随筆「東京モノローグ2008」(11−12月期)
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奥で吸っていただく分にはいいが、嫌煙派の公園利用者にとってはツライ。第270話 都市生活者としての品格私案〜「べからず集」番外編U

「海外インフォメーション」はおかげ様で盛況!第271話 エコプロ初! 中国語&韓国語サポート

板橋区立エコポリスセンターにて(中国からのお客様をご案内)第268話 いたばし買出し添乗記

なぜ精算できないのかは上がってみてのお楽しみ(?)(半蔵門駅のエレベーター)第269話 メトロとエレベーター

第271話 エコプロ初! 中国語&韓国語サポート(2008.12.15)

 今から9年前、「エコプロダクツ1999」で出展者側(企画展示の一つ)で出させてもらったのが同展(以下、エコプロ)とのご縁の始まり。翌年も同様の企画展示で出るも、2001年は企業出展者の立場で参加することになる。以降、2002年は取材方々挨拶回り、2003年はNGOブースを一つ申し込んで出展、2004年は2つのNPO法人事務局を掛け持っていて土曜出勤もあったので、初めて不参加、2005年は再び取材見学、2006年はまたしてもNPO法人事務局絡みでNG、2007年は例年になくゆったり見学と続く。今回の「エコプロダクツ2008」は10周年の記念大会となる訳だが、ひょんなことから今回は運営スタッフ側として参加することができ、アニバーサリー好きな筆者としては無上の幸い。この10年、エコプロにずっと関わってきた方々はもちろん大勢いらっしゃるだろうけど、筆者のように立場をあれこれ変えて関わり続けているというのはそう多くはないだろうと思う。

 勝手知ったる、と言い得るレベルかどうかはさておき、エコプロ事始めから、これまでの大まかな経緯や出展者としての苦労談なども少なからずわかっているつもりなので、インフォメーションデスクにくっついて、あれこれやるのは大いに臨むところ。ただし、基本的に日本語専門の筆者ゆえ、「海外インフォメーション」に入るというのはどうもしっくり来ない。ともあれ、ちょっとしたご縁で韓国人来場者向けの対応要請を東アジア環境情報発伝所(以下、発伝所)が受けることとなり、この際だから中国語も、という話から今回エコプロ史上初となる、中韓の2カ国語のサポート(→予告記事が新たに加わるに至り、筆者は一応、発伝所側の連絡・調整役としてこの半年間、あれこれ手伝わせてもらったという次第である。(英語サポートを担当してきたJFSとそのパートナー企業ENWとの共同運営。JFS/ENWの皆さん、この度はありがとうございました。)

外国人来場者で賑わう場面例 エコプロの公式サイトに、これまで中国語・韓国語の案内が載ったことはなかったそうで、今般その翻訳も発伝所が担当。まがりなりにも案内ページが載ったことで、ガイドツアーの事前申込もボチボチ集まり、結果的には当日受付分も含めツアーは盛況となった。中国・韓国のいずれかのご一行が会場のどこかしらに出没する状況で、結構目を引いたようだ。デスクを訪れる中韓両国の来場者も少なくなく、用意していたガイドマップも予定枚数をほぼ消化するペースに。英語圏のお客と異なり、団体でやって来るケースが多いので、一時的に海外インフォメーション周辺が中国語・韓国語で満たされることになった。これもエコプロ的には初めてのことだったと思われる。(詳細人数については集計中。改めて、ENVIROASIAで紹介する予定。)

 ツアー後のアンケートをざっと見る限り、極めて高い評価だったことから、中国・韓国の方々のニーズに応えることができたのは確かだろう。in English onlyではお互いに辛い、そんな経験があったからこその今回の成果、と考えることもできる。

 と、概ね良好ではあったのだが、そう易々とは運営できなかったりするのもまた事実。自省も込め、期間中の顛末などを綴ってみようと思う。(こういうのを短文でタラタラ書くと、ブログ的には面白いものになるんだと思うが、運営スタッフの一員という立場からすればそれは不謹慎というものか)(^^;


【海外インフォメーションにおけるあれこれ】

1.混LAN&混ピュータ

 その場でいろいろ聞かれる覚悟はできていたので、補助的にネット検索できるようにしておくことを提案。インフォメーションデスクにLANケーブルを引っ張ってもらう手筈だったのだが、後方の商談室を「海外ネットワーキング」という小企画で使う部屋に指定していたことが裏目に出たようで、その一室の複数デスク(テーブル)にLANが完全配備される設定になっていてビックリ! ネットワーキング用でネットが張られ、デスクに引くという意味もどうやら取り違えられてしまったようだ。

この時点では照明も取り付けられていなかったので、デスク用のLANもこれから、と思っていたのだが...(12月10日 昼過ぎ) この設定違いは、前日の下見で気付いていたので、本番初日早々に余ったルータをつなぎ直して、室外つまり海外インフォメーションのデスクに取り急ぎ自分で配線することにした。業者に頼むと何だかんだで時間がかかるだろうから、とりあえずこれでつながればよしと踏んでいたのだが... 結局、あれこれ試してつながらずじまい。午後になって業者に来てもらって、やはり「あれれ?」となって、晴れて開通したのが初日の午後遅く。調べたい時に調べられない、このロスは案外重く、他の仕込みの遅れを招いてしまったことからも思わぬダメージを負ってしまった。よかれと思った設定が活かせない程、心苦しいものはない。出展社一覧など事前にプリントアウトしておいたのが少しは利いて、企業ブースの小間番号の問合せに何とか対応できたのは不運中の幸運だと思う。

 初日のLANは混したが、2日目はPCが波乱含みで、ピュータ状態に陥ることになる。なまじLANがつながると、ウイルス対策ソフトがアップデートを始めるは、悪いことにMicrosoft Updateまでまとめて来るもんだから、結局午前中は使えずじまい。(MS社のアップデートはこうなってくると明らかな業務妨害である。企業ブースでネットを使っていたところは同じ憂き目に遭っていたに違いない。)

初日、開場30分後、仕込みや打合せが続く中、お客は次々やってくる〜の図 筆者はそんなPCを脇目にしつつ、予測不能な問合せに苦慮しつつ、デスクの周りを右往左往することになる。過去の経験がどうのこうのではない。こうしたインフォメーションで求められるのは即応性であり、反射神経であり、とにかく設定でまごついている場合ではなかったのである。

2.こまごました小間番号、困ってしまって何とやら...

日本人男性客、小学生... 通路には子どもたちの一団が この海外インフォメーションは、オープンな感じのせいか、目立つせいか、はたまた単に来場者数が多かったせいか、外国人よりも日本人がとにかくよく集まってくる。学校で行事化しているためか、小学生諸君も多々やってきては、いろいろと聞いてくださるもんだから集中するとおおわらわ。答え切れない時は本来の案内所「インフォメーション」まで同行したり、という局面が自ずと増えることになるのだった。

前日の東4ホールの仕込みの様子(このホールは電機各社の大型展示中心・・・小間数は少ない) 筆者がエコプロを見て回る場合はまず考えられないが、こうしたデスクに問合せに来る方々=特定の企業ブースを目指す傾向がある、ということが段々わかってきた。会場内の案内図に不備・不足があったり、もらったDMの位置案内がいい加減だったり、ということもあるとは思うが、さらに共通して言えるのは「社名をしっかり把握していない」ということ。下見は済ませてあっても、過去最大規模という750に上る出展数である。こっちとしても把握できよう筈がない。ある程度の勘が働いたところで、不明確な名前をあぁだこうだとやられてはさすがにお手上げ。まだ「この会社、出展してますか?」という問いの方が具体的で答えやすいというものだ。会場が広すぎるというのが逆にネックになっている面はあるが、エコプロの流儀としては、全体を見て回る、特定のブースを目指すよりは、出展分野に当たりを付け、自分でお目当てを探す、ということに尽きると思う。その方が同業他社のブースにもしっかり目が行くだろうし、探し当てた時の喜びもまた大きいだろう。入場登録所で列を作って並んでいる間に、そうした心得をディスプレイで流すというのを主催者としては考えても良さそうだ。

 それでも、ドンピシャで小間番号が見つかればこっちとしても張り合いが出るというもの。インフォメーション役の醍醐味というのはそういうものかも知れない。

3.備えあっても憂いあり?

