第162話 横浜週末(みなとみらい編)(2004.6.1)
はるか第2話で紹介した「元町・中華街」行きの列車がとうとう走り始めたのが今年の2月。第154話で、東横線 横浜〜桜木町間の廃線前日についてはお届けしたが、2月1日以降、肝心のみなとみらい線開通後は、なかなか利用する機会に恵まれず、この「新線レポート」も少々遅れての掲載である。
第161話をアップした翌日の5月16日、他の諸々の作業が一段落したこともあり、二人で久々の「横浜週末」に繰り出した。第106話以来の横浜ネタである。JR根岸線の横浜〜磯子間が開通40周年てことで、記念イベントを展開している折りだったが、旬の横浜はみなとみらい線沿線にあり。(この根岸線のイベントは、みなとみらい線に流れがちな客を今一度呼び戻そうというのが趣旨のようだが、少々苦し紛れな感じ。) 「根岸線スタンプラリー」にも心動かされるものがあったが、まずはみなとみらい線の乗り降りに興じることにした。
横浜〜元町・中華街間の乗降が自由になる「みなとみらいチケット」(渋谷からは\840)券売機で購入。渋谷から特急に乗って、一路「みなとみらい」駅へ直行する。新設の(大深度)横浜駅を過ぎると、いよいよ新しい線に入る。ここからは港の埋立地の下を走る。新しい感覚の地下鉄である。
予備知識があまりないので、みなとみらい駅が果たして、どの建物のどの辺にアクセスするのかは不明。着いてからのお楽しみである。改札を上がればそこは、ランドマークタワーの下でも、横浜美術館の下でもない。いきなりQueen's
Squareの直下である。長足のエスカレーターを昇り、ふと階下を見ると、何とプラットホームが見える。これはこれまでの日本の地下鉄にはなかった光景である。電車を風景の一部に取り込むという意図か、無用な屋根を付けず工費節減という一計か、まぁ良しとしたい。(でも、ビニールでも落として架線に引っかかったらどうするんだろう? それが気がかり。)
今回の横浜週末の主目的は、「第10回ジャパンフードサービスショー」である。吉野家が会場会期限定で牛丼を復活させるなんて触れ込むものだから、客足がさらに増え、いつもの客には少々迷惑?(筆者は決して常連ではないが。) ともかく開場時間の10時からあまり過ぎないように着くべく、歩を進める。案の定、会場のパシフィコ横浜のホール入口は混雑気味。開場待ちの長めの列が動き出したところだった。
この手の催しは、自分なりの順路を作って隅々を廻るものだが、目指す出展者を探して、試食・試飲をこなす方が良さそう。しかしながら、いわゆる1枚ものの会場地図の配布がない!目指すべきブースが見出せない訳である。これは困った。こうなると手当たり次第に触手を伸ばしていくしかないだろう。主催者や出展者側もそれを見越して、あえて案内図も配らなければ、何時何分に何を提供する、という予告も控えめな訳か。何かと食が注目されているだけに、食育や啓発(特に安全性PR)の要素を盛り込みたいところなのだろうが、消費者は許さないようで...外食産業の見本市のはずだが、これではただの試食・試飲フェアの様相。
11時を過ぎたあたりから、どこも混雑度が増していった。出だしはタカをくくって、何となくありついて喜々としていたものの、徐々に「行列を見つけたらとにかく並ぼう」という感じになってきた。吉野家は整理券配布方式がしっかり根付いているためか、思ったよりも閑散状態。しかし、そのお隣に広がるファミレス関係の「レストランゾーン」は正午頃にはすごい人だかり。こっちはそれなりに飲んで食べてを重ねていたので、レストランゾーンにお世話になるには及ばなかったが、これを目当てにする、ショー本来のお客がいらっしゃることを実感した。
少しはパンフレットを読んだり、パネル展示を見たり、学びの姿勢を保っていたつもりだが、世間のバーゲン根性に触発されたか、とにかくいろいろと試させてもらうことになった。「これにて終了」の看板を持った係員が最後尾に出現しようがお構いなし。人数の読み違えは当たり前である。さりげなくその係員について行くと、時にはおこぼれを頂戴できたりする。(意地もあるのだろうが、その想定終了ラインでムリやり終了しようとする出展者も少なからずあった。こういう場所では好印象を持ってもらうのが第一義だとは思うが。) そんなこんなで何となくギスギスした雰囲気も生じるが、それをスリルとして楽しんでいるお客もチラホラいたようだ。
組み合わせ型?の試食・試飲はありがたかった。(例:メキシカンの辛いのと、シャーベットが隣り合っていたのは偶然か? ビーフを使った一品とスパークリングワインの隣接も絶妙だった。) ありがたみを感じる出展が多かっただけに、アンチな対応をする出展者には悪感情も増すというもの。珈琲会社Uは会場入口付近にありながら、一般来場者おことわりコーナーを堂々と確保し、非常に失礼な設定にしていたのが印象的。オージービーフの協会は、需要増&上げ潮の勢いか、試食配布時の誘導の仕方が実に高慢に映った。注意したいものである。
