第275話 平成元年 其の一(2009.2.15)
今から20年前は平成元年になって1カ月余り、という時分だが、年度で言うとまだ昭和63年度だったことにふと気付く。そんな元号の変わり目だった1989年の2月。24日は金曜日だったが、新宿御苑で大喪の礼が行われるということで特別に休日に。あれからもうすぐ20年、なのである。(報道特別番組とかあっても良さそうだが、どうだろう。)
昭和63年ネタはとりあえず第256話と第264話でカバーしたつもりなので、年度途中ではあるが今回は平成元年シリーズで行ってみようと思う。第256話と一年違いなのであまり変わり映えしないかも知れないが、20年前の筆者はとにかく都内各地の出没頻度が高くなっていて、撮影枚数も増加。時代の変わり目をしっかり記録しようと意気込んだ成果だと思うのだが、1989年以降の写真はとにかく数はある。
出来栄えは別にして、ついあれもこれも、となってしまうのだが、とりあえず春頃まで、かつ現在と比較すると面白そうなものを集めてみた。当時の行動記録とあわせてご紹介する。
追悼特別番組を見ながら、平成初日(新元号発表日)をどこで過ごすかを考えていた当時の筆者。繁華街に行けば、いろいろな変化が見て取れるだろうという単純な理由で、雨の中、渋谷と新宿に出かけた。
新宿三丁目に向かう途中、伊勢丹前で撮ったこの写真。この時はあまり意識していなかったが、掲げられているのは半旗だった。逆に20年後の写真として2月11日に撮った方は、建国記念日、つまり旗日なのに国旗が掲揚されていなかったりする。ポールにしても電燈にしても原形をとどめているが、その役目は終えた、ということだろうか。
営団地下鉄から東京メトロへの変化、丸井の進化、新宿バルト9の誕生など大きな着目点がいくつかあるが、その分、伊勢丹の「変わらなさ」が目を引くのである。
立春に相応しく(?)、春を探しに西武線での小旅行を思いついた筆者である。小田急新宿駅から西武新宿駅に向かう途中、ハルクを見遣ったら10時ちょうど。定刻になるとメロディーとともにちょっとした仕掛けが動き、時報代わりになっていたのがこの壁面時計、通称「カリヨン時計」。その記念すべき一枚である。
新宿西口の名物とも言える存在だったが、ビックカメラのハルク出店とともに外され、今は彩りも豊かにすっかり商業ビルの面持ちに。ハルクと言えば時計というくらいにシンプルだった外観はすっかり昔の話になってしまった。
この日は雨だったが、渋谷をウロウロ。さらにバスで六本木に行った。東口にあるバス乗り場に向かう途中でハチ公前を通り、何気なく撮影したものだが、ハチ公の前に立つ女性が顔立ちも顔の角度もハチ公とそっくりでビックリ。この年のベストショット(?)として珍重することになるのだった。(^^;
当時のハチ公は東急百貨店寄りのこの位置にあって、その後方にはWILLIAMS SONOMAというキッチン用品店がショーウィンドウともどもあった訳だが、今はこんな感じ。コインロッカーの幅がそのままだとすると柱の位置が合わなくなるが、建物の構造はそのままだろうから20年前の方がロッカーが幅広だったものと推定される。(塗装の色が変わったのも一大変化) そのWILLIAMS SONOMAの壁面にはシャッターが下りている状態なので何とも言えないが、フロアガイドを見る限り、同店は今はないようだ。
ロッカー利用客で何となく賑わっていたが、とにかく20年後の朝方は閑散としたものである。
この日は大阪から来た友人を連れ、表参道・原宿界隈を主に周遊。招待券が当たったので、東高現代美術館(その後、バブル崩壊とともに閉館)でのゴンチチの公開録音ライブ(ズバリ「MUSIC
MEETS ART」)を聴きに行くのがメインだったが、その前に立ち寄っていたのが、このスパイラルだった。この中のホールで「第6回ハンズ大賞作品展」が開催されていたので、それを見に行った際に撮影。
写真が古いのであまりキラキラした印象を受けないが、1985年オープンだそうだから、まだまだ真新しかった。今も全く色褪せることなく、むしろ新しく見えるのは街全体が息づいているから、かも知れない。
JCB本社ビルがなかった頃、スパイラル周辺の空は広かったことがわかる。
新宿から都バスに揺られること約2時間。王子に着いた筆者はとりあえず紙の博物館へ向かった。予想以上に到着が遅れてしまったので、入館できなかったような気はするが、とにかく写真だけは撮っておいた、ということを証明する一枚。王子にやって来たのは、駿台学園で毎月開講されている「天文講座」(望遠鏡観測もあるので、夜間)に行くためだったので、この時間でもまだ早いくらい。王子駅周辺をブラブラしながら講座までの時間を過ごしたのだった。
紙の博物館はその後、飛鳥山公園に移転し、このレトロな建物もなくなって久しい。当時はJR王子駅に南口はなかったので、駅前からここまで大回りした気がするが、南口ができた今は実に近い。そのアクセスの良さを活かした道路や建物がいろいろと整いつつあるのが現状である。
踏切は変わったようなそうでないようなだが、左手のサンスクエア、中央のゴルフ練習場は20年経っても変わり映えしない。
標題は、寛永寺旧本坊門だが、他の地図を見るとここの敷地は輪王寺だったり輪王殿だったり。国立博物館を挟んで、西側にあるのが寛永寺、東側にあるのが輪王殿なのだが、寛永寺にあった本坊が幕末に焼失するもこの表門だけが残り、それをこっちに移転したことからこうした名称違いが生じたんだとか。
戦火を免れただけのことはあって、20年やそこらじゃ変わるも何もない、といった趣。重要文化財を示すその看板もHITACHI(スポンサー?)ともども変化なし。強いて言えば、門扉がより強化され、防犯カメラが設置されたことくらいか。
3月21日は開園記念日につき、上野動物園が無料で入れる。これに乗じて、上野界隈にやってきて、そのまま御徒町へと足を延ばした筆者である。(以下に続く)
午後はアメ横に寄り道しながら中央通り(歩行者天国)へ。人出が多いのは、春と来れば上野、ということの証しかも知れない。新日本証券、NEC(ファクシミリ)、日本信販の社名がかつては目立っていたが、今はいずれもなく、代わりにカラオケ勢(左のBIG
ECHO、右のカラオケ館など)が目立つばかり。右側、建物先端の三角形は、カラオケ館に押されてはいるが今も健在。
信号機の形状と、メガネスーパー以外は目立った変化が見られない。(手持ちの画像で拡大して見ると、看板の入れ替わりが多少ある程度) 見た目でこれだけ変化が少ない、というのは珍しいと言うか、この界隈ならではと言うべきか...
