第317話 サンプリング(2010.11.15)
流行語になりそうな予感もあるが、そこまで行っていない観もある。だが、普通に街を歩いていて遭遇する機会がそれなり、ということはやはり流行っているのだろう。2010年は何かと「お試し」の類、俗に言う「サンプリング」に出くわしたなぁ、と思う。予め聞きつけて、というのも勿論あるが、そうでないのも少なからず。何かを購入するのに踏ん切りがつかない消費者が増えているのは、筆者がそうであることからしても大いに実感できる。売れないのはマーケティングがどうのこうの、という時代でなくなったのも確か。マスが個人を誘導する時代でなくなったのは、従来型のファッション誌がファッションをリードできなくなっているとされることからもわかる。「これなら売れる」と意気込んで風呂敷を広げるのではなく、一定の仮説に従って、「まずはここでこういうお客に試してもらって」というところから始めるのが浸透してきた、ということかも知れない。
「試してもらわないことには始まらない」というのもよく聞く話。試す分には人数が多い方がいい。とすれば東京で暮らす以上、日常的に遇するのは当然と言えそうだ。(試すだけ試して買わない、というのも大いに有り得るが、その辺は織り込み済みなのだろう。)
前々から続いている催しもあるが、ここ半年ほどで体験したサンプリングを順に綴ってみる。(その後の購買行動についてはご想像にお任せする。)
都内ではなく、さいたまスーパーアリーナでの開催というところが意表を衝いている。「関東信越きき酒会」なる催しの情報をひょんなことから手に入れ、開場時間に間に合うように出かけてみた。日本酒を得意としない筆者は、きき酒には積極的でなく、こじんまりと併催されていた「きき地ビール」の方にウツツを抜かすことになる。だが、このハマリ方が良かったようで、あとで来てみたら軒並みサンプリング終了状態。地ビール、結構な人気なのである。何をどう呑んだ(正確には「含んだ」?)のかは記録しなかったが、記念に「常陸野ネストビール」の330mlビンをもらってきている、というあたりから推察してもらえればと思う。
第113話でも書いたが、アイスクリームの日、というのがあって、何年かぶりにキャンペーンイベントに行ってみた。日曜日と重なっていたから、というのもあるが、行ける時には行ってみるものである。当たり外れは激しいが、普段買うことのないアイスを試すことができるのはいい。恰好のサンプリングだと思う。
コーヒーのサンプリングが4月〜7月にあったかと思えば、9月はカフェラテが振る舞われた。とかくマックで「サンプリング」を目耳にする機会は多く、それにあやかることもまた少なくなかった春・夏であった。
ケンタッキーが、オリジナルチキンを創業価格で販売したのと同じ日(7月4日)には、「ジューシーチキンセレクト」がサンプリングで供された。別のメニューを買うともれなくチキンがついてくるという形態のサンプリングもあり、都合数回賞味させてもらった。
8月2日は、「キャベツの日」なんだそうで、その前日の日曜日、銀座に出かけていた筆者は偶然にも数寄屋橋公園でのキャベツイベントにぶつかる。JA嬬恋による大玉キャベツの無料配布である。この時はキャベツがえらく高値だったので、大いに得した気分だったが、何せ重量野菜である。その日の行動範囲が狭まったことは言うに及ばず。
サンプリングの常設店と言えば「播磨屋」だろう。2009年に始まった当初は、こんな具合に行列ができるのが当たり前だったようだが、おかきの有料化に伴い、人出は落ち着き、入りやすくなった。コーヒーショップではないので、サンプリング品としてコーヒーを振る舞っている訳ではない。だが、そう思わせるほど真っ当なコーヒーだったので驚いた。(他にも飲料はあるが、制限つき)
ケンタッキー同様、ミスタードーナツも今年で40周年。記念イベントとして復刻ドーナツが無料配布された。この日は「ハニードゥ」を頂戴した。(ミスドから遠くない場所にKALDIがあるので、ここの「常時サンプリングコーヒー」をもらい、ちょっとしたドーナツセットとしておやつにした。組合せがよかったか、美味しくいただけた。)
14時からだったので、その10分ほど前から並んだところ、楽々いただくことができた |
食べる前に記念撮影(包まれた状態では何とも言えないが) |
Blendy
stickについては、電車内の全面広告で目にしていたが、そのキャンペーンの一環で、カフェオレのスティックにスティック状のスイーツをセットにしたものを配るサンプリングイベントがあるというのを聞きつけた。(散髪中のFM放送で、というのが我ながらスゴイ?) パスポートの申請に行きがてら東京国際フォーラムの広場(屋台村)に足を運ぶ。OLがターゲットだが、手広く配っていたのでしっかりゲットできた。ドーナツセットもよかったが、このStick
× Stickも上々だった。
OLの来場がやはり多かった |
10/25〜29の5日間で10,000名に配布! |
新宿サザンテラスのスタバに行って来た人物から、お土産にもらったのがこのスティック。Blendyが先かスタバが先かはいざ知らず、キャンペーンというのは露骨に競争原理が働くので、こういう機会を逃す手はない。この「スターバックス
ヴィア®」、今は街頭サンプリング期間(→参考)になっていて、今週・来週と大々的に展開される模様。またいただくとするか。
・モニターとして登録しておくと、運が良ければ会場調査に参加できて謝礼もいただける、というのがある。消費者の声を確実に商品企画に投影させるという点で、「これぞサンプリング!」だと思う。(9月に某調査に参加する機会を得たが、詳細は明かせないので、そういうのもある、ということで。)
・かかりつけの病院の入口に置いてある「手指殺菌・消毒剤」をよくよく見たら、「試供品」になっていた。スーパーや公共施設に置いてあるのはスプレー式の普及品が主だが、これはポンプ式かつゲル状タイプ。上位品が試供されるということは、サンプリング対象の質が高いということか。患者さんがこれを使って「あら、いいワ」という場面はまず見ないが、一応、そういう想定なのだろう。
・どん兵衛がJR渋谷駅のホーム(山手線外回り:新宿・池袋方面)に出店した(→参考)というので覗いてみた。無料ではないが、これもサンプリング。すぐに試せるからインスタント、というのは一理ありそうだ。スーパーで特売で出るどん兵衛を200円で、というのは割に合わないが、地域限定どん兵衛が200円、というのは耳寄りだろう。Suicaも使えることなので、一度試してみようと思う。
・生物多様性関係の資料を入手しに、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)に行ったら、国連大学の広場で「Farmer's
Market @ UNU」なるイベントが盛大に開かれていて少々予定が狂うことになる。こういう場所ではサンプリングという表現は出てこないが、試してもらわないと始まらないのは同じ。試食・試飲させてもらった品々、いずれも良質だった。
お芋はもちろんのこと、 |
マリネも美味だった。 |
引き続き、サンプリング.jpなどを手がかりに試してみようとも思うが、行き当たりばったりだから楽しい、というのもある。乗せられない程度に試す(否、試される?)としよう。
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