にウロウロしていた当時の筆者は、ちょっとした光景を目にするとパチパチやってたので、アルバムを引っ張り出してくると、そこそこネタになりそうな写真が入っていることがある。で、20年前くらいのをピックアップしてみたのがこの新宿、京橋、銀座の計6枚。行動記録とともにご紹介する。

  • S63/4/9:半日ほど新宿をブラブラ(西口から東口へ)。午後は「フラワーまつり」のパレードが新宿通りを賑わした。(それを見に行ったのか、行ったらたまたまやっていたのかは不明)

 左から住友ビル、三井ビル、京王プラザホテルの本館と南館。20年後、住友と三井の間にアイランドタワー、南館を隠すようにモノリスが建つ。街灯の形状もさりげなく変化している。

 柳通りの入口から西口方向を撮影。まつりのアーチは別として、少なからぬ変化が見られる。朝日生命ビルがモード学園の「コクーンタワー」に変わろうとしているのが一大変化か。FANCLとダイキンの広告看板が加わっているのと、シチズンの時計がデジタルからアナログへ、というのも見逃せない。信号の向きが変わっているのはビックリである。

  • S63/6/11:自転車で新宿入りし、高層ビル群を撮影。

 一体どこから撮影したのやら... 同じ向きになるようにあちこち廻ったが、この状態。左から、住友、三井、新宿センタービルと続くまではいいのだが、建設中のコクーンタワーがその隣りにどうしても入ってしまう。センタービルと京王プラザの間が狭くなる位置合いがつかめず、合成写真のようにせざるを得なかった。同じ位置が確保できないということは何かが変わった、ということか。

新宿西口(©ぴあ株式会社)参考地図:新宿西口©ぴあ株式会社)

銀座1〜4丁目(©ぴあ株式会社)参考地図:銀座1〜4丁目©ぴあ株式会社)

  • S63/6/19:大手町から日本橋へ、そしてひたすら歩行者天国を歩いて歩いて、という行程だった。おそらくこのショールーム(無料スポット)地図を頼りに銀ブラしたんだと思う。当時は上野御徒町(末広町?)から新橋までがずっと歩行者天国だったが、今、その天国は分断され、銀座界隈は京橋から先(銀座一丁目以南)が歩行者天国である。

「ぴあ 東京初体験〜よくわかる東京マニュアル'88」(p.134)

 

 向きが微妙に異なるが、道路、街灯、信号の感じを含め、大きくは変わらない。某化粧品とカワイピアノの看板がなくなった代わりに、目に付くのは銀座桜通りと中央通りの角地(銀座1-2-4)にそびえる立派なビル。「コンテス・ゴールドファイル」という店舗が入っているようだが、建物名は不明。左側の建物(ホテル西洋銀座)はそのままのようである。

 住友銀行の大看板はなくなり、三和銀行は三菱東京UFJに。松屋の外観も変わった。(Mの字の隠れ具合は同じ) 「教文館ビル」と書かれた看板は変化がないように見えるが、その下にあった「東洋信託銀行」の看板は店ともども消えてしまった。

  • S63/10/2:この日も自転車で新宿へ。

 変わり映えしないが、この時の撮影場所は線路と同じ高さ。貨物駅跡地にできた特設イベント会場(客車が飲食スペースか何かになっている)から見上げる形で撮ったものである。埼京線は1986年3月3日には新宿まで延伸されていたが、新南口がまだなかった頃なので、こうした撮影ができた。(今は不可能)

 MYLOADの標示がシンプルになったことと、都庁の第一本庁舎が垣間見えることが違いと言えば違い。ちなみに、この日はソウルオリンピックの閉会式があった。


 他にも何枚か見てみよう。(あくまで往時のワンシーンということで、ご照覧ください。)

S63/4/4:八王子駅
 この後、横浜線の快速に乗って町田まで行って、東急ハンズで買い物。

S63/4/7:晴海の国際見本市会場
 東京駅から無料送迎バスに乗って晴海へ。「東京フラワーショー」と「コミュニケーションTOKYO」などを見学。

S63/4/8:雪の世田谷線(松原駅付近)
 四月の雪、ということで大騒ぎだったと記憶している。これと同じ車両は、もうお目にかかれない?

 途中で引用させてもらった地図だが、ズバリ「ぴあmap」である。87年版と89年版があったので、88年により近い89年版から持ってきた。(ちなみに88年版は、東京版ではなく関西版を所有)(^^; 都庁が建ち上がる前につき、新宿西口にはまだ閑散とした観があったことがわかる。逆に銀座の地図では有楽町駅の北側にまだ都庁が残っている。昭和63年というのはそういう年だったのである。(5月4日が国民の休日に指定されるようになったのはこの年から。東京の市外局番03−の次はまだ3桁、そういう年。)

 当時は街歩きのガイドブックだったが、今となっては歴史書のような趣。長く持っていると、違う価値が出てくるもんなんだなぁ、とつくづく思う。

「ぴあ 東京初体験〜よくわかる東京マニュアル'88」 ちなみにほぼ20年前に発刊された「ぴあ 東京初体験〜よくわかる東京マニュアル'88」(1988.5.10発行)には、「東京おもしろトレンディ辞典」という巻頭コーナーがある。「いま東京でいちば新しいこと、おもしろいもの、話題の店...」 つい見入ってしまった。掲載順にその項目を挙げてみると、

ヘリコプター、高級チョコ、ソニックシティ(大宮)、深夜バス、和風、昆虫ユートピア(多摩動物公園)、占い、ハート型、フローズンヨーグルト、ららぽーと2(南船橋)、クリーニング、東京ドーム、下町唐座、東京グローブ座、プラネタリウム、ル・フロン(川崎)、ハイテク美容院、酸素バー、エナジーバー、ウォーターバー、パルテノン多摩、アンティック輸入家具、帝都軒、宅配ポスト、伝言ダイヤル、おしゃれカレッジ(淑徳短大など)、カレッジマンション、カー専門書店、ベイエリア、カード学生証、東京地図、サンリオ・ファンタジージェン(ららぽーと2内)、小ホール、アメリカングラフィティ、ちかてるくん、ポップ・ショップ・トウキョウ、ニュー屋台、ごはん復権、プリペイドカード(全39項目)

 ぴあ的にこうだった、というだけかも知れないが、世相を反映していて興味深い。今は当たり前のもの、最近再び脚光を浴びているもの、すでになくなってしまったもの、いろいろ。昭和63年ふりかえり「其の二」はいつお届けできるかわからないが、次回はこうしたトレンドネタも踏まえられればと思う。お楽しみに。

  • こちらもどうぞ...⇒ 新宿や銀座に関するちょっと遡った話題

第102話 東京百景(V) / 第113話 アイスクリーム / 第126話 埼京線、南へ / 第161話 デパート屋上お参り紀行 / 第196話 街の光彩 / 第205話 無料スポットと無料サービス(23区内編) / 第215話 自転車で23区を走る/ 第238話 駅前といえば銀行?

 


Copyright© 冨田行一<Kouichi Tomita> All Rights Reserved.

ページ先頭に戻る

ご声援用バナー *週に一度のクリック、よろしくお願いします。(^^) バナークリック、毎度ありがとうございます!(市民サイト用)