随筆「東京モノローグ2005」(3−4月期)
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第183話 本を買うならインターネット? / 第182話 3月31日で終了、あれこれ / 第181話 手荷物への配慮 / 第180話 美術館・博物館での「べからず集」〜「べからず集」part8

第183話 本を買うならインターネット?(2005.4.15⇒17)

 *ここ2話ほど、画像多用傾向だったので、今回は文章主体でコンパクトにしました。

 掛け持ちNPOワーカーは、自宅での作業時間をいかに確保するかが優先課題。自由時間はとれなくはないが、本当に何もない状態というのはまずない感じ。学生時代は、ペースこそ遅いものの本はよく読んでいたのだが、今はそんなこんなで、何もない時間がまとまってとれないため、本を読むことも激減してしまった。(ついでに言うと、単行本を新たに買って読む、ということも夢のような話である。もっとも、それほど読みたい本がある訳でもないし、いわゆる指南本・HowTo本は読もうと思わないから読書量が減るのは無理もないが。) 時に古本でいいのがあると買っておいたりはするが、ページを開くことはあまりなく、書棚の未読コーナーに積まれていくばかり。進呈を受けた本についても、やはりそのままになりがちで、面目ないことと言ったらありゃしない。

 本稿、東京モノローグを書く際に、より確たる情報を得るために本を読むことはあるが、図書館でフラと借りてきて、関係しそうな箇所のみ一読して、多少の足しにする程度。哀しい哉、一冊の本をじっくり読むことがすっかりなくなってしまったのである。(一方、妻君は大の読書家(しかも速読)である。最新の実用書(≠HowTo系)などは時々回し読みさせてもらっているため、救われている。)

 今年に入ってから、楽天マイポイントドットコム古本市場Amazonなど、インターネット上での買い物サイトをよく見るようになっているが、楽天は、ANAの搭乗券半券第174話参照)がきっかけで、マイポイントは、生命保険会社でたまっていたポイントサービスがきっかけ、という具合に、本来、そこで買い物がしたくて入った訳ではなかったりする。まんまと乗せられてしまったような感じだが、これらが実に有機的に結びついていて、マイポイントでログインして、楽天で何かを買ってポイントがたまると、マイポイント経由で、Amazonギフト券が発行されて、そこでまた買い物が、なんてことになっている。古本市場もマイポイント経由で入ると、ポイントが多少はついて、それをまた別のサービスで、と互換性・相互補完性が高くなっているのが、インターネット上のポイントサービスの特徴だろう。

 かつて読破したものや、ろくにページを開くことのなかったもの、そして何かしらのルートで入手したものなど、古本業者に買い取ってもらおうと、しばらく溜め込んでいた書籍の塊があった。生命保険会社のポイントをマイポイントに移行する期限が、3月31日まで(これも前回第182話のネタの一つ *下枠「提携解消のお知らせ」参照)だったものだから、早めに移行しておこうとマイポイントに着手したことが縁で、その中の古本市場に出会ったのが、ここのところの本の動きの始まりだったように思う。読書という行為からは遠ざかっているが、本そのものには何かと手間をかけるようになっているのが、最近の変化と言える。

マイポイント提携解消のお知らせ

 インターネット取引をご利用のお客さまで、獲得ポイントをマイポイントへポイント交換できるサービスは、都合により平成17年3月末をもって終了させていただきます。

 誠に申し訳ありませんが、交換可能期間中のご利用をお願いいたします。

 他のネット古本サービスも同じだと思うが、古本市場は買取の注文(⇒詳細もネットでOK。買取を発注すると、買取シートと着払い伝票が送られてきて、自分で用意した箱に用済みの本を詰め込んで、発送するだけ。送料は先方持ちで、買取価格の支払は、口座振込か、次回使えるポイント発行で、となっている。この買取サービスを使って、大した手間をかけずに、ようやく溜め込み書籍を売り払うことができたが、価格は本当に微々たるもので、30冊程を送って、数百円。ポイント払いを希望すると多少上乗せされるので、そっちを選び、古本市場で使えるポイントが今はいくらか貯まっている、というところで止まっている。

