随筆「東京モノローグ2013」(5−6月期)
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6/4(火)11:56、不発弾は「ボン!」と音を立てた(@滝野川公園入口) 第379話 不発弾

2005年以降、歯に関してはここがかかりつけ。東京歯科大学水道橋病院。 第378話 補綴・根充・築造

雨でも「タイ・フェスティバル」は大賑わいだった 第377話 雨の渋谷、5月11日

「駅Q」発売!(4/19、書泉グランデ6階「鉄道フロア」にて) 第376話 「駅Q」発売!〜自著ができるまでetc.

第379話 不発弾(2013.6.16)

 それは2/17(日)のこと。浜松で不発弾が見つかり、その処理のために東海道新幹線などが一時ストップした一件があった。洋上から打ち込まれたもの(16インチ艦砲弾)ということで、結構大型。発見現場から離れた場所で処理するということで、ゆっくりと移送されるも、その道中を含む半径540mが避難指示区域に。新幹線と東海道本線は、それに引っかかり、遅延などが生じた。いつも見慣れているディスプレイだが、原因の欄に「不発弾処理」と出るのはまずないだろう。ともあれこれは東海エリアの話。首都圏ではまずこういうことはなかろう、と普通は思う。(参考→リリース(PDF)/記事

6/4の運休区間 ところが浜松の件があった2か月後の4/12(金)、JR東日本から驚きの発表(→参考が出る。JR東の各新幹線と湘南新宿ライン・京浜東北線運休のお知らせ、その理由が「不発弾」である。「京浜東北線上中里駅に近接する場所で発見された不発弾の処理作業を上記日時に実施します。」・・・日時:2013年6月4日(火)11時頃〜14時頃まで、とある。

 都内での不発弾処理となればその影響は大。当然のことながら、こうした理由でのJR東日本の新幹線ストップも初。不発弾は、旧日本軍の「8センチ高射砲弾」と呼ばれるもので、直径約10cm、長さ約40cm。北区西ヶ原2丁目の国の合同庁舎建設予定地で、3月4日(月)に発見されたんだとか。建築主は国土交通省関東地方整備局、建物名は「西ヶ原研修合同庁舎」(仮称)。完成予定は2015年3月17日なので、2年後ということになるが、この一件で多少は遅れるかも知れない。待てよ、「研修施設」って? いや、この辺りは国立印刷局滝野川工場があったりするので、国の土地が近くにあるのはわからない話ではない。研修施設というのが不思議な感じがするだけである。兎も角その工事のおかげで物騒な一発が見つかったのはよしとしないといけないだろう。

 埋蔵文化財の調査をしていた中で出てきたそれは土器ではなく不発弾。(第一発見者はズバリ、「ドキッ」だった?) 浜松の艦砲弾が直径約40cm、長さ約160cmという話なので、大きさは4分の1。小振りではあっても弾頭は弾頭である。見つかった以上は、何とかしないといけない。JRと自衛隊などが協議し、月・金を避ける、土日も外す、で、火曜日の利用客数の少ない時間帯に、ということで発見から3か月後の6月4日の昼時に決まったそうだ。仮に土日にやるとどうなるか、新幹線利用客にとっても一大事だが、バラなどが見頃の旧古河庭園に来るお客が上中里駅を利用できなくなることになる。火曜日は妥当だったと言える。

 地元の区でこういうことがある以上、しかと現場を見に行くのが筆者流。

 6/2(日)=処理前、6/4(火)=当日、6/8(土)=その後

 以下、段階別レポートをお届けする。


  • 6月2日(日)

9000形「都電バラ号」(町屋駅前行き) 王子駅前で「都電バラ号」にたまたま出くわすも、この日のお目当てはバラではなく紫陽花。紫陽花は線路際の「飛鳥の小径」で観賞できる。ピークの手前くらいの咲き方だが、十分に楽しめる。ただし、この小径も6/4は規制がかかるため、11〜14時の間に見に来た人は思わぬ足止めを食うことになる。影響は列車運行にとどまらない。

見頃のセイヨウアジサイ 不発弾発見現場は小径のさらに先にある。紫陽花見物は15分ほどで、線路沿いにさらに上中里方面へ。やや急な坂を上り、この日は当たり前に走っている新幹線などを見たり撮ったりしながら、なお進む。「立入制限予告」の掲示物には、発見現場が一応標されているので、それに従えば近くに行ける。が、滝野川工場の裏手のその道はどうも奥が行き止まりのようで、行けそうにない。逆方向になるが、工場を廻り込む道があったので、迂回する感じで本郷通りへ。すると境内が出てきた。七社神社である。これぞお導き、茅の輪くぐりなどしながら、ゆったり過ごし、一里塚を経て、ようやく本郷通り、西ヶ原駅へ。

 飛鳥山公園の入口、いきなり「立入制限予告」の掲示板現る。6/4は、「飛鳥の小径」も立ち入り不可に。

 坂の途中にも掲示あり

 坂の先を左に折れたら跨線橋が出現。ちょっとしたトレインビューが楽しめる。

 七社神社ではまず茅の輪くぐり

 一里塚の前、本郷通りにも掲示板

 平塚神社境内から不発弾現場を垣間見る。詳しい地点は不明。

緑のこんもりした斜面裏手のどこかに不発弾はある。よく出てきたものだと思う。 西ヶ原から上中里は近いようで遠い。本郷通りをそれなりに歩き、折角なので滝野川図書館へ。でもって、図書館でしっかり過ごしてしまい、不発弾も何もない感じに。現場に近い平塚神社を通り抜け、上中里駅前に到着。時すでに16時半過ぎ。不発弾処理作業予定地をただ一望するのみ。初夏の日曜らしい、静かで清々しい空気がそこにはあった。

 現場から半径100m・・・新幹線もその範囲内

 上中里駅にて。奇しくも「危険物安全週間」の最中に不発弾処理が行われることに。

 6月2日のルート(矢印)・・・王子駅〜飛鳥の小径〜七社神社〜一里塚〜西ヶ原駅〜滝野川図書館〜平塚神社〜上中里駅


  • 6月4日(火)

 JR運休時間帯は、東京メトロなどの振替乗車が可能なのは承知していたので、赤羽ではなく、赤羽岩淵に出る。11時過ぎに乗り、まずは王子へ。赤羽〜田端を含む定期券があれば、この時間帯、並行する南北線の各駅(赤羽岩淵〜駒込)は乗り降り自由である。この機に普段なかなか行けない場所に行く手もあったが、何よりも不発弾が優先。志茂と王子神谷での下車は見送った。

 JR王子駅の北口改札は閉鎖中。駅員多めで万全の態勢だったが、不意の運休で困惑する乗客の対応で幾分バタバタした印象を受けた。「赤羽まで行きたいんだけど...」の問いに「南北線で赤羽岩淵に出ていただいて・・・JRの切符ですとメトロよりも安いですよ」といったやりとりが聞かれる。何とも微妙な対応ではある。

 報道関係者の姿はなかったが、上空には複数のヘリという状態。直径約10cm×長さ約40cm・・・その影響は小さくない。

 京浜東北線 東十条−品川 ×運転見合わせ(Operation stopped) 原因:不発弾処理(Track blocked)・・・"Track blocked"=線路障害?

