随筆「東京モノローグ2018」(11−12月期)

 

随筆「東京モノローグ2018」(11−12月期)
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 第511話 2018年15大ニュース(前編)

 第510話 コーヒーチェーン店におけるポイント五選〜「べからず集」的まとめpart26

 第509話 四国一周

 第508話 60周年、多摩動物公園

 

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    第511話 2018年15大ニュース(前編)(2018.12.17)

     

     2018年も残すところ半月。締めくくるには少々早いが、毎年恒例のふりかえりをこの辺でお届けしようと思う。

     ラインナップ的には20程度挙げられそうだったが、切り口を変えることで集約し、何とか15大ニュースで収まった。この後、追加すべきトピックがあれば、次回のどこかしらに入れ込むこととし、今回は(とりあえず固定の)前編。15位→8位をご紹介する。ひとつご笑覧のほどを。

     

    15.電化製品いろいろ

     

     買い替えではなく、これまでに買ったことがないタイプの電化製品を購入した。第495話に記した空気清浄機に始まり、4/29にはLEDのシーリングライト(調光+調色)を買い(参考→第499話#304のコメント欄)、10月にはシュレッダー、マルチオーディオプレーヤーといった具合。

     シュレッダーは、小型のものは過去に使っていたが、安易安価な品だったため、故障→廃棄。本格的なシュレッダーという点では今回が初めてだった。おかげで重宝している。

     マルチオーディオプレーヤーは、いわゆるオーディオ機器だが、SDやUSBにも対応(=デジタル音源の再生、録音)しているという点で、新ジャンル。カセットテープ、LPなどのレコードを再生しつつ、SDで録音というのも可能だ。これでかつての自作(オリジナル曲)をデジタル保存できる見通し。うまく行けばいいのだが...

    第463話の14.に書いた件は、二つの機器をつなぐ必要があったため、操作面、音質面で課題があった。一体型の機器なら行けるだろうという話。

     

    14.東武三昧

     

     東京近郊の大手私鉄の中で、東武によく乗った一年だった。

     1/3は、上毛電鉄のイベントに行くべく、北千住から赤城まで特急「りょうもう」に乗車。6/16は、栃木県県民の日記念イベントの一環で「東武宇都宮線フリー乗車券」が配られるというので、東武宇都宮線方面へ。初めて下車する駅を中心にひととおりこなした。(降り乗りした駅を順に並べると、野州平川南宇都宮安塚西川田国谷おもちゃのまち壬生野州大塚になる。)

     6/24は、ふと思い立って越生線方面をめざし、武州唐沢東毛呂の両駅を訪ねた。

     アーバンパークライン(野田線)は時々利用するが、初めて下車した駅ということでは、8/13の逆井高柳が挙げられる。

     11/14は、埼玉県民の日。毎年恒例の「埼玉県民の日フリー乗車券」を買い、東上線、越生線の未乗降駅めぐりに臨む。この時の記録は、追い追い「駅ログ」に掲載する予定。


     久し振りに乗った東武特急(「りょうもう5号」@赤城駅)


     6/16は、東武宇都宮線を「スカイツリートレイン」が臨時で運行。車内は満員御礼だった。筆者は、野州平川から南宇都宮まで乗車。


     越生線に乗るのは平成初? 坂戸〜越生の中間駅で降りるのもちろん初めて。


     11/14は東上線の未乗降駅へ。まず訪ねたのは鉢形駅。2015年3月にリニューアルして趣ある駅舎に。

     

     その他の関東大手私鉄でのトピックは、以下の通り。普段ご縁がなさそうな鉄道でも、年に一度はお世話になる辺りがやはり大手といったところか。(東京メトロは通勤で利用することもあるので割愛)


    🚈西武:第493話の通り(玉川上水など)
    🚈京成:2/3、節分行事に出かけるべく柴又へ
    🚈京王:第508話の通り(多摩動物公園など)
    🚈小田急:複々線化全面開業の様子見で何度か。当の複々線化の話はかねてから予告をしつつも、とうとう年越し。来年早々には掲載しようと思う。
    🚈東急:第496話の関係であちこち
    🚈京急:創立120周年ということで、少なからずご縁があった。20大ニュース枠であれば、京急ネタで一つ起こせたと思う。2/25に手に入れた「京急創立120周年記念優待乗車証」(参考→第495話を使い、9/23に横須賀中央へ。
    🚈相鉄:2/10、相模大塚のイベントへ。当日の模様は、次回(後編のどこか)掲載。

    2/3は、駅も参道も帝釈天も大いに賑わった

    快特で泉岳寺から一気に横須賀中央へ

     

    13.夏の甲子園

     

     第504話。話題の選手を準決勝で直に見ることができたのは何よりの思い出。暑かった夏を象徴する一日でもあった。

     

    12.観光列車🚃×5

     

     全国津々浦々、観光列車、観光用車両が花盛り。筆者はもともと、乗車そのものを目的化(移動手段としては二の次)した旅を志向するタチなので、その志向に沿った列車が増えるというのは願ってもない話だ。乗れる時は乗るが、行程上合わないこともまた多い。2018年は、その列車の時間にあわせて行程を組むよう意識。乗車券のほかに、座席指定券の類を買えば乗れるタイプが四本、乗る予定の列車がたまたま観光向け車両だったのが一本。そんな結果になった。

     6/9は、京都丹後鉄道の「丹後あかまつ号」で天橋立から西舞鶴まで乗車。その時のレポートは、ここに掲載の通り。

     その翌日(6/10)は、のと鉄道「のと里山里海号」に乗り、穴水から和倉温泉まで移動。これぞ観光列車という趣向が凝らされ、感服した。


     車内はこんな感じ。海に面した二人掛けの席がポイント。(車窓の様子は、こちら[後段参照])


