第405話 銀行ATMべからず集(2014.7.15)
400話台最初のべからず集は、金融系。と言っても、ごく限定的にATMについてのべからず、ということにした。ATMを使う側に対して、思うところも多々あるが、今回はあくまで設置者側(主にメガバンク3行)。以下、ランキング形式で10件、ご紹介する。
10.利用サービス限定
ここと決めた店舗でATMを利用していたら、統廃合とやらで店舗がなくなり、ATMコーナーだけが残り...というのが一時期流行した。ATMごとなくなるよりはいいが、この手のATMは、店舗内にあるATMと違い、硬貨の取り扱いがないなど、一部のサービスが利用できないのがネック。まぁ、慣れてしまえばどうということはないが、閉ざされた硬貨投入部分を見る度に一抹の寂しさを覚えてしまうのであった。
9.一枚のカード、二通りの入れ方
みずほ銀行を使うことはごく稀なため、ここ何年かはその苦い思いをせずに済んでいるし、昨今はほぼ「ICキャッシュカード対応ATM」が占めているため、間違える心配もなくなった。だが、かつては、IC対応と非対応が拮抗していて、非対応ATMの方で、うっかり「ICキャッシュカード」の向きで入れてしまうことがしばしばあった。機械から、「入れ直し」のダメ出しを受けるのは必定で、毎度苦々しく思っていたのを思い出す。
みずほのキャッシュカードは、普通に横向きに置いた時、カード上部の左に向かう矢印が「ICキャッシュカード・クレジットカードのご利用」で、下部の右に向かう矢印が「キャッシュカードのご利用」と記されている。そもそもこの表記が不親切というか、ATMの表示と合っていないのがいけないのだ。少なくとも筆者が持っているキャッシュカードは、そうなっている。
今は主流の「ICキャッシュカード対応ATM」 |
「非IC対応 磁気式ATM」も辛うじて存在 |
8.画面汚れ、ごみ放置
店舗内のATMであれば、画面が汚れていたり、機械周りに紙屑などが散らかっていたりしても、その状態が長く続くことはないだろう。そこに係員がいるからである。店舗を伴わないATMコーナーだとそうは行かない。汚れやごみはそのまま、ということが多いのではないだろうか。画面はタッチ式なので、これが汚れていてはどうにも手が付けられない。せめて、ウェットティッシュなど、拭くものを常備しておいてほしいと思う。
↑ 大学の建物内には、こうしたATM横並び(三つ巴)コーナーがあったりする。行内係員はいなくても、校内係員がいるためか、ちゃんとした状態が保たれている。
7.はじめからやり直し...
タッチ式のデメリットは、画面汚れの他に、ふとした誤操作、押し間違いでやり直しを余儀なくされることである。「もう一度最初から...」のメッセージは切ない。画面のお詫び表示はもっと切ない。(以下の画面は、いずれも三井住友ATM)
古めのATMでの「もう一度最初から」画面 |
新しいATMでの「ただいまお取り扱いできません」画面 |
(参考)通常終了時の「ありがとうございました」画面(お詫び表示との表情の違いをお確かめください) |
6.せかす、あおる
払い戻しにしろ、預け入れにしろ、ATMの操作は一つ一つ確認しながら、確実に行きたいところ。こちとら、もともと動作が緩慢な上に、時に指差し確認などを入れるものだから、機械としてはヤキモキするのだろう。音声でせかされること、数知れず。操作を促す=アイドリング時間を短縮する、という点ではごもっともだと思うが、振り込みの場合にこれを設定するのはあまりいいとは思えない。仮に振り込め詐欺の被害者が、この音声によって冷静さを失い、ついつい・・・ということも十分考えられる。音声を使うなら、その手の注意喚起用に、と思う。
なお、みずほ銀行では、払い戻し時に現金を取り出すのが少しでも遅れると、段階的に音声を大きくしてあおるというのをやっていた。今はどうなっているかわからないが、一時期でもそういうことがあると、総じて印象は悪くなるものである。
5.係員が横柄
店舗にあるATMには、少なくとも一人は係員が待機していて、特にサポート面で一つの利点になっている。基本的には礼を弁えた人物が就いているのでいいのだが、時に制帽を被った警備員風のがいることもあり、これが何故か態度良好とは言えないケースが多いのである。列が長くなっている時の案内の仕方、まごつく客への声のかけ方をはじめ、兎にも角にも横柄。記憶にあるのは、三菱系である。