 JR王子駅北口改札の様子。列車が動かない以上、改札も閉鎖。

 メトロ王子駅にて。11:43発に乗り、隣の西ヶ原へ。

 滝野川公園入口付近。こちらの歩道、対面の歩道ともに人、人...

 南北線で1駅、王子から西ヶ原へ。いよいよ現場である。2日前と同じように本郷通りを歩く。特に物々しい感じはなかったが、滝野川公園に近づくと幾分緊迫した空気が漂う。公園内は立入禁止、公園入口は人だかり、多いのは報道関係である。

 この時は単に人が集まるのはごもっとも、くらいにしか思っていなかった。報道関係者をよくよく見ると日本テレビの朝番組「ZIP!」だ、とか、概ね在京キー局が揃ってるとか、そんな方に関心が向く。不発弾処理の実行時間や方法などはよくわかっていなかった、というか、気が行かなかったのである。

 滝野川公園入口とは反対側の歩道をウロウロし、その「ZIP!」隊と横断歩道で待機していた時のことである。時刻は11:56。突然、爆音が鳴った。「ボン!」(*_*; 正に「BOMB!」の世界である。少々離れていたものの、その音は確かに届き、周囲は俄かに騒然。不発弾処理で思い浮かぶのは、信管を抜いて解体...というパターンだが、その場で破裂させる方法だったというんだから、ビックリである。思いがけず、爆弾処理の音というものを聞くことができた点では得難いものがあるが、やはり人騒がせではある。

 浜松では遠州灘海岸まで移送してから処理された。北区では発見現場で爆破。その点でまず異なる上、あとは範囲である。発見現場より半径100mが警戒区域に指定された。避難ではなく、警戒。そう、100m以内には線路はあっても、民家はなかった。用心するに越したことはないが、避難レベルにならなかったのは、まぁ幸いだったと言える。仮に浜松のと同じ大きさだったら、「避難指示」が出ていたと思われる。

 何はともあれ、処理は無事終わった。終わったとなれば、報道各社が始めるのはインタビューである。その場にいた人、道行く人が次々にマイクやカメラを向けられ、違う意味で騒然。筆者は早々と退散し、平塚神社に向かう。

 日曜には閑散としていた境内の駐車場は、各社の中継車などが詰めていて、非日常な感じ。ここにもインタビュアーがチラホラいたが、撤収するのを見計らって、神社の中へ。そして日曜と同じく、上中里駅に通じる脇の階段を下り、駅へ。

 神妙な面持ちの安藤翔アナと「ZIP!」クルー


 この後、「ボン!」


 爆音後はこうした光景があちこちで見られた


 処理終了後もカメラは現場に向けられ続けた


 平塚神社駐車場はさながら中継基地の様相


 神社の脇から現場に接近。この辺で待機していたら、もっと大きな音がした筈。


 取材に応じるJR広報担当と上中里駅

「東京新幹線保線技術センター」のクルマ、何処へ? 果たして、上中里駅周辺も報道関係は結構な数がいて、こちらとしてはあまり大っぴらに動けない状態。とりあえずシャッタークローズ状態の駅舎と、待機する駅員を撮らせてもらって、場を離れることにした。聞こえてきたのは、「安全確認後、運転再開します」との声。「早く再開したいのでは?」といったインタビュアーの問いにJR広報担当者が答えた一幕だった。再び西ヶ原駅まで戻るべく、蝉坂を上り、平塚神社前の三差路に出ると、「東京新幹線保線技術センター」のクルマに偶然お目にかかった。新幹線はこの時間帯、走行なし。東京〜大宮の新幹線区間を明るい時分に点検するには好都合だったと思うが、こうしたクルマが早々と引き揚げるのを見てしまったということは、特段そうした動きはなかったと思われる。

 この日最後の振替乗車で、西ヶ原から駒込へ。JR駒込駅から今度は東京駅をめざす。ここでは自動改札の隣のゲートを開放した状態で、振替客を捌いていた。定期券を呈示し、中へ。混乱も混雑もなく、平時の平日の昼、という雰囲気だった。次の田端では、京浜東北線ストップにつき、乗客が増える。ここで一旦下車し、列車の来ない京浜東北線ホームなどを観察して、何本か後の山手線に乗る。田端は運転再開最初の発車時刻、大船14:09、磯子14:13と出ていたが、西日暮里では表示がなかった。神田では快速運転中の表示「只今の時間は通過」である。筆者が見た中では各駅各様だったが、有楽町や浜松町ではどうだったのだろう?と思う。東京駅よりもそっちを調べる方が面白かったかも知れない。

 12時半頃、内回り 「みどりの山手線」! 外から見たのは初めて(@駒込)

 時計は12:35。発車時刻は14時台。(@田端)

 発車時刻の表示なし(@西日暮里)

 車内のディスプレイにも「不発弾」登場(@山手線)

 さて、不発弾で初のストップとなった東北・上越・長野・山形・秋田の各新幹線がどういうことになっているかを見る上で、手っ取り早いのは東京駅の乗り換え改札である。中央乗換口では、13時半の改札オープンを待つ行列ができ、駅係員もあわただしくしていた。改札が開いたところで、発車まではまだ時間がある訳だから、並ぶ必要もなさそうだが、こういうことがあると気が急くのだろう。列はどんどん長くなっていく。もう一方、南乗換口も見てみたら、やはり似たような状況。こちらはもともと手狭なところ、報道カメラも複数入っているものだから、どこか圧迫感があった。皆さん、おつかれ様、である。

 右の東海道・山陽新幹線は13時台、左の東北・上越・長野…は14時台

 中央乗換口の改札待ち行列

 「13時30分頃、再開予定」・・・こうした貼紙はまず出ないだろう

 到着案内の時刻も見事、3時間以上のインターバル発生

 待つ方も大変だが、撮る方もご苦労な件

 神田の京浜東北線ホームではこの案内表示

 今回の件、報道では、約9万人に影響とあった。最小限の影響とは言え、結構な人数である。

 この日は有休をいただいて、昼は不発弾関係、午後は所用で神田・東京など。16時台、京浜東北線で無事帰途につく。(@上中里)

 


  • 6月8日(土)