     「のと里山里海号」@和倉温泉駅。乗車時間は40分ほど。

     

     9/15は、第506話に綴った通り、「やまどりループ」(水上〜越後湯沢)、「ゆざわShu*Kura」(越後湯沢〜小出)の二本の臨時列車に乗車。車両の愛称はそれぞれ「リゾートやまどり」、「越乃Shu*Kura」になる。(車両名と列車名が混同しそうだが、臨時列車の名称には、車両の愛称が一部に使われることが結構ある。本数が多いのは、車両名=列車名。)

     11/3は、8000系「アンパンマン列車」。岡山から乗った特急「しおかぜ9号」がこれに当たり、ラッキーだったという話(→参考。「アンパンマン列車」は、JR四国が誇る観光列車の一つである。

     

    11.温泉♨×5

     

     数としてはそれほどではないが、少々行きにくい温泉地に足を運んだという点でトピックにした。
    1/19〜20は、名鉄の「でんしゃ旅 新春謝恩プラン」で南知多温泉へ。宿がそもそも豪華だったので、温泉もなかなか。客の方が頭が下がる謝恩プランだった。

     6/7〜8は、城崎温泉で一泊。当地は外湯で成り立っている訳だが、初日は「さとの湯」→「一の湯」→「まんだら湯」の順でめぐり、翌日朝は「御所の湯」に入った。温泉地としては1か所だが、軒数は増える。ハシゴできる温泉というのは贅沢なものだと思う。

     その日のうちにレンタカーで移動し、天橋立へ。ホテルは岩滝温泉エリアにあり、提携先のクアハウスにも行った。一日二泉である。

     7/9、比較的近所にありながら、縁遠かった天然温泉「さやの湯処」にようやく出かける。都内にして源泉かけ流し。気付いたら2時間近く過ごしていた。

     9/15は、第506話の旅の都合で、只見線起点の小出駅にアクセスできる温泉地で一泊。泊まったのは、湯之谷温泉郷の一角、折立温泉にある老舗ホテル。「プチ湯治プラン」というのに惹かれ、利用した。筆者的には当地の温泉は「名湯」だと思う。


    南知多温泉郷「千賀の湯」


    城崎温泉「外湯めぐり」マップ


     前野原温泉「さやの湯処」。イオンの向かいにある。


     折立温泉は、猛暑疲れにも大いに効能あり。(個人の感想)

     

    10.一之宮×5

     

     2017年は、第489話の3.の通り、宇佐神宮、高良大社を参拝した。それぞれ豊前国、筑後国の一之宮にあたる。2018年の旅では、一之宮を念頭にできるだけ廻ることを決め、3/23に嚴島神社(安芸国)、6/8に出石神社(但馬国)、6/9・10に籠神社(丹後国)、6/11に氣多大社(能登国)、11/5に土佐神社(土佐国)を訪ねた。

     


     嚴島神社を代表する景観の一つ。潮が満ちていると、鳥居の間を舟で通れる。


     「一宮」だが、至ってこじんまりした感じの出石神社。参拝客は筆者一行のみだった。


     天橋立の対岸に位置する籠神社。籠は「この」と読む。6/10朝は、茅の輪くぐりをした。


     氣多大社は、社叢「入らずの森」が奥に広がり、とにかく広大。社叢の外周には大木がいくつかあり、その一部を見に行こうとしたが、道に迷ってしまい断念。

     

     その氣多大社では、神門の檜皮葺替奉納を募っていたので、些少ながら協力。ありがたいことにこうしたものを送っていただき、先だって送付させてもらった。御神符も同封されていて、大いに驚く。大事に祀らせていただこうと思う。

     

    9.社会保険関係

     

     細かい話は後編で記す予定だが、2018年度から働き方が変わり(仕事は同じ)、社会保険関係のあれこれも変更した。

     国民健康保険、国民年金の手続きを済ませたら、次はそれらの支払いをいかにリーズナブルにするかという話が出てくる。会社任せではなく、自分で支払いができるようになる以上、ここは工夫のしどころ。国民年金はとにかく前納に徹することにし、2年分のクレジット払いに変えた。健康保険の方は、利用可能な電子マネーを使うことにして、対応するクレジットカードでのオートチャージもあわせて設定。残高を気にせず、円滑にレジで払える形にしつつ、しっかりポイントも貯めるという一計である。期限さえ失念しなければ、特に面倒なこともないので、しばらくはこれでと思う。住民税の方もこの手法に切り替えた。固定資産税、都市計画税は口座引落にしているが、ポイントの件を考えるとその方がいいかも知れない。年度が変わる前に検討するとしよう。

     お世話になっている電子マネーは、おなじみのこちら。チャージ機でもオートチャージができるのがまた便利。

     

    8.半世紀

     

     昭和を20年、平成を30年…つまり半世紀である。時の経つ早さ、重ねた年の重さを感じる今日この頃。→第507話(蛇足の項の通り)

     そして、平成最後の12月が終わろうとしている。

    ・・・

     どうぞよい12月、よい年末を。

    後編は年明けにお届けします。

     


     

     

     

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    第510話 コーヒーチェーン店におけるポイント五選(2018.12.2)

     

     朝、時間的余裕がある時は、いわゆるコーヒーチェーンに足を運んで、セットメニューなどをいただく。あの店に行く時は例のセットでとか、クーポンがあるから今日はあちらへといった感じで、何となくパターンを確立しつつあるが、過去に少しでも気になる点があると、時に迷いが生じる。このチャーンの〇〇店なら外さない、というのは案外ないのである。

