第307話 気が付けば環境月間(2010.6.15)
環境月間というのを特に意識していた訳ではないが、ここ1カ月を振り返ってみると、もっともらしい(?)ことをしていたりするので、安直ながらそれらをまとめてみることにした(日常生活上のエコは除く)。ひとつ、ご参考まで。
5/20(木)
「北区環境大学」というのがあって、今年で3年目になる。初年は、赤羽エコー広場館でやっていたと記憶しているが、今は「みどりと環境の情報館」(通称:エコベルデ)が会場になっている。筆者はその大学(こういう名称でいいのか疑問はある)とは何ら関係ないが、エコベルデという場所には興味があったので行ってみることにした。6月になると大学開講になるので、その前にということで、5月20日、空いた時間を見計らって出かけた。自転車を漕ぎ漕ぎ豊島五丁目へ。豊島五丁目団地に行けばわかるだろう程度で臨んだが、隅田川のカーブ(→参考:「区界の隅田川と雲」)に沿って大回りする形になり、時間を要してしまった。つまり易々とはたどり着けない場所にこのエコベルデはある。(豊島五丁目団地前バス停から広場をめざせばいいのだが、それでもやや距離がある。)
豊島五丁目遊び場の中に、体育館を見つけたら、それがエコベルデ。普段ならこうした来館者があれば、しっかり応対してもらえるのだろうが、この日はたまたま視察が来るということで、自由見学扱いだった。土壌汚染で問題になった地を再生し、その覆土の上に環境情報の一施設を設けた、というのは逆転の発想であり、好感は持てる。その負の経緯を「土壌汚染対策情報コーナー」としてきちんと公開している点もまた見逃せない。ガランとした体育館スペースには、パーテーションが並び、ちょっとした掲示物が出されている。講座が始まれば、この空間が活きてくる(体験学習には打ってつけ)のだと思うが、何もない時はもったいない気もする。
パッと見では何の建物かわからない情報館 |
豊島五丁目遊び場の入口にある駐輪スペース。むしろこっちの方が目をひく。 |
尋ねてみたい事柄もなくはなかったが、また来ようと思えば来られるので、この日は短時間で切り上げた。(掲載予告で「エコベルデ」と出したのは、そのうちちゃんと取材することもあるだろう、と思ってのこと。だが、結局その後は足が向かない。)(^^;
エコベルデの専用のホームページはなく、この仮称のページで代用しているものと思われる。足を運んでもらうためにあえて情報を小出しにしているのであれば、見上げたものだ。
5/22(土) 生物多様性の日
名古屋では、COP10開催半年前記念行事というのがあったようだが、東京では六本木ヒルズで何かあったくらいで目立った催しはなし。筆者もこれといった動きはなく、執筆中の中編向けに参考図書を読む程度。「生き物の多様性も大事だが、人間の多様性もまた然り」、そんな物思いに耽ったかどうかはいざ知らず。
5/23(日)
丸の内シャトルに乗って、有楽町(新国際ビル)から東京(新丸ビル)へ。新丸ビルの地階から、東京駅の地下改札に通じる地下道を歩いていたら、「丸の内地球市民ギャラリー」というのが通路壁面に設えてあって、「日本空訪」展というのが開催中(会期延長?)。思わず見入ってしまった。
5/25(火)
所用で練馬区早宮に出向くことになった。環八通りをひた走る国際興業バス[赤01]系統ができたおかげで、今は行きやすくなった。春日町一丁目で降り、散策路然とした道を10分も歩けば目的地に着く。道中、大きなケヤキ(「ねりまの名木」の一)、緑蔭広場、そしてこうした長閑な光景を目にし、すっかり「気分はエコ」。
5/27(木)
2007年開催分ほか、これまでは招待券やら何やらで無料で入場していたが、今回はご縁無く、初めて実費で入場。元を取るつもりはないにしろ、有料となるといろいろと聞いてみようという気にもなる。出展社の方にとっては顰蹙だったかも知れないが、おかげでマメ知識(?)が増えた。
一応、ひととおりは見たが、時間を割いたのは「サーマル・環境浄化」と「新エネ・省エネ・温暖化防止」の2つ。Q&Aでお騒がせしたのは、レックインダストリーズ、再生舎、吉澤石灰工業、ユニバース開発、島津システムソリューションズ、日本電工、モリカワ、環境技術支援ネットワーク、Jトップ、カナガワ ファニチュア、日本環境技術開発、日環エンジニアリング、協栄産業、日本バイオプラスチック協会、富士ケミカル、東セロ、東京都環境整備公社、日本グリーンパックスといったところ。
栃木県佐野市で採れる石灰系材料を扱うメーカーでフッ素をアピールしていたり、道路舗装をカットする際に出る汚水を処理する装置(車載式)の発電機が普通のガソリン駆動(not バイオディーゼル)だったり、PETボトルのリサイクルに注力しているというので「『いろはす』などの植物性PETボトルが混入してくるとやりにくいのでは?」と尋ねたら答えに窮してしまったり、「第四類 固体燃料」という聞き慣れない名称を前面に出しているので「第1〜3類は何?」と問うたら答えられなかったり、とにかくツッコミどころがいろいろあるのがまた同展の特徴だと思う。
印象に残ったワード(用語?)としては、好気性分解、水冷式LED、ごみ処理事務代行、平成貝塚など。あとは、環境に関する法制度の拡充を受け、その対応として新しく出てきたビジネスモデルの数々が目に付いた。弱みに付け込むと言ってはいけないが、どこかしら煽っているような感じがしなくもない。環境分野を初めて担当し、あれこれミッションを仰せつかって困っている人が思わず飛びつく、そんなケースもあるだろう。専門性+より細心の見極め、が求められそうだ。
