第315話 ひっかかる言い回し、気になる間違い(2010.10.15)
あれこれ悩んだが、せっかくの15話周期なので、「べからず」系で行ってみようと思う。だが、「べからず集」にするほどのネタは?というと正直なところない。いや前々から気になっていて、なかなか出す機会がなかったネタがある。今回は...「この表現は変! または誤用?」(一般論)である。(ちなみに第279話は実在する誤記・誤用の例)
*鉄道の日(10/14)にちなんで第60話・第75話の続編というのも考えたが、日本民営鉄道協会が「駅と電車内のマナーアンケート」というのを11月までやっている折、この結果を見てからでもよかろうと思い至り、今回は見送ることにした。あしからず。
至って小ネタにつき、ランクも何もない。見ていて「あぁ、あるある」と少しでも共感していただければ幸い、といった類である。
今やこれが当然とでも言わんばかり。テレビでも何でも「これは難易度が高いですね〜」などと連発しているが、高いのは難度なのか、易度なのか、どっちなのかがわからない。おそらく難度の方を言いたいのだろうが、なぜか安易に「易」が入ってしまうので、ただただ悩ましい。
最近目にしたところでは、「リスクが見えにくい『生物多様性』は最も難易度が高い環境問題」というのがあった。はて、どっちなのだろう?
どこかで書いたかも知れないが、この2つの誤字をとにかくよく目にする。言わずもがな、「○○内蔵」、「発泡○○」での書き間違い、変換間違いである。
試しに楽天の検索窓でこの二つを入れてみたら出てくる出てくる。
チップ内臓、ヒーター内臓、バッテリー内臓を手始めに、発砲ビーズのクッション、微発砲のワイン、発砲入浴剤、発砲洗浄剤、発砲緩衝材と事欠かない。出店者・出品者には、特にこの二語は入念にチェックしてから掲載するよう注意喚起すべきだと思う。
買って読むから購読。そう書かれていれば、その媒体は有料であることがすぐわかる。「購」の字は侮れないのである。
有料のメールマガジンもあるが、普通は「無料だから読む気になる」のであって、それがメルマガがメルマガたる所以。そんな(無料の)メルマガだが、往々にして「購読」という二字が出てきて読者をあわてさせることがある。
何かの展示会で渡した名刺がきっかけでDM(ここではダイレクトEメール)が届くことがあるが、そんな中に、
【メールマガジン購読お申し込み(無料)】
などという一文を見つけた日にはそりゃあもう、である。これを通りのいい表現にするのであれば、【メールマガジン講読お申し込み】*無料 あるいは 【メールマガジンお申し込み(無料)】 であろう。講読というほど大それたものでなければ、その二字をわざわざ入れることもない。とにかく無料のものに購読と入れるのはおかしい。
家電量販店に出没していた際、よく耳にしたのがこのフレーズ。「○○をご購入いただきますと、もれなく△△」のところ、なぜか「ご購入致しますと・・・」という実に風変わりな言い回しに。ナレーターは違和感を覚えなかったのか?という疑問もさることながら、このフレーズを作った・認めた販売者はいったいどういう了見?と思う。この違和感を以って客にPR、という心算なら大した計算だ。
毎度の「アド街」で、10/9は本所吾妻橋が登場。ではまだ地図が掲載されていないので確認できないが、放送中の地図画面では確かに「東部伊勢崎線」と付されていた。(修正していて、掲載が遅れているとか? ちなみに、9/18の野田の時はちゃんと東武野田線だった。) だが、この手の間違いは案外多く、東部伊勢崎線でも東部東上線でも、Googleで検索してみると結構出てきてしまう。東武が東部なら、西武も同様。西部池袋線、西部新宿線、同じくGoogleでヒットする。鉄道会社としては歯がゆいものがありそうだが、こういうのは手の打ちようがない。池袋駅の「東が西武で〜」のまどろこしさに、「西、東部〜」が加わるようなことがあったらたまったものではないだろう。
「CM好感度ランキング」というのがある。CM専門誌などでも同じだが、ランクインした作品を見るに、好感が持てるものもあればそうでないものもある。(第277話のような例はいくらでもある。当時ランクインしたものも中にはあるだろう。) ここは一つ「高感度」(または高印象)とするのが妥当ではなかろうか。
好感度は、「よい、好ましいと感じる度合い。」と辞書には出ている。
ここを見ると歴代のが出てくるが、この「流行語」というのもどこか語弊感がある。当の主催者の辞書ではない辞書で見ると、「ある時期、多くの人々の間で盛んに使われる語や言い回し。はやりことば。」というのが出てくる。果たして当てはまるのか。
2009年は、
政権交代、こども店長、事業仕分け、新型インフルエンザ、草食男子、脱官僚、派遣切り、ファストファッション、ぼやき、歴女(レキジョ)
というのがトップテン。使用頻度という点では合ってなくもないが、人々が口々に、となるとちょっと違う気がする。流行語というよりは、印象語、時代語、象徴語といった趣である。
単語ではない流行語では、「チョー気持ちいい」(2004年の年間大賞)などがあるが、これとて皆が「チョー気持ちいい」を連呼するようなことがあったかと言うとそうでもない。これぞ正に印象語(正しくは印象句?)の典型だろう。
よく耳にする、よく字面を見る、ということで言えば、「ガチ」「○活」「○ガール」(→例)「○メン」「○○女子」「○○男子」(草食男子も含め)であり、今なお健在。こういうのを流行語というのではないだろうか。
まだまだありそうだが、ひっかかる言い回し、気になる間違い、ひとまずこの辺で。何より自分自身が気を付けねば、と改めて思う。
|