 次は、マイポイント本体の方。移行してきたポイントのおかげで、それなりの金額分になったが、さてどうしたものか。選択肢が多様なのはいいのだが、筆者的には使い道が限られるのが難点。楽天ブックス、古本市場などを見たが、この2つはマイポイントのポイントを貯める側のサービスで、使う側には指定されていない。使う側のサービスで有力なのは、Amazonだったので、Amazon内でいろいろと本を探していたら、かつて図書館で借りて以来、その内容やセンスの良さから、手元に置いておきたいと思っていた一冊が見つかった。新本を割引で買おうと思えば買えたのだが、それでも少々高め。古本屋で見つかれば儲け物、といった感じで探し続けていたものである。(「隅田川を歩く」というのがその本。荒川流域住民としては、地域実用書として持っていたいところ。) ガイドブックスタイルなので、はじめから終いまで通読する必要がないのもいい。手頃な価格で、ポイントも消化できて、理想的な購入ができると、喜んだものである。早速、マイポイントをAmazonギフト券に交換する手続きをネット上で行い、ギフト券番号をEメールでGET。(↓こんな感じ)

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 ┃マ┃イ┃ポ┃イ┃ン┃ト┃か┃ら┃ギ┃フ┃ト┃券┃の┃お┃届┃け┃
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 ただし、Eメールが届くまでには数日を要する。在庫切れを案じる程ではなかったが、番号が到着次第、すぐに注文することにした。が、しかし... 同じAmazonでも、こうした古本(マーケットプレイス)ではギフト券の利用に制約があるようで、注文画面ではギフト券番号を入力する場面が現れず、注文後にマイアカウント画面から番号をインプットすることに。まぁ、別の機会に本・CD・DVD等を買うこともあるだろうから、いずれは値引きを受けられるとは思うが、マーケットプレイスではギフト券が使えない旨、特に明記してなかったような気もするので、いささか不本意な買い物になった。(ちなみに、Amazon本体の利用は、カード会社の特典を使ってCDを買った程度で、よく考えると書籍を注文したことはなかった。)

 出品者は、アカシヤ書店。見覚えのある店名だと思ったら、筆者常勤職場の近所の古本屋である。紀行系・地域系の本が得意そうな店だったので、通りがかりに立ち寄って、この「隅田川を歩く」を探したこともあったのだが... Amazonで注文する前に、もう一度お店で直に確認した方が良かったか? いや、おそらくネット注文扱いとして分離して、店頭には置かないようにしていたに違いない、などと憶測してみるのであった。インターネットサービスは確かに便利だが、あまり翻弄されないようにしたいもの。特にポイントの加算や交換では、時間をかけ過ぎると、せっかくのポイントが自分自身の人件費で帳消しになってしまう可能性もある。(作業時間を惜しむのであれば、尚更のこと。) うまく付き合いながら程々に、といったところか。アカシヤ書店からは大層なパッキングで念願の一冊が届き、とりあえずひと段落。未消化のポイントを使おうとすると、引き続き本が動くことになるが、はてさて。

 

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第93話 インターネットビジネス / 第168話 青山ブックセンター

 

第182話 3月31日で終了、あれこれ(2005.4.1⇒4)

 年度の変わり目としての3月31日が過ぎ、4月から2005年度に切り替わった。「愛・地球博」(地球市民村)での出展を控え、会場の下見方々、打合せを行うため、名古屋に向かったが、年度の変わり目の只中を移動するというのはあまりないこと。いろいろな列車に乗ってきたが、生まれて初めての「ムーンライトながら」に乗車するべく、横浜駅に着いたのは3月31日(2004年度)が終わろうとする10分前。3月と4月の間、つまり年度の境目を横浜駅で迎えることになった。毎年毎年、身辺の変化あわただしいが、特に2004年度というスパンで考えると、さらに拍車がかかったような... そんな2004年度を振り返り、見送った後に、夜行の列車で東京を離れる、というのは正に旅の醍醐味。ひと区切り付いて、新たな区切りへ、という思いとともに、快速なのに特急車両という、ちょっとしたアップグレード感を楽しみながら、いつもとは違う東海道線沿線の風景を見遣る筆者だった。

2005年4月1日 0時、横浜駅にて

 気持ちの切り替えに加え、この際なので、靴を変えたり、寝間着を変えたり、アクセントを付けてみたが、筆者のそんな私的な変化以上に、世間では実にいろいろな変化や変わり目があった。3月末までで終わるものが、2005年は特に多く感じたのは気のせいでもないようで、身の回りで目にしたものなどから拾ってみたら、以下のような状況だった。思うに、こうしたいくつかの区切りが何となく筆者の気持ちの切り替えを支えていた面もあったようだ。


  • 磁気式イオカード 発売終了 ⇒参考情報[PDF]

