第192話 つくばエクスプレス開業初日レポート(2005.9.1→12)
筆者、予定通り「愛・地球博」〜地球市民村パビリオンにて、ほぼフルタイムで実働中。(おかげ様で、軌道に乗り、連日盛況です。) 9月12日は、出展後2度目のOFF日で、本稿第192話にようやく着手できた次第。万博出張前に何とか掲載したかったのだが、各種準備に追われ、叶わず、東京モノローグ始まって以来のインターバルになってしまった。(ちなみに9月15日で、まる8年になります。いつもありがとうございます!)
さて、すっかり万博モードの筆者にとって、8月24日の「つくばエクスプレス」(以下、TX)開業日の出来事となると、実に遠い話。記憶もボンヤリしてきているが、メモを基に回想しつつ、試乗レポートをお届けしたいと思う。(いっそ「名古屋モノローグ」にして、リニモのあれこれについて書いた方がリアリティはあるんでしょうけど。)(^^)
首都圏における新線開業は、第162話に記した「みなとみらい線」以来。間髪入れず、続々新しい路線ができる観がある。ただ全長50kmを超えるとなるとスケールが違う。茨城県南部や千葉県北西部など、これまで交通不便だった一帯が一躍して活性エリアになる訳で、インパクトは大。それゆえ、開業初日も期待を反映して、大いに賑わったんだと思う。
東京メトロを乗り継いで、秋葉原に到着。どちらかと言うと、岩本町方面に近いTX秋葉原駅の出入口広場は、すでにかなりの人だかり。12時過ぎだったが、出入口をA1の一つに絞って、入場制限をかけていた。300人を目安に、一定間隔で改札階に通している、ということだが、ホームにたどり着くのに何と2時間とか!(ちなみに、万博に向かう際に、地下鉄東山線からリニモに乗り換える待ち時間(藤が丘駅)は、混雑時で30〜50分程度。)
この日は東京メトロの一日乗車券で動くことにしていたので、秋葉原でのTX乗車はさっさと断念し、日比谷線で秋葉原から仲御徒町へ移動することにした。仲御徒町からは、少々歩けば、TXと都営大江戸線の駅「新御徒町」にアクセスできる。ここならすぐ乗れるだろうという読みはズバリだったが、入場制限も何もなく、あまりにあっさり改札を通過できてしまったので、拍子抜け。予想外だったのは、大江戸線とTXの改札が離れていて、乗換には不便そうなこと。TXの方は「新御徒町東」とかにした方が良さそうだ。
秋葉原での混雑を考えると、平常通りには動いていないだろう、とタカを括っていた筆者。TX秋葉原発12:32の快速列車にあわよくば、と思っていたが、すでに発車済み。お次は上り・下りともに12:39発である。ここはどちらか空いている方で思ったら、どちらも閑散。初乗り運賃の切符片手に、ならば一つ秋葉原に戻ってみよう、ということにした。
さて車内に入るとまずは、床面の|||||といった縞が目に付く。あとは特に変哲なく、すでに沿線の商業広告の類が貼り出されているばかり。乗客はそこそこにこやかにしているが、新線特有の新鮮な感じがあまりしなかったのが不思議。秋葉原からの折り返し。さぞ大量の客が乗り込むかと思いきや、これまた程々でビックリ。いったい、地上での入場制限は何だったんだろう、と訝しく思う。
ともかくTX始点から試乗することができた。快速ではなく、区間快速だが、北千住まではどれも各駅停車。TXならではの快走感を体験できるのは、北千住以北、ということになる。南千住〜北千住はいったん地上に出て、JR常磐線と日比谷線に挟まれた線路を進む。このように地上・高架部分で異なる3線が並走するのは首都圏ではここくらいなものだろう。(ちなみに、3線という意味では、JR・有楽町線・南北線が並ぶ、飯田橋〜市ヶ谷の区間があるが、そろって写真に収められるという点ではこっちが上か。) それにしても思いがけない区間が厚くなる(乗車の選択肢が増える)ものだとつくづく思う。
北千住駅では、案の定、カメラの放列が待ち構えていた。が、しかし乗客の乗り降りという点では期待外れ。試乗しようというところまでは気が向かないのだろうか。荒川を越えるところまで、千代田線と並んで走る。徐々に加速が始まった。東武伊勢崎線と交差する手前、TXは再び地下へ。青井、六町と足立区内の地下駅を結構なスピードで通過していく。ホームドアがある故に為せる業だと思うが、地下をこれほどの快速で飛ばす電車は早々ないだろう。