 それに引き換え中国・韓国からの問合せはまたひと味違う。韓国の方からの一例「『エコプロダクツ大賞』を受賞した企業は他にどこ?」と来た。筆者的に失敗だったのは、手元に残る資料があった方がよかろう、という要らぬサービス精神からこれをプリントアウトして持ってこようとして、時間切れで立ち去られてしまったこと。この時はすでにデスクのPCでネット検索できたのだから、その場で調べて画面を見せて通訳してもらえばよかっただけの話であった。こういう場面に備えてのネット対応だったのに空回り。速さあってのインフォメーション、ということを痛感させられた一件である。

 そんなこんなで、問合せが多そうなものはプリントアウトして備えておこう、と思ったりもするのだが、なにぶん時間が許さない。ビッグサイトの施設面・サービス面に関する英文資料などは、総合案内所のラックから調達して掲示しておけば済むのでいいのだが、エコプロのホームページに載っている最新情報などはそういう訳に行かないので、開場前に早めに来て準備するしかない、ということになる。

 その海外ネットワーキングルーム(=控室)を開けることができるのは朝9時以降。スタッフが集まりだしてミーティングだなんだを始めるのが9時半前後。自発的に仕込み等ができる時間は30分のみ、ということになる。3日目、つまり12月13日の朝はすんなりビッグサイト入りできて、時計を見ると8時50分。PCとLANで悩むことももうない筈だから、仕込めるだけ仕込もうと思っていたのだが、結局ギリギリ。控室のゴミ処理(→11分別コーナーへ)、参考用の情報&貼り出す用の案内のプリントアウト、デスク用の資料並べ&受付用紙のセッティング、当日スタッフ用手当の準備等々... 結局、この日も万全の状態で開場を待つことはできず、デスク周りであれこれ(スタッフ向けの説明等含む)やっている最中に早々とお客さんがやってくる状態になってしまった。オープニング直後ほど問合せ客は多い、方やこっちは仕込みが途上、このギャップがさらなる混乱を招くんだなぁ、とか改めて実感するも、それどころではない。多少待たせてでも仕込み(体制作り)を優先した方が結果的にサービス向上につながる可能性は高いのだが、そうは言ってられないのが現実だったりする訳だ。

晴れてマップも貼り出せて、スタンバイOK 中韓向けのところ、日本人客の相手ばかりでは本分が果たせない。そこで筆者が思いついたのは、ガイドマップをホワイトボードに貼り出してセルフで見てもらう、という回避策である。3日目の朝、これを決行したところ、ある程度効き目はあったようで、デスク周りの印象として日本人減&中韓のお客増とすることはできた。

 が、よくよく考察すると、デスクに若い女性が立っている時ほど集まりがいい、ということだったようで、複数の女性スタッフがいる時などは一目瞭然。特に韓国人男性グループはリピーターも含め、よくお見かけした。エコよりも何よりも結局は根源的な意思で人は動く?ということだろうか。(^^;

4.中韓ペースなツアー

韓国人来場者向けツアー オリエンテーションの様子 ガイドツアーの出発時刻(中韓はいずれも11時発)になれば、予約客を中心に人は集まってくる。この時に日本人客にわいわいやられるとツアーの受付業務に支障をきたすので、その手の客人がこっちに来ると睨むや、筆者はそそくさとマップに誘導して、予防線を張るのだった。結局はそれは徒労というもので、時間通りにやってこなかったりするので、今度はツアースタッフがデスク周りでウロウロし始めることに。中韓それぞれの客がそこそこ列を為して、問合せに来る、そんな海外インフォメーション本来の姿というのはなかなか実現しないものである。

 ツアーを担当されたスタッフの方々には本当に頭が下がる思い。ただでさえ困難が伴うところ、時間の調整や人数の増減に適宜対応してもらって、何時出発・何名様というのをきめ細かく設定していただけた。アンケートの高評価は、こうしたホスピタリティの賜物だろうと思う。(筆者は基本的にデスク付きだったので、ツアーには同行できなかったが、各社企業ブースからも「何事?」と注目を集めていたという。満足度の高いものだったことが窺い知れる。)

 一方の英語チームは、と言うとこれが実に整然としていて、出発時刻もバッチリ。経験量の違いもあってか、ツアースタッフには総じてゆとりを感じた。来年も同じ機会をいただけるなら、その辺り大いに見習いたいものだと思うが、このファジーなところが中韓流と考えれば、あくまで柔軟に、でいいのかも知れない。

【エコプロ2009に向けて】

 こっちも運営スタッフ、とは言っても、主催者側に伝えるべきは伝えたい。インフォメーション役を担当したからこそ言えることがいろいろとある。以下、その一例。

・お客さんからも指摘があったが、無料送迎バスの案内が実に不足していて、的確な案内ができなかった。(中央通路に出ていたバス乗り場の矢印の向きが初日はなんと逆だったり、それを真に受けて逆を教えてしまったり...) 運行時間が客向け、つまり当方スタッフでこれに乗ってくるケースが少ないため、答えようがないのである。こういう付帯サービス情報については予め主催者からレクチャーを受ける必要がありそうだ。

・社名・団体名が曖昧でも、何を扱っているブースかがわかれば、データベース検索に頼るという手がある。この検索サービスは「インフォメーション」にあるので、時にそこまで案内同行するのだが、ある時「森林認証」というキーワードで尋ねたら、係の女性がこの用語を知らないものだからかえって面倒なことに。その方はPEFCがお目当てだったのだが、不案内な筆者はとりあえずその辺の事情に詳しいFSCに関係するNGOブースに案内してお役御免とさせてもらった。(そこでもすぐにはPEFCブースの所在がわからなかったようだが、同じ森林認証でも多様な側面があることを知ってもらう上ではこうした寄り道は不可欠だと思う。)

・そもそも小間番号を尋ねに来るお客が多いのは何故か? 答えは簡単。50音順の出展者リストが館内に掲示されていないからである。筆者は2日目に、デスク後方にこの一覧(縮小印刷でも13枚!)を貼り出すことを思いつき、早速実施。多少は検索時間を早めることができたと思う。主催者にお願いしたいのは、どうせ会場地図を掲示するのなら、その隣りにでもぜひ50音順リストを、ということである。(インフォメーションコーナーの近所に検索用データベースを搭載したPCを設置してもいいと思う。)

・公式サイトを見れば済む話ではあるが、直近の情報(→、見どころ、あとはプレスリリースにあるようなダイジェスト的案内文は、やはり紙媒体にして配ってもらってもいいように思う。それに気付いてこっちでプリントアウトしたものを用意できたのはやはり3日目のことだったが惜しまれる。(早く知っていればツアーにも即興で盛り込めた可能性はあるし、エコプロの趣旨に沿ったより的確な案内ができたのではないかと思う。)

こういうのが掲示されているだけで随分違ったと思う(©東京ビッグサイト)・シンポジウムとセミナー関係は、主会場の東展示棟ではなく、駅側の会議棟で行われる。この手の問合せが多いことは事前に聞いてはいたが、ここまで多いとは!というのが実感。両棟の連絡通路がV字(直線で行けない)なものだから、距離がある分、案内もしにくくなる。ここは一つ、両棟の位置関係とその距離などを大きく示した案内図を出入口に設けてもらうのが一策だろう。

・日中韓の別を問わず、ロッカー、公衆電話(or国際電話)、無線LAN、郵便局、リムジンバスなど、館内(東京ビッグサイト)パンフレットでアイコン表示されている要素はひととおり質問があった印象。予めそのパンフレット(日英中韓4タイプ)を調達しておいたから事なきを得たが、どうもデザイン化されたサイン(標識)というのは伝わらないことが多いようだ。安易なお問い合わせは考え物だが、急ぐ人は「聞いちゃえ」が先行するもの。それ故にインフォメーションは存在する訳だが...(デスクの女性目当てというのもあり得るだけに、悩ましい)