 1991年3月デビューということだから、実に14年間、販売され続けてきたことになる。(2003年度までで、5561億円!) プリペイドカードは、用済み後はカード本体を持て余してしまうため、何度でも書き換えが利くSuicaの方が、物質量を抑制する上では有意義だと思う。Suicaを主流にしていくための一つの区切りとして受け止めたいところ。

「イオカード(磁気式)」発売終了のお知らせ(3月まで)

 

「イオカード(磁気式)」発売終了のお知らせ(4月以降)

 それにしても5561億円の売上中、未使用分はどれくらいあるのだろうか。(何を隠そう、筆者手持ちでもいわゆる記念イオカードを中心に未使用のものが結構あるので。) 発売が終了になっただけで、使えなくなった訳ではないからいいのだが、いずれは使用停止になる日が来るだろう。早めに何とかしないと...


  • アパホテル東京板橋「レストラン四季」移転

移転のお知らせとランチメニュー&サンプル JR板橋駅前に、知る人ぞ知る(?!)ホテルチェーンの一つ、アパホテルがある。開業以来、同ホテル付属のレストランにはよく通ったのだが、7年が経ったところで、この「レストラン四季」は日本橋のアパホテルに移転することになってしまった。サラダやドリンクがバイキング形式になっていて、回数券を使えば、1回700円ちょっと、という手軽さが良かったのだが、ちと残念。(まだこのように掲載されてはいるが...)

 もっとも、7年の間、システム(メニュー、価格、バイキングでいただける対象 etc.)が安定しなかったり、店員の対応がイマイチだったことが続き、足が遠のいていた時期も結構あったが、今年になって、レストラン四季が移ってしまうことを知ってからは、回数券を買い重ね、できるだけ利用するようにした。なくなると知るや人気が出るのはいずこも同じ。1月以降は人が詰めかけ、日替りランチが品切れになってしまったり、不意に貸切状態になってしまったり、という状態。店に入るのを見送った時は、回数券を使いきれるか、ヒヤヒヤもしたが、何とか期限内にこなすことができた。3月31日は最終日のため、回数券メニューとは別の企画が用意されたようで、実質的には3月30日までだったが、2004年度の終わりを象徴する一つの出来事になった。


  • ハンズ文具チケット

ハンズ文具チケット 50円券と10円券 東急ハンズとのご縁は、大阪在住の頃、江坂店がオープンしてからだから、実に20有余年。1984年以来、筆者がハンズで文具類を買うと付いてまわっていたのが、この「ハンズ文具チケット」である。使うとまた次のチケット、の繰り返しで、財布の片隅に常に入っていたのだが、ついに2005年3月31日、使用期限を迎えるに至った。実は、有効期限が記されているものとそうでないものがあったので、期限付きのものを使い切ればいいや、と軽い気持ちでいた筆者。3月27日に新宿のハンズに行ってみたらビックリ。期限の有無に依らず、全てのチケットが使えなくなってしまう旨、掲示が出ていたのである。手持ちのチケットは160円分。微々たるものかも知れないが、ここまで来ると、長年の友のようなもの。使い切ってこそ、敬意を示せるというものである。しかし、何を買ったものか? 幸い妻君が、ハンズでないと買えなそうな文具を入用だったので、この日めでたく有終となった。

「ハンズ文具チケット」の取り扱いについて

 

新宿店での掲示

 様々なチケットやカードが出回る中、こうした小さな紙片型のチケットは貴重。多少のデザイン変更はあったが、ずっとこの大きさと体裁を保ってきたのは立派である。ハンズメッセ期間中(第24話第96話参照)は、ハンズチケットの書き入れ時でもある。文具に関しては、ハンズメッセとハンズチケットとはちょっとした連関のもと、好循環を生んでいたのではないだろうか。紙切れと侮るなかれ、である。故にこの終了は惜しまれる限り。


 ちょっとしたセール、キャンペーンなどの終了日もだいたい月末。クーポン券の期限も同様。ちょっと整理してみたら、3月31日まで切れてしまっていたものが結構あって、面食らってしまった。だが、これらは短期的・周期的なもの。上述のように、何年か続いていたものが節目を迎えたのとは違うので、寂寥感はない。(以下の各種キャンペーンも皆、3月31日まで。いろいろあるもので。)

カレーC&C 感謝フェアカレーC&C 感謝フェア

メトロポリタンプラザ2F入口にて池袋メトロポリタンプラザ「その場でラッキープレゼント」「2倍ポイントフェア」(詳細は右図の通り)