当日の成果は以下の通り。(その場で飲食せず、持ち帰ったものを含む。)*順不同
飲む:コーヒー、スパークリングワイン、アセロラドリンク、ドラフトビール、コーラ、生ジュース、黒酢、ジャワティー、氷結果汁、シャーベットドリンク、横濱カクテル
食べる:ゴボウサラダ、ビーフシチュー、黒豆、米粉パン、握り飯、冷麺、ゴーヤサラダ、ブロッコリー+帆立、チーズ、炊き込みご飯、メキシカンチップ |
第136話の試食例もさることながら、総計22種類というのはやはりこのショーならでは。しっかり入手するためのコツを会得した効果も大きかったようだ。胃腸もビックリだろう。(食べ合わせ、飲み合わせが気になるところだが、まぁ大丈夫だったようだ。) 会場には実に3時間いたことになる。何て小市民な私たち。
13時30分、みなとみらいから、終点の元町・中華街へ。渋谷〜みなとみらい間は新型車両だったが、お次は旧型車両の各駅停車。だが、行き交う車両を見ていたら、特急と言えども旧型という例が多いことに気付いた。路線が新しいので、サマにならないということはないのだが、ちと興ざめな感じを受ける。(ちなみに新型車両の一大特徴は、吊り革が段違いになっていること。要チェックである。)
新駅「元町・中華街」は、半円形の大きな筒(ドーム状)の中にホームがある構造。大阪市営地下鉄 御堂筋線と似た造りだが、こっちの天井の方が高くて、ホーム全体が広々している。そして壁面には、往時の街頭写真が描出されていて、何ともイイ味を出している。(惜しいことに写真解説はなし。) 土地柄を考えた瀟洒な駅だと思う。さて地上に出ると、いきなり元町商店街にアクセス。かつての駅名(仮称)が「元町」だけだった理由がよくわかる。「中華街」を駅名に加えたのはいいが、中華街へのアクセスは少々強引か。ムリやり地下道を作って、東の門前(朝陽門)まで引っ張っている感じがちょっと...
一駅戻って、14時には「日本大通り」駅に到着。この駅は、第106話で紹介した放送ライブラリーの直下に位置する。関内からは歩かされたが、これなら放送ライブラリー(&日本新聞博物館)のファンには便利。この日もライブラリーで2時間ほど過ごさせてもらった。
続いて、「馬車道」駅へ。煉瓦の壁が駅舎を覆う。この煉瓦の一部には正金銀行の遺構(金庫、貸金庫など)が含まれていて、駅そのものが博物館のようなものである。これまた横濱らしい。
駅名に馬車道というのはいいアイデアだと思う。(当初の仮称は「北仲」だった。ちょっとピンと来ない。) 日本大通り駅は、サブタイトルが(県庁・大さん橋)になっている。ならば馬車道駅は、(博物館前)になるだろうか。地上に出てくるとすぐに神奈川県立博物館が目に留まるからだ。ただ、馬車を想起させるもので現存するのは、牛馬専用の水飲場程度。あとは日本で初めてのガス燈などが散見され、ちょっとした名蹟地なのだが、小雨も降ってきたので、早めに切り上げる。馬車道商店街を300mほど往復して、再びみなとみらい駅へ向かった。
フードサービスショーが終わった後でもあり、みなとみらい各施設からの帰り客で駅は混雑を極めていた。切符売場も相当な行列。それを尻目にこちらはフリーチケットでスイスイである。ちょっとパンでも、と思ったが、店も混んでいたので、すぐに改札に戻り、上り電車に乗る。横浜駅には17時ちょうどに着いた。
さて、この(大深度)横浜駅は、実にB5階に位置しており、地上に出るのがひと苦労。JRや京急のコンコース階はB1階なので、4階分上がればいい話なのだが、階段が工事中の箇所があったりで時間がかかった。この日はルミネの10%OFF最終日。よく考えると、試食試飲中心できちんと昼食をとっていなかったので、夕刻早々に食事をとることにした。オープンして間もない6階の壷料理屋で横濱らしい(?)美食を味わい、いよいよみなとみらい線ツアーも最終段階へ。
横浜とみなとみらいの間に忘れちゃいけない駅が一つある。その名も「新高島」。かつての「高島町」同様、各駅停車しか停まらない寂しい駅だが、どっこい存在感はある。埋立地の真下だけに、横浜と同じB5階がホーム。そこからB2階(改札階)に出て、さらにB2階から地上へと段階を踏んで上がっていく。バス乗り場もタクシー乗り場もない辺鄙な駅だが、まだ周りにこれといった建物がないだけに、こざっぱりしていて清々しい。雨に煙る夜景がキレイだった。新高島は穴場だと思う。
再びみなとみらいまで下って、特急列車に乗り、渋谷まで一気に帰路に。気が付けば、まるまる半日を過ごした横浜週末。フリーチケットがあると、つい欲張ってこのようになかなか帰れなくなってしまうもの。皆さんもぜひ「みなとみらいチケット」での周遊をお楽しみあれ。
【おさらい】今回の乗り降り... 渋谷→みなとみらい→元町・中華街→日本大通り→馬車道→みなとみらい→横浜→新高島→みなとみらい→渋谷
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