 不発弾処理後、最初の週末は、上々の天気。今度は紫陽花ではなく、バラを見に旧古河庭園へ。「春のバラフェスティバル」期間中で、「二胡」の演奏もあるというので出かけた。おそらくはこの園内でも「ボン!」は響いた筈だが、そうした話とはおよそ無縁な世界がここにはある。

 二胡の奏者は、この方


 ラストの曲「亡き王女のパヴァーヌ」はなかなかの名演だったが、演奏中に日除け用のパラソルが倒れるハプニングが発生。不発弾処理と被っていたら、騒動になった可能性はあるが、この時は風の仕業。

 そんなアクシデントも何のその、さすがは二胡のプロ奏者。ニコニコしながら、演奏を続けていたのには感服した。

 

 

 バラと洋館が映える日曜日

 カメも思わずあくびする天気(庭園内の心字池にて)

 平塚亭店内でさくら餅をいただく

 上中里駅もこの通り

「埋蔵文化財の発堀調査を行っています」、埋蔵だけに「まぁいいぞう」?! この日は平塚亭も平塚神社も至っていつもの佇まい。4日には立ち入れなかった「埋蔵文化財発掘調査工事」の入口にも行くことができた。で、その看板を一目見て「!?」となる。「発掘」ではなく、「発」。ちょっとしたお笑いだが、その「発」で不発弾が出てきたのだから、立派な作業であることには違いない。引き続き、"堀って"一大発見をしてほしいものだと思う。


 上中里の不発弾処理が終わった2日後の6/6(木)、再び浜松工場で不発弾!である。JR東海のリリースを見て、目を疑った次第。

 鉄道絡みの不発弾、今年は当たり年、ということだろうか。上中里でももしかするともしかするかも知れない。いや、不発であってほしいものである。

 

 

第378話 補綴・根充・築造(2013.6.1)

 金属系の詰め物というのはいつかは取れてしまうもの。だが、一度直せばしばらくは持つ、と思う。だが、実際はそうでもない。今回はそんな詰め物の一件。

 始まりは2005年の春に遡る。「愛・地球博」の準備を始めていた頃に当たる。おそらく"金属疲労"というのがピッタリな状態で、それは食事中に不意に取れ、咀嚼中にカチだかガチだか音がして気が付いた。

 取れてしまった以上は、何らかの措置が必要な訳だが、歯と金属とをブラシでキレイにして嵌めてみると案外しっかりとくっついたものだから、それで暫時様子を見ることにした。で、ある時また外れ、また嵌めて・・・というのを2〜3か月ほど。それなりに粘っていたが、嵌め直す回数が増えるほど劣化するのは当然のことで、食べている途中で頻繁に外れるようになってきた。さすがに観念して、歯科へ行く。地元ではなく、「東京歯科大学水道橋病院」。同年6/23が最初だから、かれこれ8年前になる。

 その後、7/15、8/9と通い、この年は3回で済んだ。ステップ的には、予診→仮補綴→補綴→冠歯。専門用語だが、何となく意味はわかる。穴を埋め、かぶせ終えたらおしまい、の世界。逆を言えば、最低限の治療で済ませてくれた、ということになる。歯科専門の大学病院というのはなかなかなもの。名残惜しいくらいだった。

 が、そのお気楽な感じがどうも不可なかったようで、2005年の詰め物(冠歯)は、あっさり2年後に取れてしまう。2007年の9/13、再び水道橋病院へ。この日のメニューは、仮補綴、歯周病検診、レントゲン、歯石除去... この際なので、あれこれ治してしまおうということになったのがわかる。途中、何年間も指摘されることのなかった虫歯(ごく軽度)の治療も入り、11/27まで計7回。凝縮・高密度な2.5か月だった。

 回が重なると、その歯自体も劣化が進むようで、しっかり被せたつもりでも、どこか隙ができ、またガタついて、ということが起こる。で、今から3年前のこと、またしてもその詰め物が取れてしまった。治療後に取れた回数、3度目になる。

2010年で創立120周年だった東京歯科大学。水道橋校舎は1990年開校。 その年、2010年は6/16、6/28、7/14、7/21の4回。易々と外れないよう、掘りや溝を深くし、歯と金属の接する面積を増やし、という作戦。これでもう、外れることはない(と思われた)。

 そんな憂き目に遭ってきた歯(ほぼ金属)の隣である。ここも詰め物系だったが、今年の初め、不意に取れてしまった。一度歯科に行くと長期戦・・・これまでの経験上、承知済みだったので、春頃から行く計画を立て、しばらく粘ることにした。無理やり外そうとしなければ平気なレベルだったからできた話ではある。

 今は出勤途中に立ち寄ることができる水道橋病院。2/25の朝、予約を入れ、3/6に診てもらうことにした。幸い程度が軽かったようで、この時は奇跡的に一発で治った。詰め物・被せ物をどうこうする必要はなく、これまでのを嵌め直しただけ。ただし、前歯の上部(歯茎サイド)などに小さな虫歯が見つかり、この先2回は通う展開に。これがある意味よかった、と今は言える。

 今年2回目の水道橋病院は、4/15。昼休みをシフトする扱いで、14:30〜にした。この日は前歯の虫歯治療が主題だったので、それはそれでやってもらった訳だが、気になることがあった。3/6に復元した辺りが4月になってから時々疼く感じがあったのだ。その旨一応伝えはしたが、筆者が指摘する箇所が的確ではなかったため、様子を見ることに。今にして思えば、この段階できちんと原因を特定してもらえていればよかったのだが、昼休み時間中につき、長居はできない。時にズキっとなるのをそのままに、病院を後にした。

 その後は、少し冷たいものを口に含めば、痛みが走り、朝定食に付いてくる小振りの冷奴を一口入れれば、正にヒヤっと沁みる痛みを覚えるようになる。非常事態である。虫歯治療のための予約日は5/2だったが、予約なしで向かわざるを得なかった。4/26の朝、出勤前・直行である。

 担当医はお休みにつき、研修医と思しき方に診てもらう。見事、痛みの発生源を見つけていただいた。3/6の嵌め直しに不具合でもあった?とか思っていたら、とんだ見当違いで、また例の箇所が元凶だったのである。そう、2005、2007、2010の冠歯である。2010年の治療でしっかり嵌ったのは確かだったが、歯そのものが弱っていて、思わぬ場所に隙間(欠損?)ができ、そこから虫歯状態に、との話。どうりで沁みるというか痛む訳である。

 3/6で一旦終了にしたとしても、また来ることにはなっていただろう。だが、勢いというか流れというのは必要で、次の予約を入れていたから早々に治療してもらえた、というのはあると思う。虫歯のおかげである。

 そして、もともと予定していた5/2を迎える。本来は虫歯の続きをする日だったが、長々と厄介になっている例の歯の本格治療に充てられる。4/26は、2010年に被せたのを外し、痛み止めを詰め、仮の補綴まで、つまり応急処置だったので、この日は担当医の手で根っこからしっかりやることになった。正しく「根治」である。