     至らない点があっても、自分なりに工夫すれば何とかなるのもまた事実。今回は、15話ごとの「べからず集」にあたる回だが、コーヒーチェーン店における「べからず」というのを挙げるほどの件ではないので、「こうすればより有意義」とか「こうなっていればよりありがたい」といった観点で綴ってみようと思う。

     

    5.アイスコーヒーなどの氷

     

     コンビニコーヒーも概ね好みが固まってきたが、チェーン店のコーヒーについてもまた然り。筆者は専らアイス派なので、「ここのアイスコーヒーはイイ」というのが明確になってきて、その処し方もだいぶ進化したと思っている。

     アイスの場合、当然のことながら氷(アイス)が入る。その形状や量は、チェーンによって特性がある訳だが、氷が溶ければ味気なくなってしまうのは共通。氷なし、氷少なめといったリクエストをするのも何なので、筆者は別の容器を持参して移し替えることにしている。容器で重宝しているのが、コーヒー飲料が入っていたボトル缶。氷が入らないように移すのには一定のスキルを要するが、慣れれば簡単なものである。

     この手法は、コンビニコーヒーでも実践している。元のプラスチックカップの方は、捨てずに別の飲料を飲む際に利用。一定の回数使ったら、プラスチック資源ごみで出すようにしている。

     


     コーヒー専門ではないが、ここのアイスコーヒーは逸品。


    → 氷が溶ける前に移した例。氷の量も良心的な方だと思う。

     

    4.レシートの取り扱い

     

     多客のチェーン店では、レシートを渡すのを省略するケースがままある。レシートを受け取らない客(または「要らない」と明言する客)が多いことが主因と思われるが、電子マネーなど、現金を介さない会計が増え、釣銭を手渡すシーンが減っていることも一因として考え得る。理由はともあれ、渡す気がない店員さんに当たった際は、とにかく声をかけ、受け取るようにしている。店によっては、レシートの後段に「2杯目は〇〇円」とか「おかわり半額」といった記載があって、そのレシートがないと、サービスを受けられない設定にしていることもあって、軽んずべからずなのである。日々の買い物等でも同じ。レシートは積極的に受け取る可しと思う。

     2杯目のサービスを受ける際、そのレシートは原則回収となる(レシートが必要な旨、申し出た場合はその限りではない)。が、何らかのサインを入れた上で客に返してくれる店も時にはある。店というよりも、店員によりけりなのかも知れないが、レシート=顧客のものという意識があれば、サイン&返却はむしろ当たり前。筆者はこうしたレシート周りの対応は、店を見定める一つのポイントと捉えている。

     時々利用するのがこちらのチェーン店。レシートは「おかわりチケット」を兼ねている。実にありがたいサービスだ。(同様のサービスがあったが、やめてしまったチェーン店もある。→リリース

     

    3.後片付け等

     

     多くのコーヒーチェーン店では、退店時に客がカップや食器を所定の場所に持って行くシステムが取られている。紙屑やストローなどもトレーごとそのままという店も多く、客側は楽かも知れないが、店内の美観を保つという点ではあまり好ましく思えない。喫煙可の店では、灰皿もそこに集まってくる。気分がいいものでないのは言わずもがなである。

     店によっては、店員の手が回らずに返却口周りが美しくない状態が長々と続くケースも見られる。せめて、ごみ類は客の手で捨てられるようになっていれば...と思う。

     片付けがままならない店では、カップ、グラスの類のメンテの方も不十分になる可能性がある。店内用の容器は綺麗であってほしいものだが、「?」と思うことが時にはある。フォーク、スプーンなども同様。そういう店の返却口を見てみると、案の定だったりする。これもチェックポイントの一つと言えそうだ。

     筆者は、店内用であっても、アイスの場合は移し替えるので、グラスの状態をあまり気にすることはない。フォーク、スプーン関係はどういう状態であれ、水を含ませたナプキンで拭いてから使うようにしている。なお、片付け時は、美観を損ねないよう一定の配慮をしつつ、自分由来のごみはできるだけ持ち帰ることにしている。

     

    2.分煙徹底または全面禁煙化

     

     分煙の仕方には、かなりバラつきがあり、その仕掛けが緩い店(煙が流れ込む、何となく店内に充満など)の場合はまず利用しない。扉で完全に仕切られていても、開閉の度に漂って来ることがあるので、利用する場合は可能な限り喫煙席から遠い席を選ぶようにしている。

     優先度を低い順に挙げるなら、

    同一フロアで分煙が徹底されている店
     < 喫煙と禁煙がフロア別(ただし、喫煙階を通らないと禁煙階に行けない場合はパス)
      < もともと完全禁煙(店頭にも喫煙スペースなし)

     になるだろうか。

     2020年に向け、完全禁煙のチェーン店が増えることを期すばかりである。

     


     分煙徹底タイプの一例。扉の前を通る際は、客の出入りがないことを確かめる必要はある。


     エリアは分かれているが、扉も仕切りもないパターンもある。


     ここは89席すべてが禁煙。喫煙コーナー等は一切なし。こういう店をぜひ利用したい。


     かつては、一応分煙(煙充満タイプ)だったが、ある時期から「全席禁煙」に。英断だと思う。

     

    1.ストップ使い捨て助長

     

     ウミガメが鼻にストローを詰まらせてどうこうとの話題がきっかけということだが、プラスチック製のストローを廃止する動きが、コーヒーチェーン、ファミリーレストランなどの一部で出てきているとか。(→参考記事