 てな具合で書き出してみると閃くものも出てくる。そう、案内所がバラバラだからいけないのである。エコプロ総合案内(日本語)+ビッグサイト案内所+海外インフォメーションの3つがセットになった一大コーナーが東展示棟1階にあればいい話。もちろん、拡大版会場案内図etc.も近くに置く。これで迷えるお客は減り、手間や時間的ロスも減り、総じて環境負荷も減じる、これぞエコプロ!となること間違いなし、だ。

【こんな問合せが...】

 珍問答は他にもあったと思うが、筆者がその場にいた時に受けた質問にはこんなものが。以下、一例・順不同。

洗剤メーカー(環境にいいのと悪いのと両方)はどこ?
→国内大手メーカー、エコプロマーケット、NPO・NGOコーナーを紹介

断熱材を展示しているブースは?
→住宅・建材メーカーで思い当たるのが見つからなかったので「住生活グループ」とその周辺を勧める

さとうきびから紙を作るNGOは?(団体名うろ覚え事例)
→バガスでは見つからなかったので、ケナフを扱うNGOブースに行って、情報を集める作戦を展開。非木材紙関係も訪ねたが今ひとつパッとしなかったので、さとうきび→味の素と作戦変更。その手の団体があることをご存じではあったが、やはり団体名不明で断念。その目的地はECO FUTURE FUNDだったが、時すでに遅しだった。

古着とケータイを回収するコーナーは?
→近所の11分別コーナーに行って聞けばわかると思って誘導したら、その先にあった(たまたまうまく行ったケース)

松ぼっくりで人形を作ったブースで忘れ物した
→インフォメーションで「松ぼっくり」で検索してもらい、見事つきとめた(バンダイ&ナムコだった)

今回の目標人数は20万人?
→これには意表を衝かれたが、事前に弁えていたので17万人と即答。2日間ですでに12万人を超えていたので、3日目も前年並みに5万人近く来れば目標値達成でしょう、などとこっちも調子に乗って話してたら脱線気味に。細かい数字については、デスクのネットPCで見てもらった。(熱心にメモを取っていたのは何故? ともかくPCが役に立った一場面)
©2008 Eco-Products

【会場概観】

前日の東1から東3方面の概観。大まかな形はできつつあるが、通路はゴタゴタ。 会期前日に下見をしたとは言え、願わくば初日に30分でも会場全体を見て回れれば、上記のような問合せに対してより円滑に答えられた可能性はある。それができなかった以上、下見時の記憶と即席で頭に入れたバーチャルガイドマップ(あくまで概況)が頼り。あとはこれまでの経験と勘を働かせながら、マップとにらめっこ、となる。

二階通路からは、ホールごとの出展分野がわかるようになっている(それにしてもこの奥行き感) 何だかんだで場内を周回できたのは3日目の16時過ぎだった。この時間(=閉場まで1時間)まで来ると、覚えたことを案内するには及ばない。案内用に見学する必要がない分、気楽ではあったが、やはり広いし、パッと見で業界を代表する企業ブースが見つからないと何の分野にいるのかがわからないのが泣き所。インフォメーションに頼りたくなるのもわからないでもない。(インフォメーション役たる者、まずは来場者の立場に立たないと、である。)

 LEDがすっかり主流になっている分、照明がとにかく明るく華やか(&省エネ?)。一方でノベルティの配布は控えめになっているようで、アンケート引換方式が目立った。全体的には落ち着いた観ありだったが、ブースの内外問わずコンパニオンがやたら目に付いたし、ホールのメイン通路が交差するスポットでのプレゼン合戦は相変わらず喧々としていた。

3日目でもこの通り。東6ホールまでエコプロ会場になったのも今回が初。(これまではホール1〜5まで) 折からの急激な景気悪化で、出展規模の縮小を余儀なくされた企業もあったそうな。それでも賑やかさを保っているのはエコプロならでは、か。特に2日目の来場者数、つまり一日6万5千人超というのは壮絶の域だろう。このご時世で右肩上がり(集客面)を続けるエコプロ。10周年に相応しい盛り上がりを見せたことで関係者一同、ホッとしていると思う。10周年記念テーマ展示は、期待していただけにムムムという感じ。10年を振り返る展示などがあってもよかったと思うが、不況の煽りで見送られたのかも。)

 とにかくクランク状に隈なく廻るのが筆者流エコプロの歩き方だが、今回はさすがに叶わなかった。(細君がしっかり巡回して、資料やノベルティなどを集めてくれるのが救い)


 行き帰りに無料送迎バスに乗れない、否が応でも携帯電話を持たざるを得なくなる(着信専用にさせてもらうも、自分で手にするのは実に11年半ぶり!)など運営スタッフというのは因果なものである。それでも、存分に楽しませていただいたことは確か。末筆ながら、ご来場の皆様、スタッフの皆さん、関係者の皆々様に改めて御礼申し上げます。多謝,多謝!

第270話 都市生活者としての品格私案(2008.12.2)

 第60話を起点に、15話ごとにお届けしてきた「べからず集」も第270話で15回目。これまでもおさらい編のような変則パターンは数回織り込んできたが、今回も一つ変型で行ってみようと思う。とは言え、毎度の如く「何々べからず〜」では能がないので、「こうありたい!」というのを打ち出してみることにした。ごく浅薄な考察ゆえ、物足りないと感じる読者の方も多かろうと思うが、概して言えるのは「都市生活者として品格とは?」というのを筆者なりに考えてみたらこうなった、ということ。第240話もあわせてご参照ください。)

 各シーン別、合計で33のチェック項目を列挙してみた。きちんと実践している場合は勝ち点として3、やっていたりやっていなかったり、どちらとも言えないような場合はドローとして1、どうもダメな気がする場合はとりあえず0で計算してみていただきたく。得点に応じて品格どうこうとやるつもりはないが、99点満点に近ければそれだけ(自他共に)円滑・円満な都市生活が送れている証しになるだろうとは思う。

 都市生活の質を高めるためにはより抜本的な策(社会全体への信頼感の向上、または社会や都市からお世話になっていると実感できること、世話になった分、自分も応えようと思うこと=互恵観念の醸成?etc.)が求められるのは言うまでもないが、その一助としてこういうのもアリだろうと考える。


*違法・不正行為はもちろん対象外。
*ご家庭・ご近所・職場・学校など、限定的な場面も想定外。あくまでオープンな公共空間における都市生活、ということで。あしからず。

1.路上編

□01. もともとタバコは吸わない、吸うとしても路上では吸わない(喫煙禁止エリア内外問わず)

→不特定の人に害を及ぼす可能性があるため(タバコの煙は、どんな事故食品・偽装食品よりも有害と心得る)。

路上禁煙エリアであっても、タバコ売店は健在。店の敷地内で吸うようにと、店主は貼り紙を出したりはしているが、境界線はあいまい。(堂々と歩道で吸っているスモーカーも時には見かける)

□02. 道幅の広い歩道でも整然と歩くようにしている(複数で歩く時は特に注意している)

□03. ゴミはもちろん散らかさない

  • ×実際に遭遇したダメダメ例(大幅減点)

 ただでさえ路上禁煙エリアなのに、タバコを手にしたまま某オフィス用品店の中へ。筆者会計中、つまり接客中の店員に飄々と道を尋ねるのである。その中年男性はタバコを吹かしながら再び路上へ。「路上禁煙!」と注意してやったら、「ボケ」とか云われたような。麹町界隈で漠然と永田町は?とか訊いてるんだから、もともとどうかしてる。ま、どっちにしてもあれじゃ目的地に着けないだろう。行く先を自分で煙に巻いている例。

  • ◎これができれば素晴らしい(さらに3点加算)

 風で飛んで車道に行ってしまうと事故を誘発しそうなゴミが歩道に落ちていたら回収。

2.公園編

□04. もともとタバコは吸わない、吸うとしても路上で締め出されているからと言って、灰皿の置いていない公園では吸わない(どうしても吸いたくなったら、指定の喫煙場所へ行く)