見学している最中はそれほど人数を実感しなかったが、今回の「2010NEW環境展」、4日間で約17万人が集まったそうだ。エコプロダクツ同様、日本最大級の環境展示会と言っていいだろう。
5/30(日)
530で、ごみゼロの日と称されているが、台所を片付けた程度。この日出てきた古い植物油のボトル類は翌日に新たな局面を迎えることになる。
5/31(月)
固めてポイというのは面白くないので、巷で聞いていた「東京油田」にその廃油を提供することを思いついた。あいにく筆者地元や周辺には回収ステーションがないので、ちょっと遠出して隣県に行く。東京油田ならぬ埼玉油田である。
びっくりドンキーが協力的というのはある意味びっくりだが、とにかく最寄の下戸田店へ持って行く。ランチタイムのおいそがしい中だったが、無事引き取ってもらえ、「エコアクションポイントカード」ももらった。何本か持って行って、50ポイントというのはいま一つ報われない気もするが、処分する手間を考えれば上々である。(→参考:びっくりドンキー/JCB) … 東京油田、エコアクションポイント、いずれのホームページからも、すぐには到達し得ない情報である。)
その場ですぐに割引券として使えれば、同店でランチをするつもりだったのだが、そうはならないのが役所流。アクションナンバーを登録するにも、このページにすんなり行き着かないし、とにかくわかりにくい。こうした複雑さがせっかくの制度をダメにする!ということにそろそろ気付いても良さそうなものだ。(初年度の平成20年度は複数のモデル事業者があったが、今年度はJCBだけ。案の定、ジリ貧?)
という訳で、ポイントはまだ登録していない。いずれ、そのややこしさ加減を実証してみようとは思う。
6/1(火)
近所の図書館で、リサイクル図書が出る日。今回は経済誌などを少々。
6/5(土) 世界環境デー
たまには「エコライフ・フェア」に行くのも悪くない、と思ったが、サイトなどを見てもどうもピンと来なかったので、見送り。非営利のイベントのはずだが、「http://ecolife2010.com/」とcommercialドメインになっているところがまた解せない。
6/6(日)
日テレの「eco ウィーク特番」で「MAKE
THE FUTURE 2010」というのをやっていて、しばし観覧。「普通の生活で大量に出てしまうゴミを、一切出さずに生活できるのか?」など、そこそこ感心しながら見ていたが、「人間がやっちまった生態系破壊!」のコーナーの前だか後だかのCMが、よりによってバリバリの殺虫剤! わざとぶつけてきた可能性もあるが、あまりの無神経さにびっくりである(虫だけにムシンケイ?)。通常枠のスポンサーがそのまま特番に入ってしまっただけだとは思うが、これを「やっちまった」と言わずして何と言おう。
6/9(水)
前にもらっていたチケットバック券を使うべく、近場の「坐・和民」へ。気になっていた「カーボンオフセットカクテル」を初めて注文した。この「森の妖精」、ネーミングよろしく、二酸化炭素1kgを相殺してくれるというんだから、凄いことである。妖精とCO2というのが結びつくようなそうでないような感じがまたいい。甘党の筆者には美味なカクテルだった。
6/13(日)
東京国際フォーラムを通りがかったら、地上広場で「べストフリーマーケット」なるものをやっていた。何も買わないのもエコのうちである。
6/14(月)
宮脇氏の著書は10年ほど前に読んだが、ご本人を目にするのは今回が初めて。日本財団ビルの中に入ったのも初めてである。やって来たのは、この講演会を聴講するためである。(当日の演題は「いのちと心と遺伝子を守る 自然・環境・経済の共生を求めて −生物社会の掟−」)
日本の主木「シイ、タブ、カシ(類)」がキーフレーズ、どんなに狭い土地でも立体的に緑を創る、大きくなる可能性のある木を植える(はじめから大きな木を植える必要はない)、「混植と密植」で木は強くなる、といった話を実例とともに聞く。「生物多様性」という言葉は聞かれなかったが、これこそが本分かも知れないと感じる内容だった。
木の植え方(哲学)が明確な分、自分でもやってみて、育つ過程を楽しみたい、と思わせる。とりあえず、豊島区内の小中学校で宮脇方式による「学校の森」が展開されていることがわかったので、一度見に行ってみようと思った。
学校の森では、どこでも子ども達の笑顔があふれ、この取り組みの意義の大きさを物語る。ただ残念なのは森づくりの初年、つまり植えた年の児童・生徒しか植林体験が得られない、ということだろうか。あと気になるのは、「イオンふるさとの森」の話が一切なかったこと。失敗例があったとしても、あわせて紹介してほしかったと思う。
中央防波堤の一角に造られる「海の森」は樹種を見る限り、宮脇方式のようにも見受けられるが、紹介はなかった。(「東京都の緑確保の総合的な方針」でも、特段、この方式の言及はない。) 林野庁は2009年からようやく採用(→参考記事)、としているが、賛否あるようだ。
こうした批評もある。鵜呑みにせず、多様な意見を聞くことも大事だと改めて思っている。
別に環境月間だから、ということはないにしろ、この時期だからこそ行われる「それらしい」行事があるのもまた事実。あと半月ある。こうした振り返りがまたできるよう、もうちょっと"エコる"とするか。
*筆者的には、「平成22年版環境・循環型社会・生物多様性白書」を読む会(→参考)が一興。月間行事を締めくくるには相応しい?
|