     そもそも、プラスチックカップに飲料を注ぎ、それを持ち帰る文化(またはスタイル)を作ったのはどこだっけ?という気がしなくもないが、取り組みとしては悪くないと思う。

     忘れてはいけないのは、ストローはあくまで一部であるということ。根本的なプラスチックごみ(または漂流・漂着ごみ)対策は、一次的(または一時的)な容器等を提供しないことに尽きる。サービスの主体は飲料本体であって、容器、ストローの販売ではないはず。使い捨ての入れ物前提のサービスの是非について、提供する側も、受ける側も考えなければ。

     長く使える容器を自分で持って来て、そこに入れてもらう仕組みももちろん有効。いわゆるマイカップ、マイボトルである。必要とあらば「マイストロー」というのもアリだと思う。

     筆者はとりあえず、プラスチックカップとストローのセットはキープしておいて、洗って使ってを何度か繰り返した後に、資源ごみで出すようにしている。かつてほどではなくなったが、指定の店に行く時は、マイカップ(タンブラータイプ)も使う。

     

     こちらのストロー、まだプラスチック製。紙製のストローというのがどういうものなのか、大いに気になるところ。

     

    ・・・

     という訳で、今後もこんな感じで工夫なり留意なりしつつ、より良質な店を選んで利用するようにしようと思う。

     


    おまけ)

     

     地元スポットで漂着物の調査をしていた際の記録のうち、ストローなどが上位だった回は、次の通り。久し振りに様子を見に行ってみようと思う。
     → [2007.6.3の漂着ゴミ] [2007.12.2の漂着ゴミ

    (参考)
     ・漂流・漂着ごみが生き物に与える影響等について警鐘を鳴らしていた一つがこちら
     ・海ごみに関連する書籍等
      …筆者はこの中の「海ゴミ−拡大する地球環境汚染」の一部(p.78〜79など)で協力させていただいた。もう10年以上前の話である。


     

    • コーヒーに関する話題

    第261話 試飲の進化形 / 第293話 マイカップ&マイボトル / 第413話 コンビニコーヒー

     

     

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    第509話 四国一周(2018.11.19)

     

     “初乗車にして全線完乗”をテーマに掲げると、旅の設定が明確になるもので、9月の只見線に続き、今度は四国の路線でと思い立つ。

     第506話に記した通り、四国では四つの路線があてはまる。内子線、予土線、牟岐線、鳴門線である。乗ることに徹する上で有効なのは、JR四国のフリーきっぷだが、数ある中で有力視していたのは、誕生月限定の「バースデイきっぷ」。特急列車(自由席)も使えて、3日間で9,500円というのは格安だと思っていた。今秋は、これに似た企画乗車券で、「四国全線開通謝恩フリーきっぷ(フリー区間が一部異なるが、ほぼ同じ設定でこちらは1万円)というのも出て、選択肢が増える。いずれにしろ、7月の豪雨の影響で長らく不通になっていた最後の区間(予讃線の卯之町〜宇和島)が復旧したこともあり、出かけるなら誕生月(10月)と決めていた。が、しかし...

     ちょくちょくお世話になっているJR東海ツアーズで、四国関係のパンフレットを見ていたら、「バースデイきっぷ」を上回る好条件のフリーきっぷがオプションでセットできることを発見。「四国全線フリーきっぷ」というのがあって、鉄道利用に限れば、条件は同じ(JR四国+土佐くろしお鉄道が全線フリー)な上、3日間で7,710円、4日間でも8,750円…「これだ!」となる。

     


    1.「13府県ふっこう周遊割」+四国一周

     

     となれば、あわてることはない。11月でもいい訳だ。と、次にさらなる渡し舟が現われる。「13府県ふっこう周遊割」である。

     その存在は何となく承知していたが、よくよく調べると条件にピッタリ当てはまることがわかり、ふっこう割ありきで行程を組み立てることになる。10月以降の宿泊分から、出張プラン的なパッケージも対象に加わったというのがまた大きかった。ただし、ふっこう割は補助金制度。予算上限に達すれば終了という制約がある。適用期間内でかつ早めに出かけるのがポイント=早い者勝ちの世界である。11月上旬がよかろうという話になり、3泊4日で出かけることにした。

     どうせ行くなら、何かしらのイベントを組み込みたい。鉄道関係で検討したのは、11/3の「第17回ことでん電車まつり」、11/4の宇和島地区「鉄道の日ふれあい祭り」(→PDFの二つ。JR四国のフリーきっぷを使う手前、わざわざ「ことでん(高松琴平電気鉄道)のイベントに出かけるのも何なので、素直に宇和島に行くことにした。これで、アウトラインは固まった。

     11/3に宇和島入りし、11/4は宇和島運転区でのイベント後、高知へ、11/5は鉄道+バスで四国南東部を巡りつつ、徳島県に…といったプラン。内子線、予土線、牟岐線、鳴門線の完乗に加え、一大テーマとして「四国一周」というのがこのプランには含まれる。できるだけ隅々を廻る感じで一周に臨んだのは、1990年11月の九州一周以来。「平成二大一周シリーズ」とでも名付けようと思う。

    ・・・
     四国一周以外の主なテーマは、次の通り。テーマ別に綴る。

     


    2.JR四国の在来線特急

     

     今回のフリーきっぷでありがたかったのは、とにかく特急が乗り放題ということ。18きっぷ(またはそれに準ずる企画乗車券)主体の旅が多い筆者は、在来線特急とはあまりご縁がない。その反動もあって(?)、しっかり活用させてもらった。もっとも、特急を使わないと然るべき移動ができないので、JR四国のフリーきっぷではこれが当たり前なのかも知れない。