吸える場所を探し求めて行き着いた先は... 公園の奥なので、まだいいと言えばいいが、純粋に公園を利用したい人にとってはいろいろな意味で煙たい。

□05. 水道を使う場合は、節水に努め、逆に使う前にポタポタなっていたりしたら、きちんと締めるようにしている

□06. その他、公園の設備は総じて大事に使うようにしている

3.公共交通編 *ただし、電車とバスに共通する要素のみ

□07. ケータイはもちろんOFF

→扉が閉まったら閉鎖空間になる。電磁界を閉鎖空間で増幅させて、予測不能なリスクが自他共に及ぶのを避けるため。

□08. 着席時はできる限り詰める

□09. 隣りの人に腕がぶつからないよう気を付ける(カバンのガサゴソ、新聞のバサバサには注意している)

□10. 足を出すスペースは最小限にしている(無用に投げ出したり、大っぴらに組んだりしない)

□11. 吊り革を使う場合、一人一つを心がけている

□12. 支柱などに寄りかかる際は、周りの人に無用な圧迫感を与えないよう注意している

  • ×実際に遭遇したダメダメ例(大幅減点)

・車内携帯通話人に遭遇するのは日常茶飯事だが、ケータイで堂々と通話+ふんぞり返り+しかも優先席、という三拍子そろった人物にもよく出会う。ダメな奴はとことんダメという好例か。

ケータイ好きな方々の例 ←30秒以上、話し込んでいた方々(一例)。大した話をしているとは思えない。

・座席上の棚に段ボール箱を無理やり載せようとしたら、あろうことか天井の蛍光灯が外れて落下。割れてから破片が降り注いだとしたら目も当てられないが、落下時にそれなりに飛び散るものがあり、着席していた乗客は結構危険な状態に。(筆者は対面する席にいたので、難は免れたが、ヒヤヒヤもの) その危険人物は、全く悪びれる様子はなく終始無言。当然のことながら、周囲に謝るも、車掌に伝えるも何もないまま、途中でそそくさと下車してしまった。筆者はこの男を追うが、まずは通報が先と思い、駅員に話をし、当該車両に連絡を入れてもらった。破損した蛍光管は本来なら弁償ものだと思うが、こういうことがまかり通ってしまうところに公共空間の怖さを感じる。

  • ◎これができれば素晴らしい(さらに3点加算) *電車にて

・悪質な乗客がいたら、乗務員や駅員に訴える(車内では、非常通報ボタンが有効(JR東日本からの回答による)
・床に転がっている飲料容器類があったら、拾って下車

4.建物編

4−1.出入口

□13. もともとタバコは吸わない、吸うとしても出入口では吸わない

→灰皿が置いてあったとしても、吸わない人にはかえって迷惑。通行妨害にもなるため。

□14. ドアが手動の場合、あわてずゆっくり開閉するようにしている(「押」「引」の表示がある場合は、それに従い、対向する人とすれ違う際も円滑に通れるよう重々配慮)

この手のドアは重く、より配慮が求められる(業者の出入時は、開け放しになることも)

4−2.エレベーター

□15. 扉が閉まったら、閉鎖空間になることを考慮し、異臭や電磁界を増幅するような行為(特にケータイ使用)は慎んでいる

□16. 複数エレベーターが同じようなタイミングで動いている時は、ムリして先行エレベーターに乗らず、分散して乗るよう心がけている

この時は、3台とも8階から下りて来る途中だった(こういう時は、ちょっとした工夫で集中乗り込みを防げるものだが、そうならないのが集団心理)

4−3.劇場等

□17. もちろんケータイはOFF

→バックライトは、特に後方の客の迷惑になるので、暗くなってからはとにかく開けない。自分の目にも悪い。

□18. 異臭や異音は発しない

□19. 前の席にプレスをかけたりせず、良好な姿勢を保つようにしている

  • ×実際に遭遇したダメダメ例(減点幅いろいろ)

・最下階に着いたのに、知ったかぶりして勝手に「閉」ボタンを押し、他の客が降りる前に再度上階に連れて行ってしまう。(一人だけ犠牲になるならまだしも、他者を道連れ、というのはいただけない。)

・思い出したように降りる階のボタンを押し足す。(特に少人数で乗っている場合は、こっちが先に押した階と違う階のボタンを押したがる人に何故かよく出くわす。その逆に満員に近い場合は、他の階を押そうとする人が全く現われないことがある。変なところで個性を発揮したがる日本人ならではの習性?)

・座席指定式の映画館での出来事。自分の気に入らない席だったせいか、前列の筆者席(その男性客的には好位置だったか?)にやたらプレスをかけるは、とかくガサゴソ音は立てるは、挙句の果てに放屁?(=悪臭放散)までする始末。映画館でのバッドマナー客(モンスター客)の例は後を立たず、注意したことで逆上され、甚大なケガを負った話などを聞き知っていたので、ここは何とか辛抱したが、懐中電灯があったら照らしてやったのに、とも思う。この映画館宛に一筆投書しようとも思ったが、ホームページにはそうした窓口コーナーや問合せフォームメール等が用意されていなかったので、この映画館にしてあの客、と諦めることにした。ちなみに、この時は招待券利用(=無料鑑賞)だったので、まだ救われた。

  • ◎これができれば素晴らしい(さらに3点加算)

 高層 or 上層階へ行く場合は、開閉係を買って出る。(かつ円滑な開閉操作を心がける。)

5.飲食店編 (広範になってしまうので、全面禁煙のクイックメニュー業態店でのケース)

□20. 店の前でメニューを見ている客を出し抜いて、さっさと店に入ったりはしない

→あわてて中に入って食券販売機の前で時間を費やすのはダサイため、etc.

□21. 券売機のある店舗では、できる限りテキパキと(券売機直前で財布を出したり、メニューに迷ったりしない)

□22. 注意書きが出ていなくても、食事中のケータイ使用は慎んでいる

→食事中は食事に集中。その方が消化に良いため。

□23. クイックメニューであっても、ゆっくり味わって食べる

□24. 少なくともクチャクチャ音を立てたり、ガツガツした印象を与えないようにしている

□25. よほどのことがない限り、きれいに残さず食べる

□26. 食事後に出るゴミ(ナフキンや楊枝など)は出さないようにするか、出ても店員が片付けやすいようにする

□27. 店を出る際、店員と目が合ったら、会釈するなり一言かけるなりしている(※店員の挨拶がなっていない店の場合はさらに1点加算)

  • ×実際に遭遇したダメダメ例(大幅減点)

 そのカレースタンドには、ケータイ云々の注意書きは出ていなかった。だからという訳ではないだろうが、食べながらケータイで話し込む落ち着かない客人が隣に来たので、「どっちかにしたら?」とか言ってやったら、面と向かって言い返せないらしく、ケータイ通話相手にブツブツ。筆者のグチをこぼし出し、さらに通話が長引き、その分カレーはきっと冷め... この店はコンパクトなので、店員もつかまえやすい。こういう不届き者がいたら注意してもらえばいいんだと後で思った。

  • ◎これができれば素晴らしい(さらに3点加算)

 割り箸使用店では、マイ箸を使い、より美味しくいただく。

6.ATM編

□28. 待機している時間がもったいない(急ぐ客にも影響必至)ので、振込をする場合はインターネットのサービス(ネットバンキング等)を使うようにしている

□29. 現金を出し入れする場合はネットという訳には行かないが、できるだけ並ばなくても済むようにするか、近所の空いているATM(要・所在地チェック)へ移動し、自発的に分散を図っている

□30. ATMの操作が終わったら、すぐにその場を離れ、出し入れ等は別の場所で確実に行うようにしている(操作前も然り。準備できることはしておいて、速やかに操作に入れるように心がけてもいる。)

7.会計等の待機編

□31. レジ待ち用のラインの有無を確認、さらに先に並んでそうな人がいないことを確かめてから並ぶようにしている(案外、できていない人が多く、トラブルになる)

この店では停止線らしきものはあるが、どうもハッキリしないので、よく割り込まれる(矢印すらも目に入らない客も多く、横入り例が頻発)