 医師の話では、「虫歯の進み具合からして、削るには限界」「まだ早い方だったのが救い」「神経を抜く=痛みをとる」とのこと。で、この日のタスクは、神経抜き取りに決定。当然のことながら、麻酔が出てくる。その麻酔の注射針がなかなかの曲者で、斜めに深めに入ること数箇所。特に唇の内側に打った方がポツポツ腫れて、舌で触れると痛いの何の。歯の方の痛みがなくなったのに、これでは痛み分け? おかげで連休中はパッとしなかった。

 急に入った治療なので、それからは出勤前とか言っていられない。5/7は16:30〜、5/16は15:30〜、何とか昼休み扱いで通院。が、神経抜きの続きだったり、痛み止めの注入だったり、捗々しく行かない。持久戦である。

 ちなみに今回は、過去にはお目にかからなかった「診療明細書」が会計時に手渡されるようになった。これで細目がわかるのはいいが、

(一例)
5/2 抜髄(単根管)
5/7 根管貼薬(単根管)
5/16 根充(単根管)

 補綴とか冠歯とかも凄いが、今回の一連のもまた凄まじい印象を受ける。抜髄、即ち「髄を抜く」である。字面で十分卒倒しそうである。まぁ、漢字で表現するとこの通りだが、やってもらっていることは至って良心的なので、2013年分、この時点での6回で、支払った額は4,810円。上出来だと思う。

 そして、6/1。痛みのなくなった因縁の歯は、仮詰めが外され、土台作りの段階に至った。抜髄により、歯根に栄養が行くこともなくなった歯は、もはや飾り。土台のような形状に整え、金属で全面的に覆うというプランが示され、その第一段階がこれ。明細上は、支台築造(小臼歯)とある。土木工事の世界である。ともあれ、土台状のもの(仮設)ができ、舌で触っても違和感がない状態。これで完結してもいいくらいである。

 次回は7/8で型取り、次々回は7/22で全面金属、となる。これで小臼歯とやらに悩まされずに済むことになるが、どうなることやら...8月以降は、5/2にやる予定だった虫歯治療が待っている。長い夏になりそうである。

・・・6月4日の虫歯の日、もとい、「虫歯予防デー」を前にした、歯の治療にまつわるお話でした。

  • (参考)東京歯科大学水道橋移転計画 建設事業 新館校舎(仮称)新築工事

 2005、2007、2010・・・行く度に何かしらの変化があ るのが水道橋病院。2013年はと言うと、総合歯科のフロアが変わり、レイアウトが変わり、会計は1階に 、と大きく様変わりしていた。が、さらなる変化が控えている。新校舎!である。今の場所から南に少し歩いたところに堂々建設中。数年後お世話になることがあるとしたら、次は新館になるだろうか。歯てさて?

 

第377話 雨の渋谷、5月11日(2013.5.15)

 駅とその周りをブラつくことはあっても、さらに歩いて街の中へ、となると案外機会がない・・・近年の代表例を挙げるなら、渋谷が該当する。(ちなみに、第358話は南口メイン、第373話は正に駅である。)

公園通り(渋谷区役所前)[2010.4.17] たまに来るから面白い、というのはあるが、あまりに間隔が空いてしまうのも考え物。バスで街を通ったということなら、第350話の通り、昨年3月になるが、公園通り方面を歩いたとなると、2010年4月、第320話の「7.アニバーサリー アースデイ」で紹介した件、代々木公園のアースデイイベントの帰りに遡る。3年ほど前である。(東急ハンズや井の頭通り界隈となると、第265話以来。実に4年半以上前の話!)

 5月11日(土)、あいにくの雨天だったが、代々木公園(B地区)での「タイ・フェスティバル」に行くことにし、久々の渋谷街ナカ探訪ができた。見慣れない建物が増え、街景の変化を楽しむ一方、道を間違えたり、かつて存在した店がなくなっていて面食らったりでドタバタ。いわゆる副都心に当たる街は、少なくとも年に一度は来ておかないと東京人としての面目が保てん!?と思った次第。お手軽だが、今回はタイムテーブル式にレビューしてみる。ひとつご参考まで。


 渋谷駅に着いたのは11時過ぎ。改札を出てまず向かったのは東横線渋谷駅の「ekiato」のそのまた跡。イベント用地としての「ekiato」は6日(月・祝)までだった(→末尾参照)ので、その後どうなったのかが気になっていた。案の定、かつての改札は塞がれ、かの名だたるホームを見ることはできない【1】。せいぜいヒカリエに通じるブリッジから旧駅舎外観を眺めるばかりである。

【1】

【2】

 その「駅跡」の反対側に目を遣ると、新たな階段出口ができていて、銀座線がよく見える【2】。新たなトレインビュースポットと言っていいだろう。

 とりあえずヒカリエのアーバンコアまで行って、ekiatoの跡を改めて撮影【3】。再び渋谷駅に戻り、今度は東急東横店東館(3/31営業終了)を見上げながら、循環バス【4】の乗り場へ(→地図参照。東館閉館後は乗り場が移っている可能性もあったが、いつもの場所にありひと安心。雨の日はわずかな距離でもこうしたサービスを利用したい。代々木公園が目的地とするなら、東急百貨店本店は些か見当違いな観はある。それでも、である。(【4】は循環バスの後席から撮ったスクランブル交差点)

【3】

【4】

 果たして、この見当違いなバス乗車は、思わぬ効果をもたらす。順当に公園通りを歩いていたら、おそらくありつけなかっただろう一件。道中、109前でサンプリングをやっているらしいのを目撃したのだ。本店に着くや否や文化村通りを引き返すことになる訳で、これで配っているものが小物だったら、「あぁ、なぁんだ…」だったろう。が、明治製菓の高級感あるアイスクリーム【5】だったのだから、ビックリ&してやったりである。アイスクリームの日(5/9)にちなんだサンプリングイベントの心算かどうかは不明だが、ともかくありがたい。雨天につき、大きな混雑もなく、すんなり手にできたのもまた幸い。なぜか欧米系外国人の出足が多いのが気になったが、皆喜んで食べているので、それもまた楽し、である。期せずして昼食前のデザートをいただき、妙なチャージ感を得る。フェスティバル会場に急いで向かう必要もないし、昼食ネタもゆっくり探せばいい...その時はそんな気分だった。