「2倍ポイントフェア」「その場でラッキープレゼント」

©ANA
↑ANA 楽天スーパーポントキャンペーン

©JAL
↑JAL IC利用クーポンプレゼント

©Rakuten
↑楽天 ポイントアップ大祭

 名古屋から戻ってきた日の翌日、4月4日は、埼京線の朝の上り列車、先頭車両が女性専用車両に。年度きっかりに変わった訳ではないが、これも長年の埼京線利用者にとってはインパクトのある話だろう。筆者も明日から気を付けないと。

3月31日、女性専用車導入前の埼京線上り先頭車両(10号車)

4月3日(実施前日)の女性専用車の表示

 さて、社会的には、以下のような動きもあった。

  • 普通預金などの決済性預金の全額保護終了(4月1日以降、ペイオフが解禁=すべての預金を合算して、元本1000万円までとその利息までだけが保護) ⇒参考情報

  • NTTドコモグループ プリペイド式携帯電話サービスの新規申込受付を終了 ⇒参考情報

  • KDDI「国際テレックスサービス」の提供を終了 ⇒参考情報

 googleなどで、「3月31日で終了」と入れて検索をかけると、上記のようなニュース性のある話はチラホラで、多いのはやはりキャンペーン関係、後は入試要項、採用条件などだった。だが、くまなく調べていくと、鉄道関係で3つ廃止ネタが見つかって、冷や汗。(--; 日立電鉄は承知していたので、第176話(4.)で記した通り、乗り納めをしてきたが、まさか名鉄揖斐線(忠節〜黒野)、のと鉄道能登線(穴水〜蛸島)が3月31日までだったとは。(4月1日、青春18きっぷを使って「ムーンライトながら」を利用できたのはよかったが、どうせなら一日前倒しして、3月31日の早朝に岐阜に入って、まず名鉄揖斐線、岐阜から米原・敦賀・金沢経由で七尾まで足を伸ばして、のと鉄道、その日のうちに名古屋に戻る、というのもアリだったかな、と。かなりの強行軍だが、年度の区切り、いや、時代の節目を実感するには打ってつけだったかも。)

 

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第51話 あと77日 / 第80話 21世紀 初日の出 / 第89話 500日 / 第92話 7時出発、7時帰宅 / 第115話 1200駅! / 第116話 8時出発、8時帰宅 / 第138話 止めてもいいけど... / 第148話 12時出発、21時帰宅 / 第154話 東急東横線2題 / 第158話 ザ・総額表示 / 第168話 青山ブックセンター / 第174話 ANAとHANEDA空港

 

第181話 手荷物への配慮(2005.3.15⇒18)

 ようやく暖かくなってきた感じだが、とかくこの時季は厚着になりがち。筆者はノートPCなど、何かと手荷物が多いタイプなので、厚着に手荷物で重量感がさらに増す。外食時など、外で席に着く際は、そうした塊の処し方が悩ましい限りだが、ゆったりした席を確保できれば特に難儀はしない。問題は、席を案内する店員が客の手荷物を見て、然るべき対応をとれるかどうか、である。一人の時に、二人がけの対面型の席に通してもらう分にはいい。二人で来店した際、どう考えてももう一人分のイスなどがないと荷物を置けないような場合に、平然とギチギチの二人席に案内して飄々としている店員が多いのがやるせない。もっとも、レジの後方に棚があればそこで預かってもらうなり、机下がシェルフのようになっていればそこに置くのが先決なのかも知れない。だが、いずれも十分な容量がある訳ではないから、結局自分でキープしておくしかないのが実情。混雑時でどうしようもない時なら、こちらも何とかしようと思うが、どう考えても席数にゆとりがあり、時間帯からして大人数が入ってくる可能性も少ないような場合に、何の思慮もない案内をされると、さすがに閉口する。4人席にひとまず通してくれれば何事もなく済むものを...(2人=2人席という固定観念の為せる業か。) 客の手荷物に注意が向かないのか!という憤懣は、まずこうした場面でよく起こる。

月に一度は食べに行く、某パスタ店の荷物カゴ できるだけ席数を多めにとる一方で、こうした荷物持ちの客への対応として、荷物カゴがオプションで出てくることもある。これは非常にありがたい。それでも、手荷物の量を咄嗟に判断できず、荷物カゴを勧めるのを怠る店員も時にはいる。こちらは黙々とカゴを運んできて使うのみ。とやかく言われる筋合いはなかろう。