□32. 待っている間に(財布やカードをすぐに出せるようにするなど)用意できることはしておく

□33. マイバッグを持参するか、包むとしても簡易包装をお願いするなどし、時間・コストともに抑えるよう努めている

 あらゆる場面で共通しそうな要目としては、(1)案内はしっかり見て確かめる、(2)人に釣られないよう、また、ちょっとの手間を惜しまないよう努める、(3)現状よりもより良い状態にして、次につなげるよう心がける、(4)時間の空費を自他共に抑えることを念頭に置く、等々。要は「どうすればお互い快適に都市生活を過ごせるか」に尽きるような気がする。

 逆にこれらができていないことで生じる社会的なロスやストレスは甚大。その場はしのげても、結局、自分のためにならない、ということをどこまで実感してもらえるか、にかかっているとも言えそうだ。(学校でも職場でも、はたまた生涯学習の一環としてでも、「都市生活教育」というか、この際、マナーだルールだ、ではなく「品格学」とでもして、浸透を図ってもいいと思う。)

【読者の皆様へ】 *第270話記念(?)、お願いいろいろ。

・とまぁ、こんな感じの「東京モノローグ」(辛口?)ですが、これでも月2回のペースでの連載を11年以上続けてきた、というのはちょっとしたものではないかと自負するところもありまして... 折りよくこの程、(ご声援用バナークリックでおなじみの)電網浮遊都市「アルファポリス」にて、「エッセイ・ブログ大賞」なるものが設定され、せっかくなので筆者も一つエントリーしてみることとしました。すでに12月1日から投票ランキングが始まっております。読者の皆様には、いつものバナークリック(週1回)、または「市民登録」をしていただいた上で、一票(100pt相当)を投じていただく、のいずれかをお願いできればと思っています。

●アルファポリス「エッセイ・ブログ大賞」開催中!

2008年12月1日〜12月31日まで、
アルファポリス「エッセイ・ブログ大賞」を開催しております。
開催期間中の読者投票、アクセス数などによりポイントを付け、大賞と読者
賞を選出します。賞の発表は1月15日頃を予定しております。

読者投票につきましては、どなたでもご参加頂けます。
なお、投票された方から抽選で10名に、一万円の賞金がございます。
エントリーされた120作品の中から、良いと思った作品の「投票する」を
クリックしてください。
皆様の投票をお待ちしております。

随筆「東京モノローグ」、ご声援用(兼・投票画面案内)バナー

・2007年9月4日から毎週火曜日に連載してまいりました「NPO小説 漂着モノログ」。12月2日を持ちまして、晴れて連載完了となりました(足かけ1年と3カ月)。最終章の補整などがまだ残っておりますが、ひとまず完結しましたこと、ここにお知らせし、引き続き全編通じてのご清読・ご高覧をお願いする次第です。(全80話、65万字超。1日1時間ペースで概ね20日間かかる計算になりますが、おひとつ。)

・次回第271話は、ご存じ「エコプロダクツ」ネタで、と考えております。筆者が関係する団体の一つにて、こちらにあるように中国語・韓国語でのサポート(インフォメーションデスク&ガイドツアー)を担当することになりましたので、日本にお住まいの中国人・韓国人のお知り合いなどで、「エコプロダクツ」にご関心のある方がいらっしゃったら、ぜひお声かけいただきたいと思います。(→参考記事

第269話 メトロとエレベーター(2008.11.16)

 「愛・地球博」の地球市民村に出展した団体の粋を集めたちょっとした冊子(というか書籍)があって、タイトルは「私にできることは、なんだろう。」、またの名を「地球市民村コンセプトブック」と言う。当然、出展団体向けにも相当の数が配られた訳だが、配りきれないこともあるもので、半蔵門にある某団体でもこれが箱ごと出てきた。それなりに厚みがあるので、40部で段ボール1箱。それが2つ、つまり80部である。

 この手の資料を引き受けてもらえるのは、都内広しと言えどもここくらいだろう。ご存じ、地球環境パートナーシッププラザ、である。半蔵門からなら半蔵門線で一本。表参道まで出ればいいだけの話なので、軽い気持ちで運搬役を買って出た次第。ちょうど9カ月前のことである。

 キャリーカートを持って来て、その二箱を載せ、最寄の1番出口(南=永田町方面)へ。だが、勝手知ったるものの、階段しかないという現実は重く、カートをガタガタやるのは自他共に危険と判断。2番出口側の階段はストレートなので、まだ何とかなる可能性はあったが、この指示通り、仕方なく反対側(北=九段下方面)に廻ることにした。1番〜5番の距離、約400m。それでもエレベーターがあるだけいい、とその時は思っていた。が、しかし...

 普段使わない北側の改札口は、改札がただ存在するだけということをこの時に知る。エレベーターはと言うと、何と駅の中間くらい、ここからさらに約150m先だったのだ。来た道を戻るような感じになる訳で、さすがの筆者もしばし呆然。正に「私にできることは、なんだろう?」状態だったことは言うに及ばず、である。(^^; (それでもこうして持って行った甲斐は大いにあったので何よりだったが。)

(1)2番出口はこんな感じで階段オンリー

(2)2番出口には一応「エレベーター出入口位置案内」が掲示されているが...

(3)まずは麹町一丁目交差点(新宿通り)を越え、永井坂を下る

(4)なだらかな下り坂。エレベーターへ向かう場合はまだいい。

(5)短いようで長い(?)「永井坂」。ようやく5番出口が見えてくる。

(6)エレベーター発見!

(7)駐輪禁止!とは心強い。(だが、この先がまだまだ)

(8)改札階に着く

(9)そして改札口に。ところがエレベーターが近くにない!

 半蔵門駅の横断面とかがあれば、話は早いのだろうけど、改札階でのエレベーター乗り継ぎが円滑でないのには理由がある。改札階とホーム階は平行の筈だから、エレベーターはどこに設けても高さ(距離?)は同じ。半蔵門駅は、南北改札(=1〜5番出口)を結ぶ地下通路があるので、それなら通路(ホーム)の中間あたりに設けよう、となるのは合点が行く。問題は地上に出るためのエレベーターをどこに設けるか、だ。エレベーター乗り継ぎを考えるなら、この近く(駅中間地点)に新たに設置すれば良さそうなものだが、高さが生じる程、工費もかかるということだと、当所の地形上(=坂道の加減で)、より高低差が少ないところ、つまり坂上の1番よりも坂下の5番出口の方に、ということだったんだろう。おかげで筆者のような「公共交通で重量物!」志向の人間にとっては、「エレベーターって、なんだろう?」ということになる。

「この上の改札口は精算できません」 (-_-) という訳で半蔵門駅には、エレベーター利用客のための改札、というのがあって、当然、無人、かつ券売機が近くにない、というおまけつき。筆者は予めメトロの土休券というのを用意してあったので事なきを得たが、定期券や回数券を持っている、または5番出口側の券売機で切符を買っておく、といった条件が不備だとこの改札、通れないことになる。PASMOの普及を見越しての設定だとは思うが、オートチャージしてない(=残額不足で引っかかる)客がこういう場所では多発しそうな予感はある。(筆者と同じようなルートを辿ってきて、ここへ来て入場NGとなった時のダメージは計り知れない。) だが、それを逆手にとる客(無人改札、かつ人の出入りも少ないとなればなおさら)、つまり強行突破を許すリスクも隣り合わせなのである。11月14日の14時過ぎ、遅い昼食後に再度当所をチェックしていたら、案の定、PASMOエラーを装った突破客(スーツケースを軽々と引っ張る女性)に遭遇。この時はたまたま後続がいて、その年配男性が出られなくて困っていたので、どうしたこうしたとやっているうちにその不届き者を逃してしまうのであった。それなりに声かけ(呼び止め)したのだが、効果なし。半蔵門駅の特性を知る常習犯と思われる。(エレベーター乗継をせず、駅員に見つからない3番出口側に向かったことからも見え見え。) エレベーターや改札の配置やあり方を考えさせられる一件である。

(10)長い地下通路の途中にホーム行きエレベーターはある

(11)改札は至ってシンプル(一通路双方向)

(12)やっとこさホームに行ける...