     特急に乗ったのは、岡山→松山→内子→宇和島(11/3)、窪川→高知(11/4)、池谷→栗林(11/6)の5回。四国は過去に6回訪ねているが、1989年に急行「土佐」に乗った(高知→阿波池田)のがせいぜいで、四国内で特急列車に乗ったことは一度もなかった。そういう点でも記念すべき旅だった。

     特急列車最大のメリットは、短時間で長い距離を移動できること。難点は、途中駅を細かくウォッチできないことが挙げられる。面白そうな駅があっても、素通り。普通列車であれば、駅舎、駅名標などを見る・撮るというのはある程度可能だ。その路線を楽しむという点では、特急は向かないことを今更ながら認識した。

     


     特急「しおかぜ」9号(岡山11:35発→松山14:13着)。アンパンマン列車だった。(こちらもどうぞ)


     松山駅での特急の乗り換えは、同じ1番線で。「しおかぜ」の先に待機していたのは、特急「宇和海」17号(松山14:28発→内子14:53着)。


     内子で2時間ほど過ごし、再び「宇和海」で宇和島へ。乗ったのは、内子16:56発(宇和島17:49着)の21号。


     窪川からは、特急「あしずり」6号に乗り、一気に高知へ。乗車時間は1時間ほど(14:02発→15:04着)。思いがけず速かった。


     池谷から栗林までの移動は、特急「うずしお」14号で。JR四国最新の特急形気動車2600系に乗れたのは幸運だった。乗車時間は1時間弱(12:33発→13:26着)。実に快適な時間を過ごせた。なお、この列車で高徳線の未乗区間を乗り通し、徳島県内の全鉄道路線の乗車を達成。また、JR四国内で乗っていない区間は、予讃線の一部を残すのみとなった。


     今回の旅はこの一枚あってこそ…「四国全線4日間フリー(乗車券・自由席特急券)」

     


    3.初乗車&完乗

     

    ■内子線…こちらをどうぞ

     


    ■予土線(宇和島11:36発→窪川13:47着)

     1989年に四国を旅した時は、松山からバスで高知に向かった。その後、松山に来ることはあっても、松山以西・以南については縁遠く、愛媛県西部・高知県西部の鉄道も未知のまま。予土線に乗るのは、長年の夢だった。

     「予土線3兄弟」など、同線を走る観光列車が充実しているのは、ひとえに川沿いの絶景あってのことだろう。今回は、普通の気動車で全線を乗車。地図を見ながら狙いを定め、川を渡る場面など大いに堪能したものの、写真の方はあまり...だった。観光列車の場合、徐行区間があるようなので、撮影に重点を置くなら、3兄弟を選ぶ方がいいと思う。

     山間部を走るので、トンネルも多い。気動車がトンネルに入ると、結構な轟音になるので、注意が必要だ。トンネルのまま、ループ区間になり、勾配を進むというのもある。そのループは、家地川と若井の間。実際はあまりループしている感じはしなかった。

     予土線の前半は、こちらに掲載の通り。同線の沿線の象徴とも言える四万十川の景観は、後半になる。四万十川と並行するのは、江川崎を出た後。列車が東に進む一方で、四万十川の流れは西というのも一興だと思う。

     

     半家〜十川では、地形の見本のようなポイントが出現。四万十川上流部では、こうした景観が度々現れる。

     


    ■牟岐線(海部15:47発→日和佐16:22着、日和佐18:08発→阿南18:54着、阿南9:17発→徳島9:59着)

     

     海沿いを走るイメージが強いが、徳島近郊路線の顔も。徳島〜阿南は、通勤通学や生活路線としての性格の方が強そうだ。全長(海部〜徳島)は79.3km。予土線(北宇和島〜若井)よりも3km長い。

     

     阿南駅での「近距離きっぷ運賃・料金」。水色が牟岐線、紫色が鳴門線、ウグイス色が高徳線。今回の旅で、この3線、無事完乗となった。

     


    ■鳴門線(池谷10:23発→鳴門10:41着、鳴門12:03発→池谷12:20着)

     

     鳴門駅とその周辺は、レンタカーで訪ねている(→第412話ので、初探訪ではなかったが、鳴門線の乗車、鳴門駅での降り乗りについては今回が初。

     総じて長閑な感じの路線だった。全長(池谷〜鳴門)は8.5km。JR四国の路線の中では、内子線(5.3km)に次いで短い。

     

     JRのほかに、初乗車・全線完乗となったのは、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線(後免〜奈半利)、阿佐海岸鉄道(甲浦〜海部)の二つ。これらの車窓や概略などについては、いずれ「駅ログ」に載せようと思う。

     


     ごめん・なはり線のオーシャンビューの一例。あかおか駅から東は、終点の奈半利まで概ね海沿いだが、特に眺望が利くのは、夜須〜赤野の7kmほど(所要時間は約10分)だそうだ。写真は、そのビュー区間内、夜須の次、西分(にしぶん)に向かう途中で撮影。


     阿佐海岸鉄道は、甲浦(高知県東洋町)と海部(徳島県海陽町)を結ぶ第三セクター。2県にまたがる路線だが、その全長は8.5kmと短い。海岸鉄道という名に相応しく、特に海側の景色は素晴らしかった。

     


    4.宇和島運転区

     

     ここ数年、車両基地イベントに足を運ぶ機会が増えている。その一環で今回は宇和島運転区へ。四国における車両基地イベントは、当地が初。会場はコンパクトながら内容は多彩で、ホスピタリティも高め。はるばるやって来た甲斐はあった。(→直筆リポート記事

     宇和島は、駅前などにワシントンヤシが並び、異国の佇まい。ヤシは高いが、建物は高いものが少ないせいか、全体的に平たい印象を受けた。いい意味で日本離れしている町だと思う。