TX秋葉原駅への入場を待つ人だかり |
新御徒町はこの通り、スイスイ |
流山おおたかの森までは600円 |
北千住駅ホーム先端に集う人人 |
県境近くになって、高架に入る。三郷界隈はまだまだ空き地が目立つ。新しい道路に工事現場の数々。これらを横目にとにかく疾走していく。駅間が長い分、速度も出しやすいようだ。秋葉原から20分程で、三郷中央に到着。かつては武蔵野線〜常磐線と乗り継ぐなどして、倍以上はかかったはず。時間短縮効果の恩恵は大きそうだ。
江戸川を渡り、続いて南流山に。この辺りでは珍しく地下駅である。快速が停車するため、基幹駅と位置付けられているはずだが、降りる客は少々。乗り込む客は、当車両ではゼロ。少々先が思いやられる。
三郷一帯と違い、流山の沿線風景は緑地や森が基調。あまり開発してほしくないのだと思うが、TXが通ってしまった時点で、何らかの影響はすでに出ている訳だから、完全な生態保全はどの道、困難だろう。車窓から緑が楽しめることをウリにするくらいの度量があればいいのだが。
そんな緑の豊かさを示すような名称の駅が「流山おおたかの森」。今回の試乗はひとまずここまでと決め、降車。(ここから先、終点のつくばまではまた別途、ということで。) 下りはポツポツだが、反対側、上り方面のホームを見遣ると、結構な人出がある。ここに来てようやく沿線住民の具体的ニーズを見ることができた気がした。
きっぷ売場に列ができていることからも需要の高さが窺える。東武野田線もTX乗換用に新駅を設置。やはり鉄道相互のコネクションができるというのは人の流れを作る上で重要なのである。しかしながら、野田線の方はと言うと、あまり活況は感じられず、今まで通りローカルな感じ。TXとの比較は酷だが、車両も旧式なため、TXから乗り換えると、そのギャップにクラと来る。
上りホームはそこそこの乗客の姿が見られる |
駅番号を併記した駅名表示もTXならでは |
野田線 柏駅の券売機にて(「流山おおたかの森」は取り急ぎ付け足し表示) |
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という訳で、流山おおたかの森から野田線に乗って、柏に着いた筆者は今度は常磐線でトンボ帰り。北千住〜南千住は、一日乗車券で日比谷線を利用。南千住から再度、TXに乗り換えて、浅草をめざすことにした。
南千住駅は、常磐線と結合した感じになっているが、改札は道を挟んで別々。両線を乗り換えるには少々面倒なことになる。もともとこれといった目玉がなかった南千住なので、駅前広場や駅ビルなどもこれから整備されていくのだろう。再開発が終わると、おそらく乗換もしやすくなると思われる。
14:41、秋葉原行きのTXに乗り、お隣の浅草へ。南千住と浅草の間は、都バスが2系統走っているが、鉄道でつながるのはこれが初めて。歓迎される向きが強そうだが、浅草駅ホームは何と地下4階の深さ。バスだと時間はかかっても乗り降りは楽。どちらを選ぶか、悩ましいところだ。
大江戸線の六本木並みの深度を上り、改札階に到着。人が集う浅草だけに、きっぷ売場など、ちょっとした混雑を見せている。帰りは銀座線の浅草か田原町か、と思案していたので、その方面の出口からとにかく出てはみたが、はて見当がつかない。左手にはビューホテル、右手にはROXビルが見える。なじみがないエリアである上、出入口付近に案内地図がないものだから、戸惑ってしまった。程なく、バス停が目にとまり、地図も発見。何とここは「浅草公園六区」になる。田原町に該当する停留所「浅草寿町」へは「浅草一丁目」を挟むので、実にバス停2つ分。これまたビックリである。銀座線や東武のご本家浅草駅はもっと距離がある。TXの浅草駅は、「新浅草」「西浅草」いやいっそ「六区」とかがいいと思いながら、ようやく田原町に逢着した筆者だった。
日比谷線車窓から見た南千住駅周辺の工事現場 |
TX浅草駅の位置は、これでご確認を |
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