 とかく坂の多い都心部、地下鉄側もご苦労はあろうが、もうちょっと何とかならなかったか、と思う駅は他にもありそうである。(高低差があるところほど、逆にニーズはありそうなものだが、そうならないのがバリアフリーの難しさか。) 半蔵門駅は極端な例かも知れない。だが、似たような例は?と気になってしまうのが毎度のお決まり。予告ではずっと出していたが、去る11月10日が「エレベーターの日」だったことを受けて、満を持しての掲載、今回は東京メトロ編としてお届けする。(蛇足ながら、エスカレーターの日というのもあって、3月8日だそうな。)

 きちんと調べれば見つかるのかも知れないが、ありそうで見つからないのが、エレベーターアクセス情報。東京メトロの場合、銀座線や丸ノ内線はまだしも、深度のある駅と地上とを結ぶエレベーターの情報は貴重だと思う。(さすがのナビタイムもそこまでは及ばない?)

 乗り換えマップはあくまで乗り換えのしやすさが中心で、ホームと地上とを結ぶルート(エレベーター含む)が直感的にわかる工夫という点では、いま一歩。車イス然り、重い荷物を運ぶ(スーツケース、キャリーカートetc.)客向けにもぜひ整えてほしいものだ。

 駅構内に置いてある「東京メトロナビ」(17×10cm 78ページのハンディサイズ)をしっかり見れば、メトロ的主要駅に限られるが、だいたいの情報は把握できる。が、逆にエレベーター環境が整っていない駅が「主要駅」の中にあることがわかって、ビックリ。「バリアフリー移動経路」(おすすめルート)が併記されているのはいいとして、エスカレーターだったり、スロープだったりで、エレベーター乗り継ぎルートが必ずしも保証されている訳ではないのである。

 主要駅以外はどうか。一日乗車券を使ったとしても廻るのは困難なので、下調べ方々この「路線図」で各駅を調べてみることにした。前置きが長くなったが以下、東京モノローグ的、要注意駅のリストアップである。(駅名をクリックして、しかとご覧ください。)

*地下にない駅(地上駅・高架駅)、銀座線と丸ノ内線の駅は除く。線名略号アルファベット順。


千代田線

  • 皆無! → 千駄木

  • 改札階とホームを結ぶのがない → 新御茶ノ水

  • 上がるはいいが、歩いて下がってまた歩く(大変そう) → 日比谷

  • つながってはいるが、下がって&上がって?(不思議系) → 霞ヶ関


副都心線 → 第263話もどうぞ。

  • 振り回される(反対側どうし) → 北参道

 *ここは凄い(理想的) → 西早稲田


日比谷線


南北線 → 第86話もどうぞ。

  • エレベーターが非連続 → 赤羽岩淵

  • 非連続&アップダウン付き → 駒込

  • 振り回される1(反対側どうし) → 西ヶ原 本駒込

  • 振り回される2(エレベーターどうしは近いのに改札が...) → 市ヶ谷

  • 迷路のような → 永田町

 Y線 永田町駅ホームにて。Z線とN線の乗り換えはこのエレベーターで、という感じだが、あくまで「改札階」どまり。N線のエレベーターへの途は遠い。

 永田町の改札階。奥がY線。左へ進むとエスカレーターオンリーのZ線ホーム。N線は右に125m先。


東西線

落合駅の案内板

 高田馬場・中野方面(現在地ホーム)にはエレベーターなし(@飯田橋)

 西船橋方面のホームと改札(エレベーターは改札を出て左すぐ)

 坂の上の駅の宿命か、神楽坂にエレベーターはなし

 傾斜を上がった先にホームがあることが何となくわかる(地上との距離を縮める努力が窺える)

 *理想的 → 東陽町


有楽町線

 → 江戸川橋の案内板(椿山荘帰りのお客は、改札階まで出るのに苦労しそう)

  • 改札階とホームを結ぶのがない → 麹町

 → 麹町駅ホームは二階建て(エレベーターの設置、難しそう)


半蔵門線 → 第134話もどうぞ。

  • どうつながっているのかがわからない(これも宇宙船構造効果?) → 渋谷

  • つながってはいるが、下がって&上がって?(不思議系) → 表参道

  • 改札階とホームを結ぶのがない → 永田町 三越前

 Z線からY線・N線に乗り換えるには、このエスカレーターを使うしかない(@永田町)

 5つのメトロが行き交う永田町(&赤坂見附)では、この案内板をいかに読み解くかがカギ

  • これを見る限りでは大したことはなさそうだが → 半蔵門

  • 地上へ出るエレベーターがない? → 神保町


九段下のエレベーターは実にスムーズ 現地でしっかり調べてみないことには何とも言えないが、ここに載っていない地下駅は、おそらくエレベーターアクセスは悪くない(筈である)。改札階での乗換などが非常に素直な駅(→一例も多々あったので、全体的にはまずまずとしないといけないだろう。

 東京メトロ・都営地下鉄を問わず、地下鉄相互の乗り換えがある駅は出入口が増える分、何らかのフォローが利くというのも何となくわかった。改札階に商業ビル直結口がある場合もそれなりに救われるようである。(時間制限がある点は注意を要する。)

 上記を踏まえた形で総合的なアクセス情報があれば、荷物を伴う都心の移動はもっと楽になるだろう。タクシーや運送業者に頼りたくない人には打ってつけ。経費削減+環境負荷削減のためにもあって然るべきと思う。

*11/15は、半蔵門にて打合せ等を予定していたため、その道中で追加的に現地写真を撮ることにしました。本稿の掲載もその分、遅くなりました。ちなみに、同日はJR新宿駅の跨線橋架替工事の日だったので、メトロで移動する分には好都合だったのですが、あえて東西線を使い、中野まで出て、中央線に乗り換え新宿へ(工事状況を見物?)、なんてやったものだから、余計に遅れた次第です。(18時頃中野着。が、中野発が何故か遅れ、新宿でも山手線の混雑で足止めモード。池袋からの埼京線始発に乗ったのは19時のこと。) 素直にメトロで帰っていれば、と。(お粗末)

  • こちらもどうぞ...⇒ 関連する話題いろいろ

第4話 バリアフリー考 / 第26話 「地球環境パートナーシッププラザ」PRレポート / 第58話 水曜クリーンキップ / 第71話 都心周遊 / 第165話 エレベーターでの「べからず集」 / 第167話 自動改札破り / 第190話 震度4後の新宿通り&タクシー地名考(新宿西口編)

 

第268話 いたばし買出し添乗記(2008.11.1)

 第267話の掲載が遅れた一因が今回のお話。新潟での「第4回 東アジア環境市民会議」(→参考記事:10/11 10/12 10/13を終え、中国の皆さんもひと息、といったところ。東京滞在中、ゆっくり羽を伸ばしていただこう、となる訳だが、逆に迷わせる訳にもいかない。つまり、下手な案内はできない。完全フリーということならおそらく筆者の出番はなかっただろうが、リクエストをいくつかいただいていた。その一つが「エコポリスセンター」(板橋区前野町)である。どちらかと言えば近所なので、案内役を引き受けることになったのだが、希望日は10月15日。15日は本稿の定期掲載日につき、何となく空けておいたのだが、この日程的な空隙を衝かれる恰好になってしまったといった方がいいだろう。(+_+)

 エコポリスセンターは自宅から自転車でも行こうと思えば行ける、つまりそこそこ近くにある訳だが、途中のアップダウンを思うとつい億劫になる、そんな施設である。毎度の記録帳によると、何と今から11年前。1997年11月16日(日)に行ったきりだった。(この時は、「環境広告コンクール展」の他、COP3に因んだ某パレード団体の会合を傍聴しに出かけたことになっている。施設としての稼動状況は当時それなりだったことがわかる。)

 かなりのブランクはあるが、勝手知ったる場所なので、最低限の下調べだけしておく。こういう時、開催中のイベント情報といったものよりも、臨時休館や部分改装といった"ヒヤリ"情報の方が要注意。ホームページを見る限り、そういうのは見当たらず、施設的には今なお充実しているようだったので、これなら引率し甲斐あり、と踏んでいたのだが... 前日、ちょっとでも時間を作ってちゃんと下見しておくんだった、本気でそう思った筆者である。

 下調べの甲斐があったのは赤羽からもバスで行ける、というのが再認識できたこと。ときわ台(東武東上線)からバスというのが一般的だが、本蓮沼や志村坂上から徒歩、という行き方もある。だが、中国ご一行の起点(投宿先)が上野だったので、迷わず赤羽経由をとることにした。(これを白羽の矢ならぬ羽の矢というかどうかは、いざ知らず?!)