     


     宇和島運転区での観光車両の展示シーン(→参考


     宇和島駅とワシントンヤシ。宇和島駅と宇和島運転区(ダイジェスト)については、こちらに掲載。

     


    5.バスで岬めぐり

     

     国内の名だたる「岬」というものをこれまで巡ったことがなく、最もメジャーな例は知床岬(2006年7月)といったところ。この時は船で岬に入った。バスで岬を訪れたのは、もしかすると人生初。行程の都合で一度乗り換える必要があり、来ることができたというのが実情だが、とにかく岬に来た。室戸岬である。

     高知東部交通のバスで、奈半利駅から約1時間。バス停の名称はズバリ「室戸岬」で、降りればすぐに岬という好アクセスだった。出たのは灌頂ヶ浜と呼ばれる一帯。浜と言っても岩石が主体で、その形状はインパクト大・・・ジオパークの一角にいるのだからもっともである。太平洋を大きく見渡すことができるのも当地ならではだろう。波もいい音で打ち寄せる。残念ながらその波は、漂着ごみも運んで来る。

     

     灌頂ヶ浜からの太平洋の眺め。この日は気温高めで、夏の海のようだった。

     高知東部交通の「安芸・甲浦線」。バスは、ほぼ定刻通り到着。(室戸岬停留所にて)

     

     先に乗ったバスは、岬を廻った先のジオパークセンターどまり。鉄道駅に通じるバスは本数が限られる。次に乗ったのは、阿佐海岸鉄道の甲浦駅などを経由するバスで、平日7本あるうちの一本。定刻通り14:31に室戸岬を出て、やはり定刻の15:21に、甲浦駅に着いた。途中、ジオパークセンターでの小停止はあったが、乗り降りはなく、ほかの停留所も見事なまでに通過の連続。信号で止まることもほぼなく、ノンストップだった。カーブもアップダウンもお構いなしで、バスはひた走る。そこまで急がなくても...と思ったが、結果的にはそれで時刻表通りなのだから何も言うことはない。ノンストップ(&速度維持)前提で時刻表が設定されているのだとすれば、凄い話だ。

     なお、日和佐の薬王寺(23番)から、室戸山の最御崎寺(24番)までは、八十八か所の中でも指折りの長距離区間。75km余りというから、徒歩で移動するには相当な覚悟、体力を要すると思われる。24番に近い室戸岬から23番最寄り駅の日和佐まで、今回のようにバスと列車を乗り継ぐと、所要時間のトータルは1時間45分ほど。公共交通でそれだけ時間がかかるのだから、歩くとなると... バスで北に向かう間、逆方向(室戸岬方面)を往くお遍路さんを何人か見かけた。ただ頭が下がる。

     

     以下は、観光、探訪関係。めぼしいスポットを順に紹介する。

     


    内子(11/3)

     

     2007年7月7日の「アド街ック天国」は、「今、散策したい!ニッポン懐かしい風景が残る街BEST77」だった。内子はこのランキングで、何と6位

    贅を尽くした漆喰の街並。
    愛媛県「内子」には、古いもので200年以上前に建てられたと言われる、温かい心が伝わる街。
    黄色い漆喰となまこ壁には、いにしえの贅を尽くした匠の技が見て取れます。


     との紹介文が出ていたが、こうした点以上に筆者が感じたのは、その静けさ、上品さ。観光地化が進むと、賑わいを超えて"騒々しさ"が出てしまい、居心地が悪くなるものだが、内子ではそれがなく、純粋に街を楽しむことができた。訪ねたのは、文化の日。期せずして、まちの文化やあり方について考える日となった。

     

     黄色い漆喰の建物は、本芳我家住宅の土蔵。その隣(奥)の建物は、大村家住宅。どちらも重要文化財。(→参考

     


    宇和島城(11/4)

     

     宇和島運転区のイベント前に、宇和島城へ。高台にあるため、天守までの道程は登山のような感覚。登頂すれば、展望が開けるが、天守の上階に行けばさらなる眺望が楽しめる。

     今に残る天守は、全国に12あって、宇和島城はその一つ。重要文化財に指定されている。(参考→「12天守」)

     

     宇和島城。開場は9時だが、5分前には入れてもらえた。入場料は200円。

     天守3階からは全方位が見渡せる。手前は宇和島港。中央の島は「九島」。

     


    はりまや橋など

     

     高知と言えば、はりまや橋。1989年8月に初めて高知に来た時以来、二度目である。いろいろな角度で撮っていたら、明治期デザインの路面電車「維新号」が通過(11/5、9:50過ぎ)。はりまや橋でガッカリではなく、ビックリの瞬間である。

     

     太鼓橋(手前)と、はりまや橋を通る「維新号」

     高知の路面電車=とさでん交通。11/4は、日没前に桟橋車庫を訪ね、車両のラインナップを見物させてもらった。こうして見てもやはり博物館である。

     


    土佐神社(11/5)

     

     高知から、土佐くろしお鉄道の車両に乗って、そのまま終点(奈半利)へというのもアリだったが、一之宮めぐりを重視して、二駅目の土佐一宮(とさいっく)で下車。駅名通り、「土佐一ノ宮」である土佐神社の最寄りなのだが、境内までの距離を十分に下調べしていなかったので、あわただしいお参りに。あとで調べたら、片道約1.5kmだった。土佐一宮着は10:24で、発は11:27。1時間あれば余裕と思っていたのだが...

