第221話 かくして分割定期券に(2006.11.15→19)
通勤定期券には長年お世話になっているが、会社支給ではなく、自分で任意で買えるようになったのは1998年12月から。その後の2年半、そして2002年5月から現在までのつまり7年間は、経路などを自分でアレンジして買うことができた訳だが、その自在性を十分に駆使できていたかというと、そうでもなかったりする。
青山に通っていた2年半は、地元駅から正直に渋谷までをまず購入。出向の身だったため、出向元の会社の規定により勤務先の最寄駅までは通勤手当が出たので、渋谷から営団地下鉄(当時)の定期券も買うことにした。1枚で通しの定期券(JR+地下鉄)にしていた訳ではないので、知っていればJR定期券は渋谷以遠にしてもよかったのだが、初めて自分の手で買う定期券ということもあり、要領を得ず、妙な遠慮もあって、この時は規定通り(筆者らしからぬ)だったのである。ただし、地下鉄の方は、一駅分のみ(渋谷〜表参道)というのも面白くなかったので、同じ料金で購入できる最遠の駅、半蔵門までとした。営団の購入申込書には、用務先の記載が求められていたので、少々ヒヤリとしたが、この頃はまだ「アースデイ日本」の東京連絡所に顔を出す機会もあったので、その連絡所のある市民運動全国センターの住所等を書くことで購入成立となった。今にして思えばありがたい話である。
その後、第43話のように自転車通勤を始め、その市民運動全国センターにも青山の職場から自転車で行けるようになったため、地下鉄の定期券は買わずに済むようになった。JR定期券のみの日々が続いたのだが、まだなお渋谷どまり。地下鉄と同じ理屈を通せば、JRも同一料金最遠の駅まで買うこともできたはずなのだが、おそらく勤務先の記入がネックになっていて尻込みしていたんだろう。かくして、恵比寿、目黒、五反田に用ある向きには、きちんと精算して下車、という、実に律儀な筆者であった。
2001年7月から2002年3月までは会社支給にまた戻ったが、その後は、いよいよ解禁。2002年5月下旬から再度青山通い(第116話参照)を始めた筆者は、やっとの思いで地元駅〜五反田の最遠定期券を買うに至る。ボーナスマイルが付いたような感覚で実にありがたく使わせてもらった。(ちなみに地元駅の隣駅から目黒までだと、料金区分ギリギリの19.9kmになる。そのパターンでも試しに買ってみたが、あまり恩恵はなかったような...)
さて、こうした定期券の考察(裏ワザ紹介?)はどこまで許されるのか、定かではないが、今のJR定期券の購入申込書において、用務地や勤務先の記載を求められない以上、あくまで本人にとって都合の良いルートを乗り降りするためのパスとしての性格が強くなっていると解釈していいんだろう。
2003年10月以降(第148話参照)は、王子が勤務先最寄駅。自宅から自転車通い、というのも併用していたが、定期券は必需品。出かけそうなパターンを想定しつつ、他線との接続駅ができるだけ多くなる組み合わせを考えつつ、いろいろと試してみた。支給額は王子までの料金相当だったが、それ以上は自分で買い足せばいいだけの話なので、とにかく、板橋、池袋、巣鴨あたりを経路に入れながら、一筆書きになる「マイ定期券」を編み出したものである。
Suica定期券では、チャージ(IN)と使途(OUT)の履歴については把握できる(Suica対応の券売機に通せば印字出力可能)のだが、定期券の購入履歴はそういう訳にいかない。(有人改札にあるRead/Wrightの装置に通せばわかる?) ここ3年間の履歴は、おそらく相当数になると思うが、少なくとも、2003年10月〜2004年5月の間は、
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地元駅〜田端〜板橋:14.6km
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地元駅〜田端〜高田馬場:14.9km
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地元駅〜池袋〜田端〜王子:15.0km
といったパターンを使いこなしていたと思われる。赤羽、池袋、田端の3点を結ぶ三角形構造をうまく使ったつもりだったが、いわゆるターミナル駅は池袋くらいなので、思っていたほど重宝しなかった記憶がある。
その後、神保町での事務局掛け持ち専従勤務に入ってからは、最初から一年限定(2004年6月〜2005年5月)で、という約束だったので、半年ごとに、
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地元駅〜池袋〜田端〜秋葉原〜飯田橋:19.9km
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地元駅〜池袋〜新宿〜御茶ノ水:19.5km
の2つのパターンで臨んだ。前半の田端、上野、秋葉原廻りというのは、三角形云々の頃よりは乗り降りの頻度も増え利便性は増したが、後半の新宿廻りには到底及ばなかった。なぜもっと早くこのパターンにしなかったんだろう、と思うほど、新宿経由はいろいろな意味で大きかった。(本稿「東京モノローグ」も新宿や定期券あってのこと!)