 という訳で、案内役としては、以下のようなスケジュールを立てることになる。

 9:30 ホテル出発
10:00 赤羽着 バスでエコポリスセンターへ
10:30 エコポリスセンター着(もうちょっと早まる?)
11:30 エコポリスセンター発 バスで移動
11:45 志村坂上(または本蓮沼)から都営三田線に乗り御成門へ
12:15 御成門着 昼食へ
 (昼食) 場合によっては要予約
13:30 ストップおんだん館
14:30 東京タワーを見ながら六本木へ

※六本木よりもお台場優先、ということであれば、ここから浜松町まで徒歩。都バスに乗って温泉へ。(虹01系統 東京港湾合同庁舎またはテレコムセンター下車)

 上記は言うなれば「都心コース」である。せっかく赤羽を通るんだから、ということで「川辺コース」もついでに考えてみた。志村で降りず、赤羽に戻ってくるパターン。

11:40 赤羽に戻り、徒歩またはバスで荒川土手へ
12:00 川沿いを歩き、荒川知水資料館
13:00 志茂まで歩き、南北線で春日へ
13:30 東京ドーム界隈で昼食

※この後、文京シビックセンターのリサイクルプラザに行ってもいいし、水道歴史館に行ってもいいかも。
※まだまだ歩けそうならそのまま神田川沿いに秋葉原まで。(一応、観光)

 春日ではなく駒込で下車して「富士見橋エコー広場館」へ、というのも考えたが、あいにく水曜日は休館ということだったので、こんな感じ。結局、都心コースに落ち着いたのだが、そうそう上手くはいかないものである。以下、当日のドタバタ記録(添乗記?)を綴る。


 新潟にいる間、中国のメンバー数人からちょっとしたお土産を頂戴していたこともあったので、返礼として「京成パンダ」の携帯ストラップを進呈しようと思いつく。ホテルは京成上野駅(池之端口)の真向かい。ご当地土産としても最適、という訳だ。第三弾は京成電鉄制服version。売り切れ必至か、と思っていたが、ちゃんとあったので4つ購入。(^^)(MADE IN CHINAなのは、この手のグッズでは避けられないだろう。ま、笑い話ということで。) 大人数でバスに乗ることは予めわかっていたので、バスカードも事前に買っておくか、と思ったが、これはあいにくなかった。駅構内の他のコンビニにもなく、少々焦ったが、とにかくホテルへ。とりあえず、皆さんおそろいのようである。が...

 集合時間前にとっくに着いていた筆者だったが、出発できないのは通訳の方が来ないため。9:40になってしまったが、来日&上京した中国関係各位18名中14名、同行通訳の方の協力を仰ぎつつ引率スタート!である。

 中国語が話せる日本人青年もいたのだが、上野駅に向かう途中で何故かエスケイプ。(彼は何でホテルに居たのだろう?) 回数券+切符買い足しで、計17枚用意したのだが、1枚浮いてしまうことになる。【この日の番狂わせ一本目】 JR上野駅までは大した距離はないものの、16名そろって、というのは難しい。歩くスピードにかなりバラつきがあり、どうしても遅れ遅れになってしまう。当初予定では、9:43発 宇都宮行きに乗るつもりが、9:50発 前橋行きも見送るハメになり、魔の時間に入ってしまうのだった。(次は10:05発 小金井行き)【番狂わせ二本目】 15分も待てないので、渋々京浜東北線でノロノロと北上することにした。

 案内役としての筆者流必需品はクリップボード。それに裏紙を何枚か挟み、必要に応じて文字で案内していく訳である。普通列車だと10分ちょっとで着いてしまうのでバタバタしそうだが、各停につき乗車時間は長くなる。そこを活かして、裏紙に本日の大まかな行程を大書して示すことにした。中国の方なら漢字はわかる、ということで、ちょっとした名案のつもりだったが、結果的にはあまり役に立たなかった。w(-_-)w

 赤羽駅西口すぐ、バスへのアクセスはいい。本数も多いので、ひとまず10:13発は見送る。次は10:21発だが、こうしてふと空いた時間というのは案外貴重なものである。バスカードをしっかり買い備えられたし、赤羽界隈の概説などもできた。予定を押してはいたが、よしとせねばなるまい。(振り返るに、案内らしい案内ができたのは、この時くらいだった気がする。)

 1台見送ったおかげで、概ね着席してもらえたのもよかった。国際興業バス 赤53は、若い女性客で混雑する路線。満員に近い感じだったので、立ったままでは皆さん厳しかっただろう。逆に立ったままで涼しい顔だったのが女性客達。途中で降りる気配はなく、結局一行と同じ前野小学校でゾロゾロと降車。下調べでは把握できなかった一件である。後でわかったのだが、近くに短大があったためだった。「停留所名は小学校。降りるのは女子学生ばかり。なぜ?」 ごもっともな問いだ。(前野小学校の前のだから、これでいいのだが、カッコ書きで淑徳短大入口とか入れてもいい気はする。)

言うなれば大規模修繕工事のようなものだが... 番狂わせ二つ程度ならまだまだ。エコポリスセンターに着くまで、揚々としていた筆者だったが、現地に着いてからはトーンダウン。外壁工事とやらで何となく暗めな上、建物の表示(銘板)も錆びた感じ。開館して13年なんだそうだが、これは「たかが&されど」の世界である。

 10:30着を予定していたので、それほどオーバーしなかったのはいいとして、ここからは試練が待っていた。中国一行の団長さんの指示で10:45から1時間、自由に過ごすということになったのだが、ホームページの案内とは大違いで、どうも開店休業のような態。館のパンフレットなどもなかったりするので、概要の紹介も何もあったものでない。(当然、中国語パンフなどありよう筈がない。) これを仮に【番狂わせ三本目】としておこう。

撮影熱心な皆さん 見るべきものが上階にないとなれば、残るは地階ということになる。絵手紙だかポスターだか、そういう展示物にカメラが向いてしまうのはわからなくもないが、どうも本題とは違うような。地下ホールの一卓では、何故か工作に励むお母さん方がワイワイやっていて、何やら魚介類のモールにようなものを拵えている。当然、中国各位は珍しいもんだから、撮影モードに。一応、事情を説明するも、「環境? 全然関係ないんですけどぉ」といったお答え。撮影されて気を悪くする風ではなかったので事なきを得たが、環境とは無縁という辺りを強調しているようで、逆にこっちとしては事を荒立てたくもなる。センターの行事か何かかと思ったら違う? 「じゃ何してんの?」とツッコミの一つも入れたくなったが、まぁいいやである。とにかく本題とは関係ないものを皆さん熱心に見学&撮影していた、ということになる。施設見学というのは、こういうものである。

 地階には分別ゲーム機のようなものがあったが、すっかり陳腐化していて役立たず。説明するのに苦労を強いられるような装置は置かないでほしいものだが、これがきっかけで、板橋区や23区でのゴミ事情(プラスチックの再資源化推進または逆行etc.)の話ができたのはよかった。

 さて、リクエストしてまでここに来たのには理由がある。最大のお目当ては、同階奥のリサイクルサロンだった。いつしか14名全員が集結し、品定めを始め、何やら徐々に騒がしくなり... 皆さん買うわ買うわ、となる。(+_+)