 手荷物に対して、敏感か否か。客商売には重要な視点だと思うのだが、あまり重んじられていない(というか鈍い店員が多い)のが現実。スーパーなどのレジでも、マイバッグがどうこうと言っている割には、相変わらず当たり前のようにレジ袋が出てくるし、ましてやコンビニでは、最初から袋に入れながらPOSを操作するのが決まりのようになっているから如何ともし難い。

 お客が何を持っているか、これは客を客としてしっかり受け止めているかどうか、に通じる。受け止めていれば、買い物袋を持っている客には自ずと声をかけるだろうに。「まずお客様の手荷物を見て、買い物袋を持っているようであれば、袋の要否を確認する」...レジでの応対マニュアルにこんな一文が加わればいいのだが、これを変えるのは、それはそれでひと苦労があるようだ。(某大手スーパー 環境部署ご担当者談)

 学生時代からマイバッグ派の筆者だが、レジ係の方が気が付いて、「袋は要りませんね」と訊かれたことはごくごくわずか(マイ箸をお褒めいただく場面よりも些少)。マイバッグに目がいかない以上、客側が気を遣って、ひと声かけることになるのだが、毎回だと気疲れしてしまう。一部スーパーでは、コイントレーのところにスタンプシートなどを置くだけで、声かけ不要になるが、そういう店ばかりでもない。そこで、少々方針を変えてみることにした。一度もらったレジ袋を使い回すようにして、新しい袋に入れられる前に、「これでお願いします」というのがその新手。できるだけそのお店オリジナルの袋を差し出すようにしているが、どの店で買い物するかはその日次第。かなり周到に用意しないと、袋が一致しないことになるのが難点である。まぁ、他店のものでも受け付けてはくれるが、それでも用意する方に負荷がかかることは変わりない。よく使う店の分だけでも片端からそろえていては、それこそまた手荷物が増える要因にもなるし、袋をガサガサ探している間に、さっさと新しい袋が出てきてしまうのがオチだから、今のところ程々に試すことにしている。

 手荷物に関心が向かない職業(と言えるかどうか)の最たるものは、街頭配布だろう。肩から提げられる荷物を持っている時ならまだしも、両手がふさがっているのに無理やり渡そうとする輩がいる。手の状態や荷物の量をさっと一瞥すれば、渡すだけムダというのがわかりそうなものだが、とにかく数をこなすことが第一義になっていて、眼中にあらず。いい迷惑である。(傘を差していようが、自転車に乗っていようがお構いなし、という強引な人物にも時折遭遇する。)


 ...ここまではヒューマンインタフェースにおける手荷物の無思慮の話。お次は、ハード・設備面での手荷物への配慮論である。

 ホテルでチェックインする時、当然のことだが、旅行鞄やら何やらで手がふさがっているので、記名する際はフロントの床に荷物を置かざるを得ないことが多い。高級なホテルであれば、お出迎え時から部屋に入るまで、荷物を持ち運んでもらえたりするので、そうした荷物の置場を憂慮することはないのだが、一般的には、客の手荷物への配慮は少ないのが実状。フロントの前にソファがあれば、そこが荷物置場になるが、記名している手元からは距離があるため、ちと心配。フロント直近にちょっとした荷物置場があればいいのである。

 とあるホテルで荷物を置くための箱状の置場を発見した時は、えらく感心したほどである。当たり前のようだが、意外と当たり前ではないのだ。

東京ドームホテルのフロント
 東京ドームホテルは比較的新しいホテルだけに、このように手荷物置場が整然と置いてある。

高速バス窓口
 JR新宿駅(新南口)の高速バスの窓口も、長距離客相手にしてはこんな感じ。スペースにゆとりがないので、致し方ないか。

 同様に、荷物を抱えた旅行客が多く並ぶ「みどりの窓口」はどうか。客商売のはずだが、残念ながらあまり考慮されていないのが現実。大荷物は足元に置くしかない。出張系ビジネスマンもアタッシュケースなどをやはり足元に、不承不承置いている感じを受ける。

 明らかに手荷物が多いであろう客(=空港利用客)を運ぶ鉄道路線でも、荷物置場を確保していない、ごく普通の車両を走らせていたりする。(JRの場合、普通列車は文字通り「普通」だから、諦めもつく。名に反しているのは「エアポート快速」だろう。空港へ行く客専用の車両を連結するなど、できないのだろうか。) 羽田空港を利用する場合は、最近は専ら京浜急行を使うが、エアポート快特がなぜか、京成線の通勤用車両で入ってくることが多く、荷物の置場に窮してしまうことがしばしば。網棚に載せれば済む話だが、快速特急の名に恥じない優雅な設定がほしいものだと思う。(背もたれを大きくしたクロスシート席なら、座った時の頭上に広めの棚(またはネット)を据え付けることが可能。クロスシートだと席数が減ってしまうが、大きな荷物の出し入れを考えると、この方がベターだろう。スーツケースが載せられないなら無意味か。)