ある三菱系店頭では、こんなこともあった。路上禁煙エリアにかかるその店舗の入口でスパスパやっているのがいたので、当然注意するだろうと思っていたら、店内を見張るばかりでこれといったアクションなし。その係員は、十分威圧感があった。店の外にも気が回る人物ならよかったのに、と思う。
4.振込行列
ネットや端末がどれだけ進化しても、変わり映えしないのが「振込=ATM」の世界。特定の日になると、朝から振り込み操作の客が集中し、長い行列ができる。単にお金を預けたい、出したいといった客はたまらない。この変わり映えしない感じは、利用者側もさることながら、銀行の怠慢も大いにあるだろう。ネット振込を広める努力がどうも足りない気がしてならないのである。(筆者は、振込が必要な場面が出てきたら、振込先の口座に対応したメガバンクのネット振込サービスを都度利用するようにしている。)
行列日に当たってしまっても、三井住友銀行に関しては、ファミリーマートに直営のATMが入っていることが多いので、近くにファミマがあれば何とかなる。神保町界隈は、そういう意味では天国である。(第354話参照)
→ もちろん、誰もいない時もある
3.画面遷移過多
これは銀行別に動画で追うのが手っ取り早いと思われる。みずほは、カードの向きに加え、「キャッシュカード」か「クレジットカード」かを選ぶ画面、三井住友は、オープニングの「お取引開始」ボタンを押させる画面が筆者としては、ちと煩わしい。払い戻し時には、ご利用明細の要否を問う画面もある。これは各行共通なので、どうもこうもないが、煩わしく思う人はきっと多いだろう。ご利用明細と同じ内容を画面に表示→確認・終了、というのがあってもいいとは思う。
みずほのスタート画面。「お取引開始」ボタンはなく、初期表示=メニューになっている。 |
みずほ名物、「希望する口座を選択してください」画面。これがちと面倒。 |
三井住友、古めのATMでの「お取引開始」画面 |
同じく新しい方の「お取引開始画面」。構成は新旧同じ。 |
三菱東京UFJでは、預け入れ時に「資金種類」を選ぶ画面が出てくる。毎度の如く面食らう。 |
三井住友のご利用明細「必要」「不要」画面。手数料を念のため確認したい時を除いて、「必要」を押すことはない。 |
2.手数料不明
画面遷移が増える話にはなるが、最初にしっかり手数料の案内を出してほしいと思うのは、筆者だけではないだろう。みずほ、三菱東京UFJは、案内画面がまず出てくる点では評価できる。問題は、操作が進んだ時点での案内である。払い戻しの金額の確認はあっても、そこに手数料の表示は出ない。0円であっても、それが「取引」である以上は、出すのが基本だと思うのだが、どうなのだろう。
ちなみに、三菱東京UFJ銀行のATMでは、三菱UFJ信託銀行の口座に対して払い戻しや預け入れをしても手数料はかからない(平日08:45〜21:00)ことになっているが、その旨の案内は、画面を見る限り出ていない。この画面が出た当初、係員に訊ねて一応納得したが、今なお、「三菱東京UFJ銀行のカード」と「他行のカード」の二分類しかない。(「三菱東京UFJ銀行のカード」の但し書きに、三菱UFJ信託銀行を含むと入れれば済む話だと思うのだが)
みずほの手数料表示画面。読み解くのに少々時間がかかる。 |
消費税率5%時代の三菱東京UFJの手数料案内画面。三菱UFJ信託の件は特に掲載なし。 |
消費税率改正にあわせ、今年4月からはこのような画面に変更。三菱UFJ信託の件は相変わらず出てこない。 |
1.使えない
混雑時に限ってよく遭遇するのが、「調整中」や「お取扱中止」の類。係員が常駐するATMならまだしも、そうでないATMでこれが発生すると、如何ともし難い。「嗚呼、止まってしまった、マシン」、略してATM、そう呼びたくもなる。
「調整中」 |
「ただいまお取り扱いできません」と云う割には、行員風人物の表情にお詫び観があまりない三菱東京UFJの画面 |
「ただいま調整中です」 |
・・・
2週間が経ってしまったが、7月1日は「銀行の日」(1991年制定)。1893年7月1日に「銀行条例」が施行されたのが由来だとか。かれこれ121年。ATMの歴史はそれに比べれば浅いかも知れないが、もうちょっと何とかなっていてもいいのではないかと、改めて思う。
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