 リサイクルショップと言っても、ここは結構な品揃え。屋内常設バザーみたいな感じ、と言えばいいか。だが、あまりの安売りも考え物。棚の上に並ぶケース入りの和風人形は、何と100円。これに手が及んだところで、筆者(添乗員?)は言葉を失った。これの意味するところ、即ち本日の行程の白紙化である。

 買い物行動中心ではあるが、自国での参考に、ということもあったようで、店内を撮影する面々もチラホラ。と、この手の店ではありがちな意味不明なおことわりが入る。(そういうことなら、「NO PHOTO」とか出入口付近に貼り出しておけばいい話なのだが、そうならないのが常。) だが、相手は何かと逞しい中国人である。こんなことでめげる筈がなく、買い物、否、買出しに益々熱が入る。

 電気製品にも手が伸びていたが、電圧が違うので見送った模様。それでも彼らの中ではスイッチが入ってしまったようで、連鎖反応、いや早い者勝ちのような様相を呈してきた。土産品として重宝するのだろう。什器類、つまり割れ物の需要が特に高くなってきて、店の隅々から引っ張り出してきてはパッキング、という光景が目に付くようになる。

 そんなこんなで品選びで1時間近く さらに梱包だ箱詰めだで結構な時間がかかり、同店には実に2時間弱の滞在となる。センター内で見学するものが他になかったのは幸だったのかそうでなかったのか。(見るべきものが多々あったら、それこそ一日コース?) リサイクルサロンに集客するために、設備の稼動を抑えているんだとしたら見上げたものだ。(何はともあれ、店員さん一同には大変お世話になりました。多謝多謝!)

 午後は、都営三田線一本。ひたすら南下して、東京タワー見物を兼ねて「ストップおんだん館」でも、と予定していた訳だが、それどころではなくなってしまった。(行く前にストップがかかってしまった、という笑えない話。)

 (1)隣国のお客が来る時は「買い物/買出し」に特化したツアーを組む必要があること、(2)エコポリスセンターは、そのサロンは盛り上がっているのでいいとしても、施設本来の環境学習関係設備等は役立たず(さっさと買い物を済ませた人が時間を過ごすには、かなり持て余してしまう状況)。つまり、リクエストがあったとしても、事前にしっかり稼動状況を確認する必要があること、(3)今後、同じようなリクエストがあった場合は、板橋区ではなく江戸川区にお連れするか、いっそ日本の関係者で不用品を持ち寄って提供する場を設ければ済む可能性があること、の3つが教訓となった。

 評価できる点を挙げるなら、(1)周辺住民からの提供品がとにかく売れたことによる地域貢献、(2)リユース品お買い上げ(再循環)に伴う環境貢献、(3)通常の土産品店ではまず手に入らない日本の生活用品の数々を(しかも破格で)買ってもらえたという文化的貢献、になったということだろう。(この「まとめ」(?)は、通訳の方を通じてご一行にお伝えした。客としての感想を聞く時間はこの際、割愛。)

 試練と言っては大仰か。ともかく、この日最大の番狂わせはこの買出しに尽きる。行きはよいよい、帰りは... 循環型の段ボールに紙袋に、大層な荷物を抱えた一行(あくまで一部)がそぞろ歩くの図となる。買出しに力が入った分、お腹も余計に空いたようで、早く昼食!てな感じに。えぇい!こうなったらなったでここからが筆者の腕の見せ所である。ホテルに戻ってもらうだけ、という単純な予定変更ではあるが、いかに昼食を挟むかがポイント。どうしたものか。上野に着いてからじゃ遅いし、大人数客に対応できる店が思いつかない。いや、待てよ。普段お世話になってる店があるじゃないか!

 段ボールをひと箱担当することになった筆者だが、昼食の心配がなくなった分、足取りは軽い。そんな案内役を先頭に相変わらず足並みはバラバラながら、停留所到着時には無事全員が揃い、大挙してバスに乗り込むことができた。(発車予定時刻12:56発の赤53。空腹になるのももっともな時間である。) 往路と違い、学生の姿はないが、乗客はもともと多い。これに16名が加わったことで、座席はほぼ埋まってしまうことになる。途中から乗り込んだお客の中には、空席がないことに何事か、と思ったことだろう。もっとガラガラであれば、地元ガイドでもと思ったがパス。ま、車内・車外問わず、パシパシ撮っている人もいたから、案内ご無用といったとこだろう。

 赤羽に安楽亭があって、本当に良かった。店本位な店員が最初出てきて、「16名様、えー!」てな感じ(あろうことか、おことわりモード)で、肝を冷やしたが、然るべき店員さんがきちんと応対してくれて、3階の座敷席に通してもらえた。ありがたい限りである。

その時のレシート(抜粋)。いつもならジェフグルメカードなどを併用するが、この時ばかりは現金会計。 実は、ストップおんだん館、または神谷町界隈で、団長さんを某財団の方に引き合わせる予定があった。それがもともとは14時の約束。通訳の方に携帯を借りて、上野に14:30いやもっと遅くなりそう、とかやりながらも、いかに時間を短縮するかが次のポイントとなる。そう、こういう時は有無は云わせない。500円ランチを2パターン、「中落ちカルビとミニサラダ」「豚カルビとキムチ」で8人分ずつ、計16ということでセットしてもらった。団体旅行さながらである。

 筆者的には初の座敷席にて、6人(1テーブル)が一気に焼き出すとどうなるか、ということまでは考えていなかった。だが、これが焼肉のいいところで、片っ端から焼いていって、取り分ければいいことに気付く。が、その辺は皆さん心得があったようで、至って円滑、かつ食べる食べる。(要するに買出し時と同じ。おそるべし)(^^;

 引き合わせ時刻の折り合いもつき、ちょっと気を緩めつつ、デザートのミニ杏仁豆腐などを食していた筆者だったが、団長さんの動きがおかしいことに気が付く。あわてて、一人分の焼肉を焼き始めて、ご飯から副菜から、透明袋に入れ始めているではないか。筆者も不覚だったが、16名のはずが一人居なくなっていた!のだった。【番狂わせ五本目】

 席の用意ができるまでは、店の入口で待機してもらうようお願いしていたつもりだったのだが、うまく伝わっていなかったようで、2階で問答している時に十数人、早々と来てしまったのがいけなかったようだ。(行方不明一名様は、この間に店周辺をウロウロして、迷子になったようだ。ヤレヤレ)

領収証ボタンを押すのは結構面倒だったりする。(結局は要らなかったが) 一人抜けてしまったので、帰路(赤羽〜上野)の切符は15名分用意することになる。回数券を買えば11だから、4枚買い足して渡していったら... 行きの上野駅で余分を持っていた人がいたようで、またしても1枚余り。得意分野の鉄道関係でこの有様だから、つくづく添乗員には向かないなぁ、と思った次第である。

 かくして、この単純なようでそうでない往復小旅行は、(160(JR)+210(バス))×2+500(昼食)。お一人様1,240円のところ、割り引いて1,200円で精算させてもらった。実際には、1,600+1,600+1,760(以上JR)+5,000+870(以上バス)+8,000(昼食)=18,830円(立替)だったのだが、筆者と通訳の方の分も払っていただけたので、1,200*16=19,200円を頂戴したことになる。回数券とバスカード効果で370円の黒字。何だかなぁ、と思うが、皆さんとりあえずは喜んでいたようなので、終わりよければ何とやら、ということにしておこう。(^^)

 一行を帰還させ、お役目終了。「京成パンダ」ストラップを渡す予定の一人は、買出しツアーに参加していなかったこともあり、渡し損なってしまった。ま、この日の記念品として大事にとっておこうと思う。(ケータイやめた組の筆者にとっては、本来の使途では使いようがないが。) ホテルを出たのは15時を回る時分。帰宅後、第267話を書く元気はあまり残っていなかった。

  • 参考情報 ⇒ 新潟会議他のレポート(今回の買出しツアーに参加された方々による)

中国の水汚染防止のため、新潟の水俣病の実例に学ぶ / 水俣病 世界の人々の心に響く /私達はやり通す − 第4回 東アジア環境市民会議に参加して

 


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