【5】

アイスクリームバー(濃厚プレミアムチョコレート)をいただく

【6】

「撮影OK」とあるので、遠慮なく撮らせてもらった

 何年ぶりかでセンター街を渡り、5/3にOPENしたばかりというSwatchの直営店舗「スウォッチストア渋谷」を少々物色し、井の頭通りへ。建物や店舗の変化はまずこの辺りで感じることになる。チケットショップはなく、代わりにカレー店が入り、その向かいには"ALL¥315 SHOP"(3COINS)が仮店舗のようなスタイルながら客を集めていた。東急ハンズはどうか。もちろん、変わらずにそこにあった。ハンズがここにある重要性は、変わらなさの象徴ということのほかに、公園通りの坂を上る分をエレベーターで稼げることにある。が、同伴の細君は、マスキングテープ【6】などについハマってしまうため、単なる通過地点では済まなくなるのだった。井の頭通りに出たのは12時を回った頃、ハンズを出たのは12:40といった塩梅。ハンズに関しては、シャトルバスのサービス【7】が始まっていたというのが変化と言えば変化。しかし、大きな変化は店付近で起きていた。斜め向かいにこんな建物が。「ホテルユニゾ渋谷【8】である。OPENしたのは3年前なのに、つゆ知らず。いかにこの界隈と疎遠になっていたかがわかる。

【7】

【8】

【9】

東武ホテルなので、スカイツリー関係はお手の物。ライトアップは3パターン楽しめる。

【10】

3年前に通った時は確かなかったような...

 勤労福祉会館前交差点界隈も何となく景観が変わっている。東武ホテル【9】は、パッと見はそのままだったが、中のレストランの土日メニューが変わり、気軽に利用できない感じに。ホテルを出たらいよいよ代々木公園、会場へ。だが、渋谷区役所前駐車場の「公園通り入口」【10】なるものができていて、思わず足が止まる。見回すと、他にも変化がチラホラ。「たばこと塩の博物館」(2013/9/1営業終了予定→参考、渋谷公会堂(渋谷C.C.Lemonホール改め、2011/10/1から元の名前に)の方も気になったが、先へ。「タイ・フェスティバル」会場【11】に入ったのは、12:50頃である。

【11】

【12】

 このイベント、訪れたのは今回が初。当然勝手がわからない訳だが、ブースのエリア分けなどなかなかよくできていて、とりあえずジグザグ進んで行くと何かしら楽しめるようになっている。ただ、雨が降り止まない。しかも時折雨脚強く、屋外イベント的にはかなり厳しい。それでも、予想に反し人出は増える一方…"タイ変"である。何らかのタイ策が必要に思うが、雨を凌げる場所はレストランゾーンにあるばかりで、他のゾーンでは雨宿り不能。手狭なブースに傘を持った客が押し寄せる恰好になる。ならばその雨を凌げる飲食コーナーで食事でも、となるが、数多あるレストランブース【12】【13】は、余程の目星を付けないと選べないし、人気店らしきブースはどこも大行列なので、並ぶ気がしない。傘を差して、待って、混み合う席であわただしく食べて...どうにも気が乗らない。

【13】

↑ いわゆる露天商の店はお客ゼロ(推定)

【14】

 結局、試飲(ココナツドリンク、バナナシェイクetc.)、試食(レッドカレー【14】、レモンチキンetc.)で、ここは済ませる。明治のアイスクリーム効果か、実のところそれほど空腹でなかった、というのもあった。気付けば会場では約2時間を過ごしていた。長居した方である。

【15】

ハンズのシャトルバスに遭遇!(15:10発)

【16】

「atariカスタムカフェ定食」(主菜:白身魚唐揚 & 副菜:マグロカツ南蛮漬)

 再び東急ハンズ【15】などを経由して、ようやくランチの店探し。遅くまでランチをやっている店が多いのは感覚的にわかっていたので、悠長に構えていたが、全面喫煙可の店だったりして少々難航。PARCOの7階、「atari CAFE & DINING」に行き着き、落ち着く。

 入店したのは16時過ぎ。かなり遅めのランチ【16】になったが、上々。店名に従えば、大アタリと言いたいところだが、まぁ、小アタリか。決してハズレではなかったことだけは確かである。(展望が自慢のお店でもある)

お隣の特等席はお誕生日席に早変わり! 16:40、BGMがバースデイソングに変わり、ケーキなどが運ばれてきた(おめでとうございます)

展望は良好。下にカメラを向けるとこんな具合。

 PARCOを出たら、公園通りへ。が、なぜか来た道を戻る感じでペンギン通りへ、いや、それはスペイン坂? 勘が鈍るというのはこういう状態を指すのだろう。いや、この辺りがそれだけ変貌していた、ということかも知れない。

 13年前になくなってしまった小劇場「ジャン・ジャン」(東京山手教会地下)が何に変わっていたのかもこの日初めて知る。「Cafe Miyama」【17】というルノアール系の喫茶店になっていた。(会議スペースがメイン?)

【17】

↑ 「京王の電車・バス開業100周年」を掲げた京王バスを激写(@丸井の前)

↑ 旧東横線渋谷駅を再度横から。線路はまだ残っていた。

 この後は、丸井(正しくは、「マルイジャム渋谷」の方)に寄ったり、再度、ヒカリエに行ったりで、ノラリクラリ。渋谷駅改札を入ったのは19時を回った頃合。11〜19時の8時間を渋谷で過ごしたことになる。近年にない快挙である。


 とまぁ、こんな感じで、他の主だった街々も定期的に出没しようと思うのだった。都心部以外では、吉祥寺、自由が丘、二子玉川などもご無沙汰である。変化を実感しに、いずれ行ってみるとしよう。

  • ekiato最終日の様子(2013.5.6)

 

第376話 「駅Q」発売!(2013.5.1)

 鉄道という一大ジャンルの中で何が好きかと問われれば「駅」と答える。漢字は昔からの得意分野、地図や路線図もまず飽きることはない、そして何かにつけデータベースで情報をあれこれやるのが日常・・・と来れば、その寄せ集めで本が出てもおかしくない、と今は思う。これまで本の中に出させてもらったり(→「海ゴミ―拡大する地球環境汚染」)、本の1コーナーを受け持ったり第157話第319話というのはあったが、いわゆる「自著」はこれが初。テーマは、鉄道駅、駅名、雑学、クイズをひとまとめにしたようなもので、タイトルは「駅Q」。一応、筆者企画をもとに出版社側がシリーズものに仕立ててくれて、「鉄道クイズシリーズ」の「駅編」という形になっている。つい10日余り前、4月20日の発売で、税込価格は780円。クイズは全100問で、基本的にQとAが1ページずつ表と裏に来る体裁になっている。1問あたり約8円の計算になるが、「全国の駅名で出てくる漢字・文字はどういうのが多い?」(おそらく本邦初)といった雑学系要素も盛り込んであることを考えると、それなりにおトク感があると自負している。

鉄道クイズシリーズ「駅Q」(著者ページへ) 書店では概ね、鉄道雑誌関係、趣味・ホビー関係などにあり、交通・鉄道コーナーがある店舗ならほぼ確実に見つかる(はず)。ひとつお探しいただいて、「これは!」となったらぜひお買い求めを、とお願いする次第。どうぞよろしくお願いします!