     

     クジラデザインのごめん・なはり線車両。「くろしお」にちなんで、車両形式は9640。オープンデッキがあり、海沿いを走る時に本領を発揮する。

     土佐神社。楼門を入り、この鳥居と拝殿(奥)に辿り着くまでにまた距離があり、大変だった。境内で過ごした時間は15分ほど。

     


    薬王寺(11/5)

     

     特急「やくおうじ」という臨時列車があって、その列車名から気になっていたのが薬王寺。日和佐駅を降りて500mほど北に進めばアクセスでき、境内の階段(厄年の年齢に対応した段数33+42+61+...)を上ると、日和佐川、日和佐港、日和佐の町並みが一望できる。時間にゆとりはあったが、日が暮れる前ということだとギリギリ。次に来ることがあれば、ウミガメの博物館や産卵地などにも行ってみようと思う。

     

     日和佐駅に架かる陸橋から見た薬王寺方面。瑜祇塔(ゆぎとう)が目印。

     瑜祇塔の下の広場からは、日和佐一帯が望める。時刻は17時。鐘楼堂の鐘と、町の時報が重なり、山々にこだますのがわかった。

     


    栗林公園(11/6)

     

     最終日は、大まかな予定しか立てていなかったので、とりあえず栗林で降り、栗林公園に行ってみて、よさそうだったら入園、ダメそうなら高松か岡山で過ごすといった感じだった。公園に来てみると、これがなかなか壮大。時間もなくはなかったので、とにかくひととおり巡ることにした。見どころ多数で、天気がよかった分、どこを撮っても映える。さすがは「特別名勝」と思った。次は"ことでん"とセットで、春か夏に訪ねようと思う。

     

     小高くなった「飛来峰」から、南湖全体を眺める。湖に架かる「偃月橋」(えんげつきょう)は、ミシュランの一つ星評価を受けていて、「飛来峰」も一つ星。二つ星は、湖の奥に見える数寄屋風の茶室「掬月亭」(きくげつてい)と、公園全体の松林が対象。世界に誇る庭園と言える。栗林公園は"★★★"。

     


    おまけ)

     

     11/3夜は、宇和島名物の鯛めしをいただき、11/4夜は、高知の地場野菜をメインにしたビュッフェレストランでゆったり過ごした。11/5朝は、鰹のタタキを堪能。ホテルの朝食はいずれもビュッフェスタイルで、たっぷりいただいたため、お昼は軽めで済んだ。

     泊まったホテルは、いい意味でレトロ感ある「宇和島グランドホテル」、スケール感という点では抜群の「ザ クラウンパレス新阪急高知」、設備、サービスともに新鋭な印象の「ホテルルートイン阿南」。1県1泊・・・それぞれに特徴があり、違う楽しみがあった。室内やベッドの快適性は、ルートインが一番だったと思う。

     「鯛めし」(単品)。食し方にいろいろと工夫があり、味のバリエーションっが楽しめる。この内容で、1,200円(税抜)だった。

     地産地消メニューが揃う。ナス、シイタケを使ったメニューが目立った。四万十の赤味噌を使った味噌汁も美味だった。(→店舗情報

     朝食で出てくることは何となくわかっていたので、前日夜には食べなかったカツオ。ホテルでしっかりいただいた。産直ならではの新鮮さを感じた。

     ホテルルートイン阿南の「コンフォートツインルーム」。ベッドは「エアウィーブ」を使用。おかげでよく眠れた。

     

    ふっこう周遊割について

     

     基本的な条件としては、同一府県内(同一施設)での連泊か、2府県以上の連泊でOK。条件は緩やかだが、旅行者自らが申請する場合、用意しなければいけない書式がいくつかあって、その中には宿泊施設で書いてもらったり、発行してもらったりというものもあり、手続き的には難度は高め。今回はそれらをまとめたり、コピーをとったりなど、手間と時間がかかった訳だが、旅の余興のようなものと捉えればどうということはない。

     提出書類は愛媛が最も多く、高知、徳島はほどほど。送付先は同じ(岡山市にあるJTB岡山ビル内)で、書類の基本パターン(申請書兼請求書、個人情報同意書、宿泊証明書、行程表、宿泊に係る領収証など)も同じだが、記入内容が微妙に違っていて、より細心の注意を払うことになる。各県それぞれの事情やスタンスがあるのだろう。どのタイミングでいくら振り込まれるのか... これも旅の楽しみである。

     


     

     

     

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    第508話 60周年、多摩動物公園(2018.11.1)

     

     前回は50周年ネタだったが、今回はそれに10年加えた60周年を迎えた一大スポットについて。

     1958年5月5日開園、多摩動物公園である。還暦ということになる。

     幼少時に一度来た憶えがあるが、京王線に乗った記憶の延長でそう思っているだけかも知れないので、定かではない。目的意識を持って足を運んだのは、1988年12月10日。30年前=30周年につき、節目に合わせて出かけたのだと思う。当時の記録帳には、「Anniversary30」とメモしてあったので、入園券や案内図などにもその横文字が入っていた筈。撮った写真にそれがあればよかったが、あいにく見当たらなかった。節目の年に行くことに意義があり、節目を示すものを撮ることにはあまり関心がなかったようだ。この日の天気はパッとせず、肌寒かった。動物も大変そうに見えたのはよく覚えている。

     その次に出かけたのは2000年5月27日のこと。以来、前を通ることはあっても、 園内にはとんとご縁がなかった。ここ30年の範囲で三度目となる入園は、さる10月20日。前回から実に18年ぶりというのは、我ながら驚きだった。

     前回同様、今回も某社のウォーキングイベントの一環。いわゆる「歩け歩け大会」である。事前に案内等の配布はあったが、アニバーサリーイヤーに関する記述は特になかった。60周年云々に気が付いたのは、入園後かなり経ってから。そもそも、アニバーサリー的なムードや演出は全体的にあまりなかった気がする。