 要するに、大きな荷物、かさばる荷物を持った客が現れそうなところには、ハード・設備面における工夫を高め、荷物を楽に置けたり、出し入れできるようにして然るべき、と言いたいのである。


 手荷物への配慮という点では、(荷物の大小・軽重にかかわらず)両手を使わないと操作できなそうな機械が設置してあるところについても、ぜひ考えてほしいと思う。


↑羽田空港:ANA

 


↑伊丹空港:JAL

 空港では自動チェックイン機が主流になりつつあるが、チケットレスという観点での利便性が向上する一方で、機械を操作する人間への便宜は"?"だったりする。ANAとJAL、いずれのチェックイン機も、ご覧の通り手荷物置場がないのである。一部の乗客は荷物をいったん床に置いてから、カードを出し、タッチパネルを押し、券を受け取り、また屈んで荷物を持ち、といった動作を求められる。荷物の下げ上げを少しでも楽にすることで、機械の前に留まる時間を短くできれば、自動チェックインの効果もより大きくなると思うのだが、設置する気はないのだろうか。

 銀行ATMには一般的に荷物置場がない。ATM本体の脇にちょっとした台はあるが、ここに置くと、荷物の一部が操作画面に触れてしまって、機械から指摘を受けることもしばしば。まぁ銀行の場合は扱うものがものだけに、下手に荷物置きを設けない方がいいんだろうけど、ATM操作には、財布、カード、通帳など出し入れする品々が多いので、操作する前と後に使える荷物置場はあってもいいと思う。ATM本体から離れたところでいい。片隅にちょっとした卓があれば、ATMの用事が済んだらすぐに移動でき、ATM行列の渋滞緩和に役立つ。自分の順番になってから出し入れするタイムロスを減らし、流れを円滑にするためにも一考してほしいものだ。(銀行では対面式窓口の方も同様。荷物置場が近くにないと、立っている場合でも座っている場合でも、客は荷物を持て余すことになる。荷物に気をとられていると、行員の話も上の空。きちんと対話してこその人間系窓口であるなら、やはりちょっとした荷物置場がほしいものだと思う。)

JR東日本 特急用などの券売機
 「かんたんタッチで〜」とあるが、そのためには手荷物を置く場所がないと...

JR東日本 VIEW ALTTE
 同じJRでも、キャッシュサービスのATMはこのようにゆったりめ。(左下へ続く)

VIEW ALTTE と みずほATM
 そのVIEWの隣のみずほ銀行(旧 第一勧銀系)ATMは、くず入れの上が荷物置場らしくなってはいるが...

某病院内みずほATM
 こちらは、同じみずほ銀行でも、旧 富士銀行系のATM。やはり荷物を置くにはちょっと...という感じ。

北神保町郵便局ATM
 一般的な郵便貯金のATM。

神田駿河台郵便局ATM
 同じ郵貯ATMでも設置状況はさまざま。これは荷物置場として考えていいのだろうか。

 

公衆電話の棚は、どんな荷物を置くことを想定しているのやら?電話ボックスは、その存在自体が見直されている折りなので、手荷物のためにどうの、という改善案も今さら出ないだろうが、とにかく今の荷物置場では狭小。フックでもいいから付けてほしいものだと思う。

 その他、荷物置場という切り口で考えると、映画館や劇場、各種スポーツ観戦施設など、いわゆる「客席」でのあり方へと話を拡げないといけなそうだが、際限がないので、これはまた別の機会に譲ることにしよう。

 

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第83話 街頭配布 / 第95話 街頭配布・夏 / 第119話 富士銀行 / 第133話 宿泊先ひと工夫 / 第139話 待ち時間考 / 第171話 グリーン車がやって来た / 第175話 新札と両替機

 

第180話 美術館・博物館での「べからず集」(2005.3.1)

 第176話(6.)に書いた通り、ここのところ美術館・博物館に(結果的に)興じている筆者。

 今年に入ってからは、

1/9:東京藝術大学大学美術館−「HANGA東西交流の波」「ドイツ・ネーデルラントの近世版画展」
1/15:世田谷美術館−「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録記念特別展「祈りの道〜吉野・熊野・高野の名宝〜展」