 


1.きっかけ、経過など

 こういう話は滅多にあるものではないので、出版に至るまでの経緯や発売後の状況などについて、ご紹介しようと思う。

 筆者の鉄道趣味は、これまでに何話も登場しているので重々ご承知のことと察するが、今回の件に近い話としてはまず、第294話がある。駅名を中心としたデータベースを自分なりにまとめ、あれこれ分析を始めたのが2009年の秋頃で、そこから思いついた駅ネタとして、以下の4つを載せている。

1−1.同じ道府県内で、駅名が同じ(乗換できる距離にない、つまり全く別々の地に同名の駅がある例)
1−2.同じ府県内で、駅名が同じ(乗換できる距離だが、何とも紛らわしい例)
2.どこが始点かわかりにくい(鉄道旅行地図帳の類でも見抜くのが難しい例)
3.兄弟分が多い駅

 「駅Q」には、このうち1−1.と1−2.をもとにした出題がある。原点とも云うべき2問である。

Q10 同じ道府県内なのに全く別々の地に同名の駅がある例がいくつかあります。地名が点在していて、それに忠実に駅名を付けた結果ではありますが、その離れ方もまた様々です。次のうち、最も近接している同名駅はどれでしょう?

1.北海道にある平岸
2.長野県にある下島
3.富山県にある小杉
4.岐阜県にある明智
5.三重県にある船津
6.大阪府にある高井田(→駅ログ

Q14 同じ地域にある複数の駅で、駅名が同じなのは当然と言えば当然。ただし、お互いに離れ過ぎていてとまどうケースも中にはあります。次のうち、最も離れているのはどれでしょう?

1.味美(名鉄小牧線と東海交通事業)
2.春日井(JR中央本線と名鉄小牧線)
3.春日野道(阪急神戸本線と阪神本線)(→駅ログ
4.御影(阪急神戸本線と阪神本線)(→駅ログ
5.白島(広島電鉄と広島高速交通)
6.郡元(JR鹿児島本線と鹿児島市電)

 とこんな感じである。(正解は、ぜひ本書にて)(^^)

 雑学要素をちりばめながら、クイズ形式にすると「駅本」または「駅名本」ができるのでは?と思いついたのはそれからしばらくしてから。企画を練りつつ、データベースの精度を上げつつ、前座として、2011年に入ると「駅名雑学」と題して、"はてなダイアリー"で試行的にQ&Aを綴ってみたりした(現在、クローズ中)。いわゆる出版企画の話は、20年来の知人である眞淳平さん((有)エコ・パブリッシング代表)との雑談の中で生まれ、企画書に添付できそうな形の原稿を作り出すことになる。これが2011年6月。その後、半年ほどかけ、設問を増やしたり、解説を充実させたりして、一定のページ数になったところで各出版社に当たってもらうに至る。(眞さんにはこの時点でかなりお世話になっていた訳だが、それからさらにお手間をいただくことになる。多謝深謝である。)

筆者は「馬喰町」「鶯谷」「御茶ノ水」「秋葉原」で応募 今から一年前、JR東日本で「駅名漢字ラリー」なるイベントが展開された。期間は、2012年4月21日(土)〜7月1日(日)、東京近郊77駅中、駅名に指定の動物と植物の漢字(馬、亀、鴨、鶯、目白、目黒、駒、駄、松、蒲、荻、柏、茶、葉、木、森)を含む24の駅を対象に、動物と植物で各2駅分のスタンプをパンフレット台紙に押して、応募するというもの。「駅名」がブームになってきたのを感じさせる出来事で、これに機を合わせるように、ある交通系有名出版社から企画を検討したい旨、一報が入る。大いに心躍ったものである。

 昨年6月、その出版社との打合せに臨む。企画が通ればひととおりの原稿は年内に揃えて、来春に刊行といった話をいただく。が、その企画通過の報はいつ頃いただけるのか、というのが実は定かでなく、何だかんだで結局お流れに。眞さんに再び動いてもらうことになる。そして、11月。朗報が届く。次は実業之日本社である。

「京橋スクエア」にて(実業之日本社は、9階と10階) こうした話は流れがあるもので、ひと度動き出すと早い。ご担当者との打合せが11/26(月)、社内検討での企画通過(出版決定)が12/11(火)、そして原稿の仕様が決まったのが12/19(水)... 6月からの数ヶ月がブランクだったことを考えると信じ難い展開である。

 仕様が決まったということは、それに合わせてひたすらQ&Aを作ることを指す。筆者が当初考えていたのが、コンパクトな感じ、つまり一問一答式のパターンだったので、それに近い仕様だったのは幸いだった。が、出題数は100! 12月時点で目処が立っていたのが30〜40程度だったので、その点不安はあったが、とにかく作り込むばかりである。年末年始にできる限り時間を割いて、1月7日までに「Q+A+解説」ができたのが45、取り急ぎQ部分だけというのが36、計80余りとなった。残りはまだ漠然としていたが、100という数字は視野に入った。1月は週末が来るごとに集中して、上乗せしていった。(第369話は、そんな合間にアップした一話、遠出したのは、せいぜい快速「おさんぽ川越号」(→動画)程度、といった状況)

 1月のうちにひととおり揃える必要があったのは、刊行予定が4月下旬と決まっていたからである。(逆算するとそうなるらしい) その予定を聞いた時は「そんな短期間で果たして用意できるのか?」だったが、最初に話があった出版社のプランも4月だったことを考えれば、こちらとしては御の字である。6〜10月の空白を埋める、空いた分を追い上げる、それだけの話。いい発奮材料になった。

 1/22で86、1/26で95、徐々にペースが上がってきたところでとりあえず完結。何はともあれ100問である。ただ、気がかりな点があった。初期に作っていた分と1月に新たに作った分とでテイストが異なり、全体を読み通すと表現や表記にどうしてもバラつきが...(-_-) 解説部分を分厚くしなくて済んだため、新規の方が軽め(いい意味で軽快)というのもあった。校閲も入ることだし、あとは編集に委ねる? そんな中での当初100問だった。実業之日本社に送ったのは〆切よりも前、1/29(火)のことである。

 その後、各種「表」とか、駅名標や駅舎など筆者撮影の画像ファイルとかを送ったりしながら、「初校」が上がるのを待つ。そして、3月。PDF版は4日に目にし、現物は5日に手にする。この初校を以ってようやく書籍が出る実感が湧く。デザイン、字面、写真、表などが盛り込まれた版。これならチェックの甲斐もある。が、テイストの違和感などが持ち越されたままだったので、それを一気に直す必要がまずあり、加えて、前の方のAや解説で出てくる駅が、その先のQで出てきてしまうケースを対処しないといけなくなった。クイズの順序・流れは、編集の手で見事に整えてもらえたので、著者としてはその「A→Q」のねじれをなくす(=出題される駅の答えを先に出さない)ようにしながら、全体の調子を揃え、誤字・脱字等も正していくことになる。