     


     「祝 多摩動物公園 開園60周年」の横断幕。位置が高過ぎて入園時には気付かなかった。


     現地で撮った園内マップ。こうして見ると、やはり広大。(参考→公式サイト

     

     多摩動物公園は広い。普通に廻っていれば、すぐに数kmになる。歩け歩けにはピッタリな訳だが、丘陵地の地形を活かした動物園ゆえ、その高低差がまた激しく、ウォーキング以上のインパクトがある。地図サイト上で試しに測ってみたら最大で50mのアップダウンがあった。歩いた距離は約4.7km。動物公園というよりは、運動公園? 自身がよく動くものと化す、という点で動物公園なのだと思う。

     本来の趣旨の動物たちは、以下の通り。比較的上手に撮れた分を中心に、見て回った順にご紹介する。

     


    ツキノワグマ

     

     天気が良かったためか、わりと活動的だった。遠目からは穏やかに見えるが、近くで見るとまた違うのだろう。

     


    ワシ類

     

     オオワシ、オジロワシ、ダルマワシなどの大型の鳥がある程度飛べるように設計されたフライングケージ。ニホンイヌワシと見られるワシがたまたま飛んでいるところを撮ることができた。いい感じで飛んでいたが、もっと自由自在に羽を伸ばしたいだろうと思う。

     


    コウノトリ

     

     園内に2か所あるうちの一つ。大きな巣がまず目に入り、そこに一羽いるのはあとで気付いた。今年6月に、本場の豊岡市(兵庫県)でコウノトリウォッチングをしてきたので、今回はおさらいのような感じ。


     コウノトリ保護増殖センター付近で営巣中のコウノトリ


     コウノトリの郷公園で接写。なかなか凛々しい。

     


    コアラ

     

     コアラと言えば、まぁこれが常だろう。

     


    タスマニアデビル

     

     同じオセアニア圏の動物でも、こちらは実に活発。とどまることを知らず、常に飛んだり走ったりしているので、まずうまく撮れない。

     


    レッサーパンダ

     

     草地をチョロチョロしているイメージだが、この日は木の上でお休み中だった。器用なものだと思う。

     


    ターキン

     

     過去にも対面している筈だが、どうにもなじみのない動物というのも時にはあって、その最たる例がこの「ターキン」。中国(China)の中央部辺りの山岳地帯に生息しているそうで、斜面に適応した移動が可能。この大きさで?としばらく眺めていたら、「ホイ」(♀)が近づいて来た。カメラ目線なのがまた何とも...

     


    クロツラヘラサギ

     

     2005年「愛・地球博」に出展した際、ニュースプログラムなどで取り上げ、何となくなじみがあるのがこのクロツラヘラサギ。東アジア共通の野生生物の一つであり、干潟保全の象徴でもある。飼育されているタイプ(野生以外)は、多摩動物公園が本場。上野動物園(→参考でも見たが、ここまで近くでは観察できなかった。その特徴的な嘴を盛んに動かし、水面を叩く姿は圧巻。摂餌のためと思われるが、収獲があったのかどうかはとうとうわからなかった。

     


    チンパンジー

     

     チンパンジーは、狙ったエサを手に入れるべく道具を使う。使えそうな枝を選び、狙い目となる小穴から枝を通し、それを巧みに操って果物などを落とし、出口で待つ。実はこの穴の下にはもう一段階あって、同じ動作を二回やる必要があるので根気が要る。加えて、下段の穴は二つ。二つあれば、入手しやすくなると思っては不可ない。一つは自分の足元に転がって来る口とつながっているが、もう一つは子ザル専用コーナー(大きなサルは入れないエリア)に通じているというんだから、たまらない。枝捌きと穴の見極めがポイント…よくできた仕掛けだと思う。

     


    キリン

     

     キリンが見えてきたところで、間もなく食事タイムとの案内が入る。開始は14時。最初にモミジ(緑)が振る舞われると、あれよあれよでなくなり、枯れ枝状態に。一種のもみじ狩りである。長い舌で枝や葉を器用に巻き付けて口に入れ、左右に動かしながら咀嚼する。高速で繰り返されるその様子、そして旺盛な食欲に、見物人は舌を巻くことになる。

     


    アオサギ

     

     キリン園の隣にペリカン池がある。ペリカンが主役だが、なぜかサギの姿も見られる。園内マップには載っていないから、他所から遊びに来るのだろう。池を覆うように伸びる木の枝をふと見遣ると、サギが止まっていて、微動だにしない。その堂々とした姿にはただ感服。日射の加減で色がわかりにくいが、アオサギである。

     


    アフリカゾウ

     

     動物園と言えば、やはりゾウ。さまざまな角度で眺めていたところ、一頭が動き出したので、動画で撮ってみた。鼻で柵のロープにタッチする場面があったので、その瞬間を切り出したのがこちら。筆を持たせたら、何か描いてくれそうな雰囲気を感じる。

     

    ・・・

     園内に入ったのは10時過ぎだった。滞在時間は5時間15分ほど。さすがに歩き疲れたが、得るものは大きかった。次に来るのはまたアニバーサリー年か... 健脚なうちは足を運ぼうと思う。

     


    おまけ)


    今回は「60th Anniversary」


     ウォーキング&行楽日和。とにかく天気は良かった。


     高幡不動〜多摩動物公園の往復は、このラッピングトレインに乗車。車内は動物仕様。


     多摩動物公園駅前には、京王れーるランドもある。10/11には、別館の「京王れーるランドアネックス(写真)もオープン。動物園の後は、本館、別館などでゆったり2時間ほど過ごした。

     


     

     

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