 といった具合。3月もいくつか廻る予定もあるので、昨年同様、それなりのペースになりそうである。

 機会が増えるということは、それだけ「べからず」的な行為も目に付くことになる。15話ごとの恒例「べからず集」。今回は美術館や博物館など、いわゆる"ミュージアム"におけるものを考察してみる。(比較的大規模な企画展を開催する美術館・博物館を想定。)


  • 次.席の争奪

     足が棒のようになってしまうのはわかるが、数に限りある座卓がちょっとでも空くや、突進するように座りに行くのはいただけない。これは電車内における座席確保に通ずるものがある。美術・博物を鑑賞して、心を洗ったり、知を研ぎ澄ませたり、のはずなのだが、つい日常の再現をしてしまうのは哀しい限り。


  • 10.順路無視

     フロアレイアウトが複雑だったり、作品番号が順番に並んでいなかったりという、館側の事情にも起因するが、せっかくの順路を了知せず、右往左往する方が時々いらっしゃるのは何とも... 時代を追って作品を検証するタイプのものでは、順路通りに見ていかないと情報が断片化してしまう。本人も不幸だが、きちんと鑑賞したい人にとっても、落ち着かないことこの上ない。


  • 9.執拗な記録

     撮影や模写はできなくても、文字で記録することは許される。長い解説付きの作品があると、その傍らの文章をひたむきに書き留めている人を時折見かける。もちろん、文章丸写しというよりも、感想や気付いたことなどを記録しているんだろうし、その真摯な姿には唸らされるものもあるのだが、あまりに執拗な記録行為は、周囲に迷惑になる可能性もある。解説を読みたくても、その場に立ち塞がれてしまってはたまらない。どうか程々に。(もっとも作品解説は難渋なことも多いから、書き写しながら意味を考えている人もいるんだろうけど。)


  • 8.音声ガイド依存症

     メジャーな展覧会に行くと、最近まず見ないことはないのが音声ガイドサービス。装置はいろいろなタイプが出ているが、どれも使いにくそうで、気の毒になってしまう。作品をより深く知る上では有用なのだろうが、混雑した会場では、作品を見ず、音声ガイドだけで済ませてしまうような場面もある。それでは何のために会場に足を運んだのかわからない。作品は拝めないは、音声ガイドは使いにくいはなんてことになったら、散々だろう。音声ガイドを利用する場合は、混み具合はどうか、音声ガイドを聞いてまで鑑賞したい作品があるか、装置本体は使いやすそうか、といった点を考えてから利用したいものである。そうしたことを十分検討しないまま、衝動的に500円(相場?)を出してしまうと後悔することになる。500円分のサービスを享受しようとする余り、音声ガイドに拘束されて、自由に会場内を行き来できなくなる。これが他の鑑賞者の流れを遮ることもあり得るのである。

     ちなみに筆者は国内では利用した試しがない。一例としては、パリ郊外のヴェルサイユ宮殿で日本語の音声ガイドを借りた程度。この時は、装置にヘッドホン端子があるのをめざとく見つけて、自前のヘッドホン(100円ショップで売っている程度のもの)をつなぎ、悠々楽々見ながら聞きながら歩くことができた。両手を自由に使える状態にしておくことが、より鑑賞の質を高めるためのポイントだろう。

     音声ガイド利用者には悪いが、やたら展示数が多い会場では、音声ガイドマークをヒントに鑑賞することはある。マークが付いているということは何らかの希少性・話題性がある訳だから、その作品本体をその場でじっくり眺め、自分なりに反芻し、会場出口に見本で置いてある図録などを見返しつつ、解説などを読めば事足りてしまうのである。


  • 7.香水

     場所柄、全般的にお上品な感じでいいのだが、そうした上品さの裏返しか、時に鼻に付く香りと遭遇することがある。特に日本の古道具などの企画展示で、香炉や香具が陳列してある中で、洋風の強烈なのが来ると、和風の香のイメージがすっかり損なわれ、あの香炉からこんな薫り?と調子が狂ってしまうのである。TPOを弁えてほしいものだ。


  • 6.行列鑑賞

     割り込むのは怪しからんが、空いているコーナーをまず見て廻るのは賢明というもの。高速道路でクルマが団子状になるのと似ていて、ちょっと距離を置いて人の流れを見てみると、一定周期で塊ができることに気付く。順路は概ねキープすればいいもので、多少前後しても差し支えはない。どんなに混み合った会場でも、間隙を縫うようにすれば、案外ゆったりと鑑賞できるのである。行列を保ち、渋滞したまま歩を進めるよりは、人が少ないところを先に見て、また戻り、と柔軟に動きたい筆者である。(微細な展示品が続く時は、行列に従わざるを得ないこともある。)