 「表」については、例えば「大学」がつく駅、日本に多い苗字と同じ駅名、「雨かんむり」の駅、標高の高い駅なども一覧で載ることを想定していたが、紙面の都合もあり多くは割愛。新書サイズでは自ずと限界がある。まぁ、よく載った方だとは思う。

 初校の「戻し」は、3/12(火)。実質1週間で、チェック(赤入れ)なり、ネームごと差し替え(直し箇所が多い場合)なり、さらには、まえがき、凡例(注記)、プロフィールも、である。そんな最中にAmazonには早々と発売情報が載ってくるのだからたまらない。初校チェック中でも何でも、スケジュールが確定していれば出るのである。そうしたwebサイト上の動向チェックもあったりで、おそらくこの週が最も密度が濃かったと言える。3/10の日曜が「煙霧」(↑写真)に見舞われたのは、ちょっとした配剤だろう。身動きがとれなければ、著書に専心するばかりである。

 かくして、3/11(月)の夜には、実業之日本社に出向き、赤入れ等の戻しを渡すことができた。一つ荷が下りたのはこの時。あとは、写真の追加などを考えるのみ。が、この写真がなかなかのクセモノで、いろいろと尾を引くことになる。いい勉強になった、と言えばそれまでだが...


2.ここ1カ月半ほど

 駅名や駅に関する本、そしてどちらかと言うと雑学重視だったため、写真に関してはあまり考慮していなかった筆者。逆に実業社のご担当者は、駅名標を中心とした写真に強かったため、可能な限り挿入したいとのお考え。筆者撮影分がプロフェッショナルなものならまだよかったが、そのレベルに至っていないため、どうしても想定外のものが入ってくる。その入れる・入れないの件が「再校」の前後で生じ、ひと苦労となった。

 数多ある駅の中から、その駅の写真を出すのには相応な理由が必要。駅の選定でしっくり来ないのがあれば、それはキャプションでカバーするしかない。そんなこんなで、写真の数が増えたことと、追記したキャプションの十分なチェックができなかったことなどから、出来上がった本において、写真に関しては「?」と思える箇所が一部に散見される。こうした事情あってのこととご容赦いただければ幸いである。(全体を通しての正誤表等は、このPDFの通り)

 本の表紙には、いくつかキャッチコピーが付いている。帯に当たる部分を上から並べると、

「駅が大好きになる100問」
「駅名標を撮らずにはいられなくなる!」
「これ一冊で駅名超マスターに」

 とあり、バラバラな印象を受けなくもない。駅名標については、ここの一文が利いて、写真に説得力を持たせる恰好になっているが、著者の意図とはちと異なる。仮に筆者が3つ挙げるなら、

「駅名に詳しくなる100問」
「駅テツ向け雑学の新視点」
「漢字の学習にもピッタリ」

 といったところか。この辺は出版社の裁量である。売れるように考えて設定してくれた筈である。

 初校の直しを反映した「再校」は、3/25(月)夜に受け取った。限りなく現物に近い「見本紙」のようなスタイル。切って折って貼り合せると恰も本のようになる。チェックしやすくなっているのはいいが、如何せん、翌日・翌々日の2日間でしないといけない。万全を期すべく、3/27(水)は休暇をとって臨むも、別件が長引き、些か消化不良。余念を残す状態で、実業社に持って行くことになる。

 出版社によっては、再校の次に「念稿」が用意されるらしい。だが、それはなかった。著者としての作業はここでひとまず終了。あとはもうご担当者を信じるのみである。出版が正式に決まってから15週。長いような短いような、だった。

 表紙の見本もこの日、3/27にいただいた。いよいよ、である。

 (表紙案)

 (見本版)

 嘘か本当か、4/1(エイプリルフール)に「責了」との報を得て、「駅Q」は印刷会社行きとなる。刷り上がるまでの間は、手持ち無沙汰なもので、4/6には、Amazonの著者セントラルなるページ(→参照で、自身のプロフィールを補ってみたり、4/12には、本の表紙画像が主だったECサイト上で出てくるのを確認してみたり、といった具合。そこに例の「村上本」の新作である。

*参考記事:村上春樹新作は「駅鉄」!? 駅ブーム、到来の予感?

 大型書店などで「駅」関連の特設コーナーができた日には、「駅Q」もその中に・・・などと考えて浮かれていたら、4/13に「見本版」が届く。即ち、書店に並ぶのと同じversion、事実上の著者本である。

 さて、初校を直している間も、「田子倉」(JR只見線)の廃止(駅数1つ減)、熊本電気鉄道「電波高専前」の駅名変更(3/31から「熊本高専前」)、ゆとりーとライン「守山市民病院」の駅名変更(4/1から「金屋」)があり、関連する項目をその都度直した他、遠州鉄道の「遠州上島」「遠州曳馬」が「上島」「曳馬」にそれぞれ改称(2012/11/24〜)、札幌市電の「西線」で始まる5つの電停のその「西」の読み方が「にっ」ではなく「にし」と改まっていた!など、後になってわかったことがチラホラあり、あわてて見直す有様。見本版の段になって、この手の改称なぞがあると、目も当てられない訳だが、何と天竜浜名湖鉄道で1件あったことがわかり、冷や汗状態。4/1に「浜松大学前」改め「常葉大学前」になっていたのである。

 この件、同社webサイト等でのリリースもないし、出たとしても明らかに直前。出題や解説に影響がなかったのは幸いだった。

 が、しかし...