万博が終わって一段落して、昨年の今頃は調整期間中だった。2005年は定期券を買ったり買わなかったりだったが、10km基準では、
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地元駅〜池袋〜巣鴨:9.9km
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地元駅〜池袋〜高田馬場:9.2km
とか、15km基準では、
といった定期券を1ヶ月単位で買っては、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、といった具合。
そして、第209話の通り、新たに新小岩までの定期券を買うに至る訳だが、「長距離」の定期券を自分で買うのは初めてだったこともあり、大いなる不覚が生じる。Suica定期券ではいわゆる「分割定期券」の取扱ができないので、致し方ないと言えばそれまでなのだが、通しで30km圏内になるような定期券の場合は、途中で分けた方がおトクになるのを十分弁えていなかったのである。
新宿廻りの利便性を思い知った筆者は、地元駅〜新小岩の最短ルート(約21km)は選ばず、池袋、新宿、秋葉原経由で29.0kmを選択。これをSuica定期券として購入して、まぁよしとしていたのだが、半年経って、「継続」で買う手前で思いとどまった。そう、分割定期券と2区間定期券の情報に行き当たったためである。(例:「Suicaで分割定期券の裏ワザ」)
(1)Suicaでは分割定期券は発券できない(従来型の磁気定期券なら可能)、(2)Suicaを使って分割定期券のような割引を取り込むには、2区間定期券の適用を受けるような区間を設定する必要がある、(3)2区間定期券にするには、T字なり、ト字やイ字のような三叉路状のルートをうまく見出し、2つの区間がそれぞれ料金の幅(距離)の上限に当たるようにしないとかえって割高になってしまう、といったことがわかった。
筆者の通勤経路の場合、地元駅〜新小岩でストレートで買う場合(最短)は、6カ月で\54,440。新宿経由の場合は29kmで\65,020。2区間定期券だと、地元駅〜赤羽〜田端〜池袋〜高田馬場を1区間として14.9km、\30,240。田端を分岐点として考えて、田端〜秋葉原〜新小岩をもう1区間とすると、13.7kmで同じく\30,240となり、合計\60,480。つまり、30km近くの距離を乗り降りできる定期券でも、通しが\65,020、2区間だと\60,480という違いが出る(4,540円の差額)のである。
*地元駅〜赤羽〜池袋〜高田馬場:9.1km(\24,190) + 赤羽〜田端〜秋葉原〜新小岩:19.8km(\42,340)というT字の作り方もあったが、これだと高くなってしまう。15kmで分けるのがポイント。
もっとも、この場合のSuica2区間定期券だと、田端や上野には寄れるとしても、肝心の新宿や定期的に乗り降りする四ツ谷や飯田橋は経由しないから無意味。Suicaの利便性は捨てがたいが、今回新たに購入した定期券は、かくして以下のようになった。
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磁気定期券で分割定期券(通勤6カ月)
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1枚目:地元駅〜池袋〜新宿〜信濃町(14.2kmで\30,240) *経由:十条、目白、千駄ヶ谷
2枚目:信濃町〜秋葉原〜新小岩(14.8kmで\30,240) *経由:総武 浅草橋、亀戸
合計:\60,480
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1枚目で入って2枚目で出る時に、円滑に自動改札を通れるよう、「つなぐ」処理(連続ビット)を依頼(有人改札にて)
Suicaに慣れ親しんでいたので、パスケースから出し入れする手間が何とも懐かしいというか、もどかしい今日この頃だが、価格差には代え難い。入れる定期券を間違えないよう、改札を通る際は一人にらめっこ状態だが、じき(磁気?)に慣れて、Suicaよりもスイスイ行けるようになるだろう。
...任意で定期券を購入できる方は、料金体系、分割の可否、2区間の可能性など、ぜひともご一考されることをおすすめします。何気なく乗り降りしている沿線への関心も深まるでしょうし、定期券そのものにも愛着が増すのではないかと。(^^)
筆者がよく使うのは、JR東日本 定期運賃 駅名検索 ジョルダン 駅名入力検索 の2つ。距離を調べる際、駅間距離が細かく表示されている首都圏の鉄道路線図があれば、その方が手っ取り早いかも。
[参考] JR東日本 電車特定区間の定期運賃(通勤6カ月)
距離(km) |
運賃(円) |
1〜3 |
18,150 |
4〜6 |
22,680 |
7〜10 |
24,190 |
11〜15 |
30,240 |
16〜20 |
42,340 |
21〜25 |
54,440 |
26〜30 |
65,020 |
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