純粋にアキバをブラブラした一日だった。歩行者天国の賑わい然り、垂れ幕広告の派手さも目に付く。細かく検証するまでもなく、パッと見で大型店もずいぶん様変わりしているようだ。青い四角形はソフマップ。20年前はまだ建築中だったことがわかる。
歩行者天国中ならもっと楽に撮影できたのだが、20年後の今、同じ写真を撮るのはひと苦労である。(ガード下の横断歩道を渡りながら何とか撮影)(-_-)
新宿と原宿を念入りに歩き回った後、渋谷に辿り着いたのは午後3時。スクランブル交差点の周りにはすでに大型ディスプレイがいくつか並んでいたが、当時のディスプレイはまだ液晶が主流ではなかったので、この時刻表示もどこかぎこちない感じ。時刻表示枠のスポンサーは標記の通り白洋舎。今のディスプレイでもこのような定時広告をやっているかどうかはちゃんと調べないとわからないが、不況の折、スポンサー離れが進んでいることも考えられる。
UCと109がそのままなので、さして大きな変化が感じられないが、KEY
COFFEEがサロンパスに変わったり、街路樹が高くなったり、というのは大きい。比較してみないとわからないものである。
東武東上線の都内各駅を巡ってから池袋に戻って来て百貨店へ。「パリの街角博」という催しを見がてら、屋上の方へ。だが、待てよ。
かつては窓越しではなく撮れた筈なのに、同じような光景を今撮影しようとするとどうしても窓越しになってしまうのは何故? とにかくエスカレーターを昇り降りして、10階の一角からだったらしいことをつきとめ、反射しないように2階下(8階屋上)を撮ったのがこれ。構造物や配置は変わっていないが、模様や色使いを変えているのがわかる。
20年前は、南向きの景色が結構楽しめた訳だが、今はこの通り。東武百貨店の増床増階のみならず、メトロポリタンプラザもできてしまって新宿の高層ビル群は全く見えず。
このように過去<=>現在の比較型で載せるためには、今の写真を撮りに行く必要が出てくるので、なかなか一堂一挙には行かないが、今後何回かに分けてご紹介していければと思う。お楽しみに。
(チラシ、パンフレット、半券の類も一緒に掲載できればいいのだが、おそらく第264話と同じようなまとめ方になるものと思われる。あしからずご了承の程を。)
比較型にはなってないが、20年前の写真をいくつか。ご参考まで。
昭和64年1月1日、深夜の東京タワー。(初詣後、夜明け前に撮影) |
1月7日の深夜、小田急線経堂駅改札にて。貼り紙曰く、「〜崩御を悼み謹んで弔意〜」。この日はどの駅でもこうした掲示が見られた。 |
平成元年3月23日、東急東横線 代官山駅が今の駅舎に移転した初日の様子。(駅入口はまだ仮?) |
3月29日、レインボーブリッジがまだない頃のお台場海浜公園。この日は豊洲から都バスでお台場入りして、あちこち散策した。NECの本社ビルはまだ建設中。 |
4月1日、消費税スタート初日の新宿西口での象徴的シーン。「くたばれ!欠陥消費税」と怪気炎を上げているのは何と公明党の方々である。(ちなみにスバルの21世紀までの日数カウントダウンは、4293日となっている。21世紀はまだまだ先と思っていたら...) |
【読者の皆様】
おかげ様で、電網浮遊都市「アルファポリス」にて、東京モノローグの姉妹版とも言える「続 東京百景(BETA
version)」をWebコンテンツPickUP!の扱いで掲載いただきました。(2/16付、左画像の通り) トップページ上での紹介は日替わりなので、2月16日限りですが、「イラスト・写真
>
写真」の各カテゴリトップにはしばらく載せていただけるとのこと。ありがたい限りです。(いずれ詳しくご案内しますが、「続 東京百景」、ひとまずよろしくお願いします!)
拙作小説二作ですが、引き続き、いつものバナークリック(週1回)→/、または「市民登録」をしていただいた上で、一票(100pt相当)を投じていただく、のいずれかをぜひともよろしくお願いします!
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もう一つお知らせです。10年前頃の「東京モノローグ」は、ご存じの通り、比較的短文だったことと、選りすぐりを束ねればそれなりに読み物として成り立つ可能性があったことから、この程、電子書籍としてまとめ直し、試験販売してみることにしました。すでにお読みいただいている方にとっては「なぁんだ」という代物でしょうけど、この「でじブック」形式というのは、なかなかよくできていると思います。1997〜2000年のモノローグ全79話中、24話を載せ替えた一冊です。記念におひとついかがですか? →詳しくはこちら |