 ここで改めて、正誤表(PDF)についてお知らせする。見ていただくとわかる通り、「え?」というのが少なからずある。赤入れにて示した箇所が直ってなかった、という点で大目玉なのが、二つ。(本旨には影響しないかも知れないが、結構痛い)(+_+)

P.185のキャプション。正しくは、「ただし、『中呂』駅はありません」。より正確さを期すなら、「地名としての『中呂』はありますが、駅はありません」である。なぜに「中島」になってしまったのか、理解に苦しむ。

P.202には、なくなってしまった駅名漢字についての一文がある。2005〜2012年の間に廃線・廃駅で消えた漢字として、「鴬」と「槇」を挙げていたが、例えば「鴬沢」は「鶯沢」だったことがわかり、これだと「鶯谷」「鶯の森」などで「鶯」は駅名で現存しているので外れ、「槇」については、異体字の「槙」が「三河槙原」で残っているので、なくなったとは言えないとの話で外れた。なくなった漢字の数、16としていたが、2つ減って14に。一覧表の方は合っていても、本文が間違ったまま、という結果に。

P.193のキャプションでは、「遠州鉄道には、『遠州』を表記しない『西ヶ崎』『小林』『小松』などがあります」というのがある。出題内容と関連づけしにくい駅の写真が載ることになったため、この一文でカバーする心算で入れたのだが、これだと些か言葉足らず。もともとは「遠州鉄道には、『遠州』を除いて表記する駅として、『西ヶ崎』『小林』『小松』などがあります」だった。念のため。なお、この3駅、正式な駅名は「遠州西ヶ崎」「遠州小林」「遠州小松」になる。

 キャプションに関しては、他にもある。当初は写真数が少なかったことから、出てくる駅名の表記は単に「  」駅としていたが、増えたことで、「駅」が付く・付かないの不揃いが生じてしまった。本文の方と同じく、駅名は全て『  』で括る形にすれば、スッキリできたと思う。JR(全角)とJR(半角)が混在しているのも、後から足したことが一因。

 ルビを振ってよさそうな駅名がまだいくつかあったり、一つの駅で複数の路線がある場合の区切り方(「、」「・」)が違っていたり、あれやこれやである。やはり"再再校"は必要だと思う。

 仮に重版が出ることになると、直すべきは直した形で出ることになる。待ち遠しい限りだが、そのためには不備入りの初版が売れないといけない。何とも矛盾した話だ。(ご購入いただいた方には、重々お詫び申し上げます。)

...ちなみに、イカロス出版や学研では、このような事態になっている。(→例1例2) 気を付けたいものである。

 実際の発売前に「見本版」を手にできるのは著者特典とでも言うべきものだろう。その見本版は10部あり、そこから職場等、お世話になった方にお渡しすることになる。正誤表つきで、とも思ったが、間違い探しをしてもらうのも一興と考え、取り急ぎ「著者謹呈」のミニ札を代わりに添えて配る。「鉄道コム」でもしっかりピックアップ扱いでPRを展開。4/17からは、このページへの誘導をかけてもらい、おかげで一定の人気を得た観あり。実売にどの程度結びついたかは、今後のお楽しみである。

発売初日、書泉グランデにて 発売日は、4/20(土)だが、早い店では前日には並ぶ。好都合なことに、職場近所には名だたる「書泉グランデ」がある。ここの6階はズバリ「鉄道フロア」につき、出勤途中や昼休みにチェックできる。そして、夕方。18時40分台に行くと、並びたての拙著がこの通り。シリーズ同時発売の「列Q」ともどもデン!と積まれている。お店のご厚意で記念の一枚を撮らせていただくことができた。何はともあれ、保存版である。

 この後の楽しみは、関係各位からの反響だったり、Amazonの「鉄道カテゴリー」での順位や動向だったり、エキナカ書店や大型書店での取り扱い状況だったり、である。4/20は、岩本町の書泉ブックマート、エキュート日暮里のLIBRO、エキュート赤羽のBOOK EXPRESSで確認、4/21は、「TOMIX WORLD」のOPEN(→参考に際し、大宮に行き、エキナカの書店でも遭遇、4/27は、つくばエクスプレスの乗り降り旅(→駅ログの道中、おおたかの森S・C(紀伊国屋書店)、ららぽーと柏の葉(Books KaBoS)、ルミネ北千住店(ブックファースト)で確認できた。ありがたい限りである。

端末での検索結果(例) 書店で端末を見つければ、自分の名前で検索して、著書の配置等を確かめては現物を探す、の繰り返し。この際、売れ行きは二の次で、「そこに本がある」というのが重要。見つける度に喜々としている一著者であった。


3.今後は?

 100問も作ればもう出ない?と思えそうだが、コツがわかると沸々と出てくるもので、実はストックがそれなりにある。まずは最初の「駅Q」が売れることが先決だが、続編が出る可能性は無きにしも非ず、である。村上本の牽引で、駅ブーム(または駅名ブーム)が起きてくれれば話は早い?(ここはひとつ、乞うご期待ということで。)

 地図や路線図が載せられなかった、というのが一つあり、雑学要素としての各表を充実させたい、というのもある。そして何より、今回知った一連の流れ・・・作る・書く楽しみ、ご担当者とあぁだこうだやる楽しみ、(発売日が見てきたくらいから)宣伝・紹介を始める楽しみ、それを受けて話題になる楽しみ、待つ楽しみ、出る楽しみ、再び話題になる楽しみ・・・長々とお楽しみが続く訳だから、是非に、と思うのである。


4.謝辞など

 まずはお客様である読者の皆様、「鉄道コム」はじめ、職場の関係各位、実業之日本社ご担当者はじめ、関係者の方々、そして、エコ・パブリッシングの眞淳平さんに御礼申し上げる次第。細君には内助の功と言うか、叱咤激励をいただいた。重々感謝しないといけない。ほか、本著「駅Q」の執筆・出版にあたり、ご支援ご協力いただいた皆々様、ありがとうございました!!

 そうそう、中学一年の副担任で、英語担当の先生がどういう形態だか、とにかく書店をやってらっしゃって、「諸君の中からいずれ本を出す人も・・・」と話していたのを思い出す。浅井先生、出しましたよ!

・・・以下、「あとがき」に代え、思うところを綴ります。

駅周辺に「何もない」と言われる場所でも、そこには駅名があり、その名が付いたきっかけや特徴がきっとあります。何かを探す手がかりが駅名には込められている、そう考えるとまた違った視点で旅ができる?...「駅Q」にはその一助となる切り口を詰め込んだガイドブックという側面があります。

ぜひ現地に足を運び、駅と駅名を味わってみてください。そして、鉄道やその沿線、地域に対してさらなる関心を持ってもらえたなら、こんなに嬉しいことはありません。

鉄道を利用することで、交通が保たれ、地域が保たれる。人がどこまで行き来できるかが地域の豊かさにつながる。公共交通としての鉄道、ひいてはローカル線が重要なのはそうした社会的観点が大きいと考えます。それでも、廃線・廃駅の流れは止まりません。これ以上、減らないようにするにはどうすればいいのか。そこで思い至ったのが、現存する駅名を大事にする、ということ。そのためには、「駅名学」的なアプローチで、その関心を高めることができれば・・・そんな思いが「駅Q」の背景にはあります。

各駅で一定の停車時間を設け、駅、駅名、地名などを楽しむことができる専用列車(ツアー企画)があればなぁ、と思う今日この頃。「駅Q」をきっかけにそうした動きが出てくれば万々歳なのですが。

 

  • こちらもどうぞ...⇒ 「駅Q」掲載・紹介先(例)

実業之日本社 / 成城学園同窓会 / 轍のあった道 / UST鉄道情報局(4/25配信) /社長風月(5/2公開)

 

 

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