  • 5.脱線

     特に照明を落とした絵画展などでは、作品保護の必要から、一定の幅で線が引いてあって、距離を保つようになっている。それでも堂々と進入し、首を突っ込む人が時にはいる。だが声をかけにくそうな人には係員は声をかけない。それなら最初から線など引かなければいいものを、と思う。筆者はちょっと線上に足がかかっただけで物言いがつくことが以前はよくあった。(お人好しに映るせいだろう。) 最近では、それは客への無礼というのが浸透したのか、余計な禁止線を設けるところは減ってきたようだ。


  • 4.ゴホゴホ

     電車内(第135話)や映画館(第120話)と異なり、逃げ道がある分、美術館・博物館は助かる。それでも丹念に見入っている傍らでいきなりゴホゴホやられたらたまらない。室内は乾燥しがちなので、致し方ない面もあるが、明らかに感冒を自覚する人は、マスク必携をお願いしたい。


  • 3.物見遊山な一行

     文字情報をできるだけ取り込むようにしているので、いわゆる「はじめに」に当たるものや、各コーナーの入口にある概説、作品ごとの解説など、しばし立ち止まって読むことが多い筆者。すると、偶然かも知れないが、いつしか人だかりができてしまうことがある。人が見ていると思いついたように凝視し始める行為には、主体性が感じられず、いただけない。えてして、そうした人(グループ)は鑑賞態度が確立しておらず、ろくろく作品を観ることもなく、さっさと会場を後にしてしまうものである。好みは十人十色だが、少しでも意思と敬意を持って作品に対峙してほしいものだと思う。(もっとも筆者も解説重視で、作品そのものを十分玩味していない可能性はある。展示品の日本語表記が難解な場合は、付記してある英語表記を読んで納得することも多いし。)


  • 2.蘊蓄

     かと思えば、今度はやたら作品や作者に詳しく、係員顔負けのレクチャーを展開する人もいる。いわゆる蘊蓄という奴だが、あまりに過度に垂れていると、カドが立つというもの。ありがたい面もなくはないが、作品と対話したい人にとっては迷惑な話なので、あえて「べからず」ランク2位にした。


  • 1.おしゃべり

     そして何より避けたいのは、特に複数のご年配女性のグループで、文字通り「姦しい」方々。蘊蓄でも何でもなく、単にこの絵は○○、この像は△△、この装飾は□□と、他愛のない感想を交し合っては高笑いするパターン。思うところは人それぞれ。声に出してそれを発することは、発した人の感想を強要するようなもの。じっくり作品と向き合っている人にとってはいい迷惑である。

 

  • 余談

 学生時代は時間があれば面白そうな博物館・資料館によく出かけて行って、好奇心を満たしていた。最近は招待券を入手する機会が増えたこともあって、どうも招待券に引きずられる恰好になっている。たまにはテーマやジャンル先行で、気になる館を訪ねてみたいとも思ったりする。1990年前後に持っていたミュージアムガイド掲載分は概ね足を運んだので、最近のガイドブックを見つつ、「あぁこんなミュージアムが」と感嘆し、思いを新たにしているところである。以前からあったのかも知れないが、これまで訪れたことがなく、かつ筆者的に興味を惹かれるものとしては、玉の博物館(青山)、切手の博物館(目白)、紙の博物館(王子)、旧新橋停車場 鉄道歴史展示室(汐留)、日本文具資料館(浅草橋)、日本玩具資料館(南千住)、岡本太郎記念館(表参道)などが挙げられる。(第172話で書いた「ちはら町並み美術館」(巣鴨)も。)

表参道界隈を散策していて、偶然見つけた岡本太郎記念館。 玉の博物館、岡本太郎記念館については、青山勤務時代に行ければよかったのだが、いつでも行けるからいいだろう、という油断により、ご多分に漏れず行きそびれてしまった。紙の博物館は、花見の季節になったら、飛鳥山公園ともども訪れようと思う。

*「べからず集」シリーズ、次回は第195話の予定です。お楽しみに。

 

  • こちらもどうぞ...⇒ ミュージアム関係が出てくる話題

第62話 さいたま新都心 / 第71話 都心周遊 / 第106話 横